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更新日:2025.01.28
登録日:2025.01.28
エアコン選びで気をつけたい畳数の基礎知識!計算方法や断熱性能との関係を解説
エアコンを選ぶとき「畳数の表示」を見ても、自分の部屋に本当に合っているのか迷ったことはありませんか。畳数表示は参考になりますが、それだけで適切なエアコンを選ぶのは難しいものです。
この記事では、エアコンの畳数表示の基本知識や計算方法をわかりやすく解説します。また、断熱性能や建物構造が選び方に与える影響についても詳しく紹介。
正しい知識を身につけて、冷暖房効率の良い快適な空間を作りましょう。
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エアコンの畳数の基本知識
エアコンの畳数の基本知識
エアコン選びで失敗しないためには、基本的な知識を押さえることが大切です。特に重要なポイントは、以下の3つです。
・現代の住宅事情と畳数表示のギャップ
・建物構造による適正畳数の違い
・実際の部屋サイズの計算方法
それぞれ詳しく解説します。
現代の住宅事情と畳数表示のギャップ
エアコンカタログに表示されている「○畳用」という基準は、実は1964年に策定された古い規格に基づいています。そのため、現代の住宅事情に必ずしも適しているわけではありません。
当時の住宅は断熱材がほとんど使用されておらず、現在の住宅に比べて熱が約7倍も逃げやすい構造でした。そのため、エアコンの性能も「無断熱住宅」を基準に設定されていたのです。
現代の住宅は断熱材や気密性が大きく進化し、熱が逃げにくくなっています。その結果、カタログに記載されている畳数表示が、実際の住宅性能と合わないケースが増えています。
この違いを理解することで、より適切なエアコンを選べるようになるでしょう。
建物構造による適正畳数の違い
エアコンの「◯〜△畳用」という表示は、単に部屋の広さだけでなく、建物構造に応じた適正な畳数を示しています。たとえば、「冷房8〜12畳」と記載されている場合、木造住宅では8畳、RC造住宅では12畳に対応する、という意味です。
建物構造は、主に次の2種類に分けられます。
・木造住宅
・鉄筋コンクリート造住宅(RC造)
木造住宅は気密性が低く、熱が逃げやすい特性があります。そのため、同じ広さの部屋でも、より高性能なエアコンが必要です。
RC造は気密性が高く、熱を保ちやすい構造のため、木造よりも低い能力のエアコンでも効率よく冷暖房ができます。
建物構造を理解することが、より快適な空間をつくる秘訣です。
実際の部屋サイズの計算方法
エアコン選びで部屋の広さがわからない場合でも、簡単な計算で「畳数」を求められます。
1.部屋の縦×横で面積(㎡)を算出(例:縦3.0m×横4.2m=12.6㎡)
2.算出した面積を1.62で割って畳数を計算(例:12.6÷1.62=7.78畳)
不動産公正取引協議会連合会の基準では、1畳は1.62㎡以上と定められています。この計算方法を用いることで、正確な畳数を把握し、適切なエアコン選びが可能となります。(※)
この計算を使えば、簡単に部屋の広さを正確に把握できますので、ぜひ活用してみてください。
※参照:不動産公正取引協議会連合会
初心者でもできる!エアコン畳数計算方法
初心者でもできる!エアコン畳数計算方法
エアコン選びの際に目にする「◯〜△畳用」という表記ですが、具体的にどのサイズが適切なのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、畳数の計算方法のポイントを3つ解説します。
・計算した畳数の0.8倍が目安になる
・リビング続きの和室がある場合は両方の畳数を合算
・地域性を考慮した調整方法
計算した畳数の0.8倍が目安になる
現代の住宅事情を考慮すると、計算で求めた畳数に0.8を掛けた数値を目安にするとよいでしょう。
一般的に、エアコンの畳数表示は、特定の条件下での冷暖房能力を基にしていますが、実際の使用環境はさまざまです。特に、部屋の構造や日当たり、外気温などが影響します。
