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更新日:2025.11.26
登録日:2025.11.26
賃貸の法人契約はメリット多数!個人契約との違いやトラブル回避のコツを徹底解説

賃貸物件の契約には「個人契約」と「法人契約」の2種類があります。法人契約とは、企業が社員の社宅や寮として物件を借りる契約形態で、近年ニーズが高まっています。
家賃滞納のリスクが低く、長期入居が期待できるなど大きなメリットがある一方で、手続きが複雑になりやすく、契約完了までに時間を要することも少なくありません。
この記事では、法人契約の仕組みや個人契約との違い、メリット・デメリット、契約までの流れを解説します。賃貸の法人契約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
・賃貸の法人契約とは企業が契約者となって物件を借りる契約形態
・個人契約と比べると、審査基準・必要書類・初期費用・保証人の扱いなどが異なる
・賃貸法人契約には、家賃滞納のリスクが低く、長期入居が期待できるなどのメリットがある
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賃貸の法人契約とは
賃貸の法人契約とは
近年、企業が従業員の住居サポートとして賃貸の法人契約を結ぶケースが増えています。では、賃貸の法人契約とはどのような契約なのでしょうか。ここでは、法人契約の定義や信用度の考え方、個人契約との主な違いについて解説します。
法人契約の定義
法人契約とは、個人ではなく会社などの法人が契約者となり、賃貸物件を借りる契約のことです。契約書には入居者の名前ではなく「会社名」が記載され、家賃の支払いも法人名義で行われます。
法人契約には、おもに2つのパターンがあります。まず、会社が社員用の社宅や寮として借りるケースです。福利厚生の一環として活用されることが多く、家賃は会社が全額または一部を負担します。
もう一つは、個人事業主や経営者が自宅兼オフィスとして契約するパターンです。業務に使用するスペース分を経費として計上できるため、税制上のメリットが得られます。契約の目的は様々ですが、どちらも「企業が契約の主体となる」という共通点があります。
ライフスタイルの変化に合わせて住み替えを考える人も増えています。費用や手続きの流れを知っておくことで、スムーズに進められるでしょう。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
信用度の考え方
法人契約では、契約者となる「会社の信用力」が最も重視されます。
個人契約の場合は、入居希望者本人の収入や勤務先、借入状況などを確認しますが、法人契約では会社の経営状況が審査の中心です。具体的には、設立年数や資本金、売上高、従業員数といった経営の安定性がチェックされます。
さらに、社会保険の加入状況や公式サイトの有無など、外から見える信頼性の高さも判断の目安となります。信用度の高い企業と契約できれば、長期的に安定した賃貸経営を続けやすくなるのです。
法人契約と個人契約の比較
賃貸契約には「法人契約」と「個人契約」の2種類があります。いずれも賃貸借契約ですが、審査基準・必要書類・初期費用・保証人の扱いなどが大きく異なります。
以下の表で主な違いを整理してみてみましょう。
契約の目的や状況に合わせて、最適な方法を検討することが重要です。
鑑定士コメント
すべての物件が法人契約に向いているわけではありません。まず重視されるのは「立地」です。企業が多いエリアや駅近の物件は社宅や社員寮としての需要が高いでしょう。また、防犯カメラやオートロックなどのセキュリティ設備が整い、駐車場・駐輪場が充実している物件も企業から選ばれやすくなります。
【貸主向け】法人契約がもたらす4つのメリット
【貸主向け】法人契約がもたらす4つのメリット
賃貸物件を法人向けに貸し出すことで、貸主にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、貸主が押さえておきたい法人契約のメリットを4つ紹介します。
・家賃滞納リスクが低く、安定した収益が見込める
・長期入居が期待でき、空室リスクを軽減できる
・社会的信用の高い優良な入居者を見つけやすい
・物件の社会的信用度が向上する
家賃滞納リスクが低く、安定した収益が見込める
