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更新日:2024.09.12
登録日:2024.07.23
地役権とは?意味や登録方法など覚えておきたい基礎知識を紹介
自分の土地のために他人の土地を利用するためには地役権が必要です。土地の利便性を高めるために登録が必要となったり、購入する土地に設定されていたりするケースがあります。
トラブルを避けるためには、地役権について基礎知識を把握しておくことが重要です。一方で「地役権ってなに?」「登録方法がわからない」など、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、地役権の基礎知識や登録方法をわかりやすく解説します。他の権利との違いやメリットやデメリット、覚えておきたい注意点とあわせてまとめました。
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地役権とは?
地役権とは?
以下のような地役権の基礎知識を紹介します。
・地役権とは自分の土地のために他人の土地を利用できる権利
・地役権を設定する目的
地役権とはどのような権利なのか、わかりやすく解説しましょう。
地役権とは自分の土地のために他人の土地を利用できる権利
地役権(ちえきけん)とは、自分が所有する土地の利便性を向上させる目的で他人の土地を利用するための権利のことです。民法第二百八十条(※)で定められており、土地の権利者(地役権設定者)と、利用者(地役権者)の契約によって成り立ちます。
地役権を設定する目的
地役権を設定する目的には、いろいろなものがあります。基本的な種類とそれぞれの目的を、下記にまとめました。
具体的には、公道から自分の土地まで私道を通行したり、用水路から自分の土地に水を引いたりすることがあげられます。電力会社が、高圧線の下にある建物の高さを制限するケースもあるようです。
ほかにも下水道を通すケースなどもあります。要役地の利便性が増大するためであれば、目的にはとくに制限は設けられていません。
鑑定士コメント
地役権には時効があるのでしょうか?地役権には時効があるので注意が必要です。登記の際に期限を設定しますが、期限内でも地役権が消滅するケースがあります。この場合の時効は「地役権の行使を妨げた事実が生じてから20年」です。これを「地役権の消滅時効」といいます。
地役権と他の権利との違い
地役権と他の権利との違い
地役権とその他の権利との違いをまとめました。
・地役権と地上権の違い
・通行地役権と囲繞地通行権の違い
混同しないように、それぞれの意味と違いについてチェックしておきましょう。
地役権と地上権の違い
地役権と地上権の意味は以下の通りです。
地上権とは、民法第二百六十五条(※)で定められた建物や道路などを作るために他人が所有する土地を利用できる権利のことです。所有者の承諾がなくても、土地を貸したり建物を売却したりできます。
他人の土地を利用できるのが地役権、他人の土地に作られた工作物を利用できるのが地上権と考えるとわかりやすいでしょう。地上権については以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
地上権とは?地上権の種類と借地権や地役権との違いをわかりやすく解説
※参照:e-Gov法令検索
通行地役権と囲繞地通行権の違い
通行地役権と囲繞地(いにょうち)通行権の違いは以下の通りです。
袋地とは、他の土地に囲まれていて公の道路に出られない土地をさします。通行地役権の場合は承役地を使用しなくても公道に出られますが、囲繞地通行権だと他人の土地を通らない限り公道に出られません。
そのため袋地の所有者は民法第二百十条(※)によって囲繞地通行権が認められています。当事者同士の合意が必要なのが通行地役権、必要ないのが囲繞地通行権と考えると、わかりやすいでしょう。
※参照:e-Gov法令検索
地役権を設定するメリット
地役権を設定するメリット
土地の権利者(承役地側)と、利用者(要役地側)のメリットはそれぞれ以下の通りです。
承役地を所有する土地の権利者は、使用料を受け取る契約で地役権を登録すれば使用料を受け取れます。送電線路敷設地役権であれば、ほとんどのケースで使用料を受け取ることが可能です。
地役権のデメリット
地役権のデメリット
土地の権利者(承役地側)と利用者(要役地側)のデメリットを、以下にまとめました。
土地の権利者(承役地側)は、地役権の内容によって所有する土地の利用に制限がかかります。たとえば要役地の所有者である地役権者が利用している範囲には、建物などは設置できません。
