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更新日:2024.09.12
登録日:2024.01.23
外壁工事の費用相場は?塗料の種類や修繕内容別に紹介
外壁工事は、外壁の紫外線や風雨による劣化を防ぎ、長く住み続けるために必要な工事です。建物の外観を美しく保つ目的もあり、資産価値を高めることにもつながります。
外壁工事をおこなうと、どれくらいの費用がかかるのかを知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では外壁工事の費用相場を解説します。記事の後半では、外壁工事の費用を安く抑える方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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外壁工事の費用相場
外壁工事の費用相場
まずは、外壁工事の費用相場を紹介します。
「令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、マンションの大規模修繕工事金額は、一戸あたり100万円〜125万円(※)かかることが最も多いです。
一戸あたりの修繕費用が100万円〜125万円と仮定し、外壁工事の費用相場を計算します。
修繕費用のうち、外壁工事の割合は約14.8%(※)です。つまり、外壁工事の費用相場は、一戸あたり15万円〜18万円(※)になります。
上記の費用相場をもとに、マンションの規模別に外壁工事の費用相場を計算しました。
実際には、外壁工事で使用する塗料の種類や修繕内容によって、費用は大きく異なります。
※参照:国土交通省
塗料の種類別の費用相場
塗料の種類別の費用相場
外壁塗装で使用する塗料別の費用は、次の表のとおりです。
費用が安くても耐久性が低い塗料を使用すると、すぐに塗り替えが必要になります。
費用と耐久性のバランスを考えて、使用する塗料を選びましょう。
アクリル
アクリル塗料とは、主成分がアクリル系合成樹脂の塗料のことです。ウレタン樹脂やシリコン樹脂が普及する前に、よく使用されていました。
アクリル塗料による外壁塗装の費用は、1㎡あたり約1,500円/1㎡かかります。
価格は安いものの耐久性が低く、頻繁に塗り替えが必要なため、現在はあまり使用されていません。
シリコン
シリコン塗料は、主に外壁塗装で使用されている塗料の一つです。シリコン塗料の主成分は、アクリルシリコン樹脂です。
シリコン塗料による外壁塗装では、1㎡あたり2,300~3,500円の費用が発生します。
価格は高くないにもかかわらず、耐久性が高く、コスパの高い塗料といえます。
フッ素
フッ素
フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分とする塗料のことです。紫外線や汚れなどに強く、耐久性に優れ、屋根や外壁に使用されています。
フッ素塗料を使った外壁工事では、1㎡あたり3,500~4,800円の費用が発生します。
価格はやや高めですが、耐用年数が15年〜20年と長いです。頻繁に塗り替える必要がなく、長期的に見るとコストを安く抑えられます。
ラジカル
ラジカル塗料は、ラジカル制御型の酸化チタンを使用した、最近開発された塗料です。
ラジカル塗料を使って外壁工事をすると、1㎡あたり2,200~4,000円の費用がかかります。
高い耐久性を持った塗料でありながら、それほど価格は高くありません。
ラジカル塗料は、他の塗料と比較すると使用例は少ないですが、今後外壁塗料の主流となる可能性があります。
セラミック
セラミック塗料には、明確な定義がなく、少しでもセラミックが含まれていれば「セラミック塗料」と呼ばれます。
セラミック塗料のなかでも、グレードの高い無機物を含んだ塗料や断熱・遮熱効果のある塗料、石材調の見た目になる塗料などさまざまな種類があります。
種類によって費用相場は変わりますが、1㎡あたり2,300~4,500円です。
種類によって塗料の耐久性にもバラつきがあるため、セラミック塗料を使用する際は事前に調査が必要です。
光触媒
光触媒
光触媒塗料とは、酸化チタンが含まれた塗料です。
光に反応して外壁の汚れを分解するセルフクリーニング効果があります。分解された汚れが雨水によって洗い流されるので、汚れが蓄積しにくいことが特徴です。
費用は1㎡あたり3,800~5,500円と高いものの、耐久性に優れています。
ただし、施工が難しく、依頼する業者が光触媒を扱っているとはかぎりません。選べる色の種類も少ないため、デメリットも踏まえて、使用するかどうかを検討してください。
無機
無機塗料は、主に無機物から配合されている塗料のことです。
一般的に外壁塗装では、ウレタン・シリコン・フッ素などの樹脂が含まれる有機塗料を使用します。
無機塗料の特徴は、雨や紫外線に強く劣化しにくいことです。カビやこけも発生しにくく、有機塗料よりも不燃性があることもメリットです。
無機塗料を使用した外壁塗装では、1㎡あたり3,500〜5,500円の費用が発生します。
鑑定士コメント
マンションの外壁に適した塗料はどれでしょうか?価格もバラツキがあり悩むところです。安い塗料は耐用年数が低く、再塗装までの間隔が短くなり、長期的に見ると費用が高くなりがちです。一般的には、価格と耐久性のバランスがよい、ウレタン樹脂系塗料やシリコン樹脂系塗料が適しているといわれています。
修繕内容別の費用相場
修繕内容別の費用相場
外壁塗装には、いくつかの工程があり、各工程で費用が発生します。
外壁塗装の見積もりをするために、各工程の費用相場を把握しておきましょう。
・足場の設置・撤去
・養生
・高圧洗浄
・下地処理
・塗装
・タイルの補修
・コンクリートの補修
・人件費
足場の設置・撤去
労働安全衛生法により、高さ2m以上の場所で作業する場合には、足場の設置が必要(※)です。
足場費用の計算式は、以下のとおりです。
足場費用=足場架面積×1㎡あたりの単価
