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更新日:2024.09.12
登録日:2024.02.22
屋上防水工事の種類と費用相場を解説!適切な業者の選び方も紹介
「屋上防水工事の費用はどれくらいかかる?」
「どのタイミングで防水工事を検討すればよい?」
建物の管理や所有をしている人は、上記のように悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
本記事では、屋上防水工事の必要性をはじめ、工事の種類や費用相場を紹介しています。屋上の防水工事を検討するべきタイミングや、サインとなる劣化症状もあわせて解説します。
工事業者の選び方についても説明しているので、建物管理の際の参考にして、適切な工法とタイミングで屋上の防水工事を行いましょう。
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屋上防水工事とは
屋上防水工事とは
屋上防水工事とは、雨漏りなどを防ぐために屋上に防水機能を持たせる工事です。屋上は常に風雨にさらされているため、防水性能が低くなれば雨水が建物に染み込みやすくなります。濡れた部分から建物の劣化が進行するのを防ぐためには、防水工事が必要です。
屋上の防水性能が下がると、利用者の快適性が失われ、建物の資産価値も低下しやすいでしょう。建物を売却したり賃貸に出したりする際に、取り引きがスムーズにいかなくなる可能性が高まります。
また建築基準法では、建物の所有者や管理者は、建物の設備・構造を常に適法な状態に保たなければならない決まりです(※)。以上のことから、屋上防水工事は定期的に行う必要があります。
※参照:建築基準法 第8条
なお、ベランダやバルコニーなど屋上以外の防水工事に関しては、以下の記事で解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
【種類別】屋上防水工事の費用
【種類別】屋上防水工事の費用
屋上防水工事には4つの種類があります。使用する防水材や屋上の面積などによって実際の価格は変動しますが、おおよその費用相場は以下のとおりです。
それぞれの工事内容について、詳しく解説します。
ウレタン防水
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を屋上に塗装して防水性能を高めるものです。職人が塗装するため小回りがききやすく、障害物がある屋上や複雑な形の場所にも向いています。
ウレタン樹脂の防水材の耐用年数は5年程度ですが、定期的にトップコートを塗装しなおすことで15年程度効果を維持できる場合があります。
ウレタン防水は、塗料のグレードによって費用が変わる点に注意が必要です。また、職人の手作業のため塗料が均一な厚みにならないなど、仕上がりに差が出ることもあります。業者選びを慎重に行ったり、見積もり内容をよく確認したりすることが大切です。
※参照:文部科学省
FRP防水
FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の略称で、繊維補強プラスチックのことです。FRP防水では、液状のFRP防水材を補強材と組み合わせて塗り重ねることで、屋上の防水性能を高めます。
FRP防水は、防水層に継ぎ目ができず機密性に優れているため、防水性の高い工法です。耐久性・耐熱性なども高く、よく日が当たる屋上でも紫外線の影響を受けにくいメリットがあります。
ただし、FRPは弾性が低いため、建物の揺れや木材の伸縮などによってひび割れを起こしやすい防水材です。木造の建物の面積が広い屋上などには向いていないため、ほかの工法を検討しましょう。
※参照:文部科学省
シート防水
シート防水
シート防水は、ゴム製や塩化ビニル製の防水シートを屋上に張り付けて防水性能を高める工法です。防水シートは、接着剤で直接屋上に張り付けたり、銅板やディスク版を介して張り付けたりします。
シート防水は、防水材を塗装するウレタン防水やFRP防水に比べると簡単な工法です。そのため、広範囲への施工でも工期が短く済みやすいメリットがあります。
ただし、障害物や段差がある屋上ではシートが浮いたり、しわが入ったりすることがあるため向いていません。複雑な形状の屋上も、シートの形が合わない可能性が高いため、ウレタン防水やFRP防水を検討しましょう。
※参照:文部科学省
アスファルト防水
アスファルト防水には以下の3種類があります。
アスファルト防水はほかの工法と比べて耐久性が高く、防水性能も上がりやすい工法です。耐用年数も長いため、一度アスファルト防水を施した屋上は長期に渡り防水性能を維持できます。
ただし施工に手間がかかるため、工期が長くなったり広いスペースが必要だったりする点には注意が必要です。また、アスファルトは重量が大きいため、老朽化した建物や耐震性の低い建物には向いていません。
※参照:文部科学省
屋上防水工事が必要なタイミング
屋上防水工事が必要なタイミング
屋上の防水工事が必要なタイミングには明確な決まりはありませんが、基準となるのは以下の2点です。
・屋上に劣化症状を発見したとき
・計画した修繕時期がきたとき
屋上に劣化症状を見つけたら、すみやかに防水工事を行うのがおすすめです。小さな劣化のように見えても、放置しておくと大きな破損に繋がる場合があります。劣化症状の具体例は後述するので、参考にしてください。
また、あらかじめ修繕時期を決めておき、計画に沿って工事を行う方法もあります。修繕時期は、各工法の耐用年数を参考に決めるとよいでしょう。たとえばウレタン防水であれば、8〜12年に一度の周期が目安です。
鑑定士コメント
マンションの屋上防水工事を行う最適なタイミングはいつでしょうか?マンションの場合、通常は大規模修繕工事のタイミングで屋上防水工事が行われます。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、屋上防水の補修・修繕工事の周期は12〜15年となっているため、参考にするとよいでしょう。ただし屋上の劣化具合によっては、大規模修繕工事より前に防水工事が必要になる場合もあります。定期的な劣化確認に合わせて工事の必要性を判断しましょう。
