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2023.07.20
液状化現象とは?発生する仕組みと判定方法をくわしく解説

住宅を新しく建てる方にとって、土地の地盤が安全かどうかは気になるものです。地盤が緩いと、地震により液状化現象が引き起こされ、生活に大きな支障が出ます。
そこで、本記事では、液状化現象が発生する仕組みや液状化リスクの判定方法を解説します。今後、居住予定の地域の液状化リスクを確認し、万が一の事態に備えましょう。
液状化現象とは何か

液状化現象とは何か
液状化現象とは、強い揺れによって地盤全体が泥のような状態になる現象のことです。液状化は地盤の緩い地域において、大地震が起こることで発生します。
過去には、新潟地震(1964年)や東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)などの大地震の際に液状化が発生しました。
液状化によって地盤が不安定になると、さまざまな影響を引き起こします。たとえば建物の沈下や傾斜、住宅の浸水や水道管の破裂、道路の破損など、いずれも生活に甚大な被害をもたらします。
液状化が発生する仕組み

液状化が発生する仕組み
地震の強い揺れによって地盤の中にある水と土が分かれることが、液状化が発生する仕組みです。
普段は、地盤の中にある土の粒子は支え合っており、土の粒子の隙間には水が存在しています。粒子同士の結びつきが強いため、地盤は安定しているのです。
しかし地震によって地盤全体が繰り返し振動することで、隙間の水圧が高まり、土の粒子同士の結びつきが弱まります。その後、土は沈降して地表面は水の多い状態になり、液状化します。
鑑定士コメント
過去の事例では、一度液状化が発生した場所では、再度液状化が発生しやすくなります。液状化によって地盤の中の水が噴き出しても、地盤が十分に固まることはなく、かえって緩んだとの計測報告もあります。また、本震で液状化した場所が、余震によって再液状化したケースもありますので、過去の履歴の調査も必要でしょう。
液状化しやすい地盤の特徴

液状化しやすい地盤の特徴
液状化しやすい地盤の特徴は、地盤が緩く地下水位が低いことです。
以下の特徴(※)を満たす場合、液状化しやすいと考えられています。
・地盤の強度を表す「N値」が20以下
・地表面からの深さが15m〜20mより浅い
・砂の粒の大きさが均一かつ、大きさが0.25mm〜0.5mm程度
N値とは、土の締まり具合や強度を表し、標準貫入試験によって求められる値です。
以上の特徴を満たした地盤において、震度5以上(※)の揺れが起こると、液状化が発生する可能性は高くなります。
液状化が発生しやすい地域として、海岸や河口付近、埋立地や扇状地などが挙げられます。
※参照:神奈川県ホームページ
液状化が起こりやすい土地の判定方法

液状化が起こりやすい土地の判定方法
液状化現象の被害を避けるために、液状化が起こりにくい土地に住むことが重要です。
今後、住宅を建てる方は、土地の判定方法を知って液状化リスクの少ない土地を選んでください。土地の判定方法は、次の3つです。
・土地条件図を見る
・ハザードマップを活用する
・ボーリング調査で調べる
土地条件図(国土地理院)を見る
簡易的な手法であるため、専門的な知識がなくても問題ありません。
国土地理院が公表している土地条件図を活用することで、液状化リスクを把握できます。土地条件図に記載されている数値データから、地域ごとの液状化の発生傾向を調べましょう。
液状化だけでなく、洪水や地震などの災害リスクも確認できるため、住む地域を検討している方は一度利用してみてください。
ハザードマップを活用する
国土交通省が提供する、ハザードマップを活用することで液状化が発生しやすい地域を確認できます。
はじめに、国土交通省のハザードマップポータルサイトにアクセスします。「重ねるハザードマップ」に住所を入力し、「すべての情報から選択」をクリックしてください。
「土地の特徴・成り立ち」の項目から「地域区分に基づく液状化の発生傾向図」を選択しましょう。その後、地域ごとに液状化の発生傾向の強弱が5段階で表示されます。
ハザードマップは液状化リスクだけでなく、洪水による水害リスクや避難情報を確認できます。
以下の記事で、洪水ハザードマップの見方や入手方法などを解説しています。居住予定の地域の災害リスクを把握して、万が一の災害に備えてください。
ボーリング調査で調べる

