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2023.10.23

ZEHの補助金はいくらもらえる?金額や条件をていねいに解説

ZEHの補助金はいくらもらえる?金額や条件をていねいに解説

ZEH住宅は断熱性が高く、一年を通して快適に過ごせます。省エネや創エネ性能があり、光熱費を安く抑えられることも特徴です。

しかし、ZEH住宅の建設や購入にはコストがかかるため、ZEH補助金を利用するとよいでしょう。

本記事では、ZEH補助金の受給額や補助金の要件について解説します。ZEH住宅を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

ZEH補助金を受けるための要件

ZEH補助金を受けるための要件

ZEH補助金を受けるための要件

一定の要件を満たしたZEH住宅であれば、補助金を受け取れます。ZEH補助金を受けられる要件は、次の通り(※)です。

 

・建物の壁や断熱材などの外皮の断熱性能が一定の基準を満たす

・基準一次エネルギー(再生可能エネルギー等はのぞく)の消費量を20%以上削減

・再生可能エネルギーを導入

・基準一次エネルギー(再生可能エネルギー等を含む)の消費量を100%削減

・家の購入者が常時居住する

・ZEHビルダーもしくはZEHプランナーが販売を行う住宅である

 

断熱性能はUA値で表され、一定の値を超えることが条件です。

 

基準一次エネルギー消費量とは、一般的に消費すると想定されるエネルギー量のことを指します。具体的には、冷暖房や給湯、照明などの設備を使用したときのエネルギー量です。

 

詳しい基準については、経済産業省資源エネルギー庁の資料から確認できます。

 

※参照:経済産業省資源エネルギー庁

 

あらためてZEHについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

ZEH (ゼッチ)とは?基本知識やメリット・デメリットを解説

【種類別】ZEHの補助金額

【種類別】ZEHの補助金額

【種類別】ZEHの補助金額

ZEH住宅は、性能によって5つの種類に区分されます。住宅の区分によって補助金額が異なります。(※)

 

種類

事業

補助金額

ZEH

こどもエコすまい支援事業

100万円/戸

地域型住宅グリーン化事業

上限140万円/戸

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業

55万円/戸+α

ZEH+

100万円/戸+α

次世代ZEH+

次世代ZEH+実証事業

100万円/戸+α

次世代HEMS

次世代HEMS実証事業

112万円/戸+α

LCCM住宅

LCCM住宅 整備推進事業 等

上限140万円/戸

 

補助金額は、55万円〜140万円/戸です。それぞれの種類について、詳しく解説します。

 

※参照:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)

 

ZEHの補助金事業の概要

ZEHの補助金事業は3つあります。それぞれの補助金額や対象となる住宅について、表にまとめました。

 

※横にスクロールできます。

事業名

補助金額

対象となる住宅

行政機関

備考

こどもエコすまい支援事業(※1)

定額100万円/戸

新築の注文住宅
新築の分譲住宅
リフォーム

国土交通省
経済産業省
環境省

子育て世帯または若者夫婦世帯

地域型住宅グリーン化事業(※2)

上限140万円/戸

地域の中小工務店による、省エネ性能に優れた木造住宅

国土交通省

-

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業

定額55万円/戸

戸建住宅(注文や建売)

環境省

蓄電システムの導入で2万円/kWhを加算(上限額20万円)

 

子育て世帯とは、申請時点で、2004年4月2日以降に出生した子を有する世帯のことです。若者世帯は​申請時点で夫婦であり、夫婦のいずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯を指します。(※1)

 

こどもエコすまい支援事業は、予算が上限に達すると申請の受付が終了するので注意しましょう。

 

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業では、直交集成板(CLT)や地中熱ヒートポンプシステムなどの設備の導入で、補助金額が加算されます

 

※1 参照:こどもエコすまい支援事業

※2 参照:国土交通省

※3 参照:環境省

ZEH+の補助金事業の概要

ZEHの要件を満たし、かつ次の3つの条件を満たすとZEH+の区分になります。(※)

 

1.基準一次エネルギーの消費量を25%以上削減

2.以下、再生可能エネルギーの自家消費拡大措置を2つ以上導入すること

・外皮性能のさらなる強化

・高度エネルギーマネジメント

・電気自動車を活用した充電設備または充放電設備

3.SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されているZEHビルダーやプランナーが関わる住宅であること

 

ZEH+住宅が適用される補助金額は、次の通り(※)です。

 

事業名

補助金額

対象となる住宅

備考

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業

100万円/戸

戸建住宅(注文や建売)

蓄電システムの導入で2万円/kWhを加算
(上限額20万円)

 

ZEHの補助金と同様に、指定の設備を導入すると補助金額が加算されます

 

※参照:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)

次世代ZEH+の補助金事業の概要

次世代ZEH+の補助金事業の概要

次世代ZEH+の補助金事業の概要

ZEH+の要件を満たしており、以下のうち、1つ以上の設備を導入すると次世代ZEH+の区分になります。

 

・蓄電システム

・V2H充電設備

・燃料電池

・太陽熱利用温水システム

・太陽光発電システム10KW以上

 

次世代ZEH+の補助金事業は、次の表の通り(※)です。

 

事業名

補助金額

対象となる住宅

備考

次世代ZEH+実証事業

100万円/戸

新築住宅

蓄電システムの導入で2万円/kWhを加算
(上限額20万円)

 

くわえて、導入する設備に応じて補助金が加算されます。

 

設備

加算される補助金

V2H充電設備

上限75万円

燃料電池

2万円/台

太陽熱利用温水システム

液体式が17万円/戸、空気式は60万円/戸

※参照:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)

 

次世代HEMSの補助金事業の概要

次世代ZEH+の要件を満たしたうえで、次の4つの条件を満たすと、次世代HEMSの補助金が適用されます。(※)

