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2023.11.22

マンション大規模修繕の費用はどれくらい?目安をわかりやすく解説

マンション大規模修繕の費用はどれくらい?目安をわかりやすく解説

マンションの維持管理には、大規模修繕工事が欠かせません。修繕工事には高額な費用がかかります。

適切に修繕費用を積み立てるために、大規模修繕の費用を知りたい方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、大規模修繕の費用の相場を解説します。

修繕積立金の計算方法や、修繕積立金が不足した場合の対処法を紹介しています。大規模修繕を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。

マンションの大規模修繕費用の相場

マンションの大規模修繕費用の相場

マンションの大規模修繕費用の相場

大規模なマンションと小規模なマンションに分けて、費用の相場を解説します。

 

・大規模なマンション:100戸以上のマンション

・小規模なマンション:50戸未満のマンション

 

そもそも大規模修繕とは、経年劣化したマンションの建物部分や設備部分を定期的に修繕・改修する工事を行うことです。

 

劣化状況にもよりますが、一般的に12年周期で大規模修繕を行います

 

建築基準法では、「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」※と定義されています。主要構造部とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のことです。

 

※引用:建築基準法

 

以下より費用の相場を確認していきましょう。

大規模なマンション

令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査によると、マンションの大規模修繕工事金額の割合は、次の通り(※)です。

 

一戸あたりの工事金額

割合

25万円以下

2.1%

〜50万円

3.5%

〜75万円

9.5%

〜100万円

24.7%

〜125万円

27.0%

〜150万円

17.4%

〜175万円

6.8%

〜200万円

2.3%

200万円超え

2.8%

 

最も多い割合は、「100万円〜125万円」の工事金額です。つまり、一戸あたり100万円〜125万円の修繕費用がかかると考えられます。

 

100戸の大規模マンションにおける、大規模修繕費用の目安は1億円〜1億2,500万円です。

 

※参照:令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査

小規模なマンション

一方で、30戸の小規模なマンションの大規模修繕費用の目安は、3,000万円〜3,750万円です。

 

一戸あたりの修繕費用である100万円〜125万円に、所有するマンションの戸数をかけて、おおよその費用を把握しましょう。

 

ただし、この金額はあくまでも目安であり、マンションの状態や工事の内容によって費用が大きく異なります

鑑定士コメント

修繕費用はなぜ高額になるのでしょうか?修繕費用が高額になる理由は、工事の規模が大きいためです。多くの人手や資材が必要になり、費用が高額になります。最近は、人手や資材不足の影響により、修繕費用が高騰しています。特に建築業界では、人手不足の問題が深刻化しており、今後も修繕費用が高騰すると予想されています。

【工事別】マンションの大規模修繕費用の目安

【工事別】マンションの大規模修繕費用の目安

【工事別】マンションの大規模修繕費用の目安

先ほど、大規模修繕費用の目安を紹介しましたが、実際にかかる費用は工事の内容によって異なります。

 

そこで、次の4つの工事について費用の目安を紹介します。修繕費用の内訳を計算する際の参考にしてみてください。

 

・仮設工事

・外壁工事

・防水工事

・設備工事

 

仮設工事

仮設工事は、共通仮設工事と直接仮設工事の2つに分かれます。

 

共通仮設工事とは、事務所や休憩室、仮設トイレなどの設置にかかる費用です。

 

一方で、直接仮設工事には、足場の設置や安全に作業するためのネット・防護柵の設置などが含まれます。

 

国土交通省の調査によると、仮設工事の費用は、工事全体の22.8%(※)の割合です。

 

大規模修繕の費用(一戸あたり100万円〜125万円)から計算すると、仮設工事の費用は、一戸あたり22.8万円〜28.5万円となります

 

※参照:国土交通省|令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査

外壁工事

外壁工事とは、外壁の塗装や張り替えなどを行う工事のことです。

 

外壁工事には、外観をきれいに見せるだけでなく、風雨や汚れから保護する目的もあります。

 

仮設工事と同様に、国土交通省の調査結果から費用を計算します。

 