初心者が条件を考慮して細かく計算するのは大変です。そこで、エアコンは負荷率が0.8前後で運転させているときが最も効率が良くなるため、0.8をかけるのがおすすめです。
先述したとおり、畳数の計算方法は以下のとおりです。
平米数(部屋の縦×横)÷1.62=畳数
例えば、算出した畳数が10畳の場合は、
10畳 × 0.8 = 8畳用のエアコンが適切な選択となります。
1964年の畳数策定当時の家は断熱材がほとんどなく、UA値、Q値、C値に優れた高断熱の家に比べて熱が逃げやすい作りでした。しかし、今の家は断熱性が良くなっているため、この基準でエアコンを選ぶと性能が高すぎる、つまりオーバースペックになることが多くなります。
リビング続きの和室がある場合は両方の畳数を合算
エアコンを選ぶ際には、部屋のサイズに合った容量を選ぶことが大切です。リビングと和室が続いている場合、両方の畳数を合算して計算します。
1.各部屋の畳数を算出(例:リビング10畳+和室6畳=16畳)
2.合計畳数に0.8を掛けて調整(例:16畳 × 0.8 = 12.8畳→14畳用を選択)
部屋全体の広さを把握して適切なエアコンを選ぶことで、快適で効率的な冷暖房が可能になります。
地域性を考慮した調整方法
エアコンを選ぶときは、住んでいる地域の気候や環境を考えることが重要です。
特に寒冷地では、気温が-10℃以下になることもあり、普通のエアコンでは暖房が十分に効かない場合があります。
このような地域には、寒冷地専用のエアコンがおすすめです。
寒冷地仕様のエアコンは暖房能力が高く、雪や氷で壊れないよう工夫されています。また、積雪が多い地域でも、室外機が雪で故障しにくい設計です。
寒い地域では、冷房ではなく暖房の目安畳数を基準に選ぶと、冬でも快適に過ごせます。
鑑定士コメント
電気代を抑えるための適正サイズの決め方はどうしたらよいでしょうか?
エアコンの消費電力を最小限に抑えるためには、設置する空間に最適なサイズのエアコンを選定することが最も重要となります。しかしながら、適切な容量の判断は専門的な知識を必要とするため、簡単ではありません。そこでおすすめなのが、中央電力研究所が提供している「エアコン選定ツール」です。地域や建物の断熱性能、部屋の広さや向きなど、いくつか選択肢を入力するだけで、ぴったりのエアコンを提案してくれます。登録も不要で5分もあれば使えるので、ぜひ試してみてください。
エアコンの畳数表示で失敗しない選び方
エアコンの畳数表示で失敗しない選び方
エアコンは数万円から数十万円の投資が必要となる家電製品です。適切な選定が快適な生活と経済性を左右するため、慎重な選び方が求められます。
ここでは、エアコンの畳数表示で失敗しない選び方を4つ解説します。
・迷ったら「6畳・10畳・14畳」の3種類から選択する
・部屋用途・必要な能力を考える
・建物の構造確認する
・1964年基準の畳数表示に注意する
迷ったら「6畳・10畳・14畳」の3種類から選択する
エアコン選びで迷ったときは、「6畳」「10畳」「14畳」の3種類から選びましょう。これらは多くの部屋に対応しやすいだけでなく、暖房能力に大きな差はないため、おすすめです。
14畳用から29畳用のエアコンでも最大暖房能力はほぼ同じですが、畳数に応じて価格差がついている場合があります。必要以上の大容量機種を選択することは、経済的な観点からもおすすめではありません。
なお、最新型エアコンは省エネ性能が高く、大きめを選んでも無駄な消費が抑えられます。
「6」「10」「14」の中から、少し余裕のあるサイズを選びましょう。
部屋用途・必要な能力を考える
エアコンを選ぶ際には、部屋の用途や使用状況に合った能力を考慮することが大切です。
リビングのような広い空間では冷暖房の負荷が大きく、畳数に余裕を持ったエアコンが必要です。
一方で、寝室や個室のような狭い部屋では、部屋の広さにぴったり合ったエアコンを選んでも問題ありません。10畳以下であれば6畳用を検討しましょう。
