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2024.01.23

外壁工事でタイルを補修する際の基礎知識|工事の流れや費用相場も紹介

外壁工事でタイルを補修する際の基礎知識|工事の流れや費用相場も紹介

マンションの外壁にはさまざまな種類がありますが、特にデザイン面で目立つ外壁はタイルが多く見られます。外壁がタイルの場合、外壁工事では一般的なモルタルなどの外壁とは異なる補修が必要です。

本記事では、外壁工事で使われるタイルの種類やタイルを使用するメリット・デメリットについて詳しく解説します。外壁タイル補修工事に必要な準備や補修の流れ、費用相場についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

外壁工事で使われるタイルの種類

外壁工事で使われるタイルの種類

外壁工事で使われるタイルの種類

外壁工事で使用するタイルの種類は、主に4つに分けられます。それぞれの特徴について、下記の表をご覧ください。

 

 

タイルの種類

特徴

陶器質タイル

・素地を1,000℃以上の温度で焼き上げたタイル

・多孔質で吸水性が高く、変色などの劣化に強いためメンテナンス性が高い

磁器質タイル

・素地を1,250℃以上の高温で焼き上げたタイル

・吸水性が低く、強固で汚れにくいため外壁によく使用される

せっ器質タイル

・素地を1,200℃前後の温度で焼き上げたタイル

・陶器質と磁器質の中間の性能をしており、表面に加工を施しやすい

土器質・レンガタイル

・素地を800℃前後で焼き上げたタイル

・耐熱性や蓄熱性が高いため、外壁に使用すると外気の影響を受けにくくなる

 

外壁工事では、外観の雰囲気やコスト、メンテナンス性などによってさまざまなタイルが使用されます。タイルによって断音や断熱効果等にも影響が出てくるため、予算や工事期間などを鑑みてタイルを選ぶことが大切です。

 

外壁工事でタイルを使用するメリット

外壁工事でタイルを使用するメリット

外壁工事でタイルを使用するメリット

外壁工事でタイルを使用するメリットは、下記のようなものがあります。

 

・高級感がある

・デザイン性に優れている

・メンテナンス性が高い

 

タイルにはさまざまな種類があるため、サイディングやモルタルなどのほかの外壁と比べてデザイン性に優れています。タイルの種類によって独特の雰囲気を出したり高級感を出したりすることができます。

 

また、メンテナンス性が高いのもメリットです。タイルは無機質の外壁材であるため、塗料のような有機質の外壁材と比べて自然環境での劣化を起こしにくいです。高熱で焼き固められているため、砂やほこりなどが風で飛ばされてきても傷が付きにくくなっています。

 

外壁工事でタイルを使用するデメリット

外壁工事でタイルを使用するデメリット

外壁工事でタイルを使用するデメリット

外壁工事でタイルを使用した場合、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。

 

・初期費用が高い

・定期的なメンテナンスが必須

 

外壁タイルは、ほかの外壁に比べて初期費用が高いです。とはいえ、メンテナンス性には優れているためメンテナンス費用は抑えられます。

 

タイルは劣化に強いですが、どうしても浮き・剝がれなどの経年劣化が起こる可能性があります。タイルの場合は落下する恐れがあるため、ほかの外壁と比べて周囲への影響が大きいです。そのため、万が一の事故が起こらないように定期的にチェックする必要があります。

 

外壁工事が必要なタイルの状態

外壁工事が必要なタイルの状態

外壁工事が必要なタイルの状態

タイルは、下記のような状態になると外壁工事を行う必要があります。

 

・浮き

・ひび割れ

 

タイルは下地のコンクリートやモルタルに貼り付けて施工しますが、気温によって下地が膨張と収縮を繰り返すと接着力が弱まってしまいます。接着力が弱まると、タイルが下地から浮いてしまいます。その状態で放置していると、タイルが剥がれて落下してしまい大変危険です。

 

また、タイルは強固ですが、台風などの影響でひび割れてしまうこともあります。ひび割れたままだと、浮きと同様にタイルが落下してしまう可能性があるでしょう。また、ひび割れたところから雨水が侵入してしまうなどの問題が発生することもあります。

 

外壁のタイルが劣化する原因

外壁のタイルが劣化する原因

外壁のタイルが劣化する原因

外壁のタイルが劣化する原因は、先述した通り下地の劣化や自然災害などです。タイルそのものは強固ですが、下地のコンクリートやモルタルが気温によって膨張・収縮してしまうとタイルとの接着力が弱まってしまいます。

 

そのため、タイルそのものは綺麗でも外壁全体としては劣化が起こってしまうでしょう。また、いくら強固とは言え質量が大きい物体が飛んできてぶつかってしまうと破損してしまいます。台風などによって物が飛んでくるとひび割れや欠損が発生するため、都度チェックする必要があります

 

鑑定士コメント

マンションの外壁にタイルが多いのはなぜでしょうか?マンションは外壁の面積が大きいため、タイルのメンテナンス性から採用されることが多いです。万が一浮きやひび割れが発生しても、該当箇所のタイルを補強したり張り替えたりすることで補修費用を最小限に押さえられます。また、タイルの種類によっては重厚な質感を演出してくれ、マンション全体に高級感を出すこともできます。

外壁タイル補修工事に必要な事前準備

外壁タイル補修工事に必要な事前準備

外壁タイル補修工事に必要な事前準備

外壁タイル補修工事を行う場合、下記の準備を行う必要があります。それぞれの準備について、詳しく解説します。

 

・補修する箇所の確認

・同じデザインや色のタイルの用意

 

補修する箇所の確認

外壁タイル補修工事を行う場合は、まず補修する箇所の確認を行います。浮きやひび割れなど、補修の内容によって準備しなければならないものや工法が変わるため、事前の確認が欠かせません。

