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更新日:2024.09.12
登録日:2024.04.23

住宅ローン・フラット35の基礎知識を徹底解説!メリット・デメリットや向いている人の特徴

住宅ローン・フラット35の基礎知識を徹底解説!メリット・デメリットや向いている人の特徴

家を購入する際、住宅ローンのフラット35の利用を検討している方は多いでしょう。全期間固定金利であるため、返済プランが立てやすいのが魅力です。

一方で「どれを選べばいいのかわからない」「損をしないか心配」など、悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。住宅ローン選びで損をしないためには、フラット35の基礎知識を知っておく必要があります。

本記事では、フラット35の基礎知識やメニューごとの違いをわかりやすく解説しました。フラット35を利用する条件やメリット・デメリット、向いている人の特徴とあわせて紹介します。

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フラット35とは

フラット35とは

フラット35とは

フラット35には以下のラインナップがあります。

 

・フラット35

・フラット35(保証型)

・フラット35S

 

まずはそれぞれの基礎知識を解説しましょう。

 

フラット35

フラット35とは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンです(※)。借入時の金利が返済開始から終了まで固定される「全期間固定金利」で、借入期間は最長で35年です。

 

新築住宅の建築資金・購入資金、中古住宅の購入資金に利用できます。「買取型」と「保証型」に分かれますが、一般的なフラット35は買取型のことです。

 

住宅金融支援機構は金融機関から住宅ローンの債権を買い取って証券化。機関投資家に販売することで資金を調達します。住宅金融支援機構が買い取ることによって、回収に時間がかかる全期間固定金利を金融機関でも取り扱いできる仕組みです。

 

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35(保証型)

フラット35(保証型)では、金融資金が提供する住宅ローンに住宅金融支援機構が住宅融資保険(保証型用)をかけます。利用者が返済できなくなったとき、住宅金融支援機構が金融機関に保険金を支払う仕組みです(※)。

 

フラット35(保証型)と比較すると、利用できる金融機関は限定されます。ほかにも借入期間や借入額など異なる点は多いため、違いをチェックしておきましょう。

 

※参照:住宅金融支援機構

フラット35S

フラット35S

フラット35S

フラット35Sとは、フラット35を申し込んだ利用者が基準を満たした住宅を取得する際に一定期間金利を引き下げる制度です。以下のような住宅性能が基準とされます(※)。

 

省エネルギー性

一定以上の水準で断熱性を実現した住宅

耐震性

強い揺れに対して倒壊・崩壊しない性能がある住宅

耐久性・可変性

耐久性が高く長期にわたって良好な状態を維持できる住宅

バリアフリー性

高齢者が日常生活を過ごしやすいように設計された住宅

 

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35Sには3つの金利引下げメニューがあり、技術基準に応じて適用されます。予算金額が過ぎたら受付は終了なので、利用を検討している場合は注意が必要です。

 

鑑定士コメント

フラット35に最低年収は設定されているのでしょうか?フラット35の借入条件に最低年収は設定されていません。年収が低い方でも借入がしやすい住宅ローンといえるでしょう。ただし、年収に見合う返済負担になるように、年間合計返済額の割合(総返済負担率)を一定の基準以下に設定する必要があります。400万円未満は30%以下、400万円以上なら35%以下の総返済負担率が基準です。

フラット35とフラット35(保証型)の違い

フラット35とフラット35(保証型)の違い

フラット35とフラット35(保証型)の違い

フラット35とフラット35(保証型)の違いは、以下の通りです。

 

 

フラット35

フラット35(保証型)

貸し手

金融機関

(融資後に住宅金融支援機構が買い取る)

金融機関

取扱金融機関

320機関

12機関(新規受付中は8機関)

担保

借入対象の住宅・敷地に第1順位の抵当権を設定

抵当権者は住宅金融支援機構

借入対象の住宅・敷地に第1順位の抵当権を設定

抵当権者は金融機関

団体信用生命保険

新機構団体信用生命保険制度を利用できる

新機構団体信用生命保険制度は利用できない

金融機関が提供する団体信用生命保険が利用できる

自己資金

自己資金なしで申し込みが可能

建設費または購入価格に対して10%以上の自己資金が必要

借入可能額

100万円以上8,000万円以下

建設費もしくは購入価額以内

取扱金融機関によって異なる

借入期間

15年以上35年以下

取扱金融機関によって異なる

※参照:住宅金融支援機構

※参照:住信SBIネット銀行

 

