全国市況レポート
注目記事
学ぶ
更新日:2023.12.20
登録日:2023.12.20
大規模修繕見積もりの取り方は?注意しておきたいポイントも解説
マンションをより長く綺麗に保つためには、大規模修繕が欠かせません。大規模修繕を行うためには、見積もりを取る必要があります。
大規模修繕の費用は、工事の内容によって数千万円にものぼります。そのため、見積もりの取り方によって工事にかかる費用は大きく異なるでしょう。
本記事では、大規模修繕の見積もりとは何か、見積もりの取り方や見積もりを取る際に注意するポイントについて解説します。大規模修繕の見積もりについて知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
マンション図書館の物件検索のここがすごい!
- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
大規模修繕の見積もりとは
大規模修繕の見積もりとは
大規模修繕の見積もりとは、大規模修繕の一連の工事を実際に行う際に発生する費用を、工事業者に確認することです。一般的に、大規模修繕は長期修繕計画に基づいて実行されます。
長期修繕計画の際に修繕費用の目安は把握しているものの、計画を作成したときと実際に工事を行うときでは、マンションの状態や物価などの影響で金額が異なる可能性が高いです。そのため、実際に工事を行う前に大規模修繕の見積もりを取る必要があります。
大規模修繕の見積もりの取り方
大規模修繕の見積もりの取り方
大規模修繕の見積もりを取る場合、下記の手順で行うのが良いでしょう。
・工事の仕様を決定する
・業者を選ぶ
・見積もりを依頼する
・見積もりの内容を修繕委員会で確認する
それぞれの手順について、詳しく解説します。
工事の仕様を決定する
大規模修繕の見積もりを取るために、まずは工事の仕様を決定します。どのような工事を行うか、工程や必要な材料、素材のグレードなどを記載した仕様書を作成しましょう。
工事の仕様は、大規模修繕に関する知識がなければ決定できません。また、正しい仕様書を作成できなければ、見積もりを取る際にさまざまな問題が発生する可能性があります。
なお、工事の発注方式には、大きく分けて「設計監理方式」と「責任施工方式」の方式があります。以下の方式を選ぶ場合は、仕様書作成から業者へ依頼することができます。
※横にスクロールできます。
業者を選ぶ
実際に工事を依頼する業者を選ぶ方法としては、前述のとおり、設計コンサルタント会社に紹介してもらう「設計監理方式」で選ぶ、公募で募る「責任施工方式」で選ぶなどの選択肢があります。
管理組合で直接業者を選ぼうとしても、優良な企業かを見分けることは難しいでしょう。そのため、これまで多くの業者と取引をしてきた管理会社や設計コンサルタント会社に紹介してもらうのがおすすめです。
また、1つの業者だけではなく、複数の業者を選んでおきましょう。複数の業者を選ぶことで、最終的な工事の費用額の比較ができるからです。業者によって最終的な金額が大きく異なる可能性があるため、複数業者を選定しておくことが重要です。
見積もりを依頼する
業者が決定したら、仕様書をベースに見積もりを依頼しましょう。依頼する際は、先に決定している仕様を正しく伝えることが大切です。仕様が伝わらないと、正しい金額がわかりません。
また、複数の業者に依頼する場合は同一の仕様を伝えましょう。仕様が異なると、見積もりの結果をもとに、どの業者へ依頼すべきかの判断が難しくなってしまいます。
見積書の内容を修繕委員会で確認する
業者から見積もりを受け取ったら、その内容を修繕委員会で確認します。修繕委員会とは、大規模修繕に関するさまざまな対応を行う、マンション居住者数名~十数名によって組織される委員会です。
求める仕様が全て反映されているか、金額が適正かなどの視点で見積もりの内容を確認しましょう。
鑑定士コメント
設計監理方式が主流になった背景とは何でしょう?近年、大規模修繕の見積もりは設計監理方式が主流です。理由としては、安価で工事を請け負う業者が増えたことで、手抜き工事などのトラブルが増えているためです。信頼できる施工業者を選ぶ際は、実績の多さ、提案力の高さ、見積もり金額の妥当性を確認しなければなりません。とはいえ、管理組合だけでは優良な業者を選ぶことは難しいケースが多いでしょう。多少費用が発生したとしても専門家に依頼する方が確実に修繕を行うことができます。
大規模修繕の見積もりを取るときに注意するポイント
大規模修繕の見積もりを取るときに注意するポイント
大規模修繕の見積もりを取るときに注意するポイントは下記のとおりです。
・建物診断を見積もり前に行っておく
・相見積もりを取る
・大規模修繕の費用相場を把握する
・工事内容を統一しておく
・見積もりは消費税込みにしてもらう
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
建物診断を見積もり前に行っておく
建物診断とは、マンションの劣化状況などを診断することです。外観や共有部分、防水、耐震性など、さまざまな部分の劣化や不具合をもとに診断を行います。
建物診断を事前に行っておくことで修繕しなければならない箇所を整理できるため、修繕不足や必要のない施工を防ぐことができます。建物診断は、管理会社や施工業者、建築士事務所などに依頼することが可能です。
大規模修繕の工法や材料などの仕様を決定するためにも欠かせないため、事前に建物診断を行っておきましょう。
