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更新日:2023.06.26
登録日:2023.06.26
マンションの評価額とは?種類別の調べ方や計算方法を紹介
マンションの税金額や価格について調べていると、「評価額」という用語を目にすることがあるでしょう。評価額には複数の種類があり、ややこしいと感じる方も多いはずです。
しかし、マンションの税金額や売却価格を把握するうえでは、評価額について理解することが大切です。
そこで、本記事では、マンションの評価額について解説しています。税金の計算方法や売却価格の目安となる評価額の調べ方を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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マンションの評価額の種類
マンションの評価額の種類
不動産の価値は、立地条件や建物の状態、経済情勢などのさまざまな要因で決定します。そのため、適切な価格設定をすることは難しいでしょう。
適切な価格設定や税金の計算がしやすいように、不動産に定められている指標が「評価額」です。
評価額には次の6種類があります。
・固定資産評価額
・相続税評価額
・実勢価格
・不動産鑑定評価額
・地価公示価格
・建物評価額
それぞれの評価額について、順に解説します。
固定資産税評価額
マンションの固定資産税額の計算時に使用する指標が、固定資産税評価額です。
各地方自治体には、「不動産鑑定士」と呼ばれる、国家資格を有した専門家がいます。不動産鑑定士が「固定資産評価基準」にもとづき、土地と建物の状態から固定資産税評価額を決定します。
固定資産税評価額は、毎年4月に送付される固定資産税通知書で確認可能です。詳しい調べ方については、後述します。
相続税評価額
マンションの相続や贈与を受けた場合、相続税や贈与税の支払い義務が生じます。相続税や贈与税を計算する際に使用する指標が、相続税評価額です。
相続税評価額は、土地部分と建物部分に分けられ、別々で評価額を算出します。
土地部分の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。
路線価方式は、路線価(道路に面している土地の1㎡あたりの評価額)が定められている地域の評価方法です。倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法で、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算します。
建物部分の評価額は、固定資産税評価額に1.0をかけた値(※)です。
詳しい相続税評価額の計算方法については、後述します。
※参照:国税庁
実勢価格
実勢価格
実勢価格は、買い手と売り手の需要が一致し、取引が成立する価格のことです。所有する不動産の価値を把握できるため、売却時の価格設定の参考になるでしょう。
のちほど紹介する「地価公示価格」や「不動産鑑定評価額」は、一定の基準をもとに算出された価格ですが、実際の取引価格とは異なります。
たとえば、地価公示価格が3,000万円の場合でも、実際には2,500万円で取引されることもあります。この場合、実勢価格は2,500万円です。
基本的に実勢価格は、現在の取引事例をもとに算出されます。最近の取引事例がない場合、過去の取引事例を参考にします。
ただし、取引価格は売り手や買い手の事情によって変動するため、実勢価格はあくまで参考程度にしてください。
不動産鑑定評価額
不動産鑑定評価とは、不動産鑑定士が「不動産の鑑定評価に関する法律」にもとづき、土地や建物の経済的価値を判定した価格のことです。
不動産鑑定評価額は、相続・売買・会計処理などで必要となります。国家資格を有する不動産鑑定士に依頼することで、適正な価格を把握できます。
不動産鑑定評価額は、明確な基準にもとづいて決定する評価額です。そのため、公的機関や第三者に対して「適正な価格であること」を証明できます。
地価公示価格
地価公示価格は、国土交通省が公表している「標準となる土地の価格」のことです。「公示価格」とも呼ばれます。
不動産の取引価格や相続税評価額、固定資産税評価額の目安として活用される指標です。
地価公示価格は、2人以上の不動産鑑定士が、毎年1月1日時点(※)での標準的な土地の評価を下します。
その後、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法にもとづいて価格を決定し、毎年3月に公表します。(※)
売却したいマンションの近隣にある公示価格を確認することで、適正な売却価格を把握できるでしょう。
※参照:国土交通省
建物評価額
建物評価額
通常、マンションの購入時には、火災保険や地震保険などの保険に加入します。
保険加入時、適切な保険金額を設定するためには、マンションの価値を正しく評価する必要があります。建物評価額は、保険金額を決定するときに基準となる指標です。
他にも、不動産を担保にして融資を受けるときや、過去に取引されていない不動産の価格を知りたいときにも使用される場合があります。
建物評価額は、不動産鑑定士が建物の構造・面積・所在地・築年数などを考慮して算出します。ただし、実際の販売価格とは異なることを覚えておきましょう。
【用途別】必要なマンション評価額
【用途別】必要なマンション評価額
用途ごとに「どの評価額が必要になるのか」を以下の表にまとめたので、必要な評価額を知りたいときに確認してみてください。
マンションの固定資産税評価額の調べ方
マンションの固定資産税評価額の調べ方
マンションの固定資産税評価額は、毎年4月頃に送付される固定資産税通知書で確認できます。
固定資産税通知書を直接確認できるのは、マンションを所有する納税者(もしくは同居家族や相続人)です。
未購入のマンションの固定資産税評価額を知りたい場合は、不動産会社に連絡しましょう。新築マンションで、固定資産税評価額が未決定の場合でも、おおよその固定資産税評価額を教えてもらえます。
固定資産税納税通知書を紛失した場合は、本人確認書類を持参して市役所に向かいましょう。固定資産税評価証明書を取得できます。
ただし、マンションの所有者でない人が、固定資産税評価証明書を取得するためには委任状が必要です。