新機構団体信用生命保険制度とは、加入者が死亡・所定の身体障害状態になったとき債務の返済が不要になる生命保険です。フラット35を申し込みの方に適用され、以下のような2つのメニューを用意しています。

 

機構団信

加入者が死亡もしくは所定の高度障害状態になった場合、住宅ローンが全額弁済される

3大疾病付機構団信

がん・急性心筋梗塞・脳卒中によって一定の要件に該当した場合、住宅ローンが全額弁済される

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35の申し込みをした方は、機構団信と3大疾病付機構団信のいずれかに加入できます。フラット35(保証型)では新機構団体信用生命保険制度は申し込めないため、金融機関提供の団体信用生命保険を利用しましょう。

 

なお、フラット35とフラット35(保証型)の借入金利や融資手数料は、取扱金融機関によって異なります。それぞれシミュレーションしてから、どちらを選ぶか検討してください。

 

フラット35とフラット35Sの違い

フラット35とフラット35Sの違い

フラット35とフラット35Sの違い

フラット35Sは、フラット35を申し込んだ際に一定条件を満たすことで金利を引き下げる制度です。引き下げ期間は5年間で、住宅の技術基準レベルによって3つの金利引下げメニューが適用されます。

 

以下の条件で、フラット35とフラット35Sの毎月の返済額・総返済額をシミュレーションしました。

 

・借入額3,000万円(融資率9割以下)

・借入期間35年

・元利均等返済

・借入金利年1.80%

・ボーナス返済なし

 

※横にスクロールできます。

 

フラット35

フラット35S(ZEH)

フラット35S(金利Aプラン)

フラット35S

(金利Bプラン)

金利引下げ幅

0%

年間0.75%

年間0.5%

年間0.25%

借入金利

全期間:年1.80%

当初5年間:年1.05%

6年目以降:年1.80%

当初5年間:年1.30%

6年目以降:年1.80%

当初5年間:年1.55%

6年目以降:年1.80%

毎月の返済額

全期間:96,327円

当初5年間:85,386円

6年目以降:94,811円

当初5年間:88,944円

6年目以降:95,330円

当初5年間:92,591円

6年目以降:95,835円

総返済額

40,457,296円

39,255,206円

39,655,280円

40,056,060円

フラット35との比較(総返済額)

-1,202,090円

-802,016円

-401,236円

※金利引き下げ幅(2024年3月31日までの申込受付分に適用)

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35と比較すると、フラット35Sでは毎月の返済額や総返済額が減っているのがわかります。金利の引き下げが終了したあとも毎月の返済額が少なくなるため、返済負担を減らすことが可能です。

フラット35を利用する条件

フラット35を利用する条件

フラット35を利用する条件

フラット35を利用する際には、以下の条件を満たす必要があります。

 

・契約者に関する条件

・住宅に関する条件

 

利用が可能かどうかの判断基準として、ぜひチェックしてください。

 

契約者に関する条件

契約者に関する条件は以下の通りです。

 

申込時の年齢

満70歳未満(親子リレー返済の利用で満70歳以上の申し込みが可能)

国籍

日本国籍/永住許可有り/特別永住者のうちいずれかに該当する

総返済負担率

年収400万円未満:30%以下

年収400万円以上:35%以下

すべての借入に関して、年収を占める総返済負担率が上記の基準を満たす人

※参照:住宅金融支援機構

※参照:住宅金融支援機構

 

上記の条件を満たしている方ならフラット35が利用できます。すべての借入は住宅ローンやカードローン、自動車ローン、教育ローンなどを含むため、あわせて確認しておきましょう。

住宅に関する条件

住宅に関する条件は以下の通りです。

 

資金使途

本人もしくは親族が住む新築住宅の建設・購入資金

本人もしくは親族が住む中古住宅の購入資金

住宅の面積

一戸建てなど:70㎡以上

マンションなど:30㎡以上

 
さらに物件検査を受け、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する必要があります。より高い基準を満たした場合は、フラット35Sによる金利引き下げの利用が可能です。