法人契約の大きなメリットは、家賃滞納のリスクが低く、安定した収益を得やすい点です。契約の相手が企業であるため定期的な収入があるほか、支払い管理も経理担当者が行うなど、入金が滞る心配がほとんどありません。
また、社宅制度を導入している企業は、一定の規模と経営基盤を持つケースが多く、長期的な契約が期待できます。特に大手企業との契約であれば、支払い能力が高く、貸主にとって安心感のある取引となるでしょう。
万が一倒産しても、破産管財人が対応するため、貸主に大きな損失が生じる可能性は低めです。
法人契約は、安定した賃貸経営を実現しやすい契約形態といえます。
長期入居が期待でき、空室リスクを軽減できる
法人契約のメリットのひとつに、長期的な入居が見込める点があります。企業が社員の社宅や寮として物件を借りる場合、転勤や赴任期間中は契約が継続されることが多く、短期間で退去するケースはあまりありません。
また、福利厚生として社宅制度を導入している企業では、社員が自己負担を抑えて住めるため、引っ越しの必要がない限り長く住み続ける傾向があります。仮に社員が退職しても、次の赴任者や新入社員がすぐに入居するケースも多く、空室期間を最小限に抑えられるでしょう。
法人契約は安定した入居を維持しやすく、賃貸経営における大きなリスクである「空室の長期化」を防ぐ有効な手段です。
社会的信用の高い優良な入居者を見つけやすい
法人契約の大きなメリットのひとつは、社会的信用の高い入居者を確保しやすいことです。
企業を通じた契約では、入居する社員も会社の基準を満たしていることが多く、生活トラブルやマナー違反の心配が少ない傾向にあります。特に大手企業の社員であれば、収入も安定していて、社会人としてのマナーや生活態度もしっかりしている人が多い印象です。
一方、個人契約の場合は、どうしても入居者によって差が出やすく、生活音や設備の扱いをめぐるトラブルが起こることもあります。
法人契約なら信頼できる入居者を確保しやすく、貸主としても安心して物件を任せられます。長く安定した賃貸経営を続けたい人には、魅力的な選択肢といえるでしょう。
物件の社会的信用度が向上する
法人契約を結ぶことで、物件自体の社会的信用度が高まるのも大きなメリットです。
企業が社宅や社員寮として利用する場合、契約の主体は「会社」になります。会社としても、物件の使い方ひとつで自社のイメージを損なうわけにはいきません。
そのため、入居者も自然と部屋を丁寧に扱う傾向があり、結果として建物が清潔に保たれやすくなるのです。
また、「企業が利用していた物件」という実績は、新しい入居希望者に安心感を与える材料になります。管理状態の良い物件には、マナーの良い入居者が集まりやすく、空室リスクを抑えることにもつながるでしょう。
法人契約は、物件の価値と信頼性を高める契約方法です。
物件の価値や評判を保つには、長期的な視点で資産価値を意識することも大切です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
マンションの資産価値とは?価値を落とさないために見極めるポイントを解説
【貸主向け】知っておくべき法人契約の4つのデメリット
【貸主向け】知っておくべき法人契約の4つのデメリット
法人契約には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。ここでは、貸主が知っておくべき法人契約のデメリットを4つ解説します。
・空室でも家賃を払う必要がある
・契約手続きや書類が個人契約より複雑になる
・従業員の急な転勤による短期解約のリスクがある
・法人の倒産・業績悪化に影響される可能性がある
空室でも家賃を払う必要がある
法人契約のデメリットのひとつは、入居者がいなくても家賃を支払い続けなければならない点です。
社宅として契約していた社員が退職や転勤で退去しても、契約名義は法人のままとなります。そのため、次の入居者が決まるまでの間も家賃が発生し続け、空室期間中も会社が家賃を負担しなければなりません。
特に法人契約では、解約のタイミングが社員の異動時期(3月末・9月末)に集中する傾向があります。この時期に退去が重なると、繁忙期を過ぎてから空室が発生するケースも多く、入居者募集が難航するおそれがあります。
こうした時期的リスクを踏まえ、契約内容や運用計画をあらかじめ検討しておくことが大切です。
契約手続きや書類が個人契約より複雑になる
法人契約は、個人契約に比べて手続きが複雑な点がデメリットです。契約相手が企業のため、社内の承認や書類の準備や条件交渉に時間がかかり、どうしても申し込みから契約までが長くなりがちです。