※足場架面積=(マンションの外周+8m)×高さ
足場の種類にもよりますが、一般的な枠組み足場を使用する場合、1㎡あたりの単価は1,000円〜1,500円です。
マンションの外周が100mで高さ12mの場合、足場費用は129万6,000円〜194万4,000円になります。
足場費用を無料にする業者には注意しましょう。
足場の運搬・設置・解体費を含めると、必ずコストが発生します。
足場費用を無料にしている分、他の費用を上乗せしている可能性があるため、足場の費用を明記する業者から選んでみてください。
※参照:労働安全衛生法
養生
養生とは、床・窓・ドア・植木など塗装をしない部分に、塗料が飛び散らないようにビニールシートで保護することです。
養生作業にかかる費用は、塗装面積によって変動し、外壁の大きさ1㎡あたり300円〜500円がかかります。
塗装面積別の養生作業の費用は、次の表のとおりです。
高圧洗浄
高圧洗浄
汚れたままの外壁に塗装をしても、塗料が外壁にうまくつかず、すぐに塗装が剥がれる可能性が高いです。
外壁の塗装前には、高圧洗浄で積もった砂ぼこりや汚れを落とします。
高圧洗浄の費用は、外壁の大きさで計算できます。
費用の相場は、外壁1㎡あたり100円〜300円です。
ただし、より洗浄力の高いバイオ系の洗浄剤を使用する場合は、費用がやや割高になります。
下地処理
経年劣化によって、外壁にはサビやひび割れが発生します。サビ落としやひびの補修をおこない、塗装面を平らにすることを下地処理といいます。
下地処理は外壁の状態によって費用が大きく異なるため、費用の相場は不明です。
また、高圧洗浄が下地処理の費用に含まれる場合があります。依頼する業者に見積もりを出してもらい、下地処理にかかる費用を把握しましょう。
塗装
外壁塗装にかかる費用は、使用する塗料によって異なり、1㎡あたり1,500〜5,500円かかります。一般的に使用される塗料はシリコン塗料で、費用は1㎡あたり2,300〜3,500円です。
価格と耐用年数のバランスを考え、使用する塗料を選びましょう。
タイルの補修
タイルの補修
外壁にタイルが使用されている場合には、塗装前にタイルの補修や張り替えが必要です。また、タイルの表面の保護やツヤ出しのために、クリヤー塗料を塗装する場合もあります。
タイル補修工事や塗装の費用は、次の表のとおりです。
コンクリートの補修
コンクリートのひび割れを放置すると、建物内部にも悪影響が出る恐れがあるため、早めに補修する必要があります。
ひび割れの補修工事には、2,000円〜2,500円の費用が発生します。
外壁工事費用を抑える方法
外壁工事費用を抑える方法
前述したとおり、外壁工事には高額な費用がかかります。
しかし、修繕工事の予算はかぎられているため、できるだけ費用を安く抑えたいでしょう。
そこで、費用を安く抑える方法を4つ紹介します。
・自分で業者を選ぶ
・複数の業者から相見積もりをもらう
・住宅ローン減税を利用する
・助成金を申請する
自分で業者を選ぶ
ハウスメーカーに外壁塗装を依頼すると、通常の工事費用に仲介手数料が上乗せされて費用がかさみます。
実際に外壁塗装を行うのは、下請けの業者であることが多いからです。
費用を安く抑えるために、自分で業者を選んでください。知人の紹介や地元のチラシで、依頼する業者を探してみてもよいかもしれません。
実績が豊富な業者を選ぶと安心して外壁工事を任せられるでしょう。
複数の業者から相見積もりをもらう
見積もりを1社にのみ依頼しても、比較対象がなく、費用の相場がわかりません。適切な費用で外壁工事をおこなう業者を探すために、複数の業者から見積もりをもらいましょう。
最低でも3社以上の業者に見積もり依頼をしてみてください。3社以上の業者から見積もりをとっていれば、どの業者が適切な工事を行ってくれそうかを判断できます。
鑑定士コメント
大幅な値引きをする業者は信用できるでしょうか?相見積もりをすると、2度目に大幅に値引きを提示する業者も出てきます。しかし当初の見積りよりも不当に安く見積もりを出してくる業者は要注意です。本来必要な工程を省いていたり、価格の安い塗料を使用していたりするリスクがあります。安い費用で外壁塗装を依頼できる業者には、何か理由があると考え、避けた方がよいでしょう。
住宅ローン減税を利用する
住宅ローン減税を利用する
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)が利用できるタイミングは、新築住宅の購入や建築時だけではありません。
中古住宅の購入やリフォーム時にも適用される場合があります。外壁塗装のみを実施した場合には住宅ローン減税は適用されませんが、大規模修繕に伴う外壁塗装なら住宅ローン減税の対象になります。
ただし、建物の状態やローンの利用状況により適用されない場合もあるので、適用条件をよく確認しましょう。
助成金を申請する
一定の条件を満たしている場合、国や自治体から助成金が支給されます。
助成金の活用で外壁塗装で支払う費用を抑えられ、余った予算を他の工事にあてられます。
ただし、すべての自治体で助成金制度があるわけではありません。詳しくは、以下の記事で確認してみてください。
外壁工事の助成金の基本をおさえよう!助成金と補助金に違いも解説
まとめ:外壁工事は相見積もりをとってしっかり施工会社を厳選しよう
まとめ:外壁工事は相見積もりをとってしっかり施工会社を厳選しよう
国土交通省の調査をもとに計算した外壁工事の費用相場は、一戸あたり15万〜18万円です。一般的に使用されるシリコン塗料では、塗装面積1㎡あたり2,300〜3,500円の費用が発生します。
塗料の種類によって耐久性が異なるので、価格と耐用年数のバランスを見て、塗料を選びましょう。複数業者に相見積もりをし、住宅ローン減税や助成金を利用すると、工事費用を安く抑えられるので活用してみてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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