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更新日:2024.09.17
登録日:2023.07.20

市街化区域とは?市街化調整区域との違いやメリット・デメリットを解説

市街化区域とは?市街化調整区域との違いやメリット・デメリットを解説

全ての土地は、どこでも好きなように家やマンションを建てられるわけではありません。それぞれの土地でどのようなことができるかは都市計画によって定められており、その中でも特に把握しておきたいのが市街化区域です。

本記事では、市街化区域とは何か、特徴や市街化調整区域との違いなどについて詳しく解説します。メリットやデメリット、調べ方についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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市街化区域とは

市街化区域とは

市街化区域とは

市街化区域とは、都市計画法で定められた区域の1つのことです。市街化区域は、都市計画法第7条において「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(※)と定められています。

 

都市計画法は、都市の整備や発展を目的に制定された法律です。施設の整備や土地の利用、市街地の開発などについての規則が設けられています。

 

市街化区域は用途地域が決まっている

市街化区域は用途地域が決まっている

市街化区域は用途地域が決まっている

市街化区域では用途地域というものが決まっています。また、市街化区域は大きく分けると3種類、さらに用途別に分けると13種類に分類が可能です。

 

・市街化区域は大きく分けると3種類

・市街化区域の用途は13種類

 

ここでは、上記の2点について詳しく解説します。

 

市街化区域は大きく分けると3種類

市街化区域には用途地域というものが定められており、どのように利用される土地かによって大まかに「住居系・商業系・工業系」の3種類に分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

 

住居系

基本的に大きな商業施設や工場などは建築不可

商業系

商業施設がある地域

工業系

工業系の建物が集まり、工場側からすると利便性が高い地域

 

市街化区域には、原則として用途地域があらかじめ定められています。近くの土地と全く別の目的で土地を使うと、安全や環境の面でリスクが高まることがあるためです。

 

したがって、事前にエリアに分けて使える用途を決めておくことで、住みやすく利便性の高い街づくりを目指しています。

 

市街化区域は土地利用の仕方によって3つに分類が可能です。この3つをさらに細かくわけたものを「用途地域」と呼び、現在では13種類に分けられています

市街化区域の用途は13種類

市街化区域は、どのような用途で使われるかという観点でさらに細かく見ると、13種類に分類されます。各地域ごとに建てられる建築物の例は以下のとおりです。

 

 

住居系

第一種低層住居専用地域

低層住宅を建てられる地域。住宅・小規模なお店・小中学校・診療所など

第二種低層住居専用地域

主に低層住宅を建てられる地域。小規模なお店・小中学校など

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅を建てられる地域。大学・病院・床面積500m2以下の店舗など

第二種中高層住居専用地域

主に中高層住宅を建てられる地域。大学・病院・床面積1500m2以下の店舗や事務所など

第一種住居地域

住宅の環境を守るための地域。床面積3000m2以下のお店・ホテルなど

第二種住居地域

主に住宅の環境を守るための地域。床面積1万m2以下のお店・カラオケボックスなど

準住居地域

道路の沿道地域にふさわしい施設と住宅との調和を図る地域。倉庫・客席部分が200m2未満の映画館など

田園住居地域

農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域。住宅・幼稚園~高校の教育施設など

商業系

近隣商業地域

周辺住民が日用品などの買い物をするための地域。小規模の工場など

商業地域

映画館・飲食店・銀行などが集まる地域。住宅や小規模な工場も建てられる

工業系

準工業地域

主に軽工業の工場などが立地する地域。周辺環境を悪化させる可能性がある工場を除く

工業地域

どんな工場でも建てられる地域。住宅や店舗は建てられるが、病院・学校などは不可

工業専用地域

どんな工場でも建てられる地域。住宅・店舗などは除く

 

