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2023.06.02

日照権とは?考え方とトラブルになったときの対応方法について解説

日照権とは?考え方とトラブルになったときの対応方法について解説

「日照権」という言葉を耳にしたことがあっても、内容については詳しく知らないですよね。物件選びで日当たりを重視する方は多いため、日照権をめぐってトラブルが起こることは珍しくありません。

そこで、本記事では、日照権について詳しく解説します。日照権に関するトラブルへの対応方法についても紹介しているので、土地の売買や物件の購入を予定している方はぜひ知っておきましょう。

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日照権とは

日照権とは

日照権とは

日照権とは、「建物の日当たりを確保する権利」のことを指します。一般的に「日当たりがよい家ほど、快適に過ごせる」と考えられており、健康に生活するうえで欠かせない権利です。

 

日照権は法律で明確に定められた権利ではありません。しかし、建築基準法には日照権を保護するための「斜線制限」や「日影規制」が定められています。すべての建物は、日影規制や斜線制限の範囲内に収まるように建築する必要があります。

 

それぞれの規制について解説するので、「建物にはどのような制限があるのか」を覚えてみてください。

斜線制限とは

斜線制限とは

斜線制限とは

斜線制限とは、「日照・採光・通風の確保を目的とした建築物の高さや形を制限する規制」です。斜線制限が守られることで、建物同士の間に一定の空間が確保され、圧迫感がなく快適に過ごせるでしょう。

 

道路や隣接する土地(隣地)の境界線など、特定の場所から建物に対して斜線を引きます。その斜線内に建物が収まるように建築しなければいけません

 

斜線制限によって、予定よりも「2階部分の床面積が縮小すること」や「建物の形を変更すること」が考えられます。建築費用が高額になる可能性があるため、土地を購入する際には、斜線制限を事前にチェックしましょう。

 

斜線制限には、次の3種類があります。

 

・道路斜線制限

・隣地斜線制限

・北側斜線制限

 

細かく覚える必要はありませんが、どういった種類の規制があるのかを把握しましょう。

道路斜線制限

道路斜線制限は、道路の日照・採光・通風の確保を目的とした、建物の高さ制限のことです。道路斜線制限には、道路のみならず周辺の建物の住民にとって、良好な環境を確保する役割があります。

 

敷地の前面道路の反対側にある境界線から、敷地の上空に向かって斜線を引き、その斜線の範囲内に建物の高さを制限します

 

道路斜線制限は、すべての用途地域(※1)に適用される規制です。用途地域によって斜線の勾配(傾き)が異なります。住宅系地域では、前面道路の境界線までの距離の1.25倍以下、住宅系以外では1.5倍以下の勾配で記された範囲内に制限されます。(※2)

 

道路の幅によって制限される範囲が変化するので、土地を購入する前に一度チェックしてみてください。

 

※1:用途地域とは、都市計画法によって「用途ごとに定められた土地の区分」のことです。住宅系・商業系・工業の3つに分類され、用途地域によって建物にかかる制限の基準が異なることを知っておくとよいでしょう。

 

※2:東京都都市整備局

隣地斜線制限

隣地斜線制限とは、建物部分の高さが20mもしくは31mを超える建物に対する規制(※1)です。隣地の境界線を基準として、建物の高さや斜線の勾配を制限します。

 

20mは、おおよそマンションの6階や7階建ての高さです。つまり、隣地斜線制限は、6階や7階を超えるビルやマンションなどの高い建物に適用されます。

 

低層住宅に適用されない理由は、「絶対高さの制限」によって建物の高さが10mまたは12mと制限されている(※2)ためです。

 

マンションやビルなどの高い建物が建つ土地を購入する方は、隣地斜線制限について知っておきましょう。

 

※1 参照:東京都都市整備局

※2 参照:建築基準法

北側斜線制限

北側斜線制限

北側斜線制限

北側斜線制限とは、北側にある建物への日当たりを考慮し、南からの日当たりを確保するための制限です。

 

敷地の北側の隣地境界線から5mまたは10mの高さを基準(※)として、敷地の上空に線を引きます。その斜線内に、建物の高さや形が収まるように制限します。

 

対象となる用途地域は、第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域・第一種・第二種中高層住居専用地域です。

 

・第一種・第二種低層住居専用地域:低層層住宅のための地域

・田園住居地域:農地と低層住宅が共存するための地域

・第一種・第二種中高層住居専用地域:中高層住宅のための地域

 

以上の通り、建物にはさまざまな制限がかかります。制限を超えた建物は、違法建築とされてしまうので注意しましょう。

 

※参照:東京都都市整備局

日影規制とは

日影規制とは

日影規制とは

日影とは、建物によって隣地に投影される影のことを指します。日影規制とは、「日の出から日没までの時間の中で、一定の日照時間を確保できるように建物の高さを制限すること」です。

 

日影規制では、一年でもっとも影が長い日である冬至の日(12月22日前後)を基準とします。午前8時から午後4時まで(道の区域内にある場合は午前9時から午後3時まで)(※)の間に、一定時間以上、日影を生じさせないことが求められます。

 

対象となる建物は、以下の条件(※)を満たす建物です。

 

・第一種・第二種低層住居専用地域にあり、軒高が7mを超えている、もしくは地上階を除いて3階以上ある

・第一種・第二種中高層住居専用地域にあり、高さが10mを超えている

 

同一敷地内に建物が複数ある場合は、複数で1つの建物とみなされます。1つの建物が制限を超えていると、すべての建物が規制の対象になるので注意しましょう。

 

