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更新日:2024.12.20
登録日:2023.07.20
市街化区域とは?市街化調整区域との違いやメリット・デメリットを解説

全ての土地は、どこでも好きなように家やマンションを建てられるわけではありません。それぞれの土地でどのようなことができるかは都市計画によって定められており、その中でも特に把握しておきたいのが市街化区域です。
本記事では、市街化区域とは何か、特徴や市街化調整区域との違いなどについて詳しく解説します。メリットやデメリット、調べ方についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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市街化区域とは

市街化区域とは
市街化区域とは何か、基本的な特徴を解説します。
・市街化区域は都市計画法で定められている
・市街化区域は大きく分けると3種類
・市街化区域の用途は13種類
ひとつずつ紹介します。
市街化区域は都市計画法で定められている
市街化区域とは、都市計画法において定められた区域を指します。市街化区域は、都市計画法第7条において「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(※)と定められています。
都市計画法は、秩序ある都市の発展や整備を図るために制定された法律です。暮らしやすい街づくりを目指しています。
過度な建築行為や開発行為を防ぎ、バランスの取れた都市計画を進めるため、整備、土地利用、市街地開発などに規制がかけられています。
※参照: 都市計画法
市街化区域は大きく分けると3種類
市街化区域には用途地域が決められており、土地の利用方法に応じて大きく「住居系・商業系・工業系」の3つに分けられます。それぞれの特徴は以下の通りです。
市街化区域は、原則として用途地域を定めることで土地利用の方向性を制限しています。それは、近隣の土地と異なる目的で利用すると、住みにくい環境になるからです。例えば、小中学校や公園のあるエリアに、工場系の建物が隣接してしまうと、公害や騒音などの問題が発生してしまいます。
そのため、事前にエリア毎に利用できる用途を決めておくことで、利便性の高い住み心地のよい街づくりを目指しています。地域によって、同じような用途の建物が並ぶのはこれが理由です。
市街化区域の用途は13種類
市街化区域は土地利用の方向性によって3つに分類され、さらに細かくわけたものを「用途地域」と呼びます。用途地域は都市計画法によって定められており、建てられる建築物の種類によって13種類に分けられています。
用途地域の具体例は以下のとおりです。
※横にスクロールできます。
用途地域の種類によって、建築時の制限や建て方のルールが決まっています。道路の幅や土地の面積に合った建物の高さ制限などが定められているのです。
なお、第一種住居地域や第二種住居地域については下記の記事で詳しく解説しています。建築規制やエリア内で建てられる建物の特徴などを知りたい人は、ぜひご覧ください。
市街化区域が含まれる都市計画区域とは

市街化区域が含まれる都市計画区域とは
都市計画区域とは、国土交通大臣や都道府県知事が定めた街づくりのエリアを指します。市街化区域が含まれる都市計画区域を3つのポイントに分けると以下のとおりです。
・都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれる
・方向性が決まっていない都市計画区域は「非線引き区域」と呼ばれる
・都市計画区域以外のエリアは2種類に分かれる
上記の3つのポイントについて詳しく解説します。
都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれる
都市計画法では、市街化区域とは別に「市街化調整区域」があります。名称だけでは、市街化区域との違いがわかりにくいかもしれません。しかし、市街化調整区域とは、市街化を行わない地域として定められており、市街化区域とは特徴が大きく異なります。
市街化調整区域は、都市計画法第7条第3項において「市街化を抑制すべき区域」と定められており、基本的に自由に建物を建てられません。建物を建てたり増改築を行うためには自治体の許可が必要になります。
このように、市街化調整区域は、市街化を進める市街化区域とは異なり、森林など自然や農地の保全を目的として定められているエリアです。
都市計画では、市街化区域と市街化調整区域の線引きを「区域区分」と呼び、計画的な都市づくりの推進を目指しています。
鑑定士コメント
誰が市街化区域や市街化調整区域の場所を決定しているのでしょうか?市街化区域と市街化調整区域は、都市計画法に基づいて定められます。これを「区域区分」と言い、都市計画法第7条に決定権者として都道府県と規定されていますので、都道府県知事が決裁者として決定しています。
方向性が決まっていない都市計画区域は「非線引き区域」と呼ばれる
都市計画区域内には、市街化区域と市街化調整区域に該当しないエリアを「非線引き区域」と定めています。
非線引き区域は、現状では積極的に市街化が進む可能性が低く、規制が緩いという特徴があります。そのため、土地利用に制限が少ないというメリットがありますが、周辺環境の変化にも制限がない点は注意が必要です。近隣に異なる用途の建物が建設されるリスクもあります。
都市計画区域内であるため、将来的には街づくりが進む可能性がありますが、現状では方向性が定まっていないため、利用には慎重さが求められます。
都市計画区域以外のエリアは2種類に分かれる
都市計画区域外のエリアは、以下の2種類に分けられます。
・都市計画区域外
・準都市計画区域
「都市計画区域外」は、都市計画の中で市街化区域や市街化調整区域、非線引き区域に該当しないエリアのことをいいます。高速道路、幹線道路などの大規模な開発によって、周辺環境や景観が大きく損なわれる可能性があるエリアを「準都市計画区域」と定めています。
準都市計画区域は、現状では人の往来が少ない都市計画区域外のエリアですが、市街化が見込まれる重要な地域です。そのため、土地利用もあらかじめ規制されています。
市街化区域のメリット

