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更新日:2023.08.22
登録日:2023.03.23
乙区とは?内容と読み方、乙区がないケースについても解説
建物や敷地(土地)の情報が記載された登記簿には、さまざまな内容や詳細が記載されています。乙区については「所有者以外の権利について」が記載されていますが、いまいちわかりづらいと思う人が多いのではないでしょうか。
この記事では、登記簿謄本や乙区について詳しく解説しています。乙区の見方や、乙区がないケースについても解説しているので、建物や立地を確認する際の参考にしてください。
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登記簿謄本とは
登記簿謄本とは
登記簿謄本とは、その不動産の持ち主や建物、敷地の面積などの詳細がデータとして記録されたものです。
不動産を見ただけではわからない詳細なデータが載っており、その不動産についての公的な証明書となります。
登記簿謄本の内容は「表題部」「権利部(甲区)・(乙区)」「共同担保目録」の項目に分かれています。
不動産によっては「表題部」しか記載が無いもの、「表題部」と「権利部(甲区)」しか記載が無いものもあります。
登記簿謄本を理解、把握するためにはそれぞれの項目、内容の役割や意味を知っておかなければいけません。
ちなみに現在は、「登記事項証明書」が正式名称となるそうですが、名前が異なるだけで内容は登記簿謄本と同じです。
昔から呼ばれている「登記簿謄本」と言う人が多いため、この記事では登記簿謄本と記載しています。まずは、登記簿謄本の内容について理解していきましょう。
不動産登記については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
不動産登記とは?登記簿謄本の見方や必要な費用の相場について解説
マンションの表題部とは
マンションの表題部とは
不動産登記簿にある「表題部」とは、その建物の基本的な情報が載っている部分です。一戸建ての場合は、建物の表題部と土地の表題部に項目を分けて記載されています。
一方でマンションの場合は、土地と建物の情報がセットで記載されます。マンションの表題部に記載されている項目と内容は以下の通りです。
①建物の所在
→マンションの住所(所在地)
②建物の名称
→マンション名
③建物の構造
→木造・鉄筋コンクリートなど、マンションの構造
④床面積
→マンションの各階の床面積
⑤登記の日付
⑥土地の所在および地番
→マンションが建つ土地の住所
⑦土地の地目
→土地の用途、種類
マンションなど住宅の場合は「宅地」と記載
⑧土地の地積
→土地の面積
一戸建ての建物と異なり、マンションの場合は建物の表題部に土地の情報が加わる形で、セットになって記載されています。見方が異なるので注意してください。
乙区とは?
乙区とは?
登記簿謄本における「権利部(乙区)」とは、所有権以外の権利について記載されている部分です。簡単に言うと、金銭に絡む部分が記載されていると思っていいでしょう。
登記簿謄本に記載されている「権利部」は「甲区」と「乙区」に分かれます。この2つは必ずセットではありません。建物によっては甲区のみが記載されている場合もあります。
主に乙区に記載されているのが「抵当権」や「根抵当権」です。住宅ローンを利用している場合、ローンを払えなくなった際の担保や、債権額などが記載されています。
乙区に記載されている項目と内容については、後ほど詳しく記載しているので参考にしてください。
乙区と甲区の違い
乙区と甲区の違い
乙区と甲区はどちらも権利部です。上記で説明した通り、「乙区」には所有者以外の権利に関するデータが記されています。
一方で甲区は、所有権に関するデータが記載されている部分です。具体的に言えば、所有者の住所や氏名、登記の目的などが記載されています。
所有者が変わった場合、その理由が記載されており建物のこれまでの歴史を簡単に見られる部分と言えるでしょう。
甲区では所有権の移転があったかどうかなど、詳しいデータを確認できます。
甲区については、以下の記事で解説しているので読んでみて下さい。
乙区の内容と読み方
乙区の内容と読み方
乙区に載っている情報は以下の4つです。
※横にスクロールできます。
上記の内容についてひとつずつ見ていきましょう。
順位番号
登記が申請された順番を番号化した数字を指します。数字が大きいほど新しく登記されたものということです。
ただし、紙からコンピューターに登記内容を移した場合は番号は振られません。
登記の目的
「登記の目的」に記載されるのは、登記の概要です。
※横にスクロールできます。
上記の3つのうちいずれかが記載されたものが、登記の目的となります。
いずれかによってその他の事項に記載される内容が異なり、見方が変わるのでまずはどれにあたるかを確認しましょう。
受付年月日・受付番号
登記の受付年月日と、受付番号が記載されます。
抵当権の場合は住宅ローンなどが組まれた日ではなく、書類を提出した日が記載されます。
権利者その他の事項
「登記の目的」で記載された内容の詳細が記されている項目です。所有権以外の権利に関する権利者の住所・氏名や原因など、詳しい内容を見られます。
主に以下の内容が記載されています。
・債権額(または限度額)
・利息
・損害金
・債務者(氏名・住所)
・抵当権(または根抵当権)の詳細
・共同担保目録
「共同担保目録」は、担保となる不動産が複数ある場合に記載されます。
鑑定士コメント
乙区には所有権以外の権利関係が記載されているため、まずは抵当権等の設定がどうなっているのか確認が必要です。特に複数の権利がついている場合は読み取りが重要になります。もし賃貸で入居している住宅が競売になってしまった場合、購入者によっては立ち退きを求められる場合があります。抵当権、根抵当権で実行された場合は抵抗できませんが、6カ月間の明け渡し猶予が認められています。
乙区の読み方の例
乙区の読み方の例
登記簿謄本に記載されている「乙区」の「抵当権設定」の例を見ていきましょう。
※横にスクロールできます。
続いて「根抵当権設定」の場合の例を見ていきましょう。
乙区では上記のように記載されています。登記の目的によって、権利者・その他の事項に記載される詳細が異なり、見方が変わるので注意してください。
共同担保目録がある場合は、乙区の下に項目があり、担保となる不動産についてまとめられます。
鑑定士コメント
表題部に記載されているのは、土地は所在、地目、地積など、建物は家屋番号、構造、床面積などの基本情報です。
乙区(権利部)に記載されているのは、所有権に関する内容です。所有者が建物や土地を手に入れた経緯や、所有者が何人いるか、それぞれの所有者の持分などの詳しい情報が記載されています。
登記簿謄本に乙区がないケース
登記簿謄本に乙区がないケース
先述の通り、不動産や土地によっては乙区がないケースも存在します。乙区には不動産を担保にしたり、住宅ローンなどの借入があったりした場合に、その詳細が記載されていることがわかりました。
つまり、乙区に該当する項目が発生していない場合は乙区を作る理由がありません。
住宅ローンではなく一括で不動産を購入したりした場合は、登記簿謄本に乙区の項目は無いでしょう。
ちなみに登記簿謄本に乙区がない場合は、代わりに次の文章が記載されています。
「ただし、登記の乙区に記録されている事項はない」
まとめ:乙区で所有者以外の権利をしっかり確認しておこう
まとめ:乙区で所有者以外の権利をしっかり確認しておこう
登記簿謄本における「乙区」には、所有者以外の権利について詳しく記載されています。そのほとんどが住宅ローンなどの借入を行った際の「抵当権」、または借入と返済を繰り返す「根抵当権」の設定です。
いつ誰がいくらの借入を行ったのか、担保となる不動産の詳細などが記載されており、登記簿謄本を上から一つずつ見て行けば内容がわかりやすいでしょう。
見方さえ把握していれば簡単に確認できるはずなので、記事で紹介した項目を参考にして乙区の確認をしてみてください。
参考文献・サイト
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 基礎編
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 実践編
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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