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更新日:2023.12.20
登録日:2023.12.20
長期修繕計画とは?マンションの維持管理のために知っておきたい基本知識
マンションの快適な暮らしを維持するためには、長期修繕計画が必要不可欠です。
しかし、長期修繕計画について知らない人も多いでしょう。マンションによっては、計画表を作成していないケースもあります。
そこで、本記事では、長期修繕計画の基礎知識を解説しています。見直しの必要性や注意点についても紹介しているので、計画表の作成時に参考にしてみてください。
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長期修繕計画とは
長期修繕計画とは
長期修繕計画とは、マンションの修繕工事や点検を定期的に行うための長期的な計画のことを指します。
建物の機能や性能を維持し、住民の健全な住環境を確保するためには、マンションの定期的な修繕工事が欠かせません。ただし、大規模な修繕工事の場合は、長期的な期間を見据えて行います。そこで必要となるのが長期修繕計画です。
長期修繕計画書では、10年〜20年単位で、修繕工事の内容・費用・現在の積立状況などをまとめています。
適切なタイミングで修繕工事を実施するために、計画書の作成が必須です。修繕積立金も、長期修繕計画をもとに金額を設定します。
国土交通省が公表する「長期修繕計画ガイドライン」を参考に、計画書を作成するのが一般的です。
ガイドラインは、計画書の作成時だけでなく、計画書をチェックする際にも役立ちます。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
長期修繕計画作成ガイドラインとは?基本的な内容や改正点について簡潔に解説
長期修繕計画の目的
長期修繕計画の目的
長期修繕計画を作成する主な目的は以下の3つです。
・将来必要な工事内容や修繕費を把握するため
・修繕積立金設定金額の根拠を示すため
・修繕工事をスムーズに行うため
それぞれ解説します。
将来必要な工事内容や修繕費を把握するため
長期修繕計画を作成することで、将来的に必要な修繕工事の内容や費用を把握できます。
マンションの性能や機能を維持するためには、建物の劣化状況に応じた修繕工事の実施が必要です。
いつ、どのような工事・点検が必要かを確認し、修繕費用を算出します。
とくに大規模修繕の費用は高額になるため、あらかじめ見積もりを立て、計画的に費用を積み立てておくことが大切です。
修繕積立金設定金額の根拠を示すため
長期修繕計画を作成することで、修繕積立金設定金額の根拠を示せます。
修繕費用は、基本的にマンションの区分所有者が負担します。修繕積立金の額は決して安くなく、毎月2〜3万円かかります。区分所有者に納得して支払ってもらうためには、金額の根拠を示す必要があります。
長期修繕計画は、修繕積立金額の根拠となるものです。
修繕積立金が不足し、徴収金を値上げするケースもあります。区分所有者への説明の際にも、長期修繕計画が必要になります。
住民の理解を得られれば、値上げにも応じてもらえ、必要な費用を用意できるでしょう。
修繕工事をスムーズに行うため
修繕工事をスムーズに行うため
長期修繕計画を立てることで、修繕工事をスムーズに行えます。
修繕工事は、施工会社の選定から工事の発注・住民への説明会の実施・着工など、さまざまな工程があります。準備期間から考えると、1年以上かかる場合もあるのです。
長期修繕計画で工事の時期や内容について事前に共有されていれば、トラブルに発展しにくく、円滑に工事を実施できるでしょう。
長期修繕計画は各マンションに合わせて作成する
長期修繕計画は各マンションに合わせて作成する
長期修繕計画は、対象部分の法定償却期間ではなく、過去の工事例から設定された物理的耐用年数を参考に作成します。
ただし、マンションごとに立地や環境、材質や管理方法が異なるので、そのマンションに合った修繕周期を設定・作成しなければなりません。
基本的にマンションの新築分譲時、長期修繕計画はすでに作成されているケースが多いです。計画表が作成されていない場合にも、管理組合の設立後、すみやかに作成しましょう。
長期修繕計画が適切に立てられるように、国土交通省から長期修繕計画ガイドラインが出されています。そのため、ガイドラインを参考に作成してください。
対象箇所ごとの修繕周期や長期修繕計画の具体的な作成方法については、以下の記事で確認できます。
また、長期修繕計画の作成を専門家に依頼する場合もあります。
鑑定士コメント
