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2024.01.19

抵当権とは?根抵当権との違いや押さえておきたい基本知識をわかりやすく解説

抵当権とは?根抵当権との違いや押さえておきたい基本知識をわかりやすく解説

マンション購入時に住宅ローンを契約する際、ほとんどの場合において抵当権という権利が設定されます。抵当権という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、どのような権利なのかを詳しく知らない人は多いのではないでしょうか。

本記事では、抵当権とはどのような権利か、メリット・デメリットについて解説します。抵当権がどのように設定されるのか、行使された場合はどうなるのかなどについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

抵当権とは

抵当権とは

抵当権とは

抵当権とは、住宅ローンの貸付を行う金融機関などの債権者が、借入を受ける債務者が購入した不動産を担保にできる権利です

 

住宅ローンでは、債務者が契約通りに返済を行わなかった場合、債権者が不利益を被る可能性があります。

 

抵当権を設定することで、万が一返済が行われなかった場合にも不動産を差し押さえられます。差し押さえた不動産を競売にかけて売却することで、売却金額をローン返済費用に当てるのです。

 

抵当権が設定されるローンは「有担保ローン」、抵当権が設定されないローンは「無担保ローン」と呼ばれます。金融機関によっては抵当権が設定されていない無担保ローンを契約することもできますが、有担保ローンと比べて借入可能額が少ない・返済期間が短いなどの特徴があります。

 

なお、抵当権設定者については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

 

抵当権設定者と抵当権者の違いは?死亡したときの手続きについても解説します

鑑定士コメント

抵当権付きの物件は売買できるのでしょうか?住宅ローンが残っているなど、抵当権付きの物件であっても、不動産仲介会社に依頼するなどして売買活動を行うことは可能です。しかし、抵当権が抹消されていない状態で取引を行った場合、売主の金銭トラブルによって不動産が取り押さえられる可能性があり、そのような不安要素が残った不動産には買い手がつきません。そこで、このような抵当権付きの不動産の売却のケースでは、不動産の引き渡し日に「売買代金の決済」と「所有権移転登記」「抵当権の抹消登記」の3つを同時に行うことになります。

抵当権と根抵当権との違い

抵当権と根抵当権との違い

抵当権と根抵当権との違い

抵当権の一種として、「根抵当権」というものがあります。根抵当権とは、借入上限額を設定してその限度額までの借入と返済を複数回繰り返すことができる抵当権です

 

通常、借入を行う場合はその都度抵当権を設定しなければなりません。根抵当権であれば、設定の手間を省いて借入と返済を行うことができます。

 

根抵当権はその性質上、事業資金などのように繰り返し融資を受ける際に設定されます。そのため、一般的な住宅ローンでは根抵当権が設定されることはほとんどありません。

 

なお、抵当権と根抵当権の詳しい違いについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

 

抵当権と根抵当権の違いとは?間違いやすいポイントを徹底解説

抵当権のメリット

抵当権のメリット

抵当権のメリット

抵当権のメリットは以下の3つです。

 

・有担保の住宅ローンを借りられる

・ローンの金利が低くなる

・担保がないローンより多く借り入れできる

 

抵当権をなぜ設定すべきなのか、詳しい理由を紹介しましょう。

 

有担保の住宅ローンを借りられる

抵当権を設定すれば金融機関から住宅ローンを借りられます。住宅ローンを利用する場合、不動産に抵当権を設定する「有担保ローン」が一般的です。

 

抵当権の設定がない無担保ローンもありますが、特殊なケースに限られます。金融機関から住宅ローンを借りるためには、抵当権の設定が必要と考えられるでしょう。

 

ローンの金利が低くなる

抵当権を設定した有担保ローンなら、無担保ローンより金利が低くなります。無担保ローンと比較して、利息(利子)の支払いを抑えられるでしょう。

 

金融機関にとって貸し倒れリスクが高いことが、無担保ローンの金利が高い理由。住宅ローン返済の負担を軽減したいなら、抵当権を設定して有担保ローンを借りるのがおすすめです。