市街化区域のメリット
市街化区域には、下記のようなメリットがあります。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
・誰でも家を建てることが可能
・売却しやすい
・利便性が高く生活しやすい
誰でも家を建てることが可能
市街化区域は市街化を目的として定められた地域であるため、誰でも家を建てることが可能です。市街化調整区域では、自治体の許可が無ければ家を建てたり増改築を行ったりすることができません。
しかし、市街化区域では許可申請を行う必要がなく、工業専用の地域をのぞけば大きな制約なしで住宅を建てられます。そのため、住宅を建てる場合は市街化区域の土地を購入するのが無難です。
売却しやすい
市街化区域は、すでに都市が形成されている場所や今後優先的に開発されていく地域です。一般的に、都市部の土地は需要が高いため、売却しやすい傾向にあります。
そのため、市街化調整区域と比べると、住宅を売却しやすいでしょう。不動産価値も高くなりやすく需要も高いため、高値での売却も狙えます。
利便性が高く生活しやすい
都市部である市街化区域は、電気・ガス・水道などの社会インフラに困ることもなく、学校や病院、役所なども集積されています。駅や主要道路へのアクセスも良く、全体的に利便性が高く生活しやすい地域です。
一方、市街化調整区域は駅などの公共交通機関が遠く、商業施設が少ないなど利便性はよいとはいえません。
市街化区域のデメリット

市街化区域のデメリット
市街化区域には、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。それぞれどのようなデメリットか、詳しく解説します。
・都市計画税がかかる
・住宅や土地の価格が高め
・用途地域に制限がある
・敷地面積が小さい可能性がある
都市計画税がかかる
市街化区域のなかに建物や土地などの不動産を所有していると、都市計画税が発生します。
固定資産税のように、1月1日の時点で建物や土地などの固定資産をもつ人は必ず支払わなくてはなりません。都市計画税の具体的な計算のしかたは、下記のとおりです。
【課税標準】×【0.3%(制限税率)】=【都市計画税】
課税標準とは固定資産課税台帳に登録されている価額を指し、それぞれの地域の自治体によって定められています。都市計画税は課税標準に税率をかけて計算し、都市計画税の上限は0.3%です。
市街化区域はメリットが多い反面、都市計画税がかかることを覚えておく必要があります。
住宅や土地の価格が高め
市街地区域には、売却がしやすいというメリットがありますが、このメリットはあくまで売却時のメリットです。購入時はその利便性の高さからニーズが高く、住宅や土地の価格が高くなりがちです。
市街化調整区域と比べると、同じ規模の住宅や土地では高くなってしまいます。また、住宅や土地の価格が高いということは、その分固定資産税評価額が高くなるため税金も高くなる傾向にあります。
用途地域に制限がある
市街化区域は、用途によって13種類の用途地域に分かれるということを先述しましたが、それぞれの用途地域によって建てられる建物の種類が異なります。一般的な2階建て程度の住宅であれば特に問題ありませんが、用途地域によっては3階建ての建物を建てられないなどの制限があります。そのため、市街化調整区域と比べると建物の自由度は下がるでしょう。
用途地域については以下で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
鑑定士コメント
市街化区域内の農地に家を建てるにはどうしたらよいでしょうか?農地に家を建てる場合など、土地の使い方を農地以外に変更するいわゆる農地転用を行う場合は届け出が必要です。市街化区域か市街化調整区域によって届け出の方法は異なりますが、市街化区域の場合は農業員会への届け出を行うことで農地転用を行えます。ただし、自治体によっては農地転用ができない場合もあるため、まずは農業委員会へ確認しましょう。
敷地面積が小さい可能性がある

敷地面積が小さい可能性がある
流通している敷地面積が希望よりも小さい可能性があります。市街化調整区域に比べ、市街化区域の最低敷地面積は小さく設定されやすい傾向があるためです。
宅地などの開発において、最低敷地面積が定められていることがあります。したがって、市街化区域の土地購入を検討する場合は、敷地面積が小さくなりやすい点を考慮しておく必要があるでしょう。
市街化区域を調べる方法

市街化区域を調べるには
マンションを選ぶ際に、どの地域が市街化区域かを確認することは重要です。市街化区域は、主に下記の2つの方法で確認できます。
・物件の市町で調べる
・行政の情報で調べる
物件の資料で調べる
購入するマンションが決まっているなど、特定の物件がある場合はその物件の資料を調べることで、市街化区域の物件かを知ることができます。物件情報サイトなどでは、ページ下部にその物件が建っている土地がどの用途地域に該当するかが記載されています。
例えば、「用途地域:第二種住居地域」などと記載されていればその物件が立っている地域は市街化区域ということです。また、記載されていない場合は不動産会社に直接確認すると良いでしょう。
行政の情報で調べる
購入したいマンションはまだ決まっていないが、ある程度住みたいエリアが決まっている場合は、行政が公表している情報からその地域が市街化区域かを調べられます。行政は都市計画図を公表しているため、どの土地が市街化区域かが一目でわかります。
「(市名) 都市計画図」のように検索すると、各市町村の都市計画図が検索可能です。ウェブ上で見つけられなかった場合は、役所に問い合わせることで都市計画資料を確認することができるでしょう。
まとめ:市街化区域の特徴を把握してマンション購入の参考にしよう

まとめ:市街化区域の特徴を把握してマンション購入の参考にしよう
市街化区域は、すでに市街地を形成している地域や、将来計画的に市街化が進められる区域のことです。市街化区域には誰でも家を建てることができ、利便性が高く売却しやすいというメリットがあります。
しかし、不動産価格が高い・都市計画税がかかるなどのデメリットもあります。市街化区域の中でも用途地域によって周辺環境が異なるため、それぞれの特徴を把握してマンション購入の参考にしましょう。
#市街化区域とは、#市街化調整区域、#用途地域

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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