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更新日:2024.09.12
登録日:2023.12.20
マンション修繕積立金の残高目安はどれくらいになる?計算方法もわかりやすく解説
「マンションの修繕積立金はどれくらい残高があればいい?」
「修繕積立金の金額目安はどうやって計算するの?」
マンション管理に携わっていたり、購入を検討していたりすると、上記のように悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。
本記事では国土交通省のデータをもとに、修繕積立金の残高目安の確認方法や計算方法について詳しく解説しています。修繕積立金が不足したときのリスクや、データを参考にする際の注意点などもあわせてご紹介。修繕積立金の適正な残高目安を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
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修繕積立金の残高目安はマンションによって異なる
修繕積立金の残高目安はマンションによって異なる
マンションの修繕積立金の残高は、築年数・総戸数・地域などによって目安が異なります。導入している設備やマンションの規模によっても必要な額が変わるため、明確な基準値は存在しません。
ただし、国土交通省は平成30年度の修繕積立金の残額について、以下のような調査結果を公表しています(※)。
修繕積立金の残高目安はマンションによって異なる
出典:国土交通省
積み立てているマンションが最も多い残額は2,000万円〜5,000万円の27.2%で、その次が5,000万円〜1億円の19.3%です。修繕積立金残額の全体の平均は、1億650万円となっています。参考程度にチェックしておくとよいでしょう。
また、国土交通省では修繕積立金についてのガイドラインも作成しています。詳細は後述するので、修繕積立金残高の目安を計算する際の参考にしてください。
※参照:国土交通省
修繕積立金残高の目安金額はガイドラインで確認
修繕積立金残高の目安金額はガイドラインで確認
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」には、修繕積立金の額の目安や算出方法などが記載されています。一般的には、このガイドラインをもとに修繕積立金の額が決められる場合が多いでしょう。
ガイドラインの中では、マンションの階数と建築延床面積ごとに、以下のとおり修繕積立金の平均値が記載されています(※)。
修繕積立金残高の目安金額はガイドラインで確認
出典:国土交通省
機械式駐車場があるマンションは、上記の表をもとに算出される修繕積立金に加えて、駐車場の修繕工事費が加算されます。機械式駐車場の修繕工事費は、車を持っていなくても支払う場合が多い点には注意しましょう。基準となる金額は以下のとおりです(※)。
修繕積立金残高の目安金額はガイドラインで確認
出典:国土交通省
以上の金額目安をもとに、自分が住むまたは購入予定のマンションの情報を照らし合わせることで、1戸あたりの修繕積立金の月額や残高目安が計算可能です。
※参照:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
修繕積立金の計算方法
修繕積立金の計算方法
前述した金額目安をもとに、修繕積立金の1戸あたりの月額と、全体の残高目安を計算する方法を紹介します。例に挙げるマンションのモデルは、以下のとおりです。
・15階建て/200戸
・建築延床面積:16,000㎡
・総専有床面積:14,000㎡(70㎡×200戸)
・機械式駐車場:4段(ピット2段)昇降横行式
・築年数:3年
まず、修繕積立金の1戸あたりの月額を計算します。式は以下のとおりです。
(70㎡×271円)+6,235円=25,205円/戸・月
次に、築3年時点での修繕積立金の残高目安を計算します。計算式は以下のとおりです。
25,205円×200戸×36カ月(3年)=約1億8,147万円
上記の例は、あくまで国土交通省の平均値をもとにした概算です。また、修繕積立金は大規模修繕工事だけでなく、不測の事故や災害などで必要となる修繕にも随時使われます。修繕積立金の月額や残高は、実際の状況によって変わることを覚えておきましょう。
修繕積立金の積み立て方式
修繕積立金の積み立て方式
修繕積立金の積み立て方式は、以下の2つが代表的です。
国土交通省のガイドラインでは、将来にわたって安定した金額を積み立てられることから、均等積立方式が望ましいとされています(※)。
しかし実際には、段階増額積立方式を採用しており、分譲時にまとまった額の基金(修繕積立基金)を集めるマンションが一般的となっています。理由としては、購入者の当初の月額負担が少ないほうが、分譲マンションを購入しやすくなるためといえます。
段階増額積立方式の場合、あとから増額される可能性があることを覚えておきましょう。区分所有者・管理組合・マンションを購入予定の人などは、積み立て方式をよく理解しておくことが大切です。
