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2023.07.20

液状化現象の対策とは?具体的な方法をわかりやすく解説

液状化現象の対策とは?具体的な方法をわかりやすく解説

地震が発生した際、液状化現象という言葉をよく耳にします。家が傾く・倒壊するなどの被害が発生する場合がある液状化現象ですが、対策することは可能なのでしょうか。

本記事では、液状化現象が発生する条件や対策方法について解説します。長く住めるマンションを選ぶために重要なことですので、液状化現象の被害にあわないためにもぜひ最後までご覧ください。

液状化現象とは?

液状化現象とは?

液状化現象とは?

液状化現象とは、地震の衝撃によって地盤に強い衝撃を受け、地盤を形成している砂などの粒子の結びつきが弱くなる現象です。通常、地盤は砂や礫、粘土などの粒子が強く結びつき、その間に水が満たされることで地盤が支えられています。

 

しかし、地震によって砂などの粒子の結びつきが弱くなると、粒子が水に浮いた状態になってしまいます。この状態を液状化と言い、液状化現象が発生すると、水よりも比重が重い建物が沈んだり傾いたりしてしまうのです。また、地盤の比重が液状化によって変化することで、地面に埋められたマンホールなどが浮上するなどの被害も発生します。

 

なお、液状化現象については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

液状化現象とは?発生する仕組みと判定方法をくわしく解説

液状化が発生しやすい条件

液状化が発生しやすい条件

液状化が発生しやすい条件

液状化現象には、発生しやすい地盤があります。ここでは、どのような地盤で液状化が発生しやすいかについて解説します。

 

液状化が発生しやすい条件は次の3つです。

 

・砂地盤である

・地盤の砂が柔らかい

・砂が地下水に浸されている

砂地盤である

砂で形成された地盤は、液状化が発生しやすいのが特徴です。特に浅い位置に砂層があると、液状化現象が発生する危険性があります。粒子の大きさによる粒子同士の結びつきの強さや水はけが、砂地盤で液状化現象が発生しやすい原因です

 

地盤を形成する地層には、砂層のほかに粘土層や礫層などがあります。粘土の粒径は0.005mm以下(※)と粒子が小さいため、結びつきが強く液状化現象が発生しにくいです。また、礫の粒径は2mm以上(※)あり、水はけがよいためこちらも液状化現象が発生しにくい傾向にあります。

 

一方、砂の粒径は0.074〜2mm(※)です。粘土ほど粒子同士の結びつきが強くなく、礫ほど水はけも良くありません。そのため、砂層は液状化現象が発生しやすい地盤だといわれています。

 

※:NPO住宅地盤品質協会

地盤の砂がやわらかい

砂層の地盤だという理由だけでは、液状化現象が発生するとは限りません。しかし、地盤が固まっておらず、砂が柔らかいと液状化現象のリスクは高まります。液状化現象は、粒子の結びつきの強さによって発生リスクが変わります。

 

しっかりと固められた砂層であれば、粒子の結びつきが強くなるため、ある程度の地震には耐えることができるでしょう。しかし、ふんわりと集まっているだけの砂層では、粒子がバラバラになりやすいため液状化現象が発生しやすくなります

鑑定士コメント

液状化現象は、地震が起きても必ず発生するとは限りません。地震の揺れの大きさや揺れの継続時間も液状化現象の発生に関係します。
また、本文に記載のとおり、一定の条件に該当しない地盤は、液状化のリスクは低いでしょう。

液状化現象への対策

液状化現象への対策

液状化現象への対策

購入したマンションや戸建ての地盤で液状化現象が発生すると、最悪の場合は家が倒壊してしまう可能性もあります。そのため、できるだけ液状化現象の発生リスクを低くすることが重要です。ここでは、4つの液状化現象への対策を4つ解説します。

 

・土地を事前調査する

・地盤を改良する

・液状化対策工事をする

・地震保険に加入する

土地を事前調査する

マンションや戸建てを購入する際は、建物がある土地を事前調査しましょう。土地を事前調査する方法として、国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」や「KuniJiban」などがあります。

 

これらのサイトを活用することで、土地の地盤がどのような地層で形成されているのか、発生する可能性が高い災害などを確認することができます。液状化現象は、埋め立て地や旧河道などの地下水が豊富な土地で発生しやすいです。

 

また、洪水が発生しやすい土地は地盤に水が溜まりやすいため液状化のリスクがあります。これらの土地を避けるために、事前に地盤情報の確認や各種ハザードマップを確認しましょう。

