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更新日:2024.09.24
登録日:2024.09.24
手付金とは?不動産売買で押さえておきたい基本をわかりやすく解説
「手付金は不動産売買においてどんな役割がある?」
「手付金はどのくらいの金額を用意すべきかわからない」
「手付金と不動産売買で発生する他のお金との違いは?」
不動産売買を検討する際に、手付金について上記のような疑問や悩みをお持ちになる人は多いのではないでしょうか。
この記事では手付金の役割をはじめ不動産売買で押さえておきたい基本を解説します。また、手付金の相場や支払い方法などについても紹介しているので、手付金についてのさまざまな疑問や悩みが解決できるでしょう。
不動産売買を検討するうえで手付金を詳しく知りたい人は参考にしてください。
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手付金とは何か
手付金とは何か
手付金とは不動産売買において取引金額の一部を買主が売主に対して支払うお金です。正式な契約前に買主が売主に預けるお金ともいわれ、手付金の支払いが契約の成立を表す意味合いもあります。
不動産売買契約後に解約や破棄といった事態になると、手付金が解約金や違約金として法的な意味を持つことになります。
さらに不動産売買での手付金は、売買代金の全額支払いの際に返還されません。一般的に手付金は「支払いの際に、売買代金の一部として充当する」といった契約が多くあります。
手付金の3つ意味
手付金の3つ意味
不動産売買において手付金の役割は3つです。
1.証約手付
2.解約手付
3.違約手付
それぞれの内容をみていきましょう。
証約手付
証約手付とは、買主から売主に手付金が支払われたことで、不動産売買契約が成立したことの証拠となることです。
不動産売買の当事者同士が、契約の成立したタイミングを共有できていない状況を避けられます。
不動産売買はあらゆるステップをふみますが、どのタイミングで契約が成立したかが共有できていないことが少なくありません。
手付金の支払いが、不動産売買の当事者間で売買契約に合意したと明確に共有できるタイミングになります。
解約手付
解約手付とは、手付金が支払われることで不動産売買契約の当事者である買主と売主それぞれに解約権が与えられることです。
買主と売主は、手付金を支払っていれば契約をキャンセルできる権利をもつことになり、具体的には以下の対応が可能になります。
違約手付
違約手付
違約手付とは、不動産売買契約後に買主または売主が債務不履行した場合にペナルティを課すために備える手付金のことです。
違約とされる債務不履行の行為があった場合の具体的な内容は、以下のとおりになります。
不動産売買における手付金と他の金額との違い
不動産売買における手付金と他の金額との違い
不動産売買では手付金以外にも、さまざまな費用の支払いが必要です。手付金と他の費用として支払うお金の違いを表にまとめました。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
手付金と頭金の違い
手付金と頭金の違いは、不動産売買契約の際に用意する義務のあるお金かどうかです。
手付金は不動産売買契約時に買主が用意して売主へ支払う必要がある一方、頭金は買主より支払う必要はありません。なお、頭金は買主が用意した自己資金を購入代金の一部へ支払うお金です。
また、解約時の返金についても違いがあります。手付金は売主から契約を解約された時には買主へ解約手付として返金してもらうことが可能です。一方、頭金は購入代金へ前払いした金額であり、法的拘束力がなく返金されません。
手付金と頭金の違いについて詳細を知りたい人は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
手付金と頭金の違いは?不動産購入時に知っておきたい知識を解説
手付金と内金の違い
手付金と内金の違いは、お金の支払いのタイミングと役割にあります。
手付金は不動産売買契約時に支払われ、契約を成立させるためのものです。一方、内金は不動産売買契約後に支払われる一部金額であり、契約の履行を確実にするために支払われます。
また、手付金は支払い義務がありますが、内金は支払い義務はありません。内金は契約から引渡しまでの期間に支払いの有無や金額などを売主と相談して決めます。
なお、内金は不動産売買契約後に支払われる購入資金の一部であるため、契約解除時には法的拘束力がなく返還もされません。
手付金と申込証拠金の違い
手付金と申込証拠金の違い
手付金と申込証拠金はともに契約の成立前に支払われる金銭ですが、法的な効力をもつかどうかに違いがあります。
申込証拠金は、購入の意思を示すために不動産売買契約より前に支払う金額であり、法的な効力がありません。反対に手付金は不動産売買の契約時に支払うことで契約が成立し、その時点で法的な効力をもちます。
申込証拠金は契約が成立した際には手付金へ充当し、契約が成立しなかった際には返還されることが一般的です。
手付金の相場
手付金の相場
手付金の相場は、一般的に不動産売買代金の5〜10%程度を目安(※1)としていますが、買主と売主の契約内容の合意によっても決められます。
また、不動産会社が売主の場合は、宅地建物取引業法により定められており、手付金の上限額は不動産売買代金の20%(※2)です。