鑑定士コメント

フラット35と民間の住宅ローンの違いはどこでしょうか?フラット35は行政(住宅金融支援機構)が運営する住宅ローンです。さまざまな金利タイプを提供している民間の住宅ローンと違い、全期間固定金利しか選べません。そのほかにもフラット35は団体信用生命保険への加入が任意、年収や勤続年収は審査基準にならないなど、さまざまな違いがあります。

フラット35Sの対象となる住宅

フラット35Sの対象となる住宅

フラット35Sの対象となる住宅

フラット35Sの対象になる住宅を、3つのプランごとに紹介します。

 

・フラット35S(ZEH)

・フラット35S(金利Aプラン)

・フラット35S(金利Bプラン)

 

それぞれの詳しい条件をまとめました。

 

フラット35S(ZEH)

まずはフラット35S(ZEH)を利用するための、一戸建ての基準を紹介しましょう。

 

※横にスクロールできます。

区分

断熱等性能

一次エネルギー消費量(対省エネ基準)

適用条件

再エネ除く

再エネ含む

ZEH

強化外皮基準

:断熱等性能等級5相当

20%以上

100%以上

Nearly ZEH

75%以上100%未満

寒冷地

低日射地域

多雪地域

ZEH Oriented

再エネの導入は不要

都市部狭小地

多雪地域

 

共同建てや重ね建て、連続建てなど、一戸建て以外の住宅の基準は以下の通りです。

 

※横にスクロールできます。

区分

断熱等性能

一次エネルギー消費量(対省エネ基準)

適用条件(住宅用途の階層数)

再エネ除く

再エネ含む

ZEH-M

強化外皮基準

:断熱等性能等級5相当

20%以上

100%以上

1~3層

Nearly ZEH-M

75%以上100%未満

ZEH-M Ready

50%以上75%未満

4層または5層

ZEH-MOriented

再エネの導入は不要

6層以上

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35S(金利Aプラン)

新築住宅では、下記の表の1~5のうちいずれか1つ以上の基準を満たした住宅にフラット35S(金利Aプラン)が適用されます。

 

省エネルギー性

①断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギーの消費量等級6の住宅

耐震性

②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅

③免震建築物

バリアフリー性

④高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分なら等級3でも可)

耐久性・可変性

⑤長期優良住宅

※参照:住宅金融支援機構

 

中古住宅の基準は、下記の表の1~7のうちいずれか1つ以上を満たすことです。

 

省エネルギー性

①断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギーの消費量等級6の住宅

②断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギーの消費量等級4以上の住宅

耐震性

③耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅

④免震建築物

バリアフリー性

⑤高齢者等配慮対策等級3以上の住宅

耐久性・可変性

⑥長期優良住宅(維持保全計画認定含む)

⑦劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などは更新対策が必要)

※参照:住宅金融支援機構

 

フラット35S(金利Bプラン)

フラット35S(金利Bプラン)

フラット35S(金利Bプラン)

新築住宅では、下記の表の1~5のうち一つ以上満たせばフラット35S(金利Bプラン)が適用されます。

 

省エネルギー性

①断熱等性能等級4かつ一次エネルギーの消費量等級6の住宅

②断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギーの消費量等級4または等級5の住宅

耐震性

③耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅

バリアフリー性

④高齢者等配慮対策等級3以上の住宅

耐久性・可変性

⑤劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などは一定の更新対策が必要)

※参照:住宅金融支援機構

 

中古住宅の基準は、下記の表の1~3のいずれか1つ以上を満たすことです。

 

省エネルギー性

①開口部断熱

②外壁等断熱

バリアフリー性

③高齢者等配慮対策等級2以上の住宅

※参照:住宅金融支援機構

フラット35のメリット

フラット35のメリット

フラット35のメリット

フラット35を利用するメリットは以下の通りです。

 

・金利が変動しない

・繰り上げ返済手数料が不要

 

利用すべきなのか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

金利が変動しない

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンなので、完済まで金利が変動しません。金利が大きく変動した場合でも、返済額はずっと同じままです。

 