修繕工事にかかる費用のうち、建設系工事の費用の割合は60.3%です。建設系工事全体の24.5%が、外壁塗装の費用です。

 

計算すると、外壁塗装工事の費用は、一戸あたり14.5万円〜18.1万円となります。

 

外壁工事の費用は、使用する塗料や劣化状態によっても異なる点に注意しましょう。

防水工事

防水工事

防水工事

防水工事は、工事の工法によって費用の単価が異なります。工法別の費用の目安を、以下の表で確認してみてください。

 

工法

1㎡あたりの費用の目安

特徴

ウレタン防水

3,000円〜7,500円

繋ぎ目がないため、複雑な形状でも施工できる

ひび割れしにくい

シート防水

3,500円〜7,500円

下地に関係なく施工できる

工事の品質が安定する

アスファルト防水

4,000円〜7,500円

耐久性が高い

防水性が保証されている

FRP防水

4,000円〜8,000円

耐久性や耐荷重性が高い

施工できる場所がかぎられている

 

上記の費用に、防水工事を施工する面積をかけて、見積もりを出してみてください。

設備工事

国土交通省の調査によると、大規模修繕工事全体における設備系工事の費用の割合は1.6%(※)です。

 

50戸のマンションで、5,000万円の大規模修繕費用が発生した場合、設備工事の費用は80万円となります。

 

設備系工事の対象となる設備は、以下の通りです。

 

・給水設備

・排水設備

・ガス設備

・空調・換気設備

・電灯設備

・情報・通信設備 など

 

上記の通り、対象となる設備は多いため、費用の目安と大きく異なる可能性が高いです。

 

たとえば、給水工事の場合でも、マンションの規模やパイプの太さによって費用が異なります。

 

建物調査や見積もりを行い、できるだけ正確な費用を把握しておきましょう。

 

※参照:国土交通省|令和3年度のマンション大規模修繕工事に関する実態調査

鑑定士コメント

マンションの長期修繕計画など専門的な領域を担ってくれるコンサルティング会社が注目されています。コンサルティング費用などはどれくらいかかるのでしょうか?コンサルティング費用は、依頼するコンサル会社や委託する業務範囲によりますが、小規模なマンションでも数百万円はかかる場合があります。大規模マンションではさらに高額になる可能性があるため、問い合わせの際に確認してみてください。

マンションの修繕積立金の算出方法

マンションの修繕積立金の算出方法

マンションの修繕積立金の算出方法

修繕積立金額の算出方法は、マンションが採用する徴収方式によって異なります。

 

徴収方法は、大きく分けて2つです。

 

・段階増額積立方式:その時点で必要な修繕費用を徴収する方式

・均等積立方式:住みはじめ当初から一定の修繕金額を徴収する方式

 

国土交通省が推奨する、均等積立方式での計算式(※)を紹介します。

 

修繕積立金額(円/㎡・月)=(修繕積立金の残高+集める修繕積立金の総額)÷(マンションの総専有床面積×計画期間

 

上記の式は、新築の場合だけでなく、修繕積立金額の見直しの際にも活用できます。

 

※参照:国土交通省

大規模修繕工事の費用が足りないときの対応方法

大規模修繕工事の費用が足りないときの対応方法

大規模修繕工事の費用が足りないときの対応方法

修繕工事の費用が足りないときに備えて、対処法を4つ紹介します。

 

・修繕積立金の値上げ

・工事の延期を検討する

・一時金を徴収する

・借り入れを行う

 

計画的に修繕積立金を積み立てていても、想定よりも修繕費用がかかり、費用が不足することは珍しくありません。

 

以下の対応方法を確認していきましょう。

修繕積立金の値上げ

一つ目は、修繕積立金を値上げすることです。

 

ただし、値上げの際には、普通決議で組合員の過半数の賛成を得なければいけません

 

住民が納得し、賛同できるように、値上げの理由や根拠を明確にする必要があります。

 

詳しくは、以下の記事を確認してみてください。

修繕積立金が値上げされた!相場や理由についてわかりやすく解説

工事の延期を検討する

2つ目の方法は、工事を延期することです。

 

