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更新日:2023.04.24
登録日:2023.04.24
マンションの減価償却とは?計算方法をわかりやすく解説
不動産経営でマンションを購入する際は、減価償却について理解しておきましょう。不動産のように大きな金額の資産は、減価償却による節税効果が大きいのが特徴です。
本記事では、マンションの減価償却とは何か、減価償却費の計算方法について詳しく解説します。新築マンションと中古マンションそれぞれの減価昇格費について、具体的な数字を用いてシミュレーションを行うので、ぜひ最後までご覧ください。
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マンションの減価償却とは?
マンションの減価償却とは?
そもそも減価償却とは、業務に用いられる建物などの資産の価値が年数の経過によって減少していく費用を一定の割合で算出したものです。特定の資産は、経年劣化などによって使用年数が経過するほど資産価値が減少し、このような資産を「減価償却資産」と言います。
マンションでも同様で、長い期間利用すると、外壁や設備の劣化が目立つようになるでしょう。そのため、不動産投資などでマンションを購入した場合も、減価償却の考え方で経費計上を行うことになります。
減価償却では、取得した減価償却資産の費用を一定年数で割って、該当年数に分けて必要経費として処理できます。たとえば、3,000万円で取得した減価償却資産の場合、取得年に3,000万円すべてを計上するのではなく、10年に分けて300万円ずつ経費として計上するのが減価償却の考え方です。
マンションの減価償却と耐用年数の関係
マンションの減価償却と耐用年数の関係
減価償却では、資産価値を一定の年数で割って計上しますが、この年数は資産の種類ごとに決まっています。減価償却で用いられる基準は「耐用年数」といい、資産の寿命が長いほど耐用年数も長くなっています。
マンションにも耐用年数は設定されていますが、使用用途や材質や構造によって耐用年数が異なります。住宅用のマンションの耐用年数は、それぞれ下記のとおりです。(※)
また、マンションは建物以外にも附属設備があります。附属設備にも、減価償却資産として下記の通り耐用年数が設定されています。
※参照:国税庁
マンションの耐用年数については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
マンションの減価償却費の計算方法
マンションの減価償却費の計算方法
ここでは、マンションの減価償却費の計算方法について解説します。マンションの減価償却では、取得に要した費用すべてを減価償却費として計上できません。なぜなら、減価償却の考え方が適用されるのは「マンションそのもの」だけであり「土地」は減価償却の対象とはならないからです。
そのため、まずはマンションを取得した費用からマンションと土地の割合を計算する必要があります。マンションと土地の割合は、下記のような方法で確認できます。
・売買契約書
・住宅ローン控除申請時の書類
売買契約書には、マンションと土地の取得価額が別々に記載されていることがあり、別々に記載されている場合は、マンションの取得価額をそのまま減価償却費の計算に使用できます。また、住宅ローン控除を利用している場合は、申請書にマンションと土地の内訳が記載されているため住宅ローン申請時の書類で確認可能です。
計算方法は2種類
減価償却の計算方法は2種類あり、それぞれの特徴は下記のとおりです。2つの計算方法について、詳しく見ていきましょう。
定額法
定額法とは、毎年同額の減価償却費を計上する計算方法です。「取得価額×定額法の償却率」で計算できます。償却率は耐用年数によって決まり、マンションの構造ごと償却率と設備の償却率は下記のとおりです。(※)
また、マンションは建物以外にも附属設備があります。附属設備にも、減価償却資産として下記の通り耐用年数が設定されています。
2023年現在、マンションの減価償却費の計算には定額法のみが適用可能です。計算方法もシンプルなため、基本的には定額法の計算方法だけわかっていれば問題ありません。ただし、法改正によって定率法が適用できるようになる可能性もあるため意識しておきましょう。
※参照:国税庁
定率法
定率法とは、年数経過によって減価償却費が減少していく計算方法です。これまでの減価償却額を資産から引いた金額に償却率をかけて求めます。減価償却費の計算方法の一つではありますが、2023年現在ではマンションの減価償却の計算として適用できません。
新築マンションの計算方法
新築マンションの計算方法
新築マンションでは、取得した年から耐用年数が適用されるため、1年目として計算することができます。購入額から土地代を除いたマンションそのものの取得価額に償却率をかけると、新築のマンションの減価償却費を求めることができます。具体的な計算式は下記のとおりです。
