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更新日:2025.05.26
登録日:2025.05.26
階段通路誘導灯とは?設置基準や非常用照明器具との違いを解説

「階段通路誘導灯とは?」
「階段通路誘導灯の設置基準を詳しく知りたい。」
上記の疑問をお持ちではないでしょうか。
階段通路誘導灯は、火災や停電などの非常時に、避難経路として使用される階段や傾斜路に設置される照明器具です。
この記事では、階段通路誘導灯の役割や設置基準をはじめ、設置が除外されるケース、非常用照明器具との違いなどをわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・階段通路誘導灯とは、非常時に避難経路として利用される階段や傾斜路に設置される照明設備
・屋外階段や開放階段、住居の階段などは設置が除外される場合がある
・非常用照明器具との違いとそれぞれの役割
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階段通路誘導灯とは?

階段通路誘導灯とは?
階段通路誘導灯とは、火災や停電などの緊急時に避難経路として利用される階段や傾斜路に設置される照明設備です。消防法によって設置が義務付けられており、避難を安全におこなうために欠かせない存在となっています。
ここでは、以下の内容についてわかりやすく解説します。
・階段通路誘導灯の役割
・階段通路誘導灯の設置基準
階段通路誘導灯の役割
階段通路誘導灯は、災害時に安全な避難を確保するために設置される重要な設備です。
地震や火災が発生すると、エレベーターが停止し、階段での避難が必要になることが少なくありません。実際、東日本大震災では、全国で257件のエレベーター閉じ込め事故が発生しました(※)。
こうした状況で停電が起きると、建物内が暗くなり、段差や障害物が見えにくくなります。その結果、転倒やけがのリスクが高まってしまいます。
階段通路誘導灯が適切に設置されていれば、非常時でも足元を明るく照らすことができ、落ち着いて安全に避難することが可能です。さらに、階数が分かる表示があれば、避難方向の判断がしやすくなり、混乱の防止にもつながります。
非常時に確実な避難を実現するためにも、階段通路誘導灯は欠かせない設備といえるでしょう。
※ 参照:埼玉県
階段通路誘導灯の設置基準
階段通路誘導灯は、火災や地震などの災害時に、暗くなった建物の中でも安全に避難できるよう、足元を照らすためのライトです。
設置場所は、階段の段差や踊り場に面した壁で、明るさは「1ルクス以上」と決められています。1ルクスとは、月明かりくらいの明るさで、足元が見える最低限のレベルです。
なお誘導灯は、基本的に常に点灯しておく必要があります。ただし、近年は省エネのために、人が通ったときだけ点灯したり、明るさを自動で調整したりできるタイプも増えています。
また、大きな地震で外れたり落ちたりしないように、しっかりと固定して設置することも大切です。もし誘導灯がぐらついていると、逆につまずいたりして危険になるおそれがあります。
階段通路誘導灯のほかにも、建物にはさまざまな消防設備が必要です。気になる方は、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
鑑定士コメント
階段通路誘導灯の設置は、消防法や自治体のルールによって義務づけられていることがあります。例えば、映画館や病院など、たくさんの人が出入りする建物では、すべての階に設置が必要です。ただし、例外もあります。非常用照明で十分な明るさが確保されていて、避難方向もはっきりわかるような場合は、設置が免除されることも。設置が必要かどうかは、建物の種類や使い方によって変わるので、事前に確認しておくことが大切です。
階段通路誘導灯の設置が除外されるところ

階段通路誘導灯の設置が除外されるところ
階段通路誘導灯は、すべての階段に設置しなければならないわけではありません。建物の構造や使用目的によっては、設置が除外される場合があります。
ここでは、階段通路誘導灯の設置が除外される代表的な場所を3つ紹介します。
・屋外階段
・開放階段
・住居の階段
屋外階段
屋外に設けられた階段は、条件によっては階段通路誘導灯の設置が免除される場合があります。
階段通路誘導灯の主な役割は、停電や夜間などで視界が悪くなった際に足元を照らし、安全な避難をサポートすることです。
屋外階段の場合、街灯や建物周囲の照明によって十分な明るさが確保されていれば、暗くなる危険性は比較的低くなります。そのため、照度が基準を満たしていれば、誘導灯は必ずしも必要とは限りません。
屋外階段は周辺の光環境によっては設置が免除されるケースもあるため、現場の状況に応じた判断が必要です。
開放階段
開放階段も、条件によっては階段通路誘導灯の設置が免除される場合があります。開放階段とは、建物の外に面していて、壁などで囲まれていないタイプの階段のことです。
街灯や自然光が入りやすく、夜間や停電時でもある程度の明るさが保たれるため、照度の基準を満たしていれば設置しなくてもよいケースがあります。
さらに、災害時に避難経路として使われない場合や、限られた人だけが利用する階段である場合も、設置が免除されることがあります。
住居の階段
寮や共同住宅など、住む人が決まっている建物にある階段は、原則として設置の対象外です。
住居の階段は使う人が限られており、不特定多数の人が出入りする場所ではないためです。
ただし、建物の構造や階段の位置によっては、避難経路とみなされる場合もあります。
設置が必要かどうかは、建物ごとに確認するようにしましょう。
建物の火災対策を考えるうえでは、照明や誘導灯などの設備だけでなく、建物そのものの構造も重要です。準耐火構造・耐火構造・防火構造の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
準耐火構造とは?耐火構造・防火構造などとの違いをくわしく解説
階段通路誘導灯と非常用照明器具の違い

