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更新日:2024.09.12
登録日:2023.10.22
ZEH (ゼッチ)とは?基本知識やメリット・デメリットを解説
住宅の情報を調べている人の中には、「ZEH」という言葉を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。ZEHは、近年住宅のトレンドとして注目されている住宅です。
大手のハウスメーカーの多くがZEH住宅を建設しており、興味を持っている人も多いのではないでしょうか。よく目にする言葉ですが、ZEHについてよくわからないという人もいるでしょう。
本記事では、ZEHとは何か、ZEHの要素や認定されるための3つの基準、ZEH住宅のメリット・デメリットについて詳しく解説します。ZEHの種類や補助金制度についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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ZEHとは
ZEHとは
ZEH(ゼッチ)とは、「net Zero Energy House」の略称です。年間で使用するエネルギー量が作り出す量よりも少なくなり、エネルギーの収支がゼロ以下になる住宅のことを言います。住宅が作り出すエネルギーによって生活に必要なエネルギーを賄える住宅をZEH住宅と呼びます。
経済産業省はZEHの普及を目指しており、2020年時点ではハウスメーカーが新築する注文住宅のおよそ56%がZEH住宅です(※)。また、政府は2021年に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、「2030年度以降新築される住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保」や「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を設置」という目標を掲げており、今後もZEH住宅の普及が予測されます。
※参照:経済産業省
ZEHの3つの要素
ZEHの3つの要素
ZEHを実現するには、下記3つの要素が欠かせません。それぞれの要素の性能を高めることで、エネルギーの使用量を抑えながらエネルギーを作り出しています。
・省エネ
・断熱
・創エネ
省エネとは、エネルギーを効率よく使用することです。ZEHでは、省エネ家電を使用するほか、「HEMS(Home Energy Management System)」と呼ばれるシステムを導入して、電力消費量や発電量などのエネルギー量を把握します。
断熱とは、室内と室外の熱移動を遮断することです。断熱性能を高めることで冷暖房性能が高まるため、室内でのエネルギー使用量を削減できます。
創エネとは、エネルギーを作り出すことです。ZEHでは、エネルギーを作り出す設備を導入して、普段の生活でエネルギーを作り出せるようにしています。代表的な創エネとしては、太陽光発電があります。
鑑定士コメント
ZEH住宅が注目されている社会背景はなんでしょうか?最近話題になることも多いZEH住宅ですが、注目される背景としては、世界的にも問題となっている地球温暖化への対策があります。ZEH住宅はエネルギー消費量を抑えられるため、CO2削減に貢献しています。また、政府としてもZEH住宅の普及を推進しており、今後もZEH住宅の建設は進むでしょう。
ZEHと認定されるための条件
ZEHと認定されるための条件
ZEHと認定されるには、下記4つの基準をすべて満たす必要があります。
省エネ基準では日本を8つの地域に区分しており、それぞれ求められる性能が異なるため基準値が異なります。北海道のように寒い地域は1~2地域に指定され、南下するほど2、3と数字が大きくなります。
東京や大阪などの都市部は5、6の地域が多いです。また、沖縄などは8地域に指定されています。
※参照:経済産業省
ZEHの4つのメリット
ZEHの4つのメリット
ZEHの基準を満たす住宅には、下記4つのメリットがあります。
・断熱性が高い
・停電時でも電気を確保できる
・光熱費を抑えられる
・ヒートショック予防効果が期待できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
断熱性が高い
断熱性はZEHの要素の1つであり、ZEH住宅は断熱性が高いです。断熱性が高いと室内が室外の気温に左右されにくくなるため、少ないエネルギーで室温を一定に保つことができます。
そのため、夏は涼しく、冬は暖かくして室内の環境を快適にすることができるでしょう。また、部屋ごとの温度差も少なくすることが可能です。
停電時でも電気を確保できる
ZEH住宅は、太陽光パネルなどのエネルギーを作り出す設備が備わっています。そのため、停電時でも電気を確保できるという強みがあります。
災害などで停電になった場合にも、電力を利用できるのは大きなメリットでしょう。蓄電池を備えておけば、さらに非常時の対策になります。
光熱費を抑えられる
断熱性の高さや創エネ、省エネの特徴があるZEHは、住宅全体でエネルギーを使用する量が少ないため光熱費を抑えられます。断熱性が高いと、エアコンなどの空調の使用量が減ります。
また、HEMSで住宅内の電気使用量を確認することで、電力消費を最小限に抑えられるでしょう。さらに太陽光発電などでエネルギーを作り出せば、最低限必要なエネルギーを作り出したエネルギーで賄えます。
ヒートショック予防効果が期待できる
ZEH住宅は、一般的な住宅に比べてヒートショック予防効果が期待できるでしょう。
ヒートショックとは、気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることです。特に冬場などの寒い時期に多く、暖かい部屋から寒い廊下に出たり風呂場から脱衣所に出た際などに発症しやすいです。
ZEH住宅は、断熱性が高く空調が効きやすいため、部屋間の温度差を抑えられます。
