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2023.09.21
区分所有とは?分譲マンションやビルで知っておきたい基礎知識を覚えよう

マンションやアパートなどの購入にあたって、「区分所有」という用語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。とはいえ、区分所有に関連する用語は多くあり、意味を理解している人は少ないでしょう。
しかし、不動産投資や居住目的で分譲マンションを購入するなら、区分所有について理解することは必須です。
そこで、本記事では区分所有や専有部分、共用部分などマンション購入に関わる用語をまとめて解説します。
区分所有建物の登記情報の確認方法や、売却時の注意点なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
区分所有とは

区分所有とは
区分所有とは、複数の独立部分から構成された建物において独立部分を所有することです。例えば、マンションの一室を購入することは、区分所有になります。
区分所有と聞くと、マンションをイメージする人が多いかもしれません。マンションにかぎらず、オフィスビルや商業用の施設の一部を購入することも区分所有といえます。
マンションのような区分所有建物では、共有部分と専有部分の2つに分類できます。
専有部分とは
専有部分とは、建物の独立した部分のことです。
区分所有法では、専有部分は「区分所有権の目的たる建物の部分」と定義されています。マンションにおける専有部分は、壁や天井などに囲まれた独立した居住空間のことです。
マンション標準管理規約では、専有部分の範囲が次のように決められています(※)。
・部屋番号で区切られた居住空間の部分
・玄関扉は、錠や内部塗装部分のみが専用部分
・設備に関しては、共用部分内にある部分以外は専有部分
・天井や床、壁や窓(枠やガラス部分)は専有部分に含まれない
※引用:国土交通省
専有部分についてもう少し詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
マンションの専有部分とは?共用部分との違いをわかりやすく解説!
共用部分とは
マンションの共有部分は、「法定共用部分」と「規約共用部分」の2つに分類されます。
法定共用部分とは、建物の構造上、住人同士で共用する部分のことです。一方で規約共用部分は、専有部分と認められる独立性があるものの、規約によって共用部分と定められた部分のことです。
具体的な箇所は、次の表のとおりです。
共用部分については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
マンションの共用部分とは?トラブル防止のために理解しておくべきこと
区分所有と一棟所有の違い

区分所有と一棟所有の違い
不動産投資をする際、区分所有と一棟所有の2つの選択肢があります。
区分所有とは、マンションやアパートのひと部屋単位で所有することです。対して、一棟所有とは、建物一棟をすべて所有することです。
マンションの一棟所有は資金的に難しいため、一般的に、一棟所有はアパート一棟の所有を指します。
それぞれのメリットやデメリットは以下の表のとおりです。
区分所有では、一棟所有と比べて初期費用を抑えられるため、不動産投資をはじめやすいでしょう。
マンションの一室は、居住用と投資用の2つの需要があり、買い手が見つかりやすいです。区分所有は、資金が必要なときに売却しやすい利点があります。
ただし、空室になった場合は、収入が入らないので注意しましょう。
区分所有法とは

区分所有法とは
区分所有法とは、マンションのような区分所有建築物の管理や運営、権利関係についての法律です。正式名称は、「建物の区分所有等に関する法律」で、「マンション法」とも呼ばれます。
いわば、以下のようなマンションを利用するうえでのルールのことです。
・区分所有者が建物のどこまで所有権を持っているか
・どのようにマンションを管理するか
・マンションの修繕や建て替えはどのように行われるか
区分所有法には、マンションに住むうえで重要なことが定められています。
とはいえ、区分所有法で規定されているのは、基本的な考え方のみです。具体的なルールに関しては、マンションの管理規約や使用細則を確認しましょう。
区分所有建物とは