 

なお、洪水ハザードマップについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

洪水ハザードマップとは?見方や入手方法・作り方を徹底解説

鑑定士コメント

公開資料などで液状化しやすいエリアに入っていた場合、不安になるでしょう。しかし、液状化を引き起こす要員には様々な条件があり、必ずしもエリア全体が液状化するとは限りません。エリア内でも、土地によってその地層のでき方は違います。不安な場合は、専門の地質調査を依頼するのがおすすめです。その結果により、地盤改良の手段もあります。

地盤を改良する

液状化のリスクが高い土地でも、地盤を改良することでリスクを低くすることができます。液状化対策のための地盤改良には、下記のようなものがあります。

 

・薬液注入工法

・表層改良工法

・地下水位低下工法

 

薬液注入工法は、地盤内に凝固する薬液を注入して地盤内の水を薬液に置き換えることで、地盤の粒子の結びつきを強くしたり地盤への浸水を防いだりする工法です。また、表層改良工法は軟弱地盤を掘り起こし、セメント系固化材を使用して固める工法です。

 

地下水位低下工法は、地下水をくみ上げて地下水の水位を低下させることで、液状化現象のリスクを低くします。それぞれの工法は工事の規模や金額が異なるため、土地の液状化リスクを踏まえて工法を選びましょう。

液状化対策工事をする

地盤ではなく、建物や基礎を改良することで液状化による被害を防ぐことも可能です。例えば、液状化現象が発生しやすい砂層よりも深い強固な地盤に建物の基礎を打つことで、液状化による被害を防ぐことができるでしょう。また、建物の下の地盤を矢板や柱で囲んで締め切ることでも、液状化の影響を小さくすることができます。建物を建築する際の対策としては、下記のようなものもあります。

 

・軽い家を建てる

・建物のバランスを良くする

 

家が軽いと、液状化によって地面が柔らかくなっても沈下しにくくなるため、水の圧力が弱まり液状化の被害が小さくなります。また、建物のバランスを良くすることでも、圧力が均一にかかって液状化の規模を小さくできるでしょう。万が一沈下した場合も建物の傾きを最小限に抑えられます。

地震保険に加入する

いかに液状化現象が発生しないように対策したとしても、自然災害による被害を確実に防ぐことはできません。大規模な地震などが発生すると、どうしても液状化現象が発生する可能性があります。そのため、万が一液状化現象が発生した場合の対策として、地震保険に加入することがおすすめです。地震による液状化で住宅に被害が出た場合、下記の基準で保険金が支払われます。

 

 

損害の判定

損害規模

支払われる保険金

傾き

沈下量

一部損

0.2度超0.5度以下

10cm超15cm以下

保険金額の5%

小半損

0.5度超0.8度以下

15cm超20cm以下

保険金額の30%

大半損

0.8度超1.0度以下

20cm超30cm以下

保険金額の60%

全損

1.0度超

30cm超

保険金額の100%

※参照:日本損害保険協会

 

傾き1度と数字で見るとそこまで傾いていないように関しますが、人によっては、一部損の0.2度でもめまいなどの体調不良を引き起こす可能性があります。そのため、万が一に備えて地震保険へ加入しておきましょう。

まとめ:液状化現象の対策を理解し、マンション探しの参考にしよう

まとめ:液状化現象の対策を理解し、マンション探しの参考にしよう

まとめ:液状化現象の対策を理解し、マンション探しの参考にしよう

液状化現象は、地盤の粒子の結びつきが弱くなることで、地面が液状になる現象です。特に砂層の地盤で発生しやすく、埋め立て地や旧河道では地震による液状化現象の被害が多く報告されています。マンションを選ぶ際は、液状化現象が発生するリスクができるだけ低い土地を選ぶことが重要です

 

とはいえ、そのほかの地盤でも絶対に液状化現象が発生しないとは言い切れません。地盤改良が行われているか、マンションそのものに液状化対策の工事が施されているかも確認する必要があります。液状化現象の対策を理解して、マンションを探す際の参考にしましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

来たるべき大地震に備え、より地盤の強固なマンションを探したいと相談を受けた。確認すべき資料として一番規範性に乏しいものはどれか。
※ここでいう規範性とは上記問題文の判断をするために、評価基準に関連した情報が載っている資料がどれかを指します。

答えは 4

どれだけマンションが揺れるか、についてはその他の資料である程度の予測が可能ですが、住宅地図については他の資料に比べて得られる情報が少ないです。

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