さらに使用方法や使用料をめぐって、土地の権利者(承役地側)と利用者(要役地側)の間でトラブルが発生する可能性があります。よく話し合ったうえで、地役権の目的や範囲を設定することが重要です。
地役権を登録するには
地役権を登録するには
地役権の登録に必要な知識をまとめました。
・地役権の登録手順
・登記に必要な書類
・登記に必要な費用
不備なく登録するために、基本的な知識をチェックしておきましょう。
地役権の登録手順
必要な書類を揃えて、承役地を管轄する法務局(※)に申請をします。下記のような登記事項の設定が必要です。
・要役地
・地役権設定の目的
・地役権設定の範囲
地役権の登録は、土地の権利者(承役地側)と利用者(要役地側)による共同申請が原則です。ただし、書類作成や登記には専門的な知識が必要なため、難しい場合は司法書士に依頼しましょう。
※参照:法務局
登記に必要な書類
地役権の登録にはまず以下の書類を用意します。
さらに土地の権利者(承役地側)と利用者(要役地側)で、それぞれ以下の準備が必要です。
登記に必要な費用
登記に必要な費用
地役権の登記には、承役地1個につき1,500円の登録免許税が必要です(※)。承役地の数が2個であれば、3,000円の登録免許税を用意します。
司法書士に委任する場合は報酬の支払いが必要です。地役権の登記にかかる報酬の相場は5~10万円ほどなので、あらかじめ確認しておきましょう。
※参照:e-Gov法令検索
鑑定士コメント
地役権を登記しないとどうなるのでしょうか?地役権を登記しないと、様々なトラブルが発生する可能性があります。たとえば承役地の所有者が変わった場合、要役地の所有者は土地の利用を主張できません。要役地の所有者が変われば、承役地の所有者はもらっていた使用料を受け取れなくなる可能性があるでしょう。このようなリスクを避けるために、地役権を登記しておくことが重要です。
地役権がある土地で覚えておきたい注意点
地役権がある土地で覚えておきたい注意点
土地に地役権が登録されている場合、以下のような注意点があります。
・売買や相続をしても地役権は継続する
・登記後も地役権の変更が可能
・土地は必ず自分で見る
トラブルを避けるために、詳細を確認しておきましょう。
売買や相続をしても地役権は継続する
土地に登録された地役権は、売買や相続をしても継続されます。要役地を売却した場合、地役権は購入した第三者に引き継がれるでしょう。
購入した土地が承役地であれば土地の利用に制限がかかります。土地の購入を検討するなら地役権の有無をチェックして、設定されている場合は目的や範囲を確認しておくことが重要です。
登記後も地役権の変更が可能
地役権は登記後であっても使用料や期間を変更できます。期間を延長したり使用料を引き上げたりと、状況にあわせて対応できるでしょう。
ただし、地役権の変更には双方の同意が必要です。土地の権利者(承役地側)と利用者(要役地側)で十分に協議したうえで、登記の内容を変更する手続きをおこなってください。
土地は必ず自分で見る
土地は必ず自分で見る
地役権の有無は登記簿で確認できますが、自分の目で土地を確かめることも重要です。たとえば隣の住人が購入を予定している土地の一部を毎日通行している場合、「取得時効」が成立している可能性があります。
取得時効とは、不動産や土地を所有する意志を持って一定期間占有したときに所有権を取得できる権利です。認識せずに承役地を購入すれば通行を拒否できない可能性があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ:土地を購入するときは地役権について確認しておこう
まとめ:土地を購入するときは地役権について確認しておこう
地役権とは、自分が所有する土地の利便性を向上させる目的で他人の土地を利用できる権利です。権利者が所有する土地は承役地、利用者が所有する土地を要役地といいます。
土地を購入する場合は、登記簿で地役権について確認しておきましょう。購入する土地が承役地だと、利用できる範囲が制限される可能性があります。
地役権を登録するメリット・デメリットや登記方法も紹介したので、ぜひチェックしてください。地役権に関するトラブルを防止するために、基本的な知識を把握しておきましょう。
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不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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