手付金の金額が低すぎると簡単に解約できてしまい、反対に高すぎると解約が難しくなってしまうため、手付金の金額はよく考えて設定しましょう。
※1 参照:東京都住宅政策本部
※2 参照:e-Gov法令検索
鑑定士コメント
手付金は値下げ交渉できるのでしょうか?手付金は値下げ交渉できるケースがあります。必ずしも相場の額面通りに支払う必要はなく、立地条件や売却理由によっては売主と手付金を値下げ交渉する余地があるでしょう。但し、値下げ交渉の際は一方的に要求を突きつけるのはトラブルの元ですので、不動産会社を通じて、誠意を持って交渉のテーブルに載せるのが良いでしょう。
手付金を支払うタイミング
手付金を支払うタイミング
手付金を支払うタイミングは、一般的に不動産売買契約日当日までに買主が売主または不動産業者に支払います。不動産売買契約は通常、住宅ローンの融資が本審査の申し込みに至った時期に行われることが多いです。
住宅ローンの融資が下りる前の支払いになるため、物件価格の5〜10%以上を現金で用意することが必要です。
不動産の購入を計画する際には手付金をシミュレーションして、現金として用意することを計画に盛り込む必要があります。
自己資金での準備が難しいとわかった場合は、親族からの借り入れや家計の見直しによる資金捻出を検討しましょう。
手付金の支払い方法
手付金の支払い方法
手付金の支払いは、法的な決まりがなく現金や銀行振込で行われます。不動産売買契約は銀行営業日ではない土日祝日に行われることが多く、入金確認できないため、手付金は現金で支払われることが一般的です。
契約日前に手付金を振り込む場合がありますが、不動産売買契約日当日までに売主が倒産や失踪することでお金を持ち逃げされるリスクがあります。
持ち逃げのリスク回避のために現金での支払いは効果的です。ただし、手付金の金額は高額になるため、持ち運びには十分気をつけましょう。
また、不動産売買契約時に買主と売主が同席できない場合の支払いの流れを解説します。原則として買主と売主が同席して行いますが、諸事情によって同席できない場合があるでしょう。
同席できない場合は不動産業者が買主と売主のそれぞれと契約手続きを行います。手付金を現金で支払う場合、買主は不動産業者に手付金を預け、不動産業者より預かり証を受け取りましょう。その後、不動産業者から現金を預かった売主からの領収書と引き換えます。
鑑定士コメント
ローンで手付金を支払えるのでしょうか?手付金は原則として現金で支払います。手付金の費用分をローンに組んで借り入れするのは避けましょう。住宅ローンの本審査時に借り入れ状況から手付金のための借金を把握されると落ちてしまう可能性があります。手付金を現金で準備できそうにない場合は親族などからの借り入れや贈与を検討しましょう。
手付金は戻ってくる?
手付金は戻ってくる?
通常、不動産売買契約が無事に履行された場合は手付金は購入代金の一部に充当されるため、戻りません。しかし、ローン特約が不動産売買契約に含まれている場合には手付金が戻ってきます。
ローン特約とは、ローン審査が下りずに借り入れができない場合、不動産売買契約を違約金なしで解除できる特約です。
不動産を購入する人の多くは住宅ローンでの借り入れを購入資金として計画していますが、審査に通らないこともありえるでしょう。
ローン審査に通らないことは買主としてどうしようもできません。手付金が没収されるのを防ぐ策としてローン特約を活用すれば、手付金を全額返還してもらえます。
手付解除の「履行に着手するまで」の意味には注意する
手付解除の「履行に着手するまで」の意味には注意する
買主より手付金を放棄することで契約を解除できる手付解除が可能ですが、期限となる「履行に着手するまで」の意味には注意しましょう。
不動産売買契約の履行の着手とは不動産売買の成立に必要な行為をした時点ですが、具体的にどのタイミングが該当か明確なルールはありません。
例えば以下のタイミングが該当するとされています。
・売主による所有権移転登記の手続きをしたとき
・買主が中間代金(工事の着手時などに支払う代金)や残代金の支払いを行ったとき
上記の場合、中間代金を支払うタイミング以外は、原則引き渡しと同日におこなわれる手続きにあたります。手付解除が引き渡しまでできるため、取引に不安が残るでしょう。
不安回避のため、当事者間の合意で手付解除の期限を定め、不動産売買契約書に織り込むことが一般的です。
まとめ:手付金は適切な金額を設定することが大切
まとめ:手付金は適切な金額を設定することが大切
手付金は不動産売買契約において契約の成立を証明するもので、重要な役割をもったお金になります。手付金の役割は「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つです。解約時には法的な効力を発揮できます。
手付金の金額設定は、安易な解約を防ぐためにも低すぎる金額設定は避けなければなりません。一方で高すぎる金額設定は、真に解約が必要となった場合の足枷になってしまいます。
手付金の一般的な相場を採用するのではなく、不動産売買契約における当事者間で適切な金額を設定しましょう。
#手付金とは、#買主、#売主、#売買契約
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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