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2024.02.22

不動産取得税がかからないケースがある?非課税条件や軽減措置を徹底解説

不動産取得税がかからないケースがある?非課税条件や軽減措置を徹底解説

不動産を取得したとき、取得者は不動産取得税を納める必要があります。一方で不動産取得税がかからないケースがあるのをご存知でしょうか。

条件によっては減免措置が受けられるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。不動産を取得したあとでも、申告することで還付される可能性があります。

本記事では、不動産取得税が非課税となるケースや、非課税措置が適用される条件についてまとめました。不動産取得税の基礎知識や計算方法とあわせて紹介するので、不動産の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産取得税とは

不動産取得税とは

不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに課せられる地方税のことです。下記のような不動産が対象とされます。

 

・売買、交換、贈与で取得した建物や土地

・新築、改築、増築によって取得した建物

 

このようにすべての不動産を対象となっており、有償や無償、登記の有無は問いません。個人・法人に関係なく支払う必要があります。

 

不動産を取得すると都道府県から納税通知書が届くので、記載してある金額を期日までに支払いましょう。不動産取得税は取得した時点で1度だけ納めるものなので、定期的に支払う必要はありません。

 

不動産の取得によって課される不動産取得税ですが、条件によってはかからないことがあります。不動産取得税の課税対象でも軽減措置が受けられるケースがあるので、あらかじめチェックしておきましょう。

 

不動産取得税については以下の記事でも紹介しています。不動産の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

不動産取得税とは?軽減措置や計算方法・納付時のポイントを解説

不動産取得税の計算方法

不動産取得税の計算方法

不動産取得税の計算方法

不動産取得税の計算方法について解説します。

 

・不動産取得税の税率

・固定資産税評価額を確認する方法

 

納付する税金がいくらぐらいになるのか、あらかじめチェックしておきましょう。

不動産取得税の税率

不動産取得税の税率は原則として「4%」です(※1)。ただし、2024年3月31日までは、税率の特例措置として以下の税率が適用されます(※2)。

 

土地

3%

住宅

3%

 

住宅以外の家屋の場合、不動産取得税の税率は4%となっています。「固定資産税評価額×税率(3%もしくは4%)」の計算式で、不動産取得税の納税額を計算してください。

 

※参照1:総務省

※参照2:不動産取得税に係る特例措置

固定資産税評価額を確認する方

固定資産税評価額は、「固定資産評価証明書」に記載されています。不動産がある市区町村の窓口もしくは郵送で取得が可能です。

 

窓口での申請

申請書

本人確認書類(運転免許書やパスポートなど)

手数料

郵送での申請

申請書

必要書類

切手を貼った手数料分の定額小為替

返信用封筒

 

詳しい取得方法は自治体のホームページで確認してください。税務署や役所に保管されている固定資産台帳や、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書で確認する方法もあります。

 

また、固定資産税評価額は不動産価格の70%ほどです。購入前に課税額を確認したい場合は、不動産価格×0.7である程度の目安を計算できます。(※)

 

※参照:Authense法律事務所

 

鑑定士コメント

マンションの場合の固定資産税評価額はどのように決めるのでしょうか?マンションの場合、土地と建物をあわせて固定資産税評価額を評価します。個人で所有する専有部分と、区分所有者全員が共有する共用部分の共有持ち分で算出します。共用部分の共有持ち分は、共有部分を各戸の専有床面積の割合で按分して床面積を割り出します。

不動産取得税が非課税になる場合

不動産取得税が非課税になる場合

不動産取得税が非課税になる場合

不動産取得税がかからないケースは以下の通りです。

 

・相続で不動産を取得した場合

・不動産価格が免税額以下の場合

・土地区画整理法により換地を取得した場合

・特定の法人が事業用の不動産を取得した場合

・法人の合併または分割で不動産を取得した場合

 

どのようなケースで非課税となるのか、詳しく紹介しましょう。

相続で不動産を取得した場合

相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税は非課税です。ただし、生前贈与は相続にあたらないため、課税の対象となります。

 

また、遺言書で受遺者と財産内容を指定する「特定遺贈」や、割合を指定する「包括遺贈」の不動産取得税は以下の通りです。

 

特定遺贈(配偶者・子・孫など法定相続人が受け継ぐ場合)

非課税

特定遺贈(法定相続人が受け継がない場合)

課税

包括遺贈

非課税

不動産価格が免税額以下の場合

取得した不動産の価格が免税額以下だと、非課税対象になります。詳しい基準は以下の通りです。

 

・土地の価格が10万円未満

・売買・交換・贈与で取得した建物の価格が12万円未満

・新築・改築・増築で取得した建物の価格が23万円未満

 

ただし以下のケースでは注意が必要です。

 

・免税された土地と隣接した土地を1年以内に新しく取得した

・免税された建物と一構となる建物を1年以内に新しく取得した

 

このような場合は一つの土地・建物として評価されます。合算した価格が免税額を超えた場合は課税の対象です。

土地区画整理法により換地を取得した場合

土地区画整理法により換地を取得した場合

土地区画整理法により換地を取得した場合

土地区画整理により換地(かんち)を取得した場合は非課税です。換地とは、土地区画を実施したとき地権者に新しく交付される土地のことです。

 

また、一般に開放されている「公共の用に供する道路(私道)」の取得は、課税の対象外。不特定多数の人が広く利用している、規制を設けられていないなどの条件を満たしていれば、公共の用に供する道路に該当します。

特定の法人が事業用の不動産を取得した場合

以下のように特定の法人が事業用に不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりません。

 

