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更新日:2025.09.26
登録日:2025.09.26
マンションの「アルコーブ」とは?間取り図のあのスペースについて解説

「アルコーブとは具体的にどんなもの?」
「どんなメリットやデメリット・活用方法がある?」
アルコーブという言葉は聞いたことがあるものの、実際にどのようなものかについて詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。本記事では、アルコーブに関する下記の内容について解説します。
アルコーブ付きマンションを選ぶ際の参考として、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
・アルコーブとは壁面を窪ませて生み出したスペースのこと
・プライバシーや防犯面などでメリットがある一方、好きに利用できないというデメリットもある
・住戸内のアルコーブは書斎やワークスペース、子ども用のスペースとして活用できる
・アルコーブ付きマンションを選ぶ際は、実際のサイズや奥行き、管理規約などを確認することが大切
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アルコーブとは

アルコーブとは
アルコーブと聞いても、実際にどのようなものか、定義などを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。ここでは、アルコーブについて下記の内容を解説します。
・アルコーブの定義
・マンションと戸建てのアルコーブの違い
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
アルコーブの定義
建築分野におけるアルコーブとは、「壁面の一部を窪ませて確保したスペース」のことです。アルコーブは英語で「窪み」と言う意味があり、建築分野においても窪みを活かしたスペースをアルコーブと呼びます。
アルコーブは、機能性と装飾性を両立したデザインです。ヨーロッパのバロック様式の建築技法として用いられ、さまざまな用途に活用されています。
日本建築でのアルコーブとしては、和室の床の間をイメージすると良いでしょう。床の間も壁面の一部を窪ませてできたアルコーブの一種であり、日本でも古くからアルコーブが活用されていることがわかります。
マンションと戸建てのアルコーブの違い
アルコーブは、マンションと戸建てで活用方法が異なります。戸建てのアルコーブは、主に室内にスペースが確保されている住戸内のアルコーブです。
一方、マンションのアルコーブは玄関前のスペースを指すことがほとんどです。具体的には、廊下と面している壁を窪ませて、廊下と玄関の間にスペースを確保しています。
マンションのアルコーブは「屋外アルコーブ」とも呼ばれており、マンションと戸建てのアルコーブに違いがあることがわかります。なお、屋外アルコーブが主流のマンションですが、一部のマンションには住戸内のアルコーブが設置されていることもあります。
アルコーブと玄関ポーチ・サービスバルコニーとの違い

アルコーブと玄関ポーチ・サービスバルコニーとの違い
アルコーブと同じようなスペースとして、玄関ポーチ・サービスバルコニーがあります。全て同じと思う人もいるかもしれませんが、それぞれ違いがあります。
玄関ポーチは、マンションのアルコーブと同様に廊下と玄関との間に設けられたスペースです。アルコーブとの大きな違いは、主に下記の2つです。
・廊下との境界に門扉がある
・専用使用部分(共用部)になっている
マンションのアルコーブは、基本的に共用廊下の一部であり、廊下との境界がない共用部分です。一方、玄関ポーチは明確に廊下との区切りがあり、共用部分ではあるものの専用使用部分とされていることがあります。
また、サービスバルコニーは少し奥行きのあるバルコニーであり、規約に則って申請許可が下りればエアコンの室外機や配管などを設置できる場所です。間取りを見ると似ているように感じますが、あくまでもバルコニーの一種であるためアルコーブとは異なります。
アルコーブ付きマンションのメリット

アルコーブ付きマンションのメリット
アルコーブ付きのマンションには、下記のようなメリットがあります。
・プライバシーを確保しやすい
・防犯性がアップする
・通行人とぶつかるリスクが減る
・玄関まわりに奥行きと高級感を演出できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
プライバシーを確保しやすい
アルコーブには、プライバシーを確保しやすいというメリットがあります。と言うのも、アルコーブがあることで廊下や外から部屋の中を見られにくいからです。
廊下に直接玄関があると、ドアを開けた際に廊下から部屋の中が丸見えになってしまいます。部屋の中をのぞかれるのはあまり良い気分ではなく、人によっては廊下から見えてしまう可能性があるだけでもストレスを感じてしまう人もいるでしょう。
アルコーブがあることで視界が遮られやすいため、プライバシーを確保しやすいです。
防犯性がアップする
防犯性がアップするのもメリットです。プライバシーの確保と同様に、玄関の開け閉めが見えにくくなると防犯性も高まります。
ドアの開け閉めが外から見えないと、空き巣の下見などを防止する効果があります。不審者が部屋の中を覗き見たり鍵の開け閉めの様子などを確認したりできないため、狙われにくくなるでしょう。
通行人とぶつかるリスクが減る
玄関と廊下の間にスペースがあることで、廊下の通行人とぶつかるリスクが減ります。玄関が直接面していると、どれだけ注意してもドアを開けた際に通行人にぶつかったり、反対に自分が廊下を歩いているときに玄関が開いてぶつかったりするリスクがあります。
アルコーブがあると、廊下の通行人にドアがぶつかるというリスクはありません。また、アルコーブから出る際も一呼吸おけるため、廊下の状況をきちんと確認できます。
玄関まわりに奥行きと高級感を演出できる
玄関まわりに奥行きと高級感を演出できるのもメリットの1つです。
アルコーブがある玄関は、アルコーブがない玄関と比べて空間に余裕ができます。空間に余裕があると、外から見ても奥行きを感じられて全体がおしゃれな雰囲気になるでしょう。
アルコーブ付きマンションのデメリット