階段通路誘導灯と非常用照明器具の違い
災害時に安全な避難を支える設備には、「階段通路誘導灯」のほかに「非常用照明器具」もあります。いずれも停電時に活躍する照明ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、次の2つのポイントに分けて、両者の違いについて解説します。
・非常用照明器具の特徴
・階段通路誘導灯と兼用できるものもある
非常用照明器具の特徴
非常用照明器具は、停電などの非常時に自動で点灯し、避難や救助を安全におこなえるよう空間を照らす設備です。建築基準法により、劇場や病院、ホテルなどの一定の条件を満たす建物では設置が義務付けられています。
非常用照明器具は、火災時にも使えるよう、140度の熱に30分以上耐え、床面を1ルクス以上の明るさで30分間照らせる性能が必要です。
一方、階段通路誘導灯は避難経路や非常口を示すもので、消防法に基づいて設置されます。
つまり、非常用照明器具は「非常時に空間を照らす明かり」、誘導灯は「初期段階の避難の際に進む方向を示す設備」といえます。
階段通路誘導灯と兼用できるものもある
求められる性能や設置目的が異なることから、これまでは階段通路誘導灯と非常用照明器具をそれぞれ別に設置するのが一般的でした。
しかし、両者を個別に設置すると、その分機器の数が増え、設置費用や工事手間、メンテナンスコストもかさみます。
そこで近年では、誘導灯と非常用照明器具の機能を一体化させた「兼用型」の製品が登場しています。
兼用型を導入すれば、設備の重複を避けられます。その結果、省スペース化や工事の効率化、コスト削減につながるでしょう。
中古マンションを内見する際は、階段通路誘導灯などの設備も忘れずに確認することが重要です。チェックポイントをまとめた便利な資料は、以下からご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
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階段通路誘導灯の種類

階段通路誘導灯の種類
階段通路誘導灯は、「一体型階段灯」と「LED階段通路兼用型」の2種類に大きく分かれます。以下では、それぞれのタイプについて詳しく解説します。
・一体型階段灯
・LED階段通路兼用型
一体型階段灯
一体型階段灯は、階段に取り付けられる照明器具です。学校やビルなどの階段で、見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
製品によっては、停電時にも点灯する非常用の機能を備えたタイプもあります。
一体型階段灯は、天井だけでなく壁に取り付けられるタイプもあり、設置場所や階段の形に合わせて選ぶことが可能です。
また、工事が比較的簡単にできる製品も多く、設置にかかる時間や手間を減らせる利点もあります。
一体型階段灯は、安全性と使いやすさの両方を備えた、実用的な照明器具です。
LED階段通路兼用型
LED階段通路兼用型は、非常用照明器具の機能に加え、階段通路誘導灯としても使用できるタイプの照明器具です。
建築基準法の改正により、LEDが非常用光源として正式に認められたことで、従来の蛍光灯などからの切り替えが進んでいます。
LEDは省エネ性や長寿命に優れており、電気代や交換の手間を減らすことができます。さらに、器具の小型・軽量化も進んでおり、天井まわりをスッキリ見せられるのも特徴です。
なお、一体型階段灯と比べると本体価格はやや高めです。ただし、維持管理の負担が少なく、長期的にはコスト削減につながる可能性があります。
鑑定士コメント
階段には基本的に、階段通路誘導灯と非常用照明器具の両方を設置する必要があります。しかし、非常用照明だけで十分な明るさがあり、避難方向も分かるようになっていれば、階段通路誘導灯の設置が免除されるケースもあります。そのときに大事なのが「階数表示シール」です。今いる階がすぐ分かるようにしておくことで、スムーズな避難につながるからです。
免除の条件に含まれているので、実質的にはシールは必ず貼る必要があると考えておくとよいでしょう。
まとめ:階段通路誘導灯は災害時の安全を守るために必要な設備

まとめ:階段通路誘導灯は災害時の安全を守るために必要な設備
階段通路誘導灯は、災害時に安全に避難するために、階段や傾斜路に設置される照明設備です。停電や煙で視界が悪くなった際でも、避難方向を示し足元を照らすことで、スムーズかつ安全な避難をサポートします。
屋外階段・開放階段・住居階段など、一部の条件を満たす場合を除き、対象となる階段や傾斜路には必ず設置しなければなりません。
階段通路誘導灯の役割を正しく理解し、適切な設置と確実な管理をおこないましょう。
#階段、#LED、#誘導、#照明器具

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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