すべてのマンションに長期修繕計画があるのでしょうか?通常、新築分譲時に長期修繕計画が作成され、当面はこの計画通り進むと言っていいでしょう。しかし中長期的に見れば新築分譲時に長期修繕計画は確定ではなく、どこかのタイミングで見直しが入ることが多いです。新築時に想定していなかった箇所の劣化・故障もあるでしょうし、特に最近顕著なのは建築工事費の急激な高騰での見直しです。積立金不足になり期間や修繕箇所の見直しが入ることもあります。また、マンションによっては長期修繕計画がない場合もあります。とくに小規模なマンションでは、そもそも修繕箇所が少ないため、修繕計画がないことも珍しくありません。
長期修繕計画は5年ごとの見直しが必要
長期修繕計画は5年ごとの見直しが必要
新築当初とはマンションの状態が異なるため、新築時に長期修繕計画を作成していても、定期的な見直しは必須です。見直しは5年ごとに行うのが一般的です。
新築時はマンションの状態に問題がなくても、風雨や紫外線などの外的要因や住民の利用による人的要因によって建物は劣化します。見直しをしないままでは、直前で想定を上回る工事費用がかかったり、早いタイミングで工事が必要になったりします。
長期修繕計画を見直すタイミングや注意点については、以下の記事で確認してみてください。
長期修繕計画の見直しは必要?タイミングや注意しておきたいポイントを紹介
修繕積立金とは
修繕積立金とは
修繕積立金とは、大規模修繕工事に必要な費用のことで、マンションの区分所有者から徴収しています。
毎月一定額を徴収して積み立てるため、「修繕積立金」と呼ばれています。
金額の決定には、計画期間内で一定額ずつ積み立てる「均等積立方式」を採用し、作成した長期修繕計画をもとに決定されます。
修繕積立金の設定方法については、長期修繕計画ガイドラインに記載されています。ガイドラインを確認しながら、適切な修繕積立金を定めましょう。
長期修繕計画の注意点
長期修繕計画の注意点
長期修繕計画の注意点は、次の3つです。
・長期修繕計画どおりに進まないケースもある
・費用が足りないときは早めに対応する
・修繕積立金の金額をしっかりチェックする
長期修繕計画どおりに進まないケースもある
長期修繕計画は、計画どおりに進まないこともあります。
マンションは劣化状況によって、想定よりも工事すべき箇所が増えたり、早いタイミングで工事が必要になったりします。
そのため、長期修繕計画表のとおりに進まないケースがあることを考慮しておきましょう。
とくに、計画の見直しをおこなっていないと、見積もりよりも高額な費用がかかることが多いです。
資金不足を防ぐためにも、計画表の定期的な見直しが大切です。
費用が足りないときは早めに対応する
マンションの修繕積立金額が低く設定されていたり、想定よりも必要な工事が多くなったりすると、費用が不足します。
費用が不足し、修繕工事が延期すると、マンションの劣化が進む恐れがあります。資金不足に気づいたら、迅速に対応しましょう。
不足した費用を補う方法として、次の2つが挙げられます。
・修繕積立金の値上げや一時金の徴収をおこなう
・金融機関から借り入れる
ただし、修繕積立金の値上げや一時金の徴収をおこなうためには、管理組合での決議が必要です。
鑑定士コメント
長期修繕計画は赤字が当たり前と聞きましたが本当でしょうか?新築分譲に作成される長期修繕計画では、一般的に必要な工事を想定し、費用を算出する場合が多いです。あくまで作成時点における計画であるため、突発的な修繕があったり、建築費の高騰などがあれば、赤字になることも珍しくありません。そういったケースに備えて費用を多めに見積もるマンションもありますが、区分所有者の毎月の負担増になるので、総会でももめることが多く、頭が痛いところでしょう。
修繕積立金の金額をしっかりチェックする
修繕積立金の金額をしっかりチェックする
修繕積立金が適正額であるかをチェックすることも重要です。
修繕積立金の額が少ないと、将来的に値上げすることが予想されます。修繕積立金の値上げは、住民にとって負担になります。
まずは、ガイドラインを参考に長期修繕計画を作成し、計画どおりに工事をおこなうための修繕積立金を設定しましょう。
設定金額に明確な根拠があれば、住民からの反発は起こりにくく、納得したうえで支払ってもらえます。
定期的な修繕積立金額の見直しも忘れずに行ってください。
まとめ:長期修繕計画をしっかり行い資産価値の高いマンションにしていこう
まとめ:長期修繕計画をしっかり行い資産価値の高いマンションにしていこう
将来必要な工事内容や費用を把握し、適切な修繕積立金を設定するためには、長期修繕計画が必要不可欠です。
年月がたつにつれ、マンションの状態も変化するため、計画の見直しも怠らないようにしましょう。
住民の快適な暮らしを守り続けるために、ガイドラインを参考に長期修繕計画を作成してみてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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