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更新日:2024.09.24
登録日:2024.09.24

債務不履行とは?損害賠償や不法行為との違いを徹底解説!

債務不履行とは?損害賠償や不法行為との違いを徹底解説!

不動産の売買や住宅ローンの返済などでは、債務不履行の状態に陥るケースがあります。リスクを避けるために、債務不履行について正確に把握しておくことが重要です。

一方で「債務不履行って何?」「損害賠償や不法行為とどう違うの?」など、疑問を感じている方は多いでしょう。

本記事では、債務不履行の種類や損害賠償を請求できるケースなどの基礎知識をまとめました。損害賠償や不法行為との違いや時効の有無、陥るとどうなるかもわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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債務不履行とは?

債務不履行とは?

債務不履行とは?

債務不履行とは、「債務者により債務が履行されない状況」のことです。債務とは特定の人物に行為や物、金銭を提供する義務のことを差します。具体的な債務不履行の例は、以下の通りです。

 

・借りたお金を返済期限が過ぎても返さない

・代金を支払ったにもかかわらず物件が売主に引き渡されない

・住宅ローンを借りた人が毎月の返済をしていない

 

債権の履行を要求できる「債権者」と、債務を履行する義務がある「債務者」の間で発生します。何が債務にあたるかは契約内容によって異なるので、あらかじめチェックしておきましょう。

債務不履行の種類

債務不履行の種類

債務不履行の種類

債務不履行は以下の種類にわかれます。

 

・履行遅滞

・履行不能

・不完全履行

 

それぞれの詳細について解説しましょう。

履行遅滞

履行遅滞とは、債務を履行できるにも関わらず、期日を過ぎても履行されないことをさします。たとえば中古住宅の売買で、引渡し時期を過ぎても売主が家から出ていかないといったケースがあげられるでしょう。

 

確定期限がある場合は、期限に到達したときから履行遅滞が発生します。不確定期限では債務者がこの期限を知ったとき、期限がないケースでは債権者が履行を求めたときからが履行遅延です。

履行不能

債権が成立したあと、債務者の過失または故意によって債務の履行が不可能になったことを履行不能といいます。たとえば売主の不注意で、引き渡し前に家が燃えてしまったケースなどです。

 

理由や原因が正当でないと判断されたとき、債権者は契約の解除および債務者に対する損害賠償請求をおこなえます。一方で震災や災害など明らかに債務者の責任でない場合は、履行不能にはなりません

不完全履行

不完全履行

不完全履行

履行行為がなされたものの、内容が不完全な履行であった場合のことを不完全履行といいます。不完全とは「債務の本来の趣旨に従った完全な履行ではなかった」ということです。

 

たとえば新築住宅の引き渡し後に、欠陥や不具合が見つかったケースがあげられます。住宅の修理を依頼したとき、約束通りの修繕がされていなかったときなども同様です。

鑑定士コメント

支払不能は法的な意味では履行不能にはあたりません。支払不能とは、債務者の支払い能力がない状態のことです。一般的かつ継続的に、弁済ができない客観的状態のことを指します。たとえ支払不能の状況に陥っても、将来的に履行できる可能性はゼロにはなりません。法的には「支払いが遅れているだけ」と判断されるため、履行遅滞とされます。

債務不履行と不法行為の違い

債務不履行と不法行為の違い

債務不履行と不法行為の違い

不法行為とは、権利・利益の侵害で生じた損害を賠償する責任が生まれる行為のことです。不法行為によって損害が発生した場合、賠償する責任(不法行為責任)が生じます。

 

債務不履行は債権者と債務者の間で、不法行為は特に関係性がなくても発生するところが主な違いです。さらに詳しい違いを以下にまとめました。

 

 

発生状況

対応方法

立証責任

債務不履行

債権者と債務者の間で発生

履行請求・契約解除・損害賠償など

債務者

不法行為

関係なくても発生

損害賠償

被害者

 

債務不履行の場合、債務者が帰責事由(責められるべき理由や過失)について立証責任を負います。請求された債務者側が、自らに過失がないことを立証しなければいけません。

 

一方の不法行為では立証責任を負うのは被害者です。損害賠償請求を請求する側が、行為と損害との因果関係を立証する必要があります。

債務不履行で損害賠償を請求できるケース

債務不履行で損害賠償を請求できるケース

債務不履行で損害賠償を請求できるケース

債務不履行で損害賠償を請求できるのは以下のケースです。

 

・債務者が債務を履行しないとき

・債務不履行で債権者に損害が発生した場合

・当事者同士で契約が成立しているとき

 

上記の要件を満たす必要があるため、あらかじめチェックしておきましょう。

債務者が債務を履行しないとき

債務者が本旨に従った履行をしないときに、損害賠償を請求することが可能です。履行遅滞や履行不能、不完全履行が発生すれば、「本旨に従って履行をしていない」と判断されます。

 

つまり契約をしたのに相手が約束を守らなかった場合に損害賠償請求ができる、と考えるとわかりやすいでしょう。契約内容の本旨について明確にすることが重要です。

債務不履行で債権者に損害が発生した場合

債務不履行によって債権者に損害が発生したときに、損害賠償を請求できます。そのため契約違反があった場合でも、損害が発生していなければ損害賠償請求はできません。

 