アルコーブ付きマンションのデメリット
アルコーブ付きのマンションには、下記のようなデメリットもあるため注意しましょう。
・私物を自由に置けない可能性が高い
・専有面積に含まれない
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
私物を自由に置けない可能性が高い
アルコーブには、私物を自由に置けない可能性が高いというデメリットがあります。と言うのも、アルコーブはあくまでも廊下の一部であり、廊下と同様に共用部分であるためです。
玄関の前にアルコーブがあるからといって、共用部分であるアルコーブには自分の好きなものを自由に置くことはできません。エアコンの室外機などの設置を許可されていることはありますが、災害時の避難経路や防災の観点からも基本的に物を置けないと考えておく必要があります。
専有面積には含まれない
先述した通り、アルコーブは共用部分であるため区画所有における専有部分に含まれず、リフォームなどで手を入れることもできません。スペースがあるのに自分の思い通りに使用することができないのはデメリットの1つでしょう。
鑑定士コメント
マンションの管理規約にもよりますが、ほとんどの場合アルコーブに自転車などを置くことは出来ません。あくまでも廊下の一部であるため、廊下そのものと同様に私物を置くことは禁止されています。近隣や管理組合とのトラブルに発展してしまうため、必ず管理規約に従いましょう。
住戸内のアルコーブ活用術

住戸内のアルコーブ活用術
マンションでも、住戸内にアルコーブが設置されていることはあります。住戸内のアルコーブには、下記のような活用方法があります。
・書斎・ワークスペースとして使う
・ベッドやソファを設置してくつろぎスペースにする
・子ども用のスペースとして使う
それぞれの活用方法について、詳しく見ていきましょう。
書斎・ワークスペースとして使う
アルコーブにデスクを設置することで、書斎やワークスペースとして活用できます。
近年はリモートワークの普及によって、在宅で仕事をする人も多いでしょう。リビングや自室などで仕事をすることもできますが、どうしても他のものが目に入って集中できないことがあります。
アルコーブは壁に囲まれているため、読書や仕事などに集中しやすくなります。
ベッドやソファを設置してくつろぎスペースにする
アルコーブにベッドやソファを設置することで、安心感のあるくつろぎスペースをつくれます。アルコーブは壁面に作られた窪みであるため、三方が壁で囲われています。
限られたスペースにベッドやソファを設置すると、くつろぎスペースがコンパクトにまとまって安心感のある独特なスペースを作れるでしょう。
子ども用のスペースとして使う
アルコーブは、子ども用のスペースとして活用するのもおすすめです。学習机を設置すれば勉強スペースとして、おもちゃなどを収納しておけば遊び場になります。
限られたスペースは秘密基地のような楽しさがあり、子どもも喜ぶスペースでしょう。アルコーブにおもちゃを収納しておくことで、リビングがおもちゃで散乱しないなどのメリットもあります。
アルコーブ付きマンションを選ぶ際に注目する点

アルコーブ付きマンションを選ぶ際に注目する点
「アルコーブが付いているから」という理由だけでマンションを選んでしまうと、使い勝手が悪く「想像と違う」と感じてしまうことがあります。そのため、アルコーブ付きのマンションを選ぶ際は下記のようなポイントに注目しましょう。
・実際の広さ・奥行きは十分か
・共用部分のルールは管理規約を必ず確認
・部屋全体とのバランスがとれているか
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
実際の広さ・奥行きは十分か
アルコーブ付きのマンションを選ぶ際は、アルコーブに十分な広さ・奥行きがあるかを確認しましょう。アルコーブは安全面や防犯面でメリットが多いですが、十分な広さがないと効果が期待できません。
アルコーブの広さや奥行きが十分でないと、ドアを開けた際にアルコーブ内に収まりきらず廊下に飛び出してしまう可能性があります。まずは、しっかりとアルコーブの広さ・奥行きが確保されているかを確認することが大切です。
共用部分のルールは管理規約を必ず確認
アルコーブは共用部分であるため、事前に管理規約を確認してルールを把握することが大切です。清掃などの管理はどのようになっているか、エアコンの室外機などは設置してよいかなど、アルコーブの管理はマンションによって異なります。
アルコーブがあるからといって、自分の好きなように利用することはできません。必ず管理規約を確認して、アルコーブの取り扱いルールを把握しておきましょう。
部屋全体とのバランスはとれているか
住戸内のアルコーブは、便利な一方で部屋全体のバランスが崩れてしまう恐れもあります。使い勝手の悪い住戸内のアルコーブはただの物置になってしまいやすく、部屋の景観を損なう可能性があります。
あくまでも便利なスペースの1つであるという前提で、アルコーブを第一の目的にするのではなく部屋全体のバランスが取れていることを確認しましょう。
なお、マンションの内見時のチェックリストについてより詳しく知りたい場合は以下の資料をご覧ください。無料でダウンロード可能です。
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鑑定士コメント
アルコーブ付きのマンションは、構造が複雑になるため建築費用が高くなりがちです。そのため、アルコーブがない、立地や築年数・専有面積が類似するマンションと比べて、専有面積当たりの単価が高くなる事例が多く見られます。ただし、逆に言えば居住性に優れ、資産価値が高いとも言えます。
まとめ:アルコーブを理解して、賢いマンション選びをしよう

まとめ:アルコーブを理解して、賢いマンション選びをしよう
マンションのアルコーブは、主に玄関先に確保されたスペースです。ドア開閉時の安全性や防犯面でメリットがある一方、自由に物を置けないというデメリットもあります。
また、マンションでも住戸内にアルコーブが設置されていることもあり、住戸内のアルコーブは書斎やワークスペース、子ども用のスぺ-スなどさまざまな活用方法があります。
マンションによって管理規約でアルコーブの扱い方がルール化されているため、アルコーブを理解したうえで賢いマンション選びをしましょう。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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