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更新日:2024.07.23
登録日:2023.06.02
表題部とは?マンションならではの特徴と読み方をくわしく解説
「登記簿謄本の表題部の読み方がわからない…」
「そもそも登記簿謄本って何?マンションと一戸建てで内容が違うの?」
マンションの登記情報を確認しなければならない場面では、このように悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。
この記事では「登記簿謄本とは何か」などの基本的な内容からわかりやすく解説しています。マンションの表題部の読み方のほか、一戸建ての表題部とは何が違うかも説明しているので、最後まで読めば表題部の内容がわかるようになります。ぜひ参考にして理解を深めてください。
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表題部とは|登記簿謄本の土地や建物の物理的情報が記載されている部分
表題部とは|登記簿謄本の土地や建物の物理的情報が記載されている部分
表題部とは、登記簿謄本を構成する項目の1つです。不動産の物理的状況が記載されており、所在地や用途、大きさなどの外見的特徴が記録されています。
ここでは、表題部を知る上で欠かせない下記2つの内容について詳しく解説します。
・そもそも登記簿謄本とは
・表題部の項目
そもそも登記簿謄本とは
登記簿謄本とは、登記簿をコピーしたものに法務局の印鑑が押された、公的な証明書のことです。不動産の売買や住宅ローンを組むとき、住宅ローン控除を申請するときなどに、対象となる不動産の情報を正確に把握するために使われます。
登記簿とは、一筆の土地や一個の建物ごとの所有者情報・所在地・大きさ・構造・用途などの登記情報が記録されている帳簿のことです。紙ベースの登記簿は昔使用されていたもので、登記簿謄本を取得するには法務局まで出向いたり、郵送で申請したりする必要がありました。
登記情報は現在データで管理されており、法務省の「登記ねっと」というサイトで利用料を支払えば、誰でもオンラインで取得申請が可能です。オンラインで申請すると、登記情報のデータをプリントアウトした「登記事項証明書」が申請者のもとへ郵送されるため、法務局に出向く必要がなく便利です。
なお不動産の購入時などに、土地や建物の詳細な情報を記録して公開することを「不動産登記」といいます。不動産登記については以下の記事で詳しく解説していますので、手続きについて迷うことがあれば参考にしてください。
登記簿謄本と登記事項証明書は、名前は違えど内容は同じものです。登記簿謄本(登記事項証明書)の内容は、表題部・権利部(甲区・乙区)・共同担保目録の3つにわかれます。本記事ではそのなかの表題部について重点的に解説しているので、最後まで読んで表題部の見方を把握しましょう。
表題部の項目
表題部とは、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている登記情報のうち、土地や建物の物理的な情報が記載されている部分のことです。一戸建てと分譲マンションでは、表題部の内容は異なります。一戸建ての場合は、土地か建物かで記載される項目が変わり、具体的な内容は以下の通りです。
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土地の項目にある「地目」とは土地の用途や種類のことで、建物の敷地であれば「宅地」と記載されるのが一般的です。そのほか用途によっては「田」や「畑」などと記載されることも。また建物の「種類」には、住むための「居宅」のほか「事務所」や「店舗」などがあります。
建物の「構造」は、構成材料・屋根の種類・階数の順に「木造かわらぶき平家建」などと表記される項目です。「登記の日付」と理由の欄には、不動産登記された日付とともにその原因(「新築」など)が記載されます。
分譲マンションの表題部については後述しますので、マンションの登記情報について詳しく知りたい人は、ぜひ最後までチェックしてください。
表題所有者とは
表題所有者とは
表題所有者とは、所有権が設定されていない不動産において、不動産の所有者として登録されている人のことです。土地や建物の表題登記を行う際に、表題所有者を設定します。
所有者が一人の場合は氏名や名称を記載し、複数人で所有している場合は持分が記載されます。表題所有者は、単独で所有権保存登記を行うことが可能です。
表題所有者はあくまでも所有権が設定されていない場合に記載される項目であるため、所有権保存登記を行なった場合は表題所有者に関する登記はなくなります。
権利部とは
権利部とは
登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部の下には、権利部と呼ばれる項目が続くことがあります。権利部とは登記簿謄本に記載される登記簿情報のうち、所有権・地上権・貸借権・抵当権などの、不動産の権利についての内容が記載される部分です。
つまり、その不動産の所有者は誰か・その不動産を使用できるのは誰か・住宅ローンの借り入れで担保となっているかなどが記されることになります。所有者がいない不動産の場合は、権利部は記載されず表題部のみの登記情報です。
権利部はさらに、甲区と乙区の2つにわかれているのが特徴です。それぞれの土地や建物の状況によって、甲区と乙区の二つが作られたり、甲区のみだったりする場合があります。甲区がなければ乙区もありません。それぞれの詳しい内容について解説します。
甲区とは
