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更新日:2023.02.10
登録日:2022.12.20
マンションの耐用年数はどれくらい?寿命を決める要素とは?
マンションの耐用年数という言葉を聞いたことがあるけれど、どれくらいなのかはあまり耳にしないですよね。また耐用年数を過ぎたらどうなるのかも分からず、少し不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
マンションの耐用年数や耐用年数を過ぎたらどうなるのかなどを知っておくと、マンションを購入・売却する際にも役立つので要チェックです。
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(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
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マンションの耐用年数はどれくらい?
マンションの耐用年数はどれくらい?
マンションの耐用年数は寿命にも関わっており、マンションを選ぶ際は注目したいポイントです。まずは、マンションの耐用年数と寿命について解説します。
税法上のマンションの耐用年数は47年
マンションの耐用年数は47年と税法上で定められています。そもそも耐用年数は減価償却の計算を行うために法律で定められた期間で、マンションの場合は47年で価値がゼロになることを意味しているのです。マンションに住み続けられる期間ではありません。
ちなみに耐用年数は物件の構造により定められており、木造・合成樹脂造の場合は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年で、マンションは基本的に鉄筋コンクリートで作られているので47年となります。(※)
たとえば4,700万円でマンションを購入した場合、「4,700(万円)÷47(年)=100(万円/年)」という計算から、毎年100万円ずつ価値が減っていることが分かります。このように、固定資産の価値や寿命を考える目安となるので知っておくといいでしょう。
※参考:国税庁
耐用年数とマンションの寿命は同じではない
マンションの耐用年数と聞くと寿命と捉える人もいますが、耐用年数と寿命は同じではありません。耐用年数はあくまで減価償却費を計算するために用いられる期間で、「実際にマンションで住める期間」を意味するわけではないです。
マンションの寿命はコンクリートの質がいいかや、適切なメンテナンスが行われているか、自然災害に遭ったことがあるかなどにより変わってきます。
住宅性能表示制度を利用している場合には、マンションの劣化対策を評価する劣化対策等級が1〜3級まで記載されているので要チェックです。等級の数が大きいほど対策が行われていることを意味するほか、1級でも建築基準法上の規定は満たしていることを意味します。
マンションの寿命については、こちらの記事もチェックしてみてください。
マンションの寿命はどれくらい?過ぎてしまった場合はどうなる?
マンションの平均寿命は?
国土交通省が2013年8月に発表した資料によると、マンションの平均寿命は68年です。ただしあくまで平均値で、30年程度でマンションを取り壊すケースもあります。(※)
また寿命は耐震性や経年劣化などの見るポイントにより変わり、マンションによっては震度6~7の地震で倒壊する危険性もあります。特に新耐震基準が定められた1981年以前に作られた建物は、大きな地震が起こると倒壊してしまう可能性が高いです。
経年劣化においては十分なメンテナンスが行われているかが重要なポイントで、しっかりとメンテナンスされていれば100年以上住み続けられるケースもあります。
その他では再開発や区画整理などの事情も寿命を左右する要因で、平均寿命よりも短い期間で取り壊されるケースもあるので注意が必要です。
※参照:国土交通省
マンションの寿命については、以下の記事でもくわしく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
マンションの寿命はどれくらい?過ぎてしまった場合はどうなる?
マンションの耐用年数を超えた場合はどうなる?
マンションの耐用年数を超えた場合はどうなる?