また、「部屋の向き」や「窓の数」もポイントです。たとえば、窓が多い部屋や日当たりの良い南向きの部屋では、外の気温の影響を受けやすいので、少し大きめのエアコンがおすすめです。
部屋の特徴に合ったエアコンを選ぶことで、1年中快適に過ごせるでしょう。
建物の構造確認する
エアコンを選ぶ際は、部屋の広さだけでなく建物の構造も確認しましょう。
建物の構造は、以下の書類などで確認可能です。
・建物登記簿謄本(写)
・建築確認書(写)
・建物登記済権利証(写)
建物の構造を確認し、適切なエアコンを選ぶことで快適性を確保しながら、電気代も節約できるでしょう。
1964年基準の畳数表示に注意する
先述したとおり、エアコンのカタログに記載されている畳数表示は、1964年に無断熱住宅を基準に作られたものであるため、現代の住宅事情に合わない部分が多いです。
そのため、畳数表示はあくまで目安に過ぎません。実際のエアコン選びでは部屋の断熱性や気密性、使用環境を考慮する必要があります。
エアコンを選ぶ際は、畳数の基準が昔のものであることを念頭に置き、適した能力を持つモデルを選ぶことが大切です。
マンション・一戸建てのエアコン畳数の違い
マンション・一戸建てのエアコン畳数の違い
エアコンを選ぶ際、マンションと一戸建てでは必要な能力が異なります。これらの違いを理解することで、より最適なエアコンを選べるでしょう。以下の3つのポイントに分けて解説します。
・気密性による違い
・部屋の向きによる違い
・建物の構造による違い
気密性による違い
マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)が多く、気密性が高いため外気の影響を受けにくく、小さめのエアコンでも効率よく運転できます。たとえば「冷房8〜12畳用」の場合、RC造では12畳まで対応可能です。
一方、一戸建ては木造住宅が一般的で、気密性が低く外気の影響を受けやすい特徴があります。同じ「冷房8~12畳用」のエアコンでも、木造では8畳程度が限界になることが多く、フル稼働が必要になる場合もあります。
マンションでは表示に近いサイズで問題ありませんが、一戸建てでは少し大きめのエアコンを選ぶとより快適に過ごせます。
部屋の向きによる違い
マンションは窓が高い位置にあり、特に南向きの部屋は日当たりが良く、冬は暖房が効きやすいのが特徴です。
気密性が高いため、小さめの畳数のエアコンでも十分快適に過ごせます。ただし、夏場は日射熱を蓄えやすく、特に南向きの最上階や窓が大きい部屋では暑くなりがちです。
その場合は、畳数の上限に近い大きめのエアコンを選ぶと安心です。
一方、一戸建ては窓が低い位置にあり、夏は日射熱の影響を受けにくいものの、気密性が低いため冬は熱がどうしても逃げやすくなります。
このため、適正畳数より少し大きめのエアコンを選ぶことで、効率よく暖房ができ、快適に過ごせるでしょう。
建物の構造による違い
マンションの多くはワンフロアの設計で、空気が上下に動きにくい構造になっています。そのため、冷暖房効率が良く、適正畳数のエアコンでも十分に快適な室温を保つことができます。
一方、一戸建ては吹き抜けや階段がある間取りが一般的です。暖かい空気が上方に流れやすく、暖房効率が低下しやすくなります。また、大きな窓が採用されていることも多く、熱が外に逃げやすい点も課題です。
一戸建てのこうした特性を補うためには、適正畳数より余裕のあるエアコンを選ぶことで、夏でも冬でも快適な環境をつくれるでしょう。
エアコン畳数と断熱性能の関係性
エアコン畳数と断熱性能の関係性
エアコンを選ぶとき、カタログの畳数表示だけに頼るのではなく、建物の断熱性能を考慮することが重要です。
ここでは次のポイントについて解説します。
・断熱性能が高い家での正しいエアコンの選び方
・建物構造による断熱効果の違い
断熱性能が高い家での正しいエアコン選び
断熱性能が高い家では、エアコン選びの際にカタログの畳数表示だけでなく、熱の逃げにくさを示す「UA値」に基づいて選ぶことが重要です。UA値が低いほど断熱性が高く、冷暖房の効率も良くなります。