なお、第一種住居地域と第二種住居地域については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

第一種住居地域とは?建築制限や特徴についてわかりやすく解説

第二種住居地域とは?特徴や用途制限についてくわしく解説

市街化区域と市街化調整区域の違い

市街化区域と市街化調整区域の違い

市街化区域と市街化調整区域の違い

都市計画法では、市街化区域とは別に「市街化調整区域」というものがあります。名称だけでは、市街化区域となにが違うのかがわからない人も多いでしょう。市街化調整区域とは、市街化を行わない地域のことです

 

市街化を図る市街化区域とは異なり、森林など自然や農地の保全を目的として定められます。基本的に自由に建物を建てられず、建物を建てたり増改築を行うためには自治体の許可が必要になります。

鑑定士コメント

所有する土地が市街化区域か市街化調整区域かは、使用用途の制限や、しいては資産価値に大きく影響するものです。誰が市街化調整区域の場所を決定しているのでしょうか。市街化区域の場所を決定するのは、各都道府県です。都市計画法では、「国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない」と定められています。そのため、必要に応じて各都道府県が市街化地区域や市街化調整区域を選定し、都道府県知事が決裁者として決定しています。

区域区分とは

区域区分とは

区域区分とは

区域区分とは、市街化区域と市街化調整区域を線引きして分けることです。どこからが市街化区域で、どこからが市街化調整区域なのかを区域区分で明確にします。都市計画では、初めにエリアを「都市計画区域」、「準都市計画区域」、「都市計画外区域」の3つに分けます。

 

その後、区域区分によって市街化区域と市街化調整区域を決定するのです。「都市計画区域の時点で市街化調整区域を都市計画区域外に設定すれば良いんではないか」と疑問に思う人もいるかもしれません。

 

しかし、都市計画では市町村などよりももっと広い範囲で計画を建てるため、どうしても都市計画区域に森林や農地などが含まれてしまうことがあります。そのため、区域区分によって市街化区域と市街化調整区域を線引きして分ける必要があります。

市街化区域のメリット

市街化区域のメリット

市街化区域のメリット

市街化区域には、下記のようなメリットがあります。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

 

・誰でも家を建てることが可能

・売却しやすい

・利便性が高く生活しやすい

誰でも家を建てることが可能

市街化区域は市街化を目的として定められた地域であるため、誰でも家を建てることが可能です。市街化調整区域では、自治体の許可が無ければ家を建てたり増改築を行ったりすることができません。

 

しかし、市街化区域では許可申請を行う必要がなく、工業専用の地域をのぞけば大きな制約なしで住宅を建てられます。そのため、住宅を建てる場合は市街化区域の土地を購入するのが無難です

 

売却しやすい

市街化区域は、すでに都市が形成されている場所や今後優先的に開発されていく地域です。一般的に、都市部の土地は需要が高いため、売却しやすい傾向にあります

 

そのため、市街化調整区域と比べると、住宅を売却しやすいでしょう。不動産価値も高くなりやすく需要も高いため、高値での売却も狙えます。

利便性が高く生活しやすい

都市部である市街化区域は、電気・ガス・水道などの社会インフラに困ることもなく、学校や病院、役所なども集積されています。駅や主要道路へのアクセスも良く、全体的に利便性が高く生活しやすい地域です

 

一方、市街化調整区域は駅などの公共交通機関が遠く、商業施設が少ないなど利便性はよいとはいえません。

市街化区域のデメリット

市街化区域のデメリット

市街化区域のデメリット

市街化区域には、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。それぞれどのようなデメリットか、詳しく解説します。

 

・都市計画税がかかる

・住宅や土地の価格が高め

・用途地域に制限がある

・敷地面積が小さい可能性がある

都市計画税がかかる

市街化区域のなかに建物や土地などの不動産を所有していると、都市計画税が発生します

 

固定資産税のように、1月1日の時点で建物や土地などの固定資産をもつ人は必ず支払わなくてはなりません。都市計画税の具体的な計算のしかたは、下記のとおりです。

 

【課税標準】×【0.3%(制限税率)】=【都市計画税】

 

