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更新日:2024.09.12
登録日:2023.01.25
敷地利用権とは?敷地権や借地権との違いもわかりやすく解説
「敷地利用権って何?」「敷地権とどう違うの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
敷地利用権とは分譲マンションなどの土地に関する権利のことを指します。マンションやビルなどの土地を利用できる権利だと覚えておくとよいでしょう。
この記事では、敷地利用権についてわかりやすく解説しています。敷地権との違いや、借地権、区分所有権との違いについても解説しているので参考にしてください。
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敷地利用権とは?
敷地利用権とは?
敷地利用権とはマンションなどが建つ土地を利用できる権利のことを言います。通常、建物と土地は別個の権利とみなされています。
分譲マンションの一室を所有している場合、その建物の土地を利用できる権利も所有していることになります。マンションの土地を住民で所有権を共有しているということです。
簡単にまとめると、以下のように分かれます。
敷地利用権の割合については、専有部分の床面積の割合によって異なります。ただし規約によって別段の定めをすることが可能です。
さらに分かりやすく説明すると、分譲マンションの一室を購入(所有)した場合、そのマンションの敷地となっている土地の権利も持つことになるということ。
ちなみに、敷地利用権を専有部分と切り離して処分することはできません。そのことについて次の項目で詳しく説明します。
分譲マンションとは何かが気になる人は、こちらも読んでみてください。
敷地利用権と専有部分の一体化とは
規約によって別段の定めがない限り、敷地利用権を専有部分と切り離して処分することは不可能です。一体性の原則と呼ばれています。
なぜなら、土地がなければ専有部分(建物)を利用することができないからです。
また、敷地利用権には「所有権」「地上権」「賃借権」など種類があり、どの権利を所有しているかによってもルールが異なります。
先述の通り、規約で別段の定めをすれば例外として分離処分が可能となる場合があります。
基本的には、マンションなどを利用するということは、その土地を利用することになるため分離処分はできないものと覚えておくとよいでしょう。敷地利用権は、土地の共有持分とも呼ばれます。
専有面積については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
専有面積とは?ベランダやロフトは含まれる?計算方法も詳しく解説!
鑑定士コメント
大きなメリットは、土地と建物が分離処分が出来ないことで、権利関係の複雑化を防止します。1983年(昭和58年)の区分所有法大改正で、敷地利用権と専有部分の一体化が定められましたが、それ以前は土地と建物が分離処分が可能なため、間違えて建物だけを売却してしまうなど、建物と土地の権利が複雑になりトラブルになることがあったのです。現在では登記簿謄本も一体化され1筆に集約されています。
敷地利用権と専有部分の例外
専有部分を所有している人(区分所有権を持つ人)が、その持分を放棄した時や相続人がいないまま死亡してしまった時は、その持分は他の共有者に帰属されます。
これは民法によって定められているものです。分かりやすく言うと、上記のような場合には
このようになるのです。
しかしこれでは専有部分と敷地利用権が分離してしまい、一体性の法則から外れてしまいます。そのため、上記のような場合にはどちらも国に帰属するものとなっています。
※参考:民法
敷地利用権と敷地権の違い
敷地利用権と敷地権の違い
敷地権とは、専有部分の敷地に関する権利のことです。土地と建物が一体となっており、分離して処分することはできません。
敷地利用権との違いは以下のとおりです。
この2つは混同されやすく、違いに関しても少々分かりにくい言葉です。
簡単にまとめると、「敷地権」とは専有部分と敷地利用権が分離できないようになっている「権利の状態」を示す言葉となります。
敷地利用権と借地権の違い
敷地利用権と借地権の違い
「借地権」とは、土地の持ち主から土地を借りる権利を指す言葉です。借りた土地に建物を建てるなど、土地を借りて利用できる権利のことを指します。
借地権の特徴は以下の通りです。
・土地の権利は持ち主にある
・持ち主に対して借り賃を支払う
・借地に建てた建物は無断で売却ができない