確保すべき日照時間は、土地の利用状況や周辺の環境によって異なります。気になる方はお住まいの自治体の基準を一度、確認してみてください。

 

※参照:建築基準法

日照権トラブルのカギとなる受忍限度とは

日照権トラブルのカギとなる受忍限度とは

日照権トラブルのカギとなる受忍限度とは

建築基準法にのっとって建てられた建物であっても、日照時間が減ると不安を感じる方は多いでしょう。

 

しかし、「被害が一定の範囲内であれば我慢すべきという考え方があります。これを「受忍限度」といいます。

 

日照権は法律で明確に定義されていないため、日照権が侵害されたと主張しても、認められない可能性があります。日照権の侵害を判断する基準は「受忍限度を超えているかどうか」です。

 

では、受忍限度はどのように判断するのでしょうか。以下に受忍限度の基準を紹介します。

 

・日照阻害の程度

・被害者の生活への影響

・建物のある用途地域

・先住関係

・日照阻害に対する配慮

・事前の説明の有無

 

上記のように、さまざまな要因を考慮して、日照権を侵害しているかどうかを判断します。

鑑定士コメント

どのような場合に日照権のトラブルになるのでしょうか。建築物によって周辺住民の日照時間が著しく低下する場合は、日照権の侵害として認められることがあります。過去には、太陽光パネルへの日照量が減ったことや保育園の園庭の日照が阻害されたことで、訴えが起こされたケースも存在します。

日照権が侵害されたときの対応方法

日照権が侵害されたときの対応方法

日照権が侵害されたときの対応方法

前述した通り、日照権を侵害しているかどうかは総合的に見て判断します。ただし建築基準法に違反していない場合、「日照権の侵害」が認められにくいため、順を追って対応することが大事です。

 

・相手と話し合う

・行政の建築指導課に相談する

・弁護士に相談する

・最終的には訴訟を行う

 

それぞれの対応方法について、詳しく解説します。

まずは相手と話し合う

日照権に関するトラブルがあっても、当事者間の話し合いで解決できるのが理想です。まずは相手と話し合う機会を設けてください。

 

話し合いを行う相手は、土地の所有者や建築を請け負う責任者がいいでしょう。とはいえ、個人での訴えでは、話し合いに応じてくれない可能性があります。できれば、被害を受けている近隣住民と協力しましょう。

 

マンションに住んでいる場合は、マンションの管理組合に相談して、できるだけ多くの住民で声を上げることが有効です。

行政の建築指導課に相談する

話し合いでは解決しない場合には、行政機関を頼りましょう。各都道府県の建築士指導課に相談することで、第三者として間に入ってもらえます。

 

近隣住民と建築主の双方から申し出がある場合、「あっせん」や「調停」が行われます。

 

あっせんは、1人以上のあっせん委員が話し合いの場を設けて、双方の主張を聞いて助言することです。「調停」では、3人の調停委員が合議によって、問題の解決へと導いてくれます。

 

こちらの主張が認められた場合、行政が建設業者に指導を行い、改善される可能性があります。

弁護士に相談する

弁護士に相談する

弁護士に相談する

行政に相談しても解決しない場合は、弁護士に相談しましょう。

 

「日照権の侵害に該当するか」や「日照権の侵害を主張するために、どのような行動をすべきか」をアドバイスしてもらえます。

 

個人の主張では相手にされない場合でも、弁護士を立てることで建築業者は対応せざるを得なくなります

 

訴訟を行わない場合でも、一度相談してみてください。

最終的には訴訟を行う

最終手段として、建築工事の差し止めや日照権損害による損害賠償を請求する方法があります。弁護士に相談しながら、訴訟の準備を進めましょう。

 

差し止め請求が認められた場合、建築工事を止められますが、注意点があります。それは、差し止め請求が認められるのは難しいことや、高額な費用がかかる可能性があることです。

 

差し止め請求では、裁判の判決が下るまで建築側は工事を続行可能です。そのため「判決が下されたときには、すでに建物が完成している」という事態が起こる可能性があります。こうした事態を避けるために、建築工事を一時的に停止させる仮処分の手続きが必要になります。

 

仮処分の申請では、「建築工事の続行を禁止する程度の明らかな被害があること」を証明しなければいけません。そのうえ、高額な保証金を用意する必要があります。

 

訴訟には、数十万円の弁護士費用も発生するため、訴訟を行う前には必ず見積もりを立ててください。

鑑定士コメント

日照権でトラブルになると、建築中の工事の差し止めや、多額な損害賠償など、多大な時間・労力・費用が発生することもあります。日照権のトラブルを避けるために気をつけるべきことは何でしょうか。建築基準法を遵守することはもちろん、近隣住民へ配慮しているかどうかが重要です。建築士や施工会社に丸投げせず、プランニングの確認を怠らないようにしましょう。また、建築工事が開始する前に、近隣住民に対して十分な説明を行うことも大切です。

まとめ:日照権のトラブルに合ったときは冷静に対応しよう

まとめ:日照権のトラブルに合ったときは冷静に対応しよう

まとめ:日照権のトラブルに合ったときは冷静に対応しよう

トラブルを避けるために、近隣住民に事前に説明することや建築士にプランニングを確認することは大切です。しかし、いくら気をつけていても、日照権のトラブルに巻き込まれる可能性があります。

 

トラブルに遭った場合でも、怒りに任せて行動してはいけません。話し合いの場を設けたり、行政機関に相談したりするなど、冷静に対応しましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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解説

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