(マンションの取得価額×償却率)+(設備の取得価額×償却率)=減価償却費
中古マンションの計算方法
中古マンションの計算方法
中古マンションの場合、ある程度築年数が経過しているため購入時点の耐用年数を計算する必要があります。中古マンションの耐用年数は、下記の計算式で求めることができます。
(本来の耐用年数―築年数)+築年数×0.2=中古マンションの耐用年数
耐用年数さえわかれば、国税庁の「減価償却資産の償却率」から償却率がわかります。減価償却費の計算は、新築マンションと同様です。
(マンションの取得価額×償却率)+(設備の取得価額×償却率)=減価償却費
鑑定士コメント
マンションについては、減価償却の対象になるのは建物のみで土地は含みません。しかしながら、建物のみの取得価額がわからないときがあります。この場合は、本文で説明のある通り「売買契約書」や「住宅ローン申請時の書類」などをもとに調べることが可能です。どちらの書類も紛失してしまった場合は「購入時の消費税÷消費税率」で建物の取得価額を求められます。土地には消費税がかからないため、消費税から建物のみの価格が計算できます。
例えば、2022年に4500万円で取得したマンションのうち消費税が250万円だったと分かっていれば、250万円÷10%=2500万円が建物の価格です。したがって、土地1750万円・建物2500万円・建物にかかる消費税250万円、合計4500万円と分かります。
マンションをリフォームした場合の減価償却費
マンションをリフォームした場合の減価償却費
マンションをリフォームした場合、耐用年数が変化して減価償却費が変わる可能性があります。壁紙や床の張替え、傷の補修のような小さなリフォームは「修繕費用」として計上できるため減価償却は行いません。
しかし、用途変更のために間取りを変更するなどの大規模なリフォームは、「資本的支出」にあたり減価償却の対象となる場合があります。また、設備をグレードアップする場合も、設備の導入費に対してそれぞれの耐用年数が設定されるため、減価償却しなければなりません。
鑑定士コメント
賃貸で運用しているマンションをリフォームをしたり新たに費用をかけた場合、減価償却の対象になるのでしょうか。本文に説明がある通り、給排水設備やガス設備、電気・証明などの設備も減価償却の対象で、確定申告時に経費計上が出来ます。それぞれの設備についても耐用年数が設定されているため、マンションと同様の計算方法で減価償却費を計算しましょう。
減価償却のシミュレーション
減価償却のシミュレーション
ここでは、新築マンションと中古マンションについて、具体的な数値を用いて減価償却費のシミュレーションを行いましょう。
新築マンションの場合
新築マンションの場合は築年数を気にすることはないため、そのまま「(マンションの取得価額×償却率)+(設備の取得価額×償却率)=減価償却費」で計算できます。
たとえば、鉄筋コンクリート造のマンションの取得価額が3,000万円、電気設備の取得額が500万円と仮定します。この場合の償却費は、下記のようになります。
3,000万円×0.022+500万円×0.067=660,000円+335,000円=995,000円
以上の計算から、減価償却費は1~15年目までが995,000円、16~47年目までが660,000円になります。
中古マンションの場合
中古マンションの場合、築年数から耐用年数を計算しなければなりません。先述した通り、中古マンションの耐用年数は「(本来の耐用年数―築年数)+築年数×0.2」で計算できます。築10年の鉄筋コンクリート造の中古マンションについて、建物と電気設備の耐用年数を求めてみましょう。
建物:(47―10)+10×0.2=39年
設備:(15―10)+10×0.2=7年
中古マンションの上記で求めた耐用年数から、建物の償却率は0.026、設備の償却率は0.143であることがわかります。この償却率を用いて、中古マンションの取得価額が2,000万円、電気設備の取得額が300万円の減価償却費を求めます。
2,000万円×0.026+300万円×0.143=520,000円+429,000円=949,000円
以上の計算から、減価償却費は1〜7年目までが949,000円、8〜39年目までが520,000円になります。
まとめ:マンションの減価償却を理解して賢く節税対策しよう
まとめ:マンションの減価償却を理解して賢く節税対策しよう
マンションの減価償却費とは、建物や設備などの資産の価値が年数の経過によって減少していく費用を一定の割合で算出したものです。不動産経営などでマンションを取得した際に、必要経費として計上できます。建物や設備の金額によっては大きな節税効果が期待できるため、減価償却を正しく理解して賢く節税対策しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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