マンションの耐用年数を超えた場合、税法上の資産価値はゼロになりますが、そのまま住み続けることも可能です。耐用年数を超えたからといってすぐに取り壊されるわけではなく、あくまで税法上において定められた期間を過ぎたと捉えておくといいでしょう。
ただ、税法上の資産価値はゼロになることからも、マンションを売却しても買い手がつきにくくなる点には注意が必要です。いずれ手放すことを考えているのであれば、できれば耐用年数を超える前に売却するといいでしょう。
また耐用年数にかかわらず、マンションのメンテナンスが難しいと取り壊しや建て替えが行われる可能性もあります。特にタワーマンションは住民から徴収する修繕積立費が足らず、十分なメンテナンスができないことから、30~40年程度で建て替えになるケースも多いので要注意です。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法
ここでは、マンションの減価償却費の計算方法を解説します。
新築マンションや中古マンション別で注意するポイントがあるので、しっかりと違いを理解してから計算してみてください。
新築マンションの計算式
新築マンションの減価償却費を求める計算式は「取得価額×償却率」です。取得価額は物件を購入した金額で、償却率は耐用年数に応じて定められています。ちなみに鉄骨鉄筋コンクリート造の新築マンションの償却率は0.022です。
たとえば鉄骨鉄筋コンクリート造の新築マンションを1,800万円で購入した場合、耐用年数は47年、耐用年数47年の償却率は0.022で、減価償却費は「(1,800万円×0.022=)396,000円」と分かります。
ただし、上記の計算は2007年4月1日以降に建物を取得した場合に限る点には注意が必要です。2007年3月31日以前に取得した場合は「取得価額×90%×旧定額法の償却率」となります。(※)
※参照:国税庁
中古マンションの計算式
中古マンションの減価償却費も「取得価額×償却率」で計算できます。ただし、中古マンションの場合は物件の耐用年数を計算する必要がある点には要注意です。
まずは新築時の耐用年数から経過年数を引き、物件の耐用年数を算出します。その後に新築マンションと同様、取得価額と耐用年数に応じた償却率を掛け合わせれば、中古マンションの減価償却費を求めることが可能です。
ちなみに中古マンションの耐用年数を求める計算式は「新築時の耐用年数-経過年数+経過年数×0.2」です。
たとえば鉄骨鉄筋コンクリート造のマンション(築10年)を1,800万円で購入した場合、まず耐用年数が「(47-10 + 10×0.2=)39年」だと求めます。耐用年数39年の償却率は0.026であるため、減価償却費は「(1,800万円×0.026=)468,000円」です。
また新築マンションと同じように2007年3月31日以前に建物を取得した場合は、計算式が「取得価額×90%×旧定額法の償却率」となります。
※参照:国税庁
鑑定士コメント
マンションが耐用年数に近づいていくにしたがって、基本的には売れにくくなり、売却価格もどんどん下がっていきます。快適に住める期間が短いので、買う人が見つかりにくいという理由です。一方で、建て替えの目途がたっているマンションは、価格が上がるという逆の値動きをするケースもあります。このケースは現在の住戸よりも、建て替え後の住戸の床面積や負担金の程度の要件により、価格が形成されます。つまり建て替えの実現性の有無が、資産価値に大きく影響するのです。
中古マンションの耐用年数を確認する方法
中古マンションの耐用年数を確認する方法
中古マンションの耐用年数は、自分でも購入前に確認することが可能です。
耐震等級を確認する
中古マンションの耐久性を確認する方法として、2000年に制定された住宅性能表示制度を利用する方法が挙げられます。
住宅性能表示制度は良質な住宅を安心して取得できるように作られた制度で、主に住宅の性能に関する評価を行っています。住宅性能表示制度を利用したマンションは、どれだけマンションが耐久性に優れているかが分かりやすく表示されているのも特徴です。
耐久性に関する評価として耐震等級と呼ばれる基準があり、1級は建築基準法で定められた対策が行われている、2級は震度6強~7の地震でも一定の補修程度で済む、3級は震度6強~7の地震でも軽い補修程度で済むといった特徴があります。耐久性に優れたマンションを購入したい場合は、できるだけ等級の数字が大きいタイプから選ぶといいでしょう。
修繕履歴と修繕計画を確認する
マンションのメンテナンス状況をチェックしたい場合は、管理会社が報告している管理に関する重要事項報告書を見てみるといいでしょう。ただし重要事項報告書には大規模な修繕が行われたかが書かれていないケースもあるので、管理組合議事録をチェックするのがおすすめです。
そこに書かれている修繕履歴を見ると、過去に大規模な修繕を行っているかを確認できます。もし10~12年以上行われていなかった場合は、どんな理由で行われなかったのかもチェックするといいでしょう。特に修繕積立費が足りなかったからという理由には要注意で、メンテナンス状況に問題がある可能性が高いです。
修繕計画においては長期修繕計画書がある場合に要チェックで、いつ作成されたのかも確認するのがおすすめです。5年以上も計画書が変わっていない場合は、管理やメンテナンスへの意識が低い可能性も考えられます。
旧耐震基準の場合は耐震診断も利用する
