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更新日:2024.05.24
登録日:2024.05.24
住宅ローンの連帯債務とは?メリットや注意すべきポイントを解説
住宅ローンの契約方法にはさまざまな種類があり、連帯債務もその1つです。住宅ローンの契約に難航している場合、連帯債務の形を取ることで住宅ローンの審査に通るようになったり借入額を増やしたりできる可能性があります。
本記事では、住宅ローンの連帯債務とはどのような制度か、連帯保証人やペアローンとに違い、利用するメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。利用する場合の注意点についても解説するので、連帯債務の利用を検討している人はぜひ最後までご覧ください。
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住宅ローンの連帯債務とは?
住宅ローンの連帯債務とは?
住宅ローンの連帯債務とは、連帯債務者と呼ばれる主債務者以外の人を設定する契約方法です。それぞれが同等の債務を負い、住宅ローンの完済とともに連帯債務者の債務も弁済されます。
連帯債務者は、金融機関によって設定できる人物の条件が異なります。一般的には、配偶者及び同居する家族で収入が安定している人が条件である場合が多いです。
連帯債務は、双方の債務が同等であるという特徴があります。例えば、連帯債務者を設定して3,000万円の借り入れを行った場合、実際の支払いは按分するものの、それぞれが負う債務は借り入れた全額の3,000万円になります。
連帯債務者と連帯保証人の違い
連帯債務者と連帯保証人の大きな違いは、債務を負うタイミングです。連帯債務者は、住宅ローンを契約した時点で主債務者と同等の債務を負います。
しかし、連帯保証人が債務を負うのは、何らかの理由によって返済が滞ってしまったときです。そのため、連帯保証人は主債務者の返済が滞らない限り債務を負うことはありません。
また、下記のような違いもあります。
連帯債務者とペアローンの違い
住宅ローンでは、購入する物件に対して2人がそれぞれ主債務者として契約するペアローンという契約方法もあります。連帯債務者の場合、主債務者とともに1つの住宅ローンを契約します。
しかし、ペアローンでは2人がそれぞれ個別で住宅ローンを契約します。2人がそれぞれ契約することで借入額も2人分になるため、借入額を増やすことが可能です。
また、契約者が加入できる団体信用生命保険や控除などの制度も双方が受けられます。なお、ペアローンではお互いを連帯保証人に設定しなければならないことが多いです。
住宅ローンで連帯債務を利用するメリット
住宅ローンで連帯債務を利用するメリット
住宅ローンの連帯債務には、下記のようなメリットがあります。
・借入で収入を合算可能
・住宅ローン控除を各自利用できる
・事務手数料の負担を軽減できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
借入で収入を合算可能
連帯債務には、契約する2人の収入を合算して審査を受けられるというメリットがあります。住宅ローンの審査において、収入のもっとも重要な項目です。
1人の収入では、審査に落ちてしまったり希望する金額の借り入れができなかったりする場合があります。収入を合算することで、返済能力が高くなり希望通りの契約を結ぶことができる可能性が高くなるでしょう。
住宅ローン控除を各自利用できる
住宅ローンの連帯債務では、各自で住宅ローン控除を利用できます。住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。
住宅ローンで借り入れる金額は大きいため、納税額に大きく影響します。連帯保証人の場合、主債務者の返済が滞らない限りは債務を負いません。しかし、連帯債務では2人が同等の債務を負います。そのため、各自で住宅ローン控除を利用できます。
事務手数料の負担を軽減できる
連帯債務の住宅ローン契約は、事務手数料の負担を軽減できます。事務手数料とは、住宅ローンの借り入れ時に発生する事務手続きなどに対して金融機関に支払う手数料です。
事務手数料には定額型と定率型の2種類があり、定額型は数万円、定率型は借入額の2.2%ほどの費用が発生します。どちらも無視できない金額であり、負担は大きいでしょう。