・建て替えには持ち主への連絡が必要
・契約期間が終わったら土地を返還しなければならない
敷地利用権とはまた違ったものですが、稀にマンションなどの建物を購入(所有)すると、借地権を取得する場合があります。
通常は専有部分を所有すると、敷地利用権を取得しますが建物によって、敷地利用権ではなく借地権が与えられる場合があるため覚えておきましょう。
借地権を所有する建物の場合、定期的に土地の借り賃を支払う必要があります。敷地利用権には通常土地の借り賃は発生しません。
借りた土地に建てられたマンションなどを所有すると、敷地利用権ではなく借地権となる場合があります。
また、稀なケースではありますが1983年以前に建てられた建物には、敷地権化されていない建物もあるため注意が必要です。
普通借地権とはどんな権利かは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
普通借地権とは?定期借地権との違いやメリット・デメリットを解説
鑑定士コメント
前述のとおり、1983年(昭和58年)の区分所有法大改正前は敷地権化されていませんでした。そのため、土地と建物が分離処分が可能なため、間違えて建物だけを売却してしまうなど、建物と土地の権利が複雑になりトラブルになることがあったのです。.昭和58年以前に建てられ敷地権化されていないマンションがあった場合、建物と土地の所有者が同じになっているか、この両社が売買の対象となっているかの注意が必要です。
敷地利用権と区分所有権の違い
敷地利用権と区分所有権の違い
区分所有権とは、マンションや建物を購入した際の専有部分を指す言葉です。つまり、住居や店舗などを所有する権利であり、土地の権利である敷地利用権とは異なります。
一戸建てに比べて、マンションは一つの建物を区分所有者で共有するため権利が少々複雑になっているのが特徴です。
マンションだけでなくオフィスや、モール内の店舗なども区分所有建物となっています。
所有者は区分所有権と敷地利用権を分離して売却・処分はできません。このように敷地と所有部分を分離できないようにした権利形態を「敷地権」と言います。
通常、マンションなどの区分所有権を取得すると敷地利用権が与えられます。
一戸建ての場合は、敷地利用権(土地)と建物をそれぞれ個別に処分が可能です。(例外を除く)マンションの場合は敷地利用権と区分所有権が一体で登記されているため不可能となります。
ちなみにマンションには「共有持分」と呼ばれる部分もあります。これは、エレベーターや廊下、水道や電気といった区分所有者が共有している部分のことを指します。
区分所有権売渡請求権とは
区分所有権売渡請求権とは
通常、敷地利用権と専有部分は切り離して処分ができません。そのため敷地利用権が無い専有部分が生まれることはありません。
しかし「借地権」であった場合、借り賃の不払いが生じると契約が解除されることがあります。つまり、敷地利用権を失うということです。
敷地利用権を失った場合専有部分を取り壊し立ち退くことになりますが、マンションでは難しいでしょう。
このため、敷地利用権の契約を解除された区分所有者がいる場合、区分所有権を時価で売り渡すことを請求できることが区分所有法で定められています。
つまり、その専有部分の収去を請求できる人は区分所有者に対して、区分所有権を売り渡すよう請求できるということです。
これにより専有部分と敷地利用権を切り離さずに同一人に帰属できます。専有部分だけがある状態は生じません。
※参考:区分所有法
まとめ:敷地利用権はマンションの所有者は覚えておきたい権利
まとめ:敷地利用権はマンションの所有者は覚えておきたい権利
敷地利用権はマンションや店舗の所有者は覚えておくべき権利です。敷地権や借地権との違いについても覚えておくと役立つことがあるでしょう。基本的には区分所有権と敷地利用権はセットであると考えておいてください。
どちらか一方だけを取得、処分することはできません。ただし稀に敷地権化されていない建物や、仮り賃が発生する借地権を与えられる建物もあるので注意が必要です。
マンションなどの建物を利用する際は、敷地利用権が無ければ利用できません。注意点としては敷地利用権は登記されていない場合があります。未登記の場合でも、問題なく利用できているようであれば、敷地利用権を取得している状態になっているでしょう。
敷地利用権について調べる際にこの記事が役に立てば幸いです。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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