マンションが新耐震基準ではなく旧耐震基準で建築されている場合は、耐震診断を利用してみるのもおすすめできます。個人が耐震診断を依頼することはできませんが、仲介業者に耐震診断を実施したのか、どんな結果だったのかを聞くことは可能です。
国土交通省が公表したデータによると、耐震診断を実施したマンションの割合は34.0%、そのうち耐震性があると判断された割合は40.8%です。また、耐震性がないと判断されたマンションの38.1%が耐震改修を実施する予定がないと回答しています。(※)
このように耐震性に問題があるマンションも少なからずあるので、耐震診断の実施の有無や診断結果もチェックしておくといいでしょう。
※参照:国土交通省
鑑定士コメント
マンションは住宅ローンが残っていても売却することが可能です。売却代金で残りのローンを一括返済する、かつ抵当権を抹消する必要があります。一括返済ができない場合は、借り換えローンという方法もあります。借り換えローンは新居を購入する場合にその新居のローンと売却する住居のローン残債をまとめて借りるものです。抵当権は新居に設定されます。しかし、通常の住宅ローンより審査が厳しいことや金利が高いことに注意です。
マンションの寿命を決める要素
マンションの寿命を決める要素
マンションの寿命を決める要素には、下記のような要素が挙げられます。マンションの寿命が長くなるために大切なポイントは以下のとおりです。
・管理の状態
・マンションの構造
・立地条件
管理の状態
マンションの寿命を決める要素として管理状態も大切なポイントで、管理のいいマンションは寿命が長くなる傾向にあります。逆に大規模な修繕が長期間行われていないといった管理状態では、マンションの寿命が短い傾向にあるので要注意です。
特に外壁工事や防水工事、配管工事が行われているかがチェックポイントで、マンションの物理的な寿命にも大きく関わっています。外壁を修繕したり防水塗装を施したりすることで、マンションの躯体であるコンクリートの劣化を防いでくれるのがメリットです。
また配管工事も漏水によるコンクリートの劣化を防ぐために重要な作業で、工事が行われないとコンクリートの劣化が早まってしまいます。
マンションの構造
マンションの構造も寿命を左右する見逃せない要素で、特に耐震性に優れているマンションだと寿命が長くなる傾向にあります。耐震性に優れていないと中・大規模な地震が起きた際に倒壊するリスクもあるので、マンションの寿命が短くなる可能性があるといえるでしょう。
特に1981年6月1日以前に施工されたマンションには要注意で、現在の新耐震基準よりも基準が緩い旧耐震基準をもとにしているため、大規模な地震が起こると倒壊する可能性も高いです。
ちなみに旧耐震基準では震度5強程度の地震では倒壊しないこと、新耐震基準では震度6強~7程度の地震でも倒壊しないことが基準になっています。できるだけマンションの寿命が長いほうがいい場合は旧耐震基準ではなく、大規模な地震が起きても倒壊しにくい新耐震基準をもとに作られたマンションを選ぶといいでしょう。
使用している建材の質
マンションに使用している建材の質も寿命を左右する要素の一つで、特にコンクリートの質が寿命に大きく関わっています。過去には質の悪いコンクリートを使用していたがゆえに、雨漏れといったトラブルが発生したケースもあるので注意です。
コンクリートは一見同じように見えますが、どれくらいの強度があるかはコンクリートにより異なります。質のいいコンクリートとしてはセメントに対する水の比率が低いタイプがおすすめで、コンクリートの劣化が起こりにくいのが魅力です。
また給排水管に使用している材料もチェックしておきたいポイントで、サビや腐食に強い塩化ビニール管から選ぶと長い寿命を期待できます。ちなみに鉄管(メッキ銅管)はサビやすいという特徴があるので要注意です。
立地条件
マンションの寿命は立地条件にも左右されており、立地条件のいいマンションは寿命が長い傾向にあります。ただ、立地条件には一長一短といえる部分がある点にも要注意です。
たとえば周りに高い建物があると雨や日差しなどの影響を受けにくい一方で、日光が当たりにくいゆえにカビやコケの温床になりやすいというデメリットもあります。
海に近い場所では潮風が金属を腐食させる可能性もあるので、しっかりとメンテナンスを行う必要があります。逆に対策やメンテナンスがちゃんとしていれば、海岸近くでも寿命に大きな影響を与えないので避ける必要はないでしょう。
どの立地がいいのかは一概にはいえませんが、自分が暮らしたいエリアから立地に合った対策が行われているマンションを選ぶのがおすすめです。
まとめ:耐用年数が近づいてきたら売却を検討してみよう
まとめ:耐用年数が近づいてきたら売却を検討してみよう
マンションの耐用年数は47年と税法上で定められており、47年かけて減価償却していくことを意味します。また耐用年数は寿命ではないほか、減価償却費を計算する方法は新築マンションと中古マンションで異なっている点には注意が必要です。
マンションの寿命を決める要素には管理状態や立地条件などが挙げられ、できるだけ長く住みたいと考えている場合は要チェックといえます。マンションの売却を考えている場合は、税法上の資産価値がゼロになる耐用年数を迎える前に行うといいでしょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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