ZEHの2つのデメリット
ZEHの2つのデメリット
ZEHには下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。
・天候により発電量が変化する
・設備投資やメンテナンス費用が必要
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
天候により発電量が変化する
発電設備としては太陽光発電が有名ですが、太陽光発電は太陽光エネルギーを電気に変換するため、発電量が天気に左右されます。晴れの日は問題ありませんが、曇りや雨の日などの天気が悪い日はうまく発電できません。
日照時間が短い冬や梅雨の時期などは、安定して発電できない可能性があります。また、雪が多い地域などはパネルが雪に覆われて発電できないなど、地域によっても発電量に差がでる可能性があるでしょう。
設備投資やメンテナンス費用が必要
HEMSなどのZEH住宅特有のシステムや太陽光発電設備など、ZEH住宅を建設するには設備投資が必要です。また、それらの設備のメンテナンスも定期的に行う必要があります。
通常の住宅では発生しない費用であるため、ZEH住宅は一般的な住宅と比べて建設費用やメンテナンス費用が高くなります。
ZEHの種類
ZEHの種類
ZEH
ZEHは、先述した4つの基準を満たす住宅です。ほかの種類のZEH住宅の基準となります。ZEH住宅は、年間のエネルギー収支がゼロ以下という基準を満たしています。
Nearly ZEH
Nearly ZEHは、ZEHほどの性能は有していないものの、ZEHに近い性能を有した住宅です。ZEHとの違いは再生可能エネルギーを加えた一次エネルギー消費量の削減量であり、ZEHが100%以上という基準であるのに対し、Nearly ZEHは75%以上の削減が条件(※)となっています。
※参照:経済産業省
ZEH Oriented
ZEH Orientedは、ZEH基準のうち「強化外皮基準」と「再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量」の基準を満たした住宅です。
ZEHとの違いは、再生可能エネルギーを作り出す創エネ設備を導入する必要がないという点です。再生可能エネルギーの活用は必須ではないため、「再生可能エネルギーを加えた一次エネルギー消費量」の基準は適用されません。
なお、ZEH Orientedについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
ZEH Orientedとは?メリット・デメリット、補助金まで徹底解説
ZEH +
ZEH +はZET住宅の中でも再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減が25%以上の住宅です。ZEHに比べて省エネ性の高い住宅のことを指します。また、そのほかにも下記3要素のうち2つの要素を満たす必要があります。
1.外皮性能のさらなる強化
2.高度エネルギーマネジメント
3.電気自動車を活用した自家消費の拡大措置
外皮性能のさらなる強化では、UA値[W/㎡ K]が地域区分ごとに次の値以下である必要があります(※)。
高度エネルギーマネジメントを満たすためには、HEMSによって太陽光発電設備などの発電量を把握した上で、住宅内の暖冷房、給湯設備などが制御できるようにする必要があります。また、発電した電気を利用して電気自動車を充電できる設備を設置することも求められます。
※参照:経済産業省
Nearly ZEH +
Nearly ZEH +は、Nearly ZEH住宅の中でも再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減が25%以上の住宅です。ZEHとZEH +の違いと同じ条件であり、ZEH +と同様に下記要素のうち2つの要素を満たさなければなりません。
1.外皮性能のさらなる強化
2.高度エネルギーマネジメント
3.電気自動車を活用した自家消費の拡大措置
鑑定士コメント
ZEHは義務化されているのでしょうか?ZEHは2023年の時点で義務化されていないため、ZEHの基準を満たしていない住宅を建設することは可能です。しかし、建築物省エネ法の改正により省エネ基準への適合が義務化されることになります。CO2削減とエネルギー問題解決を重要視する世界的な流れからしても、今後はZEHが義務化される可能性もあると思います。
ZEH建築の補助金制度
ZEH建築の補助金制度
ZEHには、エネルギー使用量の削減による電気不足の解消や地球温暖化対策、発電設備による災害時の発電などさまざまなメリットがあります。そのため、政府としてもZEHの普及を推進しており、国や各都道府県で補助金制度があります。
ZEHの種類によって金額は異なりますが、決して小さな金額ではないため住宅を建築・購入する際に大きな助けとなるでしょう。
なお、ZEHの補助金については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ:ZEHを理解して快適な生活を手に入れよう
まとめ:ZEHを理解して快適な生活を手に入れよう
ZEHは、「省エネ」、「断熱」、「創エネ」の3つの要素が組み合わさった住宅です。年間のエネルギー収支がゼロ以下になる住宅のことであり、停電時でも電気を確保できる、光熱費を抑えられるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、必ずしも安定して創エネできるわけではなく、設備投資やメンテナンス費用などがかかるといったデメリットもあるため注意しましょう。
メリットとデメリットがあるZEH住宅ですが、住宅内の快適さはZEHではない住宅と比べて大きな差があります。ZEHを理解して、快適な生活を手に入れましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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