事務手数料は1つの契約に対して発生する費用です。連帯債務では、1つの住宅ローンに対して主債務者と連帯債務者が契約するため、事務手数料も1つの住宅ローン分しか発生しません。
住宅ローンで連帯債務を利用するデメリット
住宅ローンで連帯債務を利用するデメリット
住宅ローンで連帯債務を利用する場合、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。
・収入が減った場合でも返済が必要
・離婚した場合も返済義務がある
・団信には1人だけしか加入できない
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
収入が減った場合でも返済が必要
連帯債務では、万が一怪我や病気などの何らかの理由で収入が減ったりなくなったりした場合でも、借り入れた全額を返済しなければなりません。連帯債務は、2人に収入がある前提でより高い借り入れができます。
1人の収入がなくなってしまった場合、月々の返済が難しくなってしまうでしょう。連帯債務で住宅ローンを契約する場合は、片方の収入がなくなっても返済を続けられるように資金計画を綿密に立てておく必要があります。
離婚した場合も返済義務がある
連帯債務は、夫婦で契約するケースが多いです。夫婦の場合、離婚しても主債務者と連帯債務者どちらにも返済義務が残ります。
離婚となると、片方が家を出ることになるでしょう。家を出た場合でも返済義務は残るため、一方的に住み続ける側に返済を要求できません。
話し合いで解決しなかった場合、離婚時の揉め事になってしまう可能性があるため注意が必要です。
団信には1人だけしか加入できない
連帯債務では、団信に加入できるのは主債務者だけです。基本的に連帯債務者は加入できないため、亡くなってしまったり高度障害の状態になったりした場合でも、債務はなくならず主債務者の負担が増えてしまいます。
ただし、金融機関によっては条件付きで連帯債務者も団信に加入できる住宅ローンもあります。気になる人は、事前に金融機関に確認しましょう。
鑑定士コメント
住宅ローン控除は連帯債務の場合どうなるのでしょうか?連帯債務では、主債務者と連帯債務者のどちらの方も住宅ローン控除を受けることが可能です。1人で住宅ローンを契約して控除を受けても、控除上限額を超えてしまう場合があるかもしれません。その場合、連帯債務で控除を分散させることで、住宅ローン控除額を増やせます。
連帯債務型の住宅ローンを利用する注意点
連帯債務型の住宅ローンを利用する注意点
連帯債務者は、収入を合算して借入額を増やせるなどのメリットがありますが、利用する場合は下記のような注意点があります。
・贈与税が発生する場合がある
・借換できなくなるケースがある
贈与税が発生する場合がある
連帯債務は、購入する物件の所有権の設定によっては贈与税が発生する場合があります。贈与税とは、個人間で財産を移転した際に発生する税金です。
例えば、購入するマンションの所有権は夫が100%所有するものの連帯債務で契約した場合は、贈与税が発生します。また、所有権を按分した状態で片方が仕事を辞めるなどして収入がなくなった場合も、同様に贈与税が発生します。
借換できなくなるケースがある
連帯債務で収入を合算して借り入れている場合、借換できなくなるケースもあります。例えば、片方が退職するなどして収入がなくなっている状態で借換をしようとしても、収入が足りずに借換できない可能性があるでしょう。
鑑定士コメント
連帯債務は金融機関との契約書面以外では、どうやって確認できるのでしょうか?連帯債務は、確定申告書などで確認できます。平成30年以前に居住した場合、確定申告書の「住宅借入金等特別控除申告書」で確認可能です。また、令和元年以降であれば税務署から送付される「住宅借入金等特別控除証明書」で確認できます。
まとめ:住宅ローンの連帯債務は自分に向いているかしっかり検討が必要
まとめ:住宅ローンの連帯債務は自分に向いているかしっかり検討が必要
住宅ローンの連帯債務は、収入を合算して審査を受けられるため希望する条件で審査に受かりやすくなります。各自で控除を受けられたり事務手数料を軽減できたりとメリットも多いです。
しかし、デメリットも存在します。契約者が2人であることからさまざまな場面でトラブルに発展する可能性もあるため、連帯債務が自分に合った契約方法か事前にしっかりと確認しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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