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更新日:2024.05.24
登録日:2024.05.24

住宅ローンの借り換えの基礎知識を解説!メリットとデメリットも押さえておこう

住宅ローンの借り換えの基礎知識を解説!メリットとデメリットも押さえておこう

家計の負担を減らすために、住宅ローンの借り換えを検討している人も多いでしょう。借り換えをすることで、住宅ローンの総支払額の減額だけでなく、返済期間の短縮や団体信用生命保険の見直しが可能です。

しかし、借り換えをすれば、必ずしも返済負担が減るわけではありません。

本記事では、住宅ローンの借り換えによるメリットやデメリットをわかりやすく解説します。借り換えのタイミングや確認すべきポイントも紹介しているので、借り換えするかどうかを迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

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住宅ローンの借り換えとは

住宅ローンの借り換えとは

住宅ローンの借り換えとは

借り換えとは、ほかの金融機関で住宅ローンの契約をして融資を受け、現在利用する住宅ローンを一括返済することです。有利な条件の住宅ローンに借り換えることで、月々の返済額や総支払額を減らせる可能性があります。

 

既存の住宅ローンと借り換え先の住宅ローンの金利差が大きいほど、利息の支払いを安く抑えられます。返済による負担が重すぎると感じたときや、家計の支出を減らしたいときに借り換えを検討してみましょう。

 

ただし、借り換えを行う際には手数料がかかります。諸費用を合わせると、借り換え後の方が総支払額が増加する可能性もあるので注意してください。

住宅ローンの借り換えをする理由

住宅ローンの借り換えをする理由

住宅ローンの借り換えをする理由

住宅支援機構が行った、2022年の借り換えの実態調査によると、住宅ローンの借り換えを行う主な理由は次の3つです。

 

・金利が低くなる

・住宅ローンの返済額が少なくなる

・今後の金利上昇や毎月の返済額増加が不安

 

借り換え後の金利タイプ別に、調査結果をまとめると表の通り(※)です。

 

借り換えの理由/借り換え後の金利タイプ

変動型

固定期間選択型

全期間固定型

金利が低くなる

60.5%

40.1%

47.2%

返済額が少なくなる

30.7%

26.3%

26.4%

金利上昇や返済額増加が不安

11.3%

28.2%

26.4%

 

最も多かった借り換えの理由は、金利が下がることでした。金利の低い住宅ローンに借り換えることで、利息を減らし、毎月の返済額を減らすことが目的だと考えられるでしょう。

 

また、金利上昇や返済額の増加のリスクを減らすために、固定期間選択型や全期間固定型に借り換えた人もいます。

 

変動金利は、金利上昇によって返済額が増加するリスクがあります。支出が増え、家計が苦しくなる事態を恐れて、固定金利タイプの住宅ローンに借り換えているようです。

 

※参照:2022年度 住宅ローン借換えの実態調査結果|住宅支援機構

鑑定士コメント

同じ銀行で借り換えはできるのでしょうか?同じ銀行での借り換えは認められていません。ほかの金融機関で借り換えを行うと、手続きの手間がかかることから、同じ銀行で借り換えができないかと考えている人もいるでしょう。この場合、借り換えではなく、金利タイプを変更する場合等は契約内容の変更として認められる可能性がありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

住宅ローンを借り換えするメリット

住宅ローンを借り換えするメリット

住宅ローンを借り換えするメリット

住宅ローンの借り換えによるメリットとして、次の5つが挙げられます。

 

・毎月の返済額を減らせる

・ローンの総支払額を減らせる

・返済期間を短縮できる

・固定金利に切り替えれば金利の上昇リスクに対応できる

・団体信用生命保険の保証を見直せる

 

毎月の返済額や総支払額の減額だけでなく、返済期間の短縮ができます。また収入の低下やケガ、病気のリスクに備えて、団信の保障内容を重視した住宅ローンへ借り換えてもいいでしょう。

