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2023.04.14

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の違いとは?計算方法もわかりやすく解説

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の違いとは?計算方法もわかりやすく解説

マンションのパンフレットやチラシで、専有面積という言葉を見たことがある人は多いのではないでしょうか。専有面積には「壁芯面積」と「登記簿面積(内法面積)」があり、それぞれ計算方法などが違います。

どちらの計算方法で専有面積を求めているかによって、数値上の専有面積は変わります。そのため、壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の2つの計算方法を知っておくことは、マンションを選ぶ際にとても重要です。

本記事では、壁芯面積とはなにか、登記簿面積(内法面積)との違いやそれぞれの面積の差、計算方法を詳しく解説します。また、税制優遇や給付金など、面積要件が必要になるケースについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)とは

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)とは

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)とは

マンションを所有すると、下記の3つを所有することになります。

 

  ・専有部分

  ・共用部分の共有持ち分

  ・敷地利用権

 

そのなかでも、専有部分は実際に住む部屋の部分であるため、どれくらいの広さがあるのか、その面積を気にする人は多いでしょう。専有部分の面積である専有面積には、下記2つの種類があります。どちらも専有面積の表示方法ですが、それぞれどのような目的で使用されるものなのか、詳しく解説します。

 

  ・壁芯面積

  ・登記簿面積(内法面積)

 

なお、専有面積については、以下の記事で詳しく紹介しています。

専有面積とは?ベランダやロフトは含まれる?計算方法も詳しく解説!

壁芯面積とは

壁芯面積とは、文字通り「壁の中心(芯)」を境界線として計算される専有面積です。パンフレットやチラシ、販売時の図面などには、基本的にこの壁芯面積が表記されています。また、建築基準法では床面積を「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」と定義しています。(※)

 

完成した建築物は監督官庁に確認してもらう必要があるのですが、建築確認において重要なのは構造や周辺の建物、環境との関係、安全性など、建築基準法などに違反していないかを確認することです。そのため、建築・設計においても、床面積の計算は壁芯面積が利用されています。

 

※参照:建築基準法施行令

登記簿面積(内法面積)とは

登記簿面積(内法面積)とは、壁の内側を境界線として計算される専有面積です。戸建てには、専有部分という概念がありません。そのため、戸建ての床面積は、登記簿上も建築基準法と同じく壁芯で表記されます。

 

しかし、面積専有部分という概念があるマンションでは、建築基準法の床面積は壁芯面積であっても、登記簿上では壁や柱などの厚みを考慮しない登記簿面積が床面積として表記されています。実際に目で見える面積のため、部屋の広さをイメージしやすいでしょう。

 

マンションパンフレットの読み方は?記載項目の見方を詳しく解説

 

マンションの壁芯面積と内法面積の差はどれくらい?

マンションの壁芯面積と内法面積の差はどれくらい?

マンションの壁芯面積と内法面積の差はどれくらい?

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)がそれぞれどのようなものかを聞くと、「同じ部屋でも壁芯面積表記のほうが登記簿面積(内法面積)表記より面積が広い」ということがなんとなくわかるでしょう。

 

実際に、壁の側面から中心までの距離が増加する分、壁芯面積のほうが表記上の面積は広くなります。では、実際にどれくらいの差があるのでしょうか。

 

一般的に、壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の差は、住戸の面積が狭いほど大きくなります。具体的には、ファミリータイプで平均6%程度、ワンルームタイプでは平均11%程度の差があるでしょう。マンションの構造によっても差は異なりますが、ひとつの目安として覚えておくとよいでしょう。

鑑定士コメント

マンションのパンフレットや間取り図などを見るときは、壁の厚みが面積に入っていることを意識するとイメージしやすくなります。そのため、部屋の外に含まれているものをいないものをしっかりとチェックしておくようにしましょう。

壁芯面積の計算方法

壁芯面積の計算方法

壁芯面積の計算方法

壁芯面積について、下記寸法の部屋を例に具体的な計算方法を確認してみましょう。

 

  ・部屋の内寸:8,000mm四方

  ・壁の厚さ:200mm

 

まず、登記簿面積(内法面積)は、下記の計算で求めることができます。

 

  ・8,000mm × 8,000mm = 64,000mm

 

壁芯面積の場合、部屋の内寸に壁の厚さの半分を足して計算するため、計算式は下記のようになります。

 

  ・8,100mm × 8,100mm = 65,610mm

 

また、部屋内に出っ張った柱などがあれば、さらに壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の差は広がります

税制優遇などの面積要件が必要になるケース

税制優遇などの面積要件が必要になるケース

税制優遇などの面積要件が必要になるケース

マンションを購入する際、できるだけ費用を抑えるためにさまざまな税制優遇や給付金などの制度を利用する人も多いでしょう。しかし、それらの中には面積要件が必要になるケースもあります

 

ここでは、下記の税制優遇や給付金制度の面積要件について、詳しく解説します。

 

  ・住宅ローン控除

  ・すまい給付金

  ・不動産取得税の軽減の特例

  ・登録免許税の軽減の特例

  ・新築住宅に係る固定資産税の減額

  ・相続時精算課税選択の特例

  ・住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例

 

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を新しく建築・取得した場合に、最大13年間にわたって年末時点でのローン残高の0.7%を所得税から控除する制度です。マンションを購入する際、住宅ローンを利用する人は多いのではないでしょうか。

 

多くの人が利用する住宅ローンですが、実は購入する住宅の床面積によっては利用できない可能性があるのです。住宅ローンを利用できするには、購入する住宅の床面積が40㎡以上の必要があります。(※)