 

どれくらいの規模の補修が必要かについても確認しておく必要があり、規模によって大きく金額が異なります。確認の時点で、ある程度補修にかかる金額がわかるため、正確に補修個所を確認しましょう。

 

同じデザインや色のタイルの用意

外壁タイルの一部を張り替える場合、同じデザインや色のタイルを用意する必要があります。異なるデザインや色の場合、外観が損なわれる可能性があるでしょう。

 

新築時のタイルが残っており、補修するのに十分な数があれば問題ありません。しかし、補修を行う規模によっては数が足りない場合があるでしょう。

 

また、外壁タイルの補修は十数年周期で行うため、補修を行う時点で当時と同じタイルが販売されていない可能性が高いです。販売されていない場合は特注でタイルを発注する必要があるため、工期に合わせて事前に準備しておく必要があります。

 

外壁工事でのタイルを補修する流れ

外壁工事でのタイルを補修する流れ

外壁工事でのタイルを補修する流れ

外壁工事でタイルを補修する場合、下記の流れで行います。

 

1.タイルの不具合をチェックする

2.タイルの浮きを補修する

3.ひび割れや欠損を補修する

 

それぞれの工程について、詳しく見ていきましょう。

 

1.タイルの不具合をチェックする

事前に確認しておいた補修個所を見て、どのような不具合があるかをチェックします。ひび割れや欠損は見た目で判断できますが、浮きに関しては見た目だけではわからない可能性があるでしょう。そのため、タイル補修では主に打診棒を用いて音によってどのような不具合があるかを診断します。

 

モルタルや塗装面であれば打診を行いますが、タイルの場合は打診棒の先端をこするように転がして診断するのが特徴です。タイルが浮いていると軽い音がするため、正常なタイルと不具合があるタイルの音の違いを聞き比べて状態をチェックします。

 

2.タイルの浮きを補修する

タイルの浮きを補修する場合は、「アンカーピンニング工法」が用いられます。アンカーピンニング工法とは、浮きが発生している箇所にエポキシ樹脂を注入し、そこにアンカーピンを挿入することで下地とタイルの接着をより強固にする工法です。

 

また、浮きが発生しているタイルが多く広範囲にわたるばあいは張り替えを行うこともあります。補修が必要なタイルの数や発生している個所によって補修方法は異なるでしょう。

 

3.ひび割れや欠損を補修する

ひび割れや欠損の場合、基本的にはタイルの張替えを行います。タイルがひび割れている場合は、まずそのタイルを剝がします。剥がす際は、電動カッターなどでタイルを切断する必要があるでしょう。

 

タイルを剥がしたら下地をきれいに清掃し、接着剤を塗布してタイルを貼り付けます。最後にはみ出た接着剤をふき取ります。

 

鑑定士コメント

外壁タイルに塗装は必要でしょうか?タイルそのものが強固で自然環境に対する劣化も少ないため、基本的に塗装は必要ではありません。しかし、つや出しを出すためや、目地というタイル間の隙間を補強するために塗装することはあります。

外壁工事におけるタイルの補修費用相場

外壁工事におけるタイルの補修費用相場

外壁工事におけるタイルの補修費用相場

ここでは、外壁工事におけるタイルの補修費用相場を下記の作業ごとに解説します。

 

・タイルの張り替え

・浮き補修

・クリアー塗装

・タイル補修に必要な足場の設置費用

 

なお、国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、マンション大規模修繕費用のうち12.9%(※)が外壁タイルの補修にかかる費用となっています。

 

※参照:令和3年度マンション大規模修繕工事 に関する実態調査

 

上記も踏まえ各作業にかかる費用を確認していきましょう。

 

タイルの張り替え

タイル張り替えの相場は、1枚当たりおよそ500円です。

 

ただし、張り替える枚数や箇所、タイルの種類によって金額が異なる可能性があります。剥がす作業などは、複数枚同時に行うと作業時間を短縮できます。

 

しかし、1枚だけの場合や隣り合わないタイルなどを張り替える場合は、作業の手間が掛かるため単価が高くなってしまう可能性があるでしょう。

 

タイルの浮き補修

アンカーピンニング工法によるタイルの浮き補修の相場は、およそ500~900円です。

 

ただし、この金額はあくまでも数枚程度や簡易な補修工事の場合の金額です。下地全体の問題で広範囲に浮きが発生している場合は、大規模な工事が必要になり費用も高くなります。

 

クリアー塗装

クリアー塗装の相場は、1㎡あたりおよそ3,000円です。

 

つや出しなどのためにタイルにクリヤー塗装を施す場合があります。補修時は吹き付けやハケを使用して塗装を行います。

 

タイル補修に必要な足場の設置費用

高いところのタイルを補修する場合、足場を組み立てる必要があります。足場の設置費用は、1㎡あたりおよそ800~1,200円です。マンションの場合は、全体で見積もりを行うこともあります。

 

なお、外壁工事の費用については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ1度ご覧ください。

 

外壁工事の費用相場は?塗料の種類や修繕内容別に紹介

まとめ:定期的にタイルを補修して綺麗な外観を維持しよう

まとめ:定期的にタイルを補修して綺麗な外観を維持しよう

まとめ:定期的にタイルを補修して綺麗な外観を維持しよう

タイルは、デザイン性に優れており高級感もある外壁です。また、強固でメンテナンス性も高くマンションの外壁としても人気が高いでしょう。しかし、正しくメンテナンスしなければ外観を綺麗に維持することはできません。

 

浮きやひび割れなどが発生すると、周りに被害が出る可能性もあります。タイル外壁は定期的に不具合の確認、補修を行って綺麗な外観を維持しましょう

 

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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