※参照:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
修繕積立金の残高が少ない場合のリスク
修繕積立金の残高が少ない場合のリスク
修繕積立金の残高が少ない場合、起こり得るリスクは以下の2点です。
・資産価値を維持できなくなる
・高額な修繕積立金を一度に払わなければならなくなる
それぞれの内容について、詳しく説明します。
資産価値を維持できなくなる
修繕積立金が不足すると、マンション内に劣化した部分があっても、修繕工事の依頼ができません。マンションの老朽化が早まり、快適な住環境が保てず資産価値が維持しにくくなります。
また、マンションを売却する際には、積み立て状況が販売価格に影響しやすいものです。修繕積立金の残高が少ないマンションは、希望より安い価格で取り引きせざるを得ないこともあるでしょう。
修繕積立金は、きちんと積み立てればマンションの資産価値の維持につながり、結果的に区分所有者にも還元されるものと考えられます。単なる出費と捉えず、必要な金額をしっかり積み立てましょう。
高額な修繕積立金を一度に払わなければならなくなる
修繕積立金の残高が少ないと、月々の修繕積立金とは別で、区分所有者からまとまった費用を集めるケースもあります。不足した修繕工事のための費用をまかなうためです。
この場合、区分所有者からすれば一度に高額な出費が発生するため、支払えないと断るケースも考えられます。費用が集められなければ修繕工事が計画どおりに進まず、劣化部分は放置されたまま、結果的にマンションの資産価値が下がることにもつながるでしょう。
突然の高額な出費を防ぐためにも、月々の修繕積立金は適正な金額と方法で集めなければなりません。
鑑定士コメント
新築と中古どちらが修繕積立金の負担が大きいのでしょうか?本文中に記載のとおり、マンションの修繕積立金は多くの場合で段階増額積立方式を採用しています。徐々に増額する積み立て方式のため、中古マンションを購入したときのほうが、修繕積立金の負担額が最初から大きい場合が多いでしょう。購入時には修繕積立金が少額な新築マンションであっても、あとから増額されるケースがほとんどです。修繕積立金は、長期的に見てどれくらい支払うことになるのか、目安を確認しておきましょう。
修繕積立金ガイドラインを目安にするときの注意点
修繕積立金ガイドラインを目安にするときの注意点
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を目安にする際は、以下の2点に注意しましょう。
・あくまでも平均値であること
・修繕費用の元データが古いこと
それぞれの内容について、詳しく解説します。
あくまでも平均値であること
国土交通省のガイドラインにある数値はあくまでも平均値のため、参考程度に捉えましょう。階数・建築延床面積や、機械式駐車場の有無によって区分されているものの、設備や周辺環境はマンションによってさまざまです。
たとえば、エレベーターやオートロックの有無によっても、修繕工事に必要な費用は変わります。ガイドラインの平均値を参考に修繕積立金の目安を計算したときは、その数値が自分の所有するマンションに適しているかを確認しましょう。
修繕費用の元データが古いこと
国土交通省のガイドラインは、平成23年に作成されています。その後、2021年に内容が見直され改訂版が公表されていますが、掲載されているデータが最新のものではない点には注意しましょう。
マンションの設備や環境は年が経つごとに変動し、必要な修繕費用も変わっていくことが考えられます。ガイドラインの数値をそのまま鵜呑みにせず、実状に即した金額であるかを意識することが大切です。
鑑定士コメント
修繕積立金の変動要因はなんでしょうか?国土交通省のガイドラインによると、修繕工事費は、建物の形状・規模・立地・仕上げ材・設備の仕様などによって変動するものです。そのほか、工事単価や区分所有者の機能向上に対するニーズなど、さまざまな要因が挙げられています。したがって、修繕積立金の額がガイドラインの数値から外れていても、要因が判明しているなら、それが不適切であるとは限りません。あくまでも自分が所有するマンションに合わせて考えましょう。
まとめ:修繕積立金不足を引き起こさないために知識をしっかり身につけよう
まとめ:修繕積立金不足を引き起こさないために知識をしっかり身につけよう
修繕積立金の残高は、国土交通省の調査結果やガイドラインで目安の確認が可能です。ガイドラインではマンションの階数や建築延床面積ごとに、専有面積あたりの修繕積立金の月額平均値が記載されています。
修繕積立金の残高が少ないと、マンションの資産価値が下がることや、高額な工事費用を一度に払わなければならないケースもあるでしょう。快適な住環境を維持するためには、必要な金額を計画的に積み立てなければなりません。
なお、ガイドラインなどでわかる残高目安はあくまでも参考程度に捉えましょう。修繕積立金は、自分が所有するマンションに適した金額かを意識することが大切です。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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