毎月の返済額を減らせる

借り換えによる主なメリットは、毎月の返済額を減らせることです。

 

金利の低い住宅ローンに移行することで、支払う利息が減り、毎月の返済額を減らせます。毎月の支出を抑えられれば、貯蓄や資産運用に回せるお金が生まれ、老後の資金として積み立てられます

 

例として、ローン残高が2,000万円で金利1.7%で返済した場合と金利0.7%で返済した場合の毎月の返済額を比較してみましょう。(※)

 

金利

毎月の返済額

1.7%

81,880円

0.7%

72,689円

差額

8,991円

返済期間が25年、返済方法は元利均等返済、ボーナス払いをなしとしたとき

 

上記のように金利の低い住宅ローンに切り替えれば、毎月支払う返済額を減らせます。

 

※参照:三井住友銀行のシミュレーションを使用

ローンの総支払額を減らせる

借り換えによる月の返済額の減少によって、住宅ローンの総支払額も安く抑えられます

 

ローン残高が2,000万円で、金利1.7%で返済した場合と金利0.7%で返済した場合で、総支払額を比較します。結果は、次の表の通り(※)です。

 

金利

総支払額

1.7%

24,564,000円

0.7%

21,806,700円

差額

2,757,300円

返済期間が25年、返済方法は元利均等返済、ボーナス払いをなしとしたとき

 

上記の条件であれば、総支払額の差額は2,757,300円です。住宅ローンは、高額な金融商品であるため、借り換え前後で金利の差が小さくても総支払額に大きな差が出ます

 

※参照:三井住友銀行のシミュレーションを使用

返済期間を短縮できる

返済期間を短縮できる

返済期間を短縮できる

金利の低い住宅ローンに切り替えられると、毎月の返済に余裕が生まれるので、返済期間の短縮も可能です。

 

通常、返済期間の長さに比例して利息は増えるため、返済期間の短縮によって利息の負担を減らせます。利息の支払いが減り、毎月の支払額や総支払額を安く抑えられるでしょう。

 

予定より早く住宅ローンを完済できれば、返済による心理的重圧からも解放され、早くから老後に向けた貯蓄を開始できます。

 

ただし、返済期間が短縮されることで毎月の返済額が増加します。年収における住宅ローンの返済額の比率は、手取り収入の20%〜25%(※)が理想といわれているため、家計が苦しくならないように返済額を調整しましょう。

 

※参照:三井住友銀行

固定金利に切り替えれば金利の上昇リスクに対応できる

現在、住宅ローンの金利タイプが変動金利の場合、固定金利へ切り替えることで金利上昇のリスクに対処できます。

 

一般的に、固定金利より変動金利の方が金利が低い傾向にあります。一方で変動金利は住宅ローン金利の上昇によって、突然、返済額や総支払額が増加するリスクを抱えています。

 

固定金利に切り替えると、金利が固定され、安心して返済を続けられるでしょう。

 

ただし変動金利から固定金利に切り替えると、金利が上がるため、毎月の返済額は増加します。できるかぎり返済額を抑えたい人は、最初の一定期間のみ固定される「固定期間選択型」の利用を検討してみてください

 

固定期間選択型の場合、全期間固定金利型よりも金利は低くなりますが、固定期間を過ぎた後に変動金利に移行するので注意しましょう。

団体信用生命保険の保証を見直せる

万が一の事態に備えて、団体信用生命保険(団信)の保障内容を充実させるために、借り換えを検討する人もいます。

 

フラット35のような一部のローンを除き、住宅ローンの契約時には、団信に加入することが多いです。

 

一般的な団信では、死亡や高度障害時の保障はされていますが、ケガや病気によって就業不能状態になった際には家計が苦しくなります

 