鑑定士コメント
一戸建ての固定資産税と比較してマンションならではの特徴はあるのでしょうか。多くのマンションは、鉄筋コンクリート造で耐用年数が長く、一戸建てよりも経年劣化による価値の減少が緩やかになります。つまり、同じ築年数でも、一戸建てよりも評価額が高くなりやすいのです。また、土地価格・マンション価格の比重で言えば、戸建よりマンションの方が建物価格の比重が多く、土地価格の変動を受けにくいという特徴もあります。
マンションの相続税評価額の調べ方
マンションの相続税評価額の調べ方
相続税評価額は、土地と建物部分で異なるため、別々に計算する必要があります。手順は、次の通りです。
・土地部分の相続評価額を計算する
・建物部分の評価額を調べる
・土地と建物の相続税評価額を合計する
土地部分の相続評価額を計算する
はじめにマンションの敷地全体の相続税評価額を計算し、その後、所有する土地の相続税評価を計算します。
以下の計算式から、マンションの敷地全体の相続税評価額を求めましょう。
敷地全体の相続税評価額=路線価(1㎡あたりの価格)×奥行価格補正率×面積(※)
路線価は、国税庁の公式サイトにある「路線価図・価格倍率表」から確認できます。都道府県や市町村の情報を入力し、マンションの前面道路の路線価をチェックしましょう。
奥行補正率とは、対象となる土地の奥行きが短い場合や長い場合に行う補正のことです。詳細は国税庁の「奥行価格補正率表」で確認してください。
マンションの敷地全体の相続評価税を算出後、所有する土地の相続税評価額を計算します。計算式は次の通りです。
土地の相続税評価額=敷地全体の相続税評価額×敷地権割合(※)
敷地権割合は、マンションの登記事項証明書や売買契約書に記載されています。
※参照:国税庁
建物部分の評価額を調べる
土地と建物の相続税評価額を合計する
土地と建物の相続税評価額を合計する
以上で求めた、土地部分の相続税評価額と建物部分の相続税評価額を合算します。合計額が、マンションの相続税評価額となります。
相続税を計算する
算出したマンションの相続税評価額をもとに、相続税を計算しましょう。
相続税には控除があります。以下の計算式(※)を用いて、相続税を計算してください。
・相続税=(相続税評価額ー基礎控除額)×税率
・基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
※参照:国税庁
マンションの実勢価格の調べ方
マンションの実勢価格の調べ方
実勢価格の調べ方は、次の3つです。
・土地総合情報システムで調べる
・REINS Market Infomationで調べる
・不動産会社の査定を受ける
土地総合情報システムは、不動産取引の価格を検索できる国土交通省の公式サイトです。
REINS Market Infomationは、東日本不動産流通機能が運営する、全国の取引情報の検索システムです。条件の近いマンションの取引価格を知りたいときに活用します。
専門家に依頼して実勢価格を知る方法が「不動産査定」です。査定は無料で行われており、マンションの実勢価格を把握できます。
ただし、査定基準は不動産会社独自のものであるため、あくまで参考程度にしましょう。余裕があれば、複数の会社に依頼して査定金額を比較してみてください。
マンションの不動産鑑定評価額の調べ方
マンションの不動産鑑定評価額の調べ方
不動産鑑定評価額を調べるためには、不動産鑑定士への依頼が必要です。
不動産鑑定は、不動産仲介業者ができない業務であり、不動産鑑定士による独占業務となっています。ただし、不動産査定とは異なり、費用が発生するので注意しましょう。
各都道府県の不動産鑑定士協会のホームページから不動産鑑定士を見つけられます。電話番号やメールアドレスが記載されているので、問い合わせてみましょう。
鑑定士コメント
マンションは築年数が浅い方が評価額が高いなら、早めに売却を考えたほうが得なのでしょうか?もし遊休のマンションがあれば、早めの売却がいいでしょう。基本的にマンションの価値は築年数とともに下がります。また、評価額が高いうちは、税金も高額になります。使用していないマンションは、早めに売却する方がいいでしょう。一方で、自分で住まなくても賃貸で運用することで有効活用できます。築年数が浅いほど賃料は高くなるので、しばらく売却せずに賃貸運用し、その後に売却という方がトータルで有利な場合もあります。
マンションの評価額を調べる際の注意点
マンションの評価額を調べる際の注意点
マンションの評価額を調べる際には、次の2点に注意してください。
・マンションの評価額は不動産会社によって違う
・評価額は売却価格ではない
以下で、それぞれ詳しく解説します。
マンションの評価額は不動産会社によって違う
不動産の査定には、明確な基準がなく、会社独自の基準で評価を実施します。不動産会社によって評価基準が異なるため、査定結果にも差が出ます。
不動産会社が独自に分析した資料や過去の取引事例なども影響するため、評価額を知りたい場合は複数社で査定を受けるのがいいでしょう。
評価額は売却価格ではない
評価額は、税計算の基準となる価格であり、売却価格と同額ではありません。
実際にマンションを売却する際には、売り手や買い手の事情によって価格が変動します。評価額=売却価格でないことを理解しておきましょう。
たとえ評価額よりも価格が高くても、買い手が購入を希望する可能性はあります。また、急いでマンションを手放したい場合は、評価額より安い価格でも売却を行うでしょう。
マンションを売却する際には、評価額を参考に価格の最低ラインを決めておくと、価格交渉をしやすくなります。
マンション評価額の知識を深めて売却時の目安に活用しよう
マンション評価額の知識を深めて売却時の目安に活用しよう
マンションの評価額には複数の種類があり、それぞれで目的が異なります。
必要な評価額を理解することで、マンションの相続・贈与・売却などの手続きをスムーズに進められるでしょう。
評価額は売却価格とは異なり、あくまでも税計算や売却価格の目安となる価格であることは覚えておきましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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