区分所有建物とは
区分所有建物とは、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居・店舗・事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがある」建物のこと(※)です。
マンションやアパートなどが区分所有建物に該当します。
区分所有法によると、区分所有が成立する要件は次の2つです。
・建物の各部分に構造上の独立性があること
・建物の各部分に利用上の独立性があること
構造上の独立性とは、壁や天井などで別の部分と分離されて独立している状態のことを指します。例えば、マンションの201号室と202号室は、構造上区切られているので、独立しているといえます。
ただし、同一の空間をふすま・障子・間仕切りなどで区切っている場合は、独立しているとはみなされません。
利用上の独立性とは、その部分だけで建物の利用目的が達成されていることです。
例えば、マンションの部屋を居住目的で購入した場合を考えてみましょう。
部屋は、他の部屋とは壁や床で区切られているため、居住の目的を達成しています。したがって、利用上の独立性を満たしているといえます。
このように区分所有建物とは、構造上と利用上の独立性を満たした建物のことです。
※引用:建物の区分所有等に関する法律
鑑定士コメント
区分建物と区分所有建物の違いは何でしょうか?「区分建物」とは、マンションやビルの一棟のうち、独立して登記された専有部分のことを指します。一方で、「区分所有建物」は、専用部分・共用部分を含む建物一棟全体のことです。区分建物=区分所有建物ではないので、違いを覚えておきましょう。
区分所有者とは

区分所有者とは
区分所有者とは、各戸や各部屋など、区分けした建物の一部を所有している人のことです。マンションの購入者が、区分所有者にあたります。
区分所有者には、管理規約によって主に5つの義務(※)が与えられています。
・敷地や共用部分などはルールにしたがって使用する
・管理組合を結成、加入する
・管理規約や総会の決議にしたがう
・管理費や修繕費を納入する
・専有部分の修繕やリフォームなどを行う際には、管理組合の承認を得る
※参考:国土交通省
鑑定士コメント
居住者と区分所有者の違いは何でしょうか?マンションを例に説明すると、マンションの部屋を購入し所有している人が「区分所有者」、所有しているか否かを問わず、部屋に実際に住んでいる人が「居住者」です。区分所有者がマンションを貸し出している場合は、借りている人が居住者となります。
区分所有建物を登記するには

区分所有建物を登記するには
登記とは、法務局が管理する不動産に関する情報が記録されている帳簿のことです。
登記手続きを行うことで、不動産の所有権があることや、所有権が移行したことを証明できます。
登記手続きに特別な資格は必要ありませんが、新築の分譲マンションでは、基本的に不動産会社が登記を行います。
区分所有建物では、マンション内のすべての所有者の登記をまとめて行うことが義務付けられているためです。
予備知識として、区分所有者が持つ土地に関する権利である「敷地利用権」についても知っておきましょう。区分所有に関する知識なので、以下の記事もあわせて確認してみてください。
区分所有建物の登記情報の確認方法

区分所有建物の登記情報の確認方法
区分所有建物の登記情報は、登記簿謄本で確認可能です。しかし、登記簿謄本にはマンションのすべての所有者情報が記載されているため、その中から自身の情報を確認するのは手間がかかります。
そのため、登記簿抄本で確認するのがおすすめです。
登記簿抄本には、区分所有建物における自身の専用部分のみの情報が記載されています。取得する場合は、管轄の法務局の窓口や郵送で請求してください。
また、登記簿抄本を取得する際には、家屋番号が必要です。家屋番号は、部屋番号とは異なり、登記上の番号となります。
家屋番号がわからない場合は、登記済権利証や固定資産税の課税証明書で確認できます。
区分所有建物を売却するときの注意点

区分所有建物を売却するときの注意点
まずは、売却するマンションの適正な価格を知ることが大切です。不動産関係のポータルサイトで、区分所有マンションの相場観を確認しましょう。
できるだけ高値で売却するために、リフォームを検討する人もいるかもしれません。しかし、リフォームにも費用がかかるため、売却価格とのバランスを考えることも重要です。
区分所有建物でリフォームできるのは、専用部分にかぎられます。購入者が自らリフォームを希望する場合もあるので、慎重に検討しましょう。
まとめ:区分所有建物の特徴を把握してマンションを売買しよう

まとめ:区分所有建物の特徴を把握してマンションを売買しよう
区分所有とは、マンションやアパートなどの独立部分を所有することです。区分所有建物は、専有部分と共用部分の2つに分類されます。
区分所有建物でリフォームできる範囲は専用部分のみで、リフォームの際には、管理組合の承認が必要になります。
売却する際には、事前に不動産のポータルサイトで価格の相場を把握しておきましょう。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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