このようなリスクに備え、3大疾病や8大疾病、所定の身体障害状態など特約の付いた団信のある住宅ローンに借り換える選択肢もあります

住宅ローンを借り換えするデメリット

住宅ローンを借り換えするデメリット

住宅ローンを借り換えするデメリット

住宅ローンの借り換えを検討する際には、次の3つの点に注意してください。

 

・手数料などがかかる

・再度審査が必要となる

・住宅ローンの控除額が減る可能性がある

 

住宅ローンを借り換えることは、メリットばかりではありません。高額な手数料がかかる上に、新しい住宅ローンの審査に落ちる可能性があります。

 

借り換え後に、「期待したほどの効果がなかった」と後悔しないためにデメリットも把握しておきましょう。

手数料などがかかる

新しい住宅ローンを契約する際や、既存の住宅ローンを完済する際には手続きが必要になります。手続きを行う上で、さまざまな費用が発生します

 

借り換えにかかる費用や金額の目安は、次の表の通り(※)です。

 

費用の種類

金額の目安

保証料

0円〜

事務手数料(定率型)

融資額の2.2%

印紙税

20,000円

抵当権抹消費用

20,000円

抵当権を設定する際の登録免許税

100,000円

司法書士への報酬

100,000円

 

融資額が2,000万円とした場合、事務手数料が44万円かかり、諸費用の合計は68万円になります。つまり、総支払額が68万円以上減らない場合は、借り換えによって返済の負担が増えます。

 

借り換えをするか迷ったら、かかる費用の金額以上に返済の負担を減らせるかを計算しましょう

 

※参照:三菱UFJ銀行

再度審査が必要となる

新しい住宅ローンに借り換えるためには、新しい住宅ローンの事前審査や本審査に通過しなければいけません。

 

過去に住宅ローンの審査に通過したからといって、同様に審査に通過できるとはかぎりません。例えば、収入の低下や転職によって支払い能力が不足していると判断され、審査に落ちる可能性があります。

 

ほかにも、健康状態の悪化により団信への加入が難しく、審査に落ちるケースも考えられます。健康状態に不安がある人でも加入できるワイド団信付きの住宅ローンもありますが、通常よりも金利が高くなる点に注意しましょう。

住宅ローンの控除額が減る可能性がある

住宅ローンの控除額が減る可能性がある

住宅ローンの控除額が減る可能性がある

借り換えによってローン残高が減ると、住宅ローンの控除額が減る可能性があります

 

住宅ローンの控除額は、年末時点でのローン残高の0.7%(※)です。金利の低い住宅ローンに移行することでローン残高が減ると、住宅ローンの控除額も減ります。

 

控除額が減ることで支払いの負担は増えます。住宅ローン控除の適用期間が残っている場合は、控除額がどれくらい減るのかを計算してみてください。

 

なお、借り換えによって返済期間が短縮され、返済期間が10年以下になると控除の対象外となります

 

※参照:国土交通省

住宅ローンを借り換えするタイミング

住宅ローンを借り換えするタイミング

住宅ローンを借り換えするタイミング

住宅ローンを見直したいと感じたら、次のいずれかのタイミングで借り換えを行いましょう。

 

・金利が下がったとき

・収入が安定しているとき

・条件のよい金融機関が見つかったとき

金利が下がったとき

借り換え後に住宅ローンの金利が下がる場合は、借り換えをした方がいいでしょう。毎月の返済額や総支払額を減らせる可能性が高くなるためです。

 

とはいえ、金利が下がったタイミングで借り換えの申し込みをしても、融資が実行されるタイミングで金利が上がり、結果的に高い金利で借り入れてしまうケースもあります。

 

手続きや申し込みのタイミングで、金融機関の担当者に何月時点の金利が採用されるのかを確認しましょう

 

金融機関によっては、月末に翌月の金利を提示してくれる場合もあります。

収入が安定しているとき

住宅ローンの借り換え時には、新しい住宅ローンの審査を受けるため、収入が安定しているときに借り換えを申し込みましょう

 