ただし、損害の発生が認められたケースでも、債務不履行と損害の因果関係が必要です。債務不履行に発生したことが、相当といえる範囲に限定されます。

当事者同士で契約が成立しているとき

当事者同士で契約が成立しているとき

当事者同士で契約が成立しているとき

債務不履行による損害賠償請求は、当事者同士で契約が成立していることが前提です。債権者と債務者の関係ではないケースだと、この要件を満たしていません。

 

たとえば元請業者が下請け業者に発注した場合、施主と下請け業者の間には直接的な契約関係がないと考えられます。施主は下請け業者に対して、債務不履行による損害賠償請求ができないので注意が必要です。

債務不履行に時効はあるか

債務不履行に時効はあるか

債務不履行に時効はあるか

民法百六十六条(※)に記載された債務不履行の時効は「権利を行使することを知ったときから5年以内」かつ「権利を行使できるときから10年以内」です。時効が成立すれば、債務不履行にもとづいた損害賠償請求権は消滅します。

 

また、百六十七条(※)に「生命・身体の侵害による債務不履行の時効」についての記載があるため、あわせてチェックしておきましょう。このケースでは「権利を行使することを知ったときから5年以内」かつ「権利を行使できるときから20年以内」が時効です。

 

※参照:e-Gov法令検索

鑑定士コメント

債務不履行の時効は、「権利を行使できることを知ったときから」もしくは「権利を行使することができるときから」カウントします。いずれか早い方の経過により時効が成立する仕組みです。なお「権利を行使できるとき」とは、「債務者が債務を履行しなければいけない時期」をさします。

債務不履行になるとどうなるか

債務不履行になるとどうなるか

債務不履行になるとどうなるか

債務不履行になるとどうなるのか具体的に解説します。

 

・契約を解除される

・債務の一括請求

・強制執行

・債務の完全な履行の要求

・損害賠償請求を受ける

 

どのようなリスクがあるのか、把握しておくことが重要です。

契約を解除される

民法五百四十一条では「相当の期間を定めて勧告をしてその期間内に履行ながいときは、契約を解除できる(※)」とあります。債務不履行になった場合、契約を強制的に解除される可能性が考えられるでしょう。

 

さらに第五百四十二条(※)では、勧告なく直ちに契約の解除ができるケースをあげています。「債務すべての履行が不能なとき」「債務者がすべての履行を拒絶したとき」などです。

 

※参照:e-Gov法令検索

債務の一括請求

借金やローンの返済などを滞納している場合、債務者から債務の一括請求を求められる可能性があります。返済期日までに返済すればよいとする「期限の利益」が喪失するためです。

 

一般的に金銭の貸し借りに関する契約では期限の利益に関する条項が盛り込まれているので、確認しておきましょう。なお、履行不能になった場合は一括請求が不可能になるため、契約解除や損害賠償請求などの方法がとられます。

強制執行

強制執行

強制執行

強制執行とは、債務者に強制的に債務内容を実現させる手続きのことです。民法四百十四条(※)では「民事執行法その他強制執行の手続きに関する法令に従い、履行の強制を裁判所に請求できる」とあります。

 

差し押さえの対象となる財産は、預貯金や給与、不動産、家財道具などです。強制執行は裁判所の命令であるため、債務者は拒否できません

 

※参照:e-Gov法令検索

債務の完全な履行の要求

追完請求権により、債務の完全な履行を要求される可能性が考えられるでしょう。民法五百六十二条(※)では「目的物が契約の内容に適合しないときは、履行の追完を請求できる」と記載があります。

 

具体的な履行の追完とは、不足分や代替物を引き渡したり目的物を補修したりすることです。ただし、履行不能なケースではその他の方法がとられます。

 

※参照:e-Gov法令検索

損害賠償請求を受ける

債務不履行によって債権者が損害を負った場合、債務者は損害賠償を請求される可能性があるため注意が必要です。民法四百十五条(※)には、「履行をしないまたは不能なとき、債権者は生じた損害の賠償を請求できる」とあります。

 

請求されるのは、債務者が契約を遵守しないために発生した実損害のみです。生じた損害のほか、失われた利益(逸失利益)を請求されるケースもあります。

 

※参照:e-Gov法令検索

まとめ:債務不履行については専門家に相談しよう

まとめ:債務不履行については専門家に相談しよう

まとめ:債務不履行については専門家に相談しよう

債務不履行とは、債務者が債務を履行しない状況のことです。履行遅滞と履行不能、不完全履行に分かれるので、詳細をチェックしておきましょう。

 

債権者は要件を満たせば債務不履行で損害賠償を請求できます。一方で債務者として債務不履行になった場合、債務の一括請求や強制執行のリスクがあるので注意が必要です。

 

もしものときのために、債務不履行についての基礎知識や契約内容を把握しておきましょう。もし当事者間での解決が難しいなら、専門家への相談を検討してください

 

#債務不履行、#債務、#損害賠償

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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