ボーリング調査で調べる
地盤の強度や状況を詳細に調べるときには「ボーリング調査」を実施します。
ボーリング調査とは、地面に筒状の細い穴を開けて、土のサンプルを採取する調査方法です。深さに応じてN値が算出され、地盤の強度を測定します。
土の種類や地下水位の高さ、地盤の締まり具合なども調べられます。
地震の規模に応じた液状化の被害の程度も、ボーリング調査によって把握できるでしょう。
鑑定士コメント
本文に前述した通り、液状化は地盤が緩く、地下水位が浅い場所で発生しやすいと言われてます。一方で、地下水位が深い場所や地盤が硬い場所、粘性土地盤や砂礫地盤では発生の可能性は低いです。元々、河川や泥だった場所や、干拓や盛土など人工地盤の場所では液状化が起こりやすいため、過去地図などで地歴を確認し、注意しましょう。
液状化の影響

液状化の影響
液状化現象が、生活に及ぼす影響はさまざまです。液状化によって起こる被害は、主に4つに分類されます。
・噴水や噴砂
・建物への被害
・道路への被害
・ライフライン施設への被害
噴水・噴砂が発生する
まず被害として考えられるのは、液状化による噴水や噴砂です。
液状化によって堆積した水や砂から抜け出すのは難しく、自転車が埋没し、緊急避難が遅れる可能性があります。大規模な液状化が起こると、噴水が数時間も続き、住宅の浸水や田畑の冠水へとつながります。
噴砂によって、宅地や道路内に土砂が堆積すると、生活や通行の妨げになるでしょう。また、噴砂が乾くと粉塵として舞い上がり、健康被害を引き起こします。
建物への被害が起こる
液状化によって地盤が不安定になると、建物の沈下や傾斜が起こる恐れがあります。建物の基礎部分に亀裂が発生することも珍しくありません。
最悪の場合、建物自体が転倒する可能性もあります。
過去には新潟地震による液状化が発生し、建物への直接的な損傷は見られないまま、RC造のアパートが足元から転倒した事例もありました。
他にも、ドアや窓の開け閉めの不具合や隙間風の発生など住宅の機能障害を引き起こします。
道路への被害が起こる

道路への被害が起こる
液状化によって道路が損傷し、転倒や事故を引き起こします。道路の損傷は、緊急避難や救急活動の妨げになるため、被害がさらに拡大する恐れがあるでしょう。
道路に噴砂が堆積したり、マンホールや水道管などの地中構造物が浮き上がったりして、交通障害にもつながります。
液状化が広範囲に及び、河川側に地盤全体が大きく横に移動(側方流動)し、過去には橋が落ちる事例がありました。
ライフライン施設への被害がおこる
液状化は、電気・水道・ガスなどのライフラインにも大きな被害を与えます。
液状化によって水道管が破損すると、飲料水・洗濯水・風呂の水・トイレの水など、生活に必要不可欠な水の供給が停止します。
また、液状化の程度によっては水の供給にかぎらず、電気やガスの供給が停止する可能性もあるのです。
水道管やガス管の破損は、液状化していない地域にも被害を与えます。ライフライン施設の復旧までに時間がかかるため、長期間日常生活に支障が出るのも深刻な問題です。
上記の通り、液状化によってさまざまな被害を受ける可能性があるため、液状化現象への対策が重要です。以下の記事から液状化現象の対策方法を知って、万が一の事態に備えてください。
まとめ:液状化の仕組みを理解して発生しやすい土地の特徴を把握しておこう

まとめ:液状化の仕組みを理解して発生しやすい土地の特徴を把握しておこう
液状化は、地盤が緩く、地下水位が浅い地域で起こりやすい現象です。
液状化現象は、建物への直接的な被害だけでなく道路や水道管の破損によるライフライン設備への被害など、さまざまな影響があります。
土地条件図やハザードマップを活用して、居住地域の液状化のリスクを把握し、万が一事態の備えをしておきましょう。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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