登記情報のうち、不動産の所有者の情報が記載されている部分を甲区といいます。つまり、その土地や建物は誰のものかを表す内容が記される項目です。甲区に記される具体的な項目としては、以下の4点が挙げられます。
・順位番号
・登記の目的
・受付年月日・受付番号
・権利者その他の事項
順位番号とは、登記された順番に基づいて割り振られる番号です。登記の目的には、不動産を購入したときの「所有権保存」や、相続や売買で不動産の所有者が変わったときの「所有権移転」などがあります。
受付年月日・受付番号には、法務局で不動産登記した日にちとその番号が記載されます。権利者その他の事項には、不動産の所有者が変わった場合に、相続か売買かなどの理由・新しい所有者の氏名・住所などが記されます。
甲区については以下の記事でも詳しく解説していますので、気になる方は一度目を通してみてください。
乙区とは
乙区とは、不動産の所有者情報以外に、権利に関わる情報が記される部分です。具体的には、住宅ローンを組むと発生する抵当権や、根抵当権についての情報が記載されることが多い箇所です。そのほか、貸借権や地上権などの情報が記載されることもあります。こうした権利が発生しなければ、乙区はありません。
乙区が作られる場合、記載される項目は甲区と同じで、順位番号・登記の目的・受付年月日と受付番号・権利者その他の事項の4点です。たとえば住宅を購入して住宅ローンを組んだ場合、登記の目的には「抵当権設定」と記載され、購入した不動産がローン借り入れ先の金融機関の担保となったことを表します。
権利者その他の事項に記載される内容は、ローン借り入れ額・利息・返済が遅れた場合の損害金・ローンを借り入れた人の氏名などです。限度額の範囲内なら何度も借り入れができる根抵当権の場合は、ローンの限度額・債権の範囲・ローンを借り入れた人の氏名が記されます。
乙区については以下の記事でより詳しく解説していますので、不動産の購入で住宅ローンを組んだ場合などで、気になる方はぜひ確認してみてください。
マンション表題部の内容と読み方
マンション表題部の内容と読み方
先に述べたように、表題部に記載される内容は一戸建てと分譲マンションで異なります。分譲マンションの表題部の内容は以下の4点にわかれています。
・一棟の建物の表示
・敷地権の目的たる土地の表示
・専有部分の建物の表示
・敷地権の表示
分譲マンションは建物が専有部分と共用部分にわけられるため「区分建物」と呼ばれます。そのため表題部の内容も、一戸建てより細かくわかれているのが特徴です。それぞれの内容について解説します。
一棟の建物の表示
分譲マンションの表題部の「一棟の建物の表示」の欄には、マンション全体に関わる内容が記載されます。具体的な項目については、以下の表をご覧ください。
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マンションは、複数の専有部分(住戸)が集まった建物です。一つひとつの専有部分に割り振られるのが「家屋番号」です。家屋番号の欄には専有部分(住戸)のすべての家屋番号が記載されるため、この番号がいくつあるかによって、一棟のマンションの中にいくつ住戸があるのかがわかります。
マンションの「構造」は、一戸建てと同じく建物の構成材料・屋根の種類・階数が記される項目です。具体的には「鉄筋コンクリート造陸屋根10階建て」などと表記されます。このようにマンション全体についての情報が記されるのが、マンションの表題部の「一棟の建物の表示」の欄です。
敷地権の目的たる土地の表示
分譲マンションの表題部の「敷地権の目的たる土地の表示」には、マンションの敷地(土地)に関わる内容が記載されます。具体的な項目は、以下の表のとおりです。
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敷地権とは、建物(マンション)とセットになって登記されている形態のことです。マンションのような区分建物の場合、土地と建物を切り離して考えることはできません。たとえば一戸建てのように、建物だけを売却したり担保に設定したりすることはできない不動産ということです。
マンションの敷地となっている土地が複数ある場合は「土地の符号」に入る番号が増え、列も増えるのが一般的です。所在及び地番・地目・地積も土地の符号ごとに記載されるため、複数記されている場合があります。
専有部分の建物の表示
専有部分の建物の表示
分譲マンションの表題部の「専有部分の建物の表示」には、一戸の専有部分に関わる内容が記載されます。具体的な項目は、以下の表を参考にしてください。
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ここでは一戸の専有部分ごとの情報が記載されるので、「建物の名称」には101や201などの部屋番号が記されます。専有部分の「種類」は居住用の「宅地」のほか、「店舗」や「共同住宅」などと記載される項目です。
専有部分の「構造」は「鉄筋コンクリート造1階建て」のように表記されます。「一棟の建物の表示」では屋根の種類も記載されますが、専有部分では屋根の種類はありません。また、メゾネットタイプの住戸の場合は「2階建て」と記されます。
専有部分の「床面積」は、壁の内側の線で囲まれた範囲の面積である「内法面積(うちのりめんせき)」が記載されます。マンションのパンフレットなどに記載される「壁芯面積(へきしんめんせき)」とは数値が違うため、留意しておきましょう。
敷地権の表示
分譲マンションの表題部の「敷地権の表示」には、一戸の専有部分とセットになっている土地に関する内容が記載されます。具体的な項目は以下の通りです。