実際に、資金不足を理由に、修繕工事を延期するケースは多くあります。

 

延期するデメリットは、マンションの劣化が悪化する可能性がある点です。結果的に、必要な工事が増えると、修繕費用が割高になります。

 

延期するとしても、それほど長い期間の延長はできないことを理解しておきましょう。

一時金を徴収する

一時金を徴収する

一時金を徴収する

費用の不足分を補うために、住民から一時金を徴収する方法もあります。

 

一時金として不足分の費用を徴収できれば、資金不足が解消され、大規模修繕工事に着手できます。

 

一時金の徴収には、修繕金の値上げと同様に、管理組合の普通決議で過半数の賛成が必要です。

 

一時金が必要な理由や金額の根拠を説明し、住民の理解を得られるようにしましょう。

 

住民からすれば、一時金は予定外の出費であり、大きな負担になります。

 

すべての世帯が、一時金を支払えるとはかぎりません。徴収できない世帯があることは覚悟しておきましょう。

借り入れを行う

同様に、管理組合の普通決議で過半数の賛成が必要になりますが、金融機関から借り入れを行う方法もあります。

 

借り入れの際には、住宅支援機構が提供する「マンション共用部分リフォーム融資」と呼ばれる制度を利用しましょう。

 

共用部分のリフォーム工事や耐震改修工事などの工事費用が、対象の融資です。一度、住宅支援機構の公式サイトで利用条件や金利を確認してみてください。

 

借り入れは、今すぐに住民に負担をかける方法ではないため、他の方法よりも住民の合意を得やすいでしょう。

 

ただし、借り入れた金額には利息が発生するため、返済のために修繕積立金を増額することが考えられます

大規模修繕の工事費用を抑える方法

大規模修繕の工事費用を抑える方法

大規模修繕の工事費用を抑える方法

できるだけ工事費用を安く抑えるために、次の3つの方法を試してみましょう。

 

・建物診断を実施する

・信頼できる業者を探す

・相見積もりを取る

建物診断を実施する

大規模修繕工事を行う際には、事前調査として建物診断を実施します。

 

建物診断で、マンションの劣化状況や不具合のある箇所、適切な工事の実施時期を把握できます。

 

建物診断によって工事の必要がない箇所もわかるので、余計な工事費用を抑えられるでしょう。

 

建物診断会社や設計事務所に問い合わせ、建物診断を依頼しましょう。

信頼できる業者を探す

基本的に修繕工事は、管理会社や工事会社などが主導して行います。

 

第三者が工事の内容や費用をチェックしないため、費用が割高になる恐れがあります。

 

信頼できる業者が見つかれば、適切な費用で大規模修繕工事を行ってもらえるでしょう。

 

できれば、大規模修繕工事を専門とする業者に依頼するのが無難です。修繕工事の実績が豊富なので、信頼して任せられます。

 

地域密着型の業者を選びましょう。地域密着型の業者は、信頼関係を大事にしており、適正な価格で修繕工事を請けもってくれる可能性が高いです。

相見積もりを取る

相見積もりを取る

相見積もりを取る

一社だけでは、大規模修繕工事の費用が適切であるかを判断できません。

 

複数社に問い合わせ、相見積もりを取ることが重要です。

 

ただし相見積もりを管理会社に委託すると、管理会社が間に入るため、中間マージンが発生します。

 

費用を安く抑えるために、自ら複数の業者に相見積もりを依頼してください

まとめ:マンションの大規模修繕は信頼できるプロに依頼して費用を抑えよう

まとめ:マンションの大規模修繕は信頼できるプロに依頼して費用を抑えよう

まとめ:マンションの大規模修繕は信頼できるプロに依頼して費用を抑えよう

大規模修繕工事の費用の目安は、一戸あたり100万円〜125万円です。

 

必要な時期に、問題なく修繕工事を実施できるように、計画的に修繕費用を積み立てましょう。資金不足にならないために、定期的に修繕積立金額を見直すことも重要です。

 

費用を抑えるために、信頼できる業者に修繕工事を依頼してみてください。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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