担保がないローンより多く借り入れできる

担保がないローンより多く借り入れできる

担保がないローンより多く借り入れできる

抵当権を設定する有担保ローンでは、無担保ローンより多くの金額を借り入れできます。物件購入にかける予算を増やせるため、選択肢が広がるでしょう。

 

借入額が多くなると返済額も高くなりますが、有担保ローンは無担保ローンより融資期間が長い傾向があります。長期で返済できるので毎月の返済額を抑えることが可能です。

抵当権のデメリット

抵当権のデメリット

抵当権のデメリット

抵当権を設定するデメリットを3つ紹介します。

 

・設定登記に費用がかかる

・遅延すると差し押さえられる可能性がある

・抹消手続きをしないと売却できないリスクがある

 

住宅ローンを借りる前にチェックしておきましょう。

設定登記に費用がかかる

抵当権を設定する場合、登録免許税や印紙代、雑費などの費用がかかります。司法書士への依頼するのが一般的なので、合計すると数十万円ほどになるでしょう。

 

条件によっては登録免許税の軽減を受けられるケースもありますが、それでもまとまった金額が必要です。

遅延すると差し押さえられる可能性がある

住宅ローンの支払いが遅延した場合、住宅が差し押さえられる可能性があります。3ヶ月以上の遅延で督促状が届き、さらに滞納すると金融機関によって抵当権を行使されるでしょう。

 

競売にかけられてしまえば、不動産を手放さなければなりません。競売にかけられる前に支払った場合でも、滞納分とあわせて遅延損害金を支払う必要があります。

抹消手続きをしないと売却できないリスクがある

抹消手続きをしないと売却できないリスクがある

抹消手続きをしないと売却できないリスクがある

住宅ローンを返済したあとは、抹消手続きをしなければ売却のときに支障がでます。抵当権付きの不動産物件を嫌がる買い主は多く、思うように売却できない可能性があるでしょう。

 

さらに増改築などで融資を受けようとしたとき、二重ローンとなるため審査に通らない可能性があります。住宅ローンを完済すると抵当権抹消のための書類が送られてくるので、自分で手続きをするか司法書士に依頼してください

抵当権はどのように設定されるのか

抵当権はどのように設定されるのか

抵当権はどのように設定されるのか

抵当権は、契約のときと住宅ローンを乗り換える際に設定します。

 

・抵当権設定に必要な書類

・抵当権設定にかかる費用

 

スムーズに抵当権設定を行うために、上記の2点をチェックしておきましょう。

抵当権設定に必要な書類

抵当権を設定する際は、下記のような書類が必要です。

 

・登記原因証明情報もしくは抵当権設定契約証書

・登記済権利証もしくは登記識別情報

・印鑑証明書

・住宅用家屋証明書

・金融機関の資格証明書

・委任状

 

基本的に、必要書類は債権者である金融機関側が用意するため、債務者側で準備する書類は少ないです。また、債務者側が用意しなければならない場合でも、金融機関から指示があるため指示に従って書類を準備しましょう

抵当権設定にかかる費用

抵当権を設定する際は費用が発生します。主な費用項目とその金額は、下記の通りです。

 

費用項目

金額

登録免許税

住宅ローン借入額の0.4%(※1)

収入印紙

住宅ローンの借入額により変動(※2)

登記事項証明書の発行手数料

1通600円(※3)

印鑑登録証明書の発行手数料

1通450円(※3)

司法書士報酬費用

物件や地域、依頼する司法書士事務所によって異なる

 

抵当権設定手続きを司法書士に依頼する場合、報酬が必要です。

 

※1参照:財務省

※2参照:国税庁

※3参照:法務省

 

なお、抵当権設定や抵当権設定登録免許税については、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権設定とは?手続きの流れや必要になる場面をくわしく解説

抵当権設定の登録免許税とは? 計算方法や軽減措置などをわかりやすく解説

抵当権が行使されたら担保である不動産が競売されます

抵当権が行使されたら担保である不動産が競売されます

抵当権が行使されたら担保である不動産が競売されます

住宅ローンを一定期間滞納すると、担保となった不動産が強制競売にかけられます。抵当権を行使するタイミングは金融機関や状況によって異なりますが、3〜6ヶ月が目安です。不動産は差し押さえられ、強制的に売却されてしまうでしょう。