加えて、企業側から提出される登記簿謄本や決算書、印鑑証明書などの確認も必要になります。個人契約なら1〜2週間で契約がまとまることもありますが、法人契約では1か月ほどかかるケースもあります。賃貸の法人契約は、スケジュールに余裕をもって対応することが大切です。
また、契約交渉の際、礼金や更新料の免除を条件とされるケースも少なくありません。個人契約では得られることの多いこれらの収益が見込めなくなる可能性は、貸主にとってデメリットといえるでしょう。
従業員の急な転勤による短期解約のリスクがある
法人契約は、長期的な入居が見込める点が大きな魅力ですが、社員の転勤や異動によって、急な解約が発生する可能性がある点には注意しなければなりません。
こうした短期解約が続くと、空室期間が生じて家賃収入が減少するおそれがあります。特に、同一企業に複数の部屋を貸している場合には、一度に解約されるケースもあり、影響が大きくなるでしょう。
対策としては、「短期解約違約金」を設定しておくことが有効です。たとえば、1年未満での解約に対して家賃1〜2か月分を請求できるようにしておくと、万一の解約時にも収益の安定を図ることができます。
法人の倒産・業績悪化に影響される可能性がある
法人契約では、借主である企業の経営状況によって、契約の継続や家賃の支払いに影響が生じる可能性があります。
業績が悪化すると、経費削減の一環として社宅契約を見直したり、家賃の支払いを遅らせたりするケースもあります。さらに、万が一企業が倒産した場合には、家賃滞納や退去による空室が発生し、収益の減少につながるおそれがあります。
こうしたリスクを抑えるためには、契約前に企業の財務状況や信用情報を確認しておくことが重要です。あわせて、保証会社の利用や連帯保証人の設定など、万が一に備えた仕組みを整えておくと安心です。
法人契約の基本的な流れ
法人契約の基本的な流れ
法人契約では、個人契約と比べて手続きの流れや必要書類が多く、複雑になります。ここでは、契約締結までの一般的なステップと、用意しておくべき書類について解説します。
法人契約締結までのステップ
法人契約は、個人契約と比べて確認事項や手続きが多くなります。スムーズに進めるためにも全体の流れを理解しておきましょう。
鑑定士コメント
法人契約の審査では、企業の「信用力」と「経営の安定性」が重視されます。具体的には、設立年数・資本金・売上高・従業員数などの規模が主な判断基準です。大手企業はスムーズに審査を通過するケースが多い一方で、設立間もない企業や個人事業主の場合は、事業内容や収入の安定性をより詳しく確認される傾向があります。
契約に必要となる書類
法人契約では、会社の信用力や経営の安定性を確認するため、個人契約よりも多くの書類が必要です。
主な提出書類は次のとおりです。
・会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・決算書または財務諸表
・法人の印鑑証明書
・代表者の印鑑証明書
・会社案内やパンフレット
・法人税の納税証明書
・入居者の身分証明書(運転免許証・社員証のコピーなど)
大手企業では一部の書類が省略されることもありますが、中小企業ではすべての提出を求められるケースが多いです。事前に必要書類を確認し、スムーズに契約を進められるよう準備しておきましょう。
法人契約を検討する際は、需要の高いエリアを把握しておくことも大切です。詳しくは、以下の記事で人気エリアの探し方をチェックしてみましょう。
人気エリアの探し方リセールバリュー(RV)から分かる“HOT"な駅
まとめ:賃貸経営の安定化を図る一手として、法人契約は有効な選択肢
まとめ:賃貸経営の安定化を図る一手として、法人契約は有効な選択肢
賃貸の法人契約とは、企業や法人が契約者となって物件を借りる契約形態です。
家賃滞納のリスクが低く、長期入居が期待できるなどメリットが多くあります。一方で、礼金や更新料が発生しないケースや、企業の業績によって契約が左右される可能性もあるため、事前の確認が大切です。
企業の信用力をしっかり見極め、信頼できる相手と契約を結ぶことで、安定した賃貸経営につながります。物件を長期的かつ安定的に運用したい方は、法人契約を選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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