学校法人

保育・教育のために提供する不動産の取得

宗教法人

境内建物並びに境内地の取得

社会福祉法人等

一定の社会福祉事業のために提供する不動産の取得

 

上記のように、本来の事業用として取得した不動産に限り非課税とされます。事業と関係ない用途が目的で取得した不動産は対象外なので、注意が必要です。

法人の合併または分割で不動産を取得した場合

法人の合併もしくは法人の分割で不動産を取得した際は、課税の対象外です。不動産の所有権が変更されるだけなので、新規取得には該当しないと判断されます。

 

ただし、法人の分割で不動産を取得する場合、「金銭等不交付要件」を満たさなければ非課税にはなりません。株主に対して承継法人株式以外の資産が交付されないことを求めた要件です。

不動産取得税対象でも不動産取得税がかからないケース

不動産取得税対象でも不動産取得税がかからないケース

不動産取得税対象でも不動産取得税がかからないケース

不動産取得税の対象となる場合でも、減免措置が受けられる可能性があります。

 

・新築住宅の軽減措置

・中古住宅の軽減措置

 

それぞれ減免措置の対象となるケースをまとめました。

新築住宅の軽減措置

建物の軽減措置

新築住宅を取得した際、以下の条件を満たせば1,200万円の控除を受けられます

 

・居住用として取得する不動産であること

・延べ床面積が50㎡(一戸建て以外の賃貸住宅は40㎡)以上で240㎡以下

 

延べ床面積にはマンションの共用部や車庫、物置が含まれます。新築住宅だけではなく、増改築したケースにも適用することが可能です。

 

減免措置を受ける場合、「(建物の固定資産税評価額-1,200万円)×税率」で不動産取得税を計算しましょう。なお、耐震性や住宅環境など条件を満たして「長期優良住宅」に認定された場合、控除額は1,300万円に拡大されます。

 

※参照:国土交通省

土地の軽減措置

以下の条件を満たした新築住宅の土地は、減免措置の対象となります。

 

・土地に建てた住宅が新築住宅の減免条件を満たしている

・土地を先に購入した場合は取得後3年以内に建物を建てること

・先に建物を建築している場合は1年以内に土地を取得すること

 

土地に対する減免措置は2つあり、これらは併用できます。

 

固定資産税評価額が1/2になる

2024年3月31日までに取得した固定資産が対象

一定の額が減免される

①45,000円

②(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×住宅の課税床面積の2倍(200㎡が上限)×税率

①②のどちらか高いほうの金額

 

つまり「((土地の固定資産税評価額×1/2)× 税率)– 軽減額」で、土地の不動産取得税額が計算できます。2024年3月31日以降に取得した土地の場合は、「(土地の固定資産税評価額×税率)– 軽減額」で算出しましょう。

 

※参照:国土交通省

中古住宅の軽減措置

建物の軽減措置

中古住宅で不動産取得税の減免措置を受けるための要件は、以下の通りです。

 

・自ら居住するために所有する住宅であること

・住宅の延べ床面積が50~240㎡以下

・1982年1月1日以後に新築されていて新耐震基準を満たしている

 

中古住宅の不動産取得税額は、「(固定資産税評価額 -築年次ごとの控除額)× 税率」で計算できます。築年次ごとに定められた控除額は下記でチェックしてください。

 

建物を建築した日

控除額

1997年4月1日以降

1,200万円

1989年4月1日~1997年3月31日

1,000万円

1985年7月1日~1989年3月31日

450万円

1981年7月1日~1985年6月30日

420万円

1976年1月1日~1981年6月30日

350万円

1973年1月1日~1975年12月31日

230万円

1964年1月1日~1972年12月31日

150万円

1954年7月1日~1963年12月31日

100万円

 

※参照:国土交通省

土地の軽減措置

以下の要件を満たせば、中古住宅の土地で不動産取得税の減免措置を受けられます。

 

・住宅と土地の所有者が同一である

・建てた住宅が中古住宅の減免条件を満たしており、土地の取得が住宅取得前後の1年以内

 

中古の土地の場合でも、減免額の計算方法は新築の土地と同じです。「((土地の固定資産税評価額×1/2)× 税率)– 軽減額」または、「(土地の固定資産税評価額×税率)– 軽減額」で計算します。

 

※参照:東京都

鑑定士コメント

軽減措置の申請はいつまでにすれば良いのでしょうか?不動産取得税の減免措置を受けるためには申請が必要です。原則として不動産を取得してから、60日以内に申請してください。届いた納付書に従って納税額を収め、減免措置を申請したあとに払いすぎた納税額が還付される流れです。期限に間に合わなかった場合でも、5年以内であれば申請を受け付けてもらえます。適用条件を満たしている場合は、なるべく早く申請をおこないましょう。

軽減措置を利用すれば不動産取得税の支払いは抑えられる

軽減措置を利用すれば不動産取得税の支払いは抑えられる

軽減措置を利用すれば不動産取得税の支払いは抑えられる

不動産を取得した場合、不動産取得税がかからないケースがあります。相続による取得や不動産価格が免税額以下など、非課税の条件をチェックしておきましょう。

 

不動産取得税対象であっても減免措置が受けられる可能性があります。新築住宅と住宅にわけて要件や控除額を紹介したので、ぜひ参考にしてください。

 

減免措置を利用すれば不動産取得税の支払いを抑えられます。不動産を取得したあと5年以内なら申請できるので、払いすぎた還付金を受け取りましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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