課税標準とは固定資産課税台帳に登録されている価額を指し、それぞれの地域の自治体によって定められています。都市計画税は課税標準に税率をかけて計算し、都市計画税の上限は0.3%です。

 

市街化区域はメリットが多い反面、都市計画税がかかることを覚えておく必要があります。

 

住宅や土地の価格が高め

市街地区域には、売却がしやすいというメリットがありますが、このメリットはあくまで売却時のメリットです。購入時はその利便性の高さからニーズが高く、住宅や土地の価格が高くなりがちです

 

市街化調整区域と比べると、同じ規模の住宅や土地では高くなってしまいます。また、住宅や土地の価格が高いということは、その分固定資産税評価額が高くなるため税金も高くなる傾向にあります。

用途地域に制限がある

市街化区域は、用途によって13種類の用途地域に分かれるということを先述しましたが、それぞれの用途地域によって建てられる建物の種類が異なります。一般的な2階建て程度の住宅であれば特に問題ありませんが、用途地域によっては3階建ての建物を建てられないなどの制限があります。そのため、市街化調整区域と比べると建物の自由度は下がるでしょう。

鑑定士コメント

農地に家を建てる場合など、土地の使い方を農地以外に変更するいわゆる農地転用を行う場合は届け出が必要です。市街化区域か市街化調整区域によって届け出の方法は異なりますが、市街化区域の場合は農業員会への届け出を行うことで農地転用を行えます。ただし、自治体によっては農地転用ができない場合もあるため、まずは農業委員会へ確認しましょう。

敷地面積が小さい可能性がある

敷地面積が小さい可能性がある

敷地面積が小さい可能性がある

流通している敷地面積が希望よりも小さい可能性があります。市街化調整区域に比べ、市街化区域の最低敷地面積は小さく設定されやすい傾向があるためです。

 

宅地などの開発において、最低敷地面積が定められていることがあります。したがって、市街化区域の土地購入を検討する場合は、敷地面積が小さくなりやすい点を考慮しておく必要があるでしょう。

 

市街化区域を調べるには

市街化区域を調べるには

市街化区域を調べるには

マンションを選ぶ際に、どの地域が市街化区域かを確認することは重要です。では、どのようにして市街化区域を確認する確認することができるのでしょうか。市街化区域は、主に下記の2つの方法で確認できます。

 

・物件の市町で調べる

・行政の情報で調べる

物件の資料で調べる

購入するマンションが決まっているなど、特定の物件がある場合はその物件の資料を調べることで、市街化区域の物件かを知ることができます。物件情報サイトなどでは、ページ下部にその物件が建っている土地がどの用途地域に該当するかが記載されています。

 

例えば、「用途地域:第二種住居地域」などと記載されていればその物件が立っている地域は市街化区域ということです。また、記載されていない場合は不動産会社に直接確認すると良いでしょう。

行政の情報で調べる

購入したいマンションはまだ決まっていないが、ある程度住みたいエリアが決まっている場合は、行政が公表している情報からその地域が市街化区域かを調べられます。行政は都市計画図を公表しているため、どの土地が市街化区域かが一目でわかります。

 

「(市名) 都市計画図」のように検索すると、各市町村の都市計画図が検索可能です。ウェブ上で見つけられなかった場合は、役所に問い合わせることで都市計画資料を確認することができるでしょう。

まとめ:市街化区域の特徴を把握してマンション購入の参考にしよう

まとめ:市街化区域の特徴を把握してマンション購入の参考にしよう

まとめ:市街化区域の特徴を把握してマンション購入の参考にしよう

市街化区域は、すでに市街地を形成している地域や、将来計画的に市街化が進められる区域のことです。市街化区域には誰でも家を建てることができ、利便性が高く売却しやすいというメリットがあります

 

しかし、不動産価格が高い・都市計画税がかかるなどのデメリットもあります。市街化区域の中でも用途地域によって周辺環境が異なるため、それぞれの特徴を把握してマンション購入の参考にしましょう。

 

#市街化区域とは、#市街化調整区域、#用途地域

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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