たとえば、UA値0.46(断熱等級6相当)の家で外皮面積337.07㎡、温度差11℃の場合、熱損失量は次のように計算されます。
0.49 × 337.07 × 11 = 1,816W(1.8kW)
この場合、14畳用エアコン(最大暖房能力3.73kW)1台で十分暖められます。
一方、UA値1.67(断熱等級2)の家では、同じ条件で熱損失量が6,182W(約6.2kW)となり、14畳用エアコンでは足りません。
つまり、断熱性能が高い家では小さめのエアコンでも効率よく冷暖房が可能です。エアコンを選ぶ際には、建物の断熱性能をしっかり確認しましょう。
建物構造による断熱効果の違い
鉄筋コンクリート造(RC造)と木造住宅では、断熱性に違いがあります。
RC造は気密性が高く、外気の影響を受けにくいですが、コンクリート自体が熱を伝えやすい性質のため、断熱性があまり高くありません。そのため、夏は室温が上がりやすく、冬は冷えやすい部屋もあります。
一方、木造住宅は木材の熱伝導率が低く、断熱材を組み合わせることで「夏は涼しく冬は暖かい」快適な環境を作りやすいです。ただし、気密性が低い場合が多く、スキマ風が気になることもあります。
建物構造による断熱性の違いを把握し、不安がある場合は少し大きめのエアコンを選ぶと、冷暖房が効きやすくなり、快適に過ごせます。
エアコン畳数の新旧基準の違いで注意するポイント
エアコン畳数の新旧基準の違いで注意するポイント
ここでは、新旧基準の違いで注意するべきポイントを2つ紹介します。
・高断熱住宅では表示畳数より小さめで十分
・実際の使用環境によって調整が必要
高断熱住宅では表示畳数より小さめで十分
リビングなどの広い空間でも、必ずしも表示されている畳数通りのエアコンを選ぶ必要はありません。小さめのエアコンでも十分対応できるケースが多くなります。
ただし、家の断熱性能や日射量、間取りなどによっては小さめでは十分な働きをできない可能性もあるため、注意が必要です。
鑑定士コメント
エアコンの畳数表示が古い基準で設定されている理由は何でしょうか?エアコンの畳数表示が古い基準なのは、国内に約4割の無断熱や断熱性能の低い住宅が存在するためです。表示が「木造」と「コンクリート」で単純に分けられているのも、その名残です。現在では、高断熱の木造住宅や断熱性能が低いコンクリート住宅もあります。実情に合わないケースが多い点には、注意が必要です。
実際の使用環境によって調整が必要
エアコンの畳数表示は昔の無断熱住宅を基準としており、現代の住宅事情には必ずしも適していません。
特に以下のような場合は、畳数が大きめのエアコンがおすすめです。
・キッチンとリビングが一体化した広い空間
・大きな窓がある北向きの部屋
・玄関と直結したリビング
一方、寝室や書斎、子供部屋などの狭い空間では、記載された畳数よりも小さめのエアコンで十分な場合もあります。
畳数表示は単に目安であり、部屋の環境や使用状況をしっかり考慮してエアコンを選ぶことが大切です。
まとめ:畳数を理解すれば適切なエアコンが見つかる!
まとめ:畳数を理解すれば適切なエアコンが見つかる!
エアコンを選ぶ際、カタログの畳数表示は参考になりますが、高断熱・高気密住宅が増えた現代の住宅事情に合わない場合も少なくありません。
高断熱住宅では、表示畳数より小さめのエアコンでも十分対応できることもあります。
一方、吹き抜けのある部屋や窓が多い部屋では熱負荷が高くなるため、大きめのエアコンが必要になるかもしれません。
迷った場合は、「6畳・10畳・14畳」の3種類から選ぶのがおすすめです。多くの部屋の広さに対応しやすく、失敗を防げます。
お住まいの環境に合ったエアコンを選び、一年中快適な生活を実現しましょう。
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不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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