 

強制競売では一番高く購入してくれる人に売却され、代金は債務の返済にあてられます。強制売却の場合は売却額が低くなってしまう可能性が高いので、注意が必要です。

 

一方で金融機関と協議をしたうえで「任意売却」を行う方法もあります。了承を得られれば、売却価格や引渡し時期を相談したうえで決定することが可能です。売却価格にも債権者の希望が反映されやすいでしょう。

抵当権がついていても相続可能です

抵当権がついていても相続可能です

抵当権がついていても相続可能です

抵当権がついていても、相続は可能です。抵当権がついている不動産を相続する場合、下記2つのどちらかのケースになるでしょう。

 

・住宅ローンの返済は終わっているが抵当権を抹消していない

・住宅ローンが残っている

 

一般的に、抵当権は住宅ローンを全額返済した際に抹消手続きを行います。しかし、中には抹消手続きを行っていない場合もあるでしょう。抵当権を抹消していない場合は、抹消手続きを行うことで問題なく相続できます

 

住宅ローンを返済し終わっている場合は抵当権が行使されないため、自身で不動産を利用する場合は不利益を被ることはほとんどありません。ただし、売買などを行う場合は契約を締結できないなどの問題があるため、基本的には抵当権を抹消しておきましょう。

 

一方、住宅ローンが残っている場合は相続人が住宅ローンを引き継ぐ必要があるため、抵当権はそのままです。住宅ローンを返済し終わった際に、抵当権の抹消手続きを行いましょう。

鑑定士コメント

住宅ローンの返済が滞った場合どうなるのでしょうか?住宅ローンの場合、滞納があっても即時に抵当権が実行され、競売にかけられるということはありません。まずは金融機関から督促状が送られてきます。督促状が送られてきているにも関わらず返済がない場合、一括での返済を求められるでしょう。一括返済を求められた時点で返済できなかった場合に、抵当権が行使されます。どの程度猶予が与えられるかは金融機関の判断になりますので、まずは金融機関に相談し、場合によっては返済計画の見直しの協議も可能でしょう。

抵当権を抹消する方法

抵当権を抹消するには

抵当権を抹消するには

抵当権の抹消手続きの方法としては、自身で行う方法と司法書士に依頼する方法の2つがあります。

 

先述した通り、抵当権は住宅ローンを返済し終わったときに自動でなくなるものではなく、別途抹消手続きを行わなければなりません

 

住宅ローンの返済が終わると、抵当権の抹消手続きで必要な書類が金融機関から送られてきます。自分で行う場合、登記済権利証などの必要書類を取得して抵当権抹消登記申請書を作成し、法務局に申請することで抵当権を抹消できます。

 

司法書士に依頼する場合は、登記申請書を自分で作成する必要がありません。登記手続きに不安がある場合や時間を取れない場合は、司法書士に依頼すると良いでしょう。

 

なお、抵当権抹消については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権抹消とは?手続きを自分で行う方法と必要な費用を解説

まとめ:抵当権を理解して住宅ローンの計画を組むようにしよう

まとめ:抵当権を理解して住宅ローンの計画を組むようにしよう

まとめ:抵当権を理解して住宅ローンの計画を組むようにしよう

抵当権とは、住宅ローンの債権者である金融機関が、該当不動産を担保にできる権利です。住宅ローンを契約する際、ほとんどの場合で抵当権が設定されます。中には抵当権が設定されないローンもありますが、貸付額が低いなどのデメリットもあるため、多くの人は抵当権が設定されるローンを契約するでしょう。

 

住宅ローンの返済が滞ってしまうと、不動産を差し押さえられて競売にかけられてしまう可能性があります。住宅ローンを契約する際は、自身の返済能力を正しく把握して計画を組むようにしましょう

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

新築マンション購入希望者が売買契約を交わし、物件の引き渡しを終えるまでの手続きについて、正しいものを選びなさい。

答えは 3

重要事項の説明は売買契約を交わす前に行われなければなりません。また住宅ローンの本審査は売買契約後が一般的です。

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