住宅ローンの契約当初より収入が低下していれば、返済負担率が増え、審査に落ちる可能性が高まります。収入が安定しており、毎月の支出が少ないタイミングで借り換えを申し込んでください

 

返済期間の短縮や団信の見直しによって、借り換え後に返済額が増加する可能性もあります。収入が安定している時期であれば、十分な支払い能力があるため、返済が滞る心配はありません。

条件のよい金融機関が見つかったとき

条件のよい金融機関が見つかったとき

条件のよい金融機関が見つかったとき

条件のよい住宅ローンを提供する金融機関が見つかった場合にのみ、住宅ローンの借り換えを検討しましょう。

 

住宅ローンは、長期間にわたって返済するローン商品です。契約当初には、条件のよい住宅ローンがなくても、10年後にはよりよい条件の住宅ローンが見つかることもあります

 

金利にあまり差がないと感じても、実際にシミュレーションしてみると、新しい住宅ローンの方が返済額や総支払額の面でお得な場合があります。定期的に、ほかの金融機関をチェックし、条件の合う住宅ローンを見つけることが重要です。

鑑定士コメント

借り換えができないパターンはあるのでしょうか?借り換えでは、新たに住宅ローンを借りるため、審査に通過できないと借り換えができなくなります。例えば、健康状態の悪化によって団信の審査に通過できない場合は、借り換えが難しいでしょう。また、マイカーローンや教育ローンなどほかのローンを利用していることで返済負担率が増え、希望の金額で融資を受けられない可能性もあります。

住宅ローンを借り換えするときに確認するべきポイント

住宅ローンを借り換えするときに確認するべきポイント

住宅ローンを借り換えするときに確認するべきポイント

住宅ローンの借り換えを行う際には、次の2点をチェックしてください。

 

・住宅ローンはどれくらい残っているか

・借り換え前後の金利の差

 

借り換えをすべきか、どの金融機関の住宅ローンに借り換えるか迷った際には、以上の2点を確認しましょう。

住宅ローンはどれくらい残っているか

住宅ローンの返済期間が長いほど、金利による利息の支払額は高くなります。つまり、住宅ローンの残り年数に比例して、借り換えによる返済負担の軽減効果が大きくなります。

 

三菱UFJ銀行によると、借り換えによって返済の負担を軽減できるケースは、次の2つです。

 

・住宅ローンの残年数が10年以上である

・ローン残高が1,000万円以上である

 

住宅ローンの完済までの期間が短かったり、残高が少なかったりすると、借り換えをしても十分な返済額の負担軽減効果を得られないでしょう。

 

※参照:三菱UFJ銀行

借り換え前後の金利の差

借り換えの前後で、1%以上の金利差があれば返済額を減らせる効果が高い(※)といわれています。

 

ただし、上記の数値は、あくまで目安です。ローン残高が高額であれば、たとえ金利差が1%以下であっても、借り換えによって返済額を大きく減らせる可能性があります。

 

一度金融機関のローン相談会に行き、借り換え前後で月々の返済額にどれくらい差が出るかを確認してもらいましょう三菱UFJ銀行の住宅ローンシミュレーションでも、借り換えによる返済の負担軽減額を計算できます。

 

※参照:三菱UFJ銀行

まとめ:住宅ローンの借り換えはタイミングを見極めて行おう

まとめ:住宅ローンの借り換えはタイミングを見極めて行おう

まとめ:住宅ローンの借り換えはタイミングを見極めて行おう

住宅ローンの借り換えには、返済の負担の減少や返済期間の短縮といったさまざまなメリットがあります。一方で、借り換えには諸費用がかかり、新しい住宅ローンの審査に通過しなくてはいけません。

 

金利タイプの変更であれば、同じ金融機関で契約内容の変更として認められるケースもあります。ベストな選択ができるように、借り換え以外の選択肢も含めて入念にシミュレーションを行いましょう

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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  • 修繕積立金が
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