相見積もりを取る
前述のとおり、見積もりを依頼する際は、かならず複数の業者に見積もりを依頼して相見積もりを取りましょう。1つの業者だけで見積もりを取っても、大規模修繕の費用が適正か判断できません。
複数の業者に見積もりを依頼することで、それぞれの見積内容を比較してどの工事にどれくらいの費用が発生するのか、より正しく大規模修繕を行ってくれそうかなどの判断ができるようになります。
大規模修繕の費用相場を把握する
相見積もりで相場を把握できるとはいえ、依頼する側も大規模修繕の費用相場をある程度把握しておくことは重要です。マンションの大規模修繕の費用は、築年数や大規模修繕の回数などで異なります。
費用相場を把握しておくことで、見積内容をもとに「なぜこの工事がこの金額なのか」といった確認を行うことができるようになります。より相場に合った金額で大規模修繕を依頼するためにも、費用相場を把握しておきましょう。
なお、大規模修繕の費用相場は、100戸の大規模マンションの場合1億円〜1億2,500万円(1戸100万円〜125万円)です。約30戸の小規模マンションであれば、3,000万円〜3,750万円(1戸100万円〜125万円)となっています※。
※参照:令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査
より詳しく大規模修繕の費用相場を知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
マンション大規模修繕の費用はどれくらい?目安をわかりやすく解説
工事内容を統一しておく
見積もりを取る際、工事の内容はかならず統一しましょう。工事の内容が統一されていないと、相見積もりを取った際にそれぞれの業者が異なる仕様を出してくるため比較ができません。
相見積もりの効果がなくなってしまい、費用が適正かを判断できなくなってしまいます。マンションのどの箇所を修繕するのか、どのような材料を使用するのかなど、どの業者に見積もりを依頼しても同じ内容で見積もりを行えるように仕様書を作成しましょう。
見積りは消費税込みにしてもらう
見積もりを取る際は、消費税込みの見積もりを依頼しましょう。大規模修繕は数千万円規模になることもあり、消費税の金額も無視できません。見積もり時は問題なく依頼できると判断できても、契約後に消費税込みの価格を提示されて修繕積立金が足りない・今後の修繕に影響がでるといった問題が発生する可能性があります。
また、相見積もりの際にも正しく比較ができなくなってしまう可能性もあります。例えば、金額だけを見て安い業者を選んだはずが、安い業者は消費税抜き、高い業者は消費税込みの見積もりを提示している場合があります。結果的に消費税込みで見積もりを出してくれていた業者のほうが安かったということもあるため、かならず見積もりは消費税込みで依頼しましょう。
鑑定士コメント
同一条件の見積もりを取得するコツはあるのでしょうか?同一条件の見積もりを取得するには、共通の見積書を用意して、その見積書ベースで見積もりを依頼するのがおすすめです。なぜなら、通常は業者によって見積もりの項目が異なるため、比較しにくいケースが多いからです。共通の見積書で依頼することで、どの作業にどれくらいの費用がかかるかが業者ごとに一目でわかるようになります。
まとめ:大規模修繕の見積もりは正しく行ってもらおう
まとめ:大規模修繕の見積もりは正しく行ってもらおう
マンションの大規模修繕は、工事によって数千万円という大きな金額が動きます。見積もりを正しく行えるかどうかによって、大規模修繕にかかる費用は大きく異なるでしょう。
見積もりを取る際は、工事の仕様を明確にして相見積もりを取るのが重要です。相見積もりをとることで相場観がわかり、より適正な価格で大規模修繕を依頼できます。
見積もりは大規模修繕の費用に大きく関わってくるため、正しく行ってもらいましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
公式SNSをフォローすると最新情報が届きます
あなたのマンションの知識を確かめよう!
マンションドリル上級
あなたにとって一生で一番高い買い物なのかもしれないのに、今の知識のままマンションを買いますか??後悔しないマンション選びをするためにも正しい知識を身につけましょう。
おすすめ資料 (資料ダウンロード)
マンション図書館の
物件検索のここがすごい!
- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家による
コメント表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正
評価」が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
会員登録してマンションの
知識を身につけよう!
-
全国の
マンションデータが
検索できる -
すべての
学習コンテンツが
利用ができる -
お気に入り機能で
記事や物件を
管理できる -
情報満載の
お役立ち資料を
ダウンロードできる
関連記事
関連キーワード
カテゴリ
当サイトの運営会社である東京カンテイは
「不動産データバンク」であり、「不動産専門家集団」です。
1979年の創業から不動産情報サービスを提供しています。
不動産会社、金融機関、公的機関、鑑定事務所など
3,500社以上の会員企業様にご利用いただいています。