屋上防水でよくある劣化症状
屋上防水でよくある劣化症状
屋上防水工事を検討すべき劣化症状は、以下の4つが代表的です。
・ひび割れ
・色あせ
・はがれ
・水たまり
それぞれの症状について詳しく説明します。
ひび割れ
屋上のひび割れは、経年劣化や地震などによって起こりやすい劣化です。細かいものはトップコートの再塗装で修正できる場合がありますが、大きなひび割れは防水層や下地に影響が出ている可能性もあります。
防水層にまで到達したひび割れは、雨漏りの直接的な原因になりやすい症状です。さらに、放置してひび割れ部分から雑草が生えてきてしまうと、建物自体の劣化を早めることにもなりかねません。
深いひび割れを補修するには、防水層の塗り替えなど大規模な工事が必要になる場合があります。ひび割れを発見したら、すみやかに補修工事を検討しましょう。
色あせ
屋上の表面が白っぽく色あせてきたら、トップコートの劣化のサインと捉えましょう。トップコートは、防水面の保護のために塗装するものです。
トップコートの色あせは、直接雨漏りに繋がる劣化ではありません。しかし、放置するとその下の防水層がむき出しになり、防水性能が低下する可能性があります。
屋上表面のトップコートは、常に風雨や紫外線にさらされているため、劣化が起こりやすい部分です。表面的な劣化であれば再塗装で補修できるため、5年に1回程度の頻度で再塗装を検討するとよいでしょう。
はがれ
はがれ
シート防水の場合、防水シートのつなぎ目や端の部分からはがれが起こる場合があります。粘着剤で張り付ける防水シートは、経年劣化によって徐々に粘着力が弱まりやすいためです。
シートの浮きやはがれが起こると、そこから直接雨水が侵入するため、階下の室内にも影響が出る可能性が高まります。
補修の際は、古いシートをはがして新しいものを張り付ける、全面的な張り替え作業が必要になるケースが多いでしょう。工事に時間がかかることも考えられるため、できるだけ早く業者に依頼するのがおすすめです。
水たまり
屋上に水たまりが見受けられるようになったときは、排水機能が低下し水はけが悪くなっていることが考えられます。排水溝の詰まりや地震などによる建物の傾きのほか、防水シートのよれや膨らみなども、屋上の水はけが悪くなる原因です。
水たまりへの対処方法は、原因によって異なります。防水シートのよれやはがれならシートの張替え作業で済みますが、建物自体の傾きに問題がある場合は、下地からやり直すことにもなりかねません。
水たまりが日常的にできている状態が続くと、屋上の防水層の劣化が早まります。できるだけ早く原因を突き止め、対処しましょう。
鑑定士コメント
屋上の劣化しやすい場所として注意深くチェックした方が良い部分はあるでしょうか?屋上では、ドレン周辺や笠木などの劣化もチェックしましょう。ドレンとは排水口のことで、水やゴミなどが集まりやすい場所です。排水管が詰まったり、ドレン周辺に使われている金属が錆びたりすると、水がうまく流れず防水層に影響が出ることがあります。笠木は、屋上の手すり頂部のカバーです。笠木が劣化して継ぎ目から雨水が侵入すると、笠木内部の腐食や、屋上全体の劣化にも繋がりかねません。以上のことから、屋上では防水層や下地の劣化だけでなく、細かい部分にも注目しましょう。
屋上防水工事業者の選び方
屋上防水工事業者の選び方
屋上防水工事の業者を選ぶときは、以下の3つがポイントです。
・屋上防水の工事の経験が豊富
・防水施工技能士資格を保有している
・防水工事に特化している
それぞれの内容について、詳しく説明します。
屋上防水の工事の経験が豊富
屋上防水工事を数多く行ってきた業者は、これまでの実績・経験による知識が豊富である場合が多いものです。専門的な見解から、屋上のタイプに合った工法を提案してもらいやすいでしょう。
周辺環境や屋上の形状などに合った施工をしてもらえれば、施工後の防水効果を長く維持しやすくなります。業者選びの際には、業者のホームページや情報サイトなどで、実績や口コミなどを調べてみるのも有効です。
防水施工技能士資格を保有している
防水施工技能士は、防水工事に関する専門的な知識・技術を持っていることを認定する国家資格です。3級から1級まであり、1級の防水施工技能士は上級者といえるでしょう。
防水施工技能士がいる業者に依頼すれば、高い技術で防水工事を行えることが期待できます。施工業者のホームページなどで、有資格者数が公開されているかをチェックしておくのもおすすめです。
防水工事に特化している
防水工事に特化している
防水工事を依頼できる業者の種類には、以下の3つがあります。
・大手のリフォーム会社
・外壁塗装の専門業者
・防水工事の専門業者
防水工事を依頼するなら、当然防水工事の専門業者を選ぶのがおすすめです。屋上やベランダなどの防水工事に特化して依頼を受けている業者は、防水工事経験が豊富であるとも判断できます。
また、防水工事に特化した施工業者は、防水施工技能士資格の保有者がいる可能性も高いものです。安心して工事を頼みたいなら、業者の特徴にも目を向けてみるとよいでしょう。
まとめ:屋上防水は漏水する前に行おう
まとめ:屋上防水は漏水する前に行おう
屋上の防水工事は、室内の雨漏りなどを防ぐために、定期的に行う必要があります。建物の管理者・所有者は建物を適正な状態に保つ義務があるため、日頃から屋上に劣化が発生していないかチェックしなければなりません。
ひび割れや防水シートのはがれなどの劣化を放置していると、雨漏りはもちろん建物自体の劣化にも繋がりやすくなります。大規模な工事が必要になる前に、防水材の耐用年数などを踏まえて工事計画を決めておきましょう。
防水工事を依頼する際は、専門知識を持った業者を探すのがおすすめです。防水施工技能士がいたり、防水工事を専門に扱っていたりする業者を選び、適切に防水工事を進めましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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