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「敷地権の種類」は分譲マンションなら「所有者」が一般的ですが、土地の持ち主から土地を借りて建てられた借地権付きのマンションの場合は「貸借権」または「地上権」と記載されます。
「敷地権の割合」は「2658718分の7475」のような数値が記される項目です。専有部分の面積が、マンション全体の敷地に対してどれくらいの割合かがわかります。敷地権の割合は、自分が所有者なら自分の土地の持分と考えてよいでしょう。
「所有者」の欄には、最初は不動産会社の名前が記載されます。なぜなら分譲マンションは、新築時に不動産会社が一括で表題登記(新規で行う登記)をするためです。そのあとの売買によって専有部分の所有者が変わると、その経緯が甲区に記されることになります。
鑑定士コメント
一戸建てなら登記簿謄本(登記事項証明書)は土地と建物の両方を取る必要があります。一方、マンションのような区分建物の場合は、専有部分(建物)の分だけで良いです。なぜならマンションは、専有部分と土地(敷地権)をセットで処分するように法律で定められており、建物の謄本に「敷地権の表示」として土地の情報が記載されているからです。ただし昭和58年より前に建てられたマンションは、敷地権が無い、つまり、専有部分と土地が別々に登記されている場合があります。その場合はどちらの登記簿謄本も取得する必要があるため、中古マンションを売買するときなどは注意しましょう。
マンションと一戸建ての表題部の違い
マンションと一戸建ての表題部の違い
マンションの表題部と一戸建ての表題部の間には、ふたつの違いがあります。一つは土地と建物のわけ方で、もう一つは項目の細かさです。
マンションのような区分建物の場合、土地と建物の情報はセットで登記されます。そのため一つの表題部の中に、土地と建物に関する情報が一緒に記載されているのが特徴です。反対に一戸建ての場合は土地と建物が別々に登記されるため、登記情報が一つずつわけて作成されます。
マンションの表題部は、内容が細かくわかれているのも違いのひとつです。具体的なわかれ方は、マンション全体の建物・マンション全体の土地・専有部分の建物・専有部分の土地の4つです。反対に一戸建ての表題部は土地と建物にわけて作られるため、それぞれ一つずつ内容が記載されます。
また表題部の違いによって、登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法も異なる点も覚えておきましょう。マンションは一戸の専有部分ごとに1通の請求ですが、一戸建ての場合、一つの家ごとに建物と土地の2通分を取得しなければならない場合があります。用途に合わせて登記簿謄本の請求方法を確認してください。
登記簿に表題部しかない場合どうしたらよいか
登記簿に表題部しかない場合どうしたらよいか
登記簿の中には、表題部しかない登記簿というものが存在します。表題部しかない場合に気になる下記2つの内容について、詳しく解説します。
・表題部のみの登記簿になる理由
・表題部しかない場合の対処
表題部のみの登記簿になる理由
表題部のみの登記簿になる理由は、登記の種類が異なるからです。登記簿の内容は、下記の4部構成になっています。
・表題部
・権利部(甲)
・権利部(乙)
・共同担保目録
登記簿は、表題部から順に登記していきます。表題部は表題登記、権利部は保存登記によって登記されますが、保存登記は義務ではありません。
住宅ローンで抵当権を設定しないなど、権利部の登記を行う必要がない場合は表題登記のみを行うことがあります。そのため、保存登記を行なっていない登記簿は表題部のみの登記簿になります。
表題部しかない場合の対処
表題部しかない不動産を取引する場合、まずは保存登記を行う必要があります。というのも、表題部所有者には正式な所有権がありません。
所有権を有するためにはきちんと保存登記を行う必要があり、所有権を持たない状態で不動産を売買するのは難しいです。そのため、まず保存登記を行なって正式に不動産の所有権を有する必要があります。
鑑定士コメント
不動産の登記情報において、表題部に所有者の住所が登記されていない場合は注意が必要です。まだ所有権の保存の登記がされていない土地の表題部に、所有者名のみが記載されていることがまれにあります。実は表題登記は法律上義務づけられていますが、所有権保存登記は義務ではないのです。こうした場合、その土地を購入したいと思っても、表題部所有者の住所がわからなければ、その人がどこの誰だかわからず連絡がとれません。どうしてもその土地がほしければ「不在者財産管理人」を選任しなければならなくなります。したがって、土地を購入するまでに手間と時間がかかってしまうリスクがあるのです。
まとめ:マンション表題部の見方を覚えておこう
まとめ:マンション表題部の見方を覚えておこう
マンションの売買や住宅ローンの手続きの際などには、登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になる場合があります。そのとき登記情報の表題部の読み方がわからなければ、対象となるマンションの正確な情報が得られません。
また、マンションの表題部と一戸建ての表題部にはさまざまな違いがあります。項目の内容やわかれ方も違うため、表題部の内容を理解するためにはそれぞれの違いを把握しておくとよいでしょう。今回説明した内容を参考にして、表題部を正しく理解してください。
#表題部 #表題部とは #表題所有者 #表題部 登記簿謄本
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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