借りた時点で住宅ローンの返済総額や毎月の返済額が決まるため、返済プランが立てやすいでしょう。金利の上昇による返済額の増加を心配する必要がありません。

繰り上げ返済手数料が不要

フラット35では、繰り上げ返済をおこなう場合の返済手数料が不要です。繰り上げ返済とは、元金の一部もしくは全部を当初の予定より前倒しで返済することを指します。

 

繰り上げ返済をすれば、支払うはずだった金利を節約できるでしょう。フラット35なら手数料がかからないので、お金に余裕があるとき気軽に繰り上げ返済をおこなえます。

 

フラット35のデメリット

フラット35のデメリット

フラット35のデメリット

フラット35のデメリットを紹介しましょう。

 

・変動金利型より金利が高め

・市場金利が低下しても借入金利が変わらない

 

住宅ローンで損をしないために、注意点を把握しておく必要があります。

 

変動金利型より金利が高め

変動金利型の住宅ローンと比較すると、フラット35の金利が高い傾向があります。返済総額や毎月の返済額は高くなると考えられるでしょう。

 

一方で金利が上昇して全期間固定金利の水準を超えると、フラット35のほうが返済総額が少なくなる可能性があります。購入時の市場金利や変動のリスクを考慮したうえで、住宅ローンを選ぶことが重要です。

市場金利が低下しても借入金利が変わらない

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンなので、市場金利が低下しても借入金利は変わりません。変動金利型と違って返済総額や月々の返済額は減らないため、損をする可能性があります。

 

利用中のフラット35から金利が低い住宅ローンに乗り換えはできますが、手数料がかかるので注意が必要です。乗り換えたとしても総支払額が減るとは限りません。

 

フラット35が向いている人の特徴

フラット35が向いている人の特徴

フラット35が向いている人の特徴

住宅ローンのフラット35が向いている人の特徴は、以下の通りです。

 

・金利の変動に不安がある人

・自営業やフリーランスの人

・団体信用生命保険に加入できない人

 

フラット35を利用するべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

 

金利の変動に不安がある人

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンなので、金利の変動に不安がある人に向いています。市場金利の急上昇により、家計の負担が増大するリスクがありません

 

市場金利の上昇を心配する必要がなく、精神的な負担を感じにくいことが魅力です。長期にわたり住宅ローンを安定して返済したい方には、フラット35が適しています。

自営業やフリーランスの人

フラット35は、民間の住宅ローンと比較して審査が甘い傾向があります。申込者の勤務先や職業も問われないため、自営業やフリーランスでも利用しやすいことがメリットです。

 

民間の住宅ローンの場合、収入が不安定だったり勤続年数が短かったりすると審査が通らない可能性があります。フラット35は年収が不安定な方や勤続年数が短い方でも審査に通りやすいので、ぜひ利用を検討してください。

団体信用生命保険に加入できない人

団体信用生命保険に加入できない人

団体信用生命保険に加入できない人

フラット35の場合、団体信用生命保険(団信)への加入は必須ではありません。民間金融機関の住宅ローンの場合は、ほとんどのケースで団信への加入が必要です。

 

健康上の問題で団信に加入できない方でも、フラット35なら住宅ローンを利用できます。なお、フラット35は独自の「新機構団体信用生命保険制度」を用意しているので、要件をチェックしておきましょう。

 

まとめ:フラット35の特徴を理解して最適な返済方法を選択しよう

まとめ:フラット35の特徴を理解して最適な返済方法を選択しよう

まとめ:フラット35の特徴を理解して最適な返済方法を選択しよう

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンです。借入時の金利が返済開始から終了まで変わらないため、安定して返済できます。

 

フラット35とフラット35(保証型)に分かれているので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。さらに一定の技術基準に適合すれば、フラット35Sで一定期間金利を引き下げられます。

 

フラット35の特徴を理解して、最適な返済方法を選択することが重要です。フラット35のメリットやデメリット、向いている人についても紹介したので、ぜひ参考にしてください。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

マンションの資産価値を見る指標の一つとして、「リセールバリュー(RV)」がありますが、RVを表現した文章のうち、正しいものは次のうちどれですか?

答えは 1

RVは将来予測ではなく、過去10年間で価格がどれだけ上がったかの実数を見るため人気エリアの判断材料として有益な指標になります。

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    中古マンションを
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  • 修繕積立金が
    年々上がる
  • 子供が成人したから
    マンションを売って
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