 

・高度エネルギーマネジメントを選択

・蓄電システム(またはV2H充電設備)の導入

・燃料電池や太陽熱利用温水システムの設備を導入可能

・AIやloT技術などによる最適制御を行う仕組みが備わっている

 

事業名

補助金額

対象となる住宅

備考

次世代HEMS実証事業

112万円/戸

新築住宅

蓄電システムの導入で2万円/kWhを加算
(上限額20万円)

 

加算される補助金は、次世代ZEH+と同様の内容です。

 

ただし、対象者は新築住宅を建築する個人にかぎられています

 

※参照:SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)

LCCM住宅の補助金事業の概要

LCCM住宅とは、ZEH住宅よりも省CO2化を進めた住宅のことを指します。再生可能エネルギーの創出によって、建設時点から含め、CO2排出量の収支が0以下になる住宅です。

 

LCCM住宅の補助金を受けられる要件は、次の通り(※)です。

 

・強化外皮基準を満たしている

・基準一次エネルギーの消費量を25%以上削減

・ライフサイクルのCO2の評価結果が0以下となる など

 

事業名

補助金額

対象となる住宅

次世代HEMS実証事業

140万円/戸

LCCM住宅

 

※参照:国土交通省

鑑定士コメント

ZEH補助金と併用可能な補助制度はあるでしょうか?​​ZEH補助金と併用可能な制度は、住宅ローン減税やZEHに関連する自治体の補助金制度です。ただし、補助金を受給するためには、特定の住宅基準を満たしていることが求められます。申し込みのタイミングも制度によって異なるため、自治体等の募集要項をチェックしておきましょう。

ZEHの補助金を受給するまでの流れ

ZEHの補助金を受給するまでの流れ

ZEHの補助金を受給するまでの流れ

ZEH補助金は、一般的に次の流れで受給します。

 

1.住宅メーカーの選定

2.申請書の作成や送信

3.工事着工

4.補助金の実績報告書を提出

5.補助金の受け取り

 

住宅メーカーを選定し工事請負契約を行ったあと、申請書の作成を依頼します。ZEH補助金の手続きに慣れた業者を選ぶと、スムーズに申請が完了するでしょう。

 

建物の着工前に補助金の申請が必要なので、手続きの順序を間違えないようにしてください。

鑑定士コメント

ZEH補助金の申請は自分でやらないといけないのでしょうか?基本的には、ZEH補助金の申請は、契約した住宅メーカーが担当します。必要な手続きは住宅メーカーが代行するため、自身で行う必要はありません。業者と住宅プランについて話し合いプランが決定すると、工事の着工前に担当者が手続きを行ってくれます。

ZEHの補助金で注意しておきたいポイント

ZEHの補助金で注意しておきたいポイント

ZEHの補助金で注意しておきたいポイント

ZEHの補助金を受給する際は、次の4点に注意しましょう。

 

・認定業者を必ず利用する

・補助金の申請後は設計を変更できない

・申請のスケジュールや条件を確認する

・補助金を適用しても建築費が高い場合がある

認定業者を必ず利用する

ZEH補助金の受給には、ZEH住宅の建設を認定された住宅メーカーや工務店に依頼しましょう。認定された業者は、「ZEHビルダー」とも呼ばれます。

 

ZEHビルダーであれば、ZEH住宅に関する相談をしやすく、希望に沿った住宅プランを提案してくれます。

 

ZEH補助金の申請期間はかぎられているので、過去にZEH住宅に関する実績のある業者を選ぶと、スムーズに手続きを進められるでしょう。

補助金の申請後は設計を変更できない

原則、補助金の申請後に、提出した設計の変更は認められていません

 

行政機関が、提出された設計プランをもとに省エネ効果やエネルギー消費量などを計算し、補助金の支給額を算出します。

 

設計プラン通りの建築が求められるので、申請後に設計の変更はできません。納得できる住宅で過ごせるように、入念に設計プランを検討しましょう

申請のスケジュールや条件を確認する

申請のスケジュールや条件を確認する

申請のスケジュールや条件を確認する

ZEH補助金制度は、不定期で募集がかかり、募集期間も短めです。

 

申請期間に注意しないと、補助金の申請が間に合わない可能性があります。先着順になる場合もあるため、募集が開始したら素早く申し込むことも重要です。

 

補助金の申請は、工事の着工前に行うので、事前にスケジュールを確認しましょう。

 

また、補助金を受給するためには、住宅が一定の条件を満たす必要があります。条件や補助金額が変更される可能性もあるので、こまめに情報をチェックしておきましょう。

補助金を適用しても建築費が高い場合がある

ZEH住宅の建設では、気密性や断熱性に優れた建材を使用します。省エネ設備や創エネ設備を導入するため、一般の住宅よりも建築費用がかかります

 

補助金を受給しても、支払いが高額になる可能性が高いでしょう。定期的なメンテナンス費用も必要です。

 

ただし、ZEH住宅は光熱費のような月々のコストを抑えられます。長期的な視点で費用を計算し、ZEH住宅の建設・購入を検討しましょう。

まとめ:補助金制度を賢く利用してZEH住宅の購入を検討してみよう

まとめ:補助金制度を賢く利用してZEH住宅の購入を検討してみよう

まとめ:補助金制度を賢く利用してZEH住宅の購入を検討してみよう

耐熱性能や省エネ、創エネ性能によって適用される補助金の内容が異なります。55万円から最大140万円まで補助金を受給できます

 

ただし、補助金制度が適用される条件や申請期間があるので、募集要項をよく確認してください。

 

必ずしも補助金を受給できるわけではないので、ZEH住宅を購入、建設するかを慎重に検討しましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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