 

また、床面積が50㎡未満の場合、所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年は住宅ローン控除が適用されません。床面積は、戸建てが壁芯面積、マンションなどが登記簿面積(内法綿製)で計算されます。

 

※参照:財務省

すまい給付金

すまい給付金とは、消費税率の引き上げによる負担を緩和するために創設された現金給付制度です。所得税から控除する仕組みの住宅ローンでは、収入が低いと減税効果が小さくなってしまいます。そこで、住宅ローン控除の減税効果が十分に及ばない収入層に対して、消費税率引き上げによる負担の軽減を目的にすまい給付金が創設されました。

 

すまい給付金の対象要件には、収入のほか床面積の制限もあります。すまい給付金は、床面積が50㎡以上である住宅にのみ適用され、床面積の計算は住宅ローン控除と同様に戸建てが壁芯面積、マンションなどが登記簿面積(内法綿製)です。(※)

 

※参照:国土交通省

不動産取得税の軽減の特例

不動産取得税とは、土地や住宅の建築や購入、贈与などによって不動産を取得した際に課税される税金です。不動産取得税には床面積による軽減制度が設けられており、居住用に不動産を取得した場合は床面積が50以上240㎡以下で軽減の特例を受けることができます。(※)

 

不動産取得税の要件となる床面積は、固定資産評価証明書に記載されている「現況床面積」によって決まるため注意が必要です。マンションの場合、専有部分の面積に、面積割合によって案分した共有部分の面積が加算されます。つまり、登記簿面積(内法面積)よりも面積が広くなるのです。

 

※参照:東京都主税局

 

不動産取得税については、こちらの記事でも解説しています。

不動産取得税とは?軽減措置や計算方法・納付時のポイントを解説

登録免許税の軽減の特例

登録免許税とは、土地や住宅などの所有権を登記する際に納める税金です。マンションなどを購入する際はかならず登記簿に所有権を記録する必要があり、登記の種類によって課税される税金の額が違います。

 

建物の登録免許税は、登記簿上の床面積が50㎡以上の際に、下記のように軽減の特例を受けることができます。(※)

住宅の種類

軽減前

軽減後

新築住宅

評価額の0.4%

評価額の0.15%

中古住宅

評価額の2%

評価額の0.3%

 

※参照:国税庁

新築住宅に係る固定資産税の減額

マンションなどを所有すると、毎年固定資産税を納める必要があります。マンションの固定資産税は、下記の計算で求めることができます。

 

  ・課税標準額 × 標準税率

 

課税標準額は、毎年贈られてくる納税通知書に記載されています。また、標準税額は自治体によって異なりますが、ほとんどの自治体では1.4%前後です。

 

購入したマンションの床面積が50~240㎡の際に固定資産税の減額を受けることができ、購入後5年間の固定資産税が1/2減額されます。(※)

 

※参照:国土交通省

 

マンションの固定資産税については、以下の記事で解説しています。

マンション購入後の固定資産税はどれくらい?計算方法もやさしく解説

相続時精算課税選択の特例

相続時精算課税選択の特例とは、父母や祖父母などからの贈与により住宅を新築、取得するための金銭を取得した場合、一定の要件を満たすときに贈与者が贈与した年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択できる特例です。

 

この特例を受けるには、さまざまな要件があるほか、取得する住宅の床面積が40㎡以上かつその床面積の2分の1以上が受贈者の居住スペースである必要があります。(※)

 

※参照:国税庁

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例とは、自身が居住するための住宅の新築・取得を目的に、父母や祖父母などの直径尊属から金銭を取得した場合において、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となる制度です。

 

この制度を受けるためには、贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下である必要があり。床面積が40~50㎡未満の住宅を取得する場合は、合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。(※)

 

※参照:国税庁

鑑定士コメント

不動産の広告や税制以外で、床面積が必要な場合は、火災保険があげられます。床面積の大きさによって、保険料及び保障額が決まります。火災保険で扱われる床面積が壁芯面積か内法面積かは、マンションの管理規約の「専有部分の範囲」で確認する必要があります。ちなみに、国土交通省の標準マンション管理規約では専有部分の範囲は「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」となっており、内法を意味します。ですから、管理規約にこの表現がある場合は、内法面積で火災保険をかけることになります。

壁芯面積と内法面積の違いをしっかり理解しておこう

壁芯面積と内法面積の違いをしっかり理解しておこう

壁芯面積と内法面積の違いをしっかり理解しておこう

壁芯面積と登記簿面積(内法面積)は計算方法が違うため、計算方法によって同じマンションでも表記される面積が変わります。

 

マンションのパンフレットやチラシ、図面の多くは壁芯面積で詳記されていますが、中には登記簿面積(内法面積)で表記されているものもあるかもしれないため、その違いをしっかり理解してかならずはじめに確認しましょう。

 

床面積は、税制優遇や給付金などの住宅の取得に関わるさまざまな制度の要件になっています。購入したいマンションの床面積が、利用したい制度の要件を満たしているか、確認が必要です。また、制度によって床面積の計算方法が異なるため、合わせて確認しておきましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

マンションの専有面積には「壁芯面積」と「登記簿面積」があるが、これに関して正しいものを下記より選びなさい。

答えは 2

通常広告やカタログはマンション施工前に用意されていることが多く、慣習から「壁芯面積」が表示されることが多いです。実際の面積が思っているより小さい、などとならないようご注意ください。

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