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更新日:2024.09.12
登録日:2022.08.23
マンションの基礎とは?種類や工事の工程・構造体を徹底解説
「マンションの基礎って何?」
「マンションの基礎はどんな工事を行うの?」
マンションの購入を検討している人の中には、基礎がどのようなものか気になっている人も多いでしょう。マンションを選ぶ際には、基礎部分もしっかりチェックする必要があります。
この記事では、マンションの基礎とは何かを解説。種類や工事内容、マンションの構造体についても紹介するので、基礎について気になる人はぜひ最後までご覧ください。
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マンションの基礎とは建物を支える構造体のこと
マンションの基礎とは建物を支える構造体のこと
マンションの基礎とは、建物を支える下部構造のことです。具体的には、住宅を支える地面やコンクリート・杭などがマンションの基礎に当たります。マンションの基礎を作る作業を、基礎工事と呼びます。
住民が安全に暮らすためには、基礎工事が欠かせません。マンションの基礎工事に用いられる工法は主に次の2種類です。
・直接基礎
・杭基礎
マンションを建てる地盤によって、どちらを用いるかが分かれます。
鑑定士コメント
杭基礎と直接基礎どちらの方が安全かは、マンションを建築する土地の地盤、そしてマンションの高さといった建物のボリュームによります。具体的には、地盤が軟弱な土地、または高層建物では杭基礎が採用されます。また、地盤の軟弱さの度合い等によって、杭の数、杭の長さが変わります。これらは施行会社(ゼネコン)の高度なシュミレーションによって許容数値となるよう計算されます。地震や台風などの災害が多い日本では、杭基礎が圧倒的に多い傾向にあります。
一方、地盤が強い土地、かつ低層マンションでは、直接基礎が採用されることもあります。
マンションの直接基礎の種類は3つ
マンションの直接基礎の種類は3つ
直接基礎の種類は、以下のとおりです。
・ベタ基礎
・布基礎
・独立基礎
種類によって、用いられる工法が異なります。それぞれ詳しく解説します。
ベタ基礎
ベタ基礎は、地盤の上にコンクリートを乗せて、住宅を建築する工法です。
ベタ基礎の特徴には、以下が挙げられます。
・建物の重みが地盤に向かうため、耐震性に優れる
・シロアリ被害を防げる
ベタ基礎はコンクリートと住宅の構造体が一体になるため、耐震性が高いです。建物の重みが地盤に向かうので、倒壊する危険性を防げます。
ベタ基礎は主に戸建の住宅で用いられる工法です。床下はコンクリートで覆われているため、シロアリ被害防止にも役立ちます。
布基礎
布基礎はコンクリートに加えて、鉄筋を地盤に差し込む工法です。ベタ基礎と工法が似ていますが、鉄筋を使用する点で異なります。鉄筋の上にコンクリートが乗るイメージを持つと良いでしょう。
鉄筋を使うことで強度が増し、耐震性がより優れます。住宅工事における強度とは、コンクリートの強さを表すことが多いです。コンクリートの強度は1平方ミリメートルあたり、どの程度の圧力をかけても壊れないかを測ります。
一方、耐震性とは地震の揺れに対して、どれだけ耐えられるかを表した言葉です。衝撃に強い補強材を柱や壁面・梁などに用いることで、建物の耐震性が高まります。
布基礎の特徴は以下の通りです。
・コンクリート部分が薄くなるので、コストが抑えられる
・建物の強度が強まる
床下がコンクリートに覆われるベタ基礎に対して、コンクリートの使用量が少ない点が布基礎の特徴です。鉄筋を地盤に差し込むと強度が高まるだけでなく、コンクリートのコストを減らせます。
費用面では大きなメリットがあるものの、耐震性はやや劣るため、強度を高めたいときに使用される工法です。
独立基礎
独立基礎
独立基礎は、建物の構造体である柱下のみに基礎を用いる工法です。床下全面に基礎が用いられない分、費用を安く抑えられます。
基本的に、独立基礎は住宅ではなく、主に以下の建物で用いられる工法です。
・事務所
・大規模なショッピングモール
独立基礎は柱の下のみに基礎を設けるため、ベタ基礎や布基礎に比べて材料数が少なく済みます。そのため、コスト削減に繋がります。
大型商業施設や福祉施設などの非住宅では、経済的・構造的なメリットが大きいことから、独立基礎を採用するケースが多いです。
マンションの杭基礎の種類は2つ
マンションの杭基礎の種類は2つ
マンションの杭基礎には、以下の2種類の工法があります。
・場所打ち杭工法
・既成杭工法
杭は工場か現場で製造するかで違いがあります。それぞれ詳しく解説するので、違いを押さえておきましょう。
場所打ち杭工法
場所打ち杭工法とは、地面に打ち込む杭を建築現場で造り、それを地盤に差し込む工法です。差し込み方法は、専用の機械を使う方法と人力で行う方法があります。機械よりも、人力で打ち込む方が騒音を抑えやすいです。
素材を運搬するため、運搬の効率が良く費用を削りやすいことが特徴です。加えて、大きな杭も造れます。杭が大きくなるほど強度が増すので、大きな建物を建てる際に有効な工法です。ただし、現場で杭を作る分、工数はかかります。
既成杭工法
杭基礎のもう一つの種類は、既成杭工法です。基本的な工法は場所打ち杭工法と似ていますが、工場で作られた杭を現場で打ち込む点で異なります。
場所打ち杭工法とは異なり、すでに製造された杭を打ち込む分、工期は比較的短いです。工場で製造された杭を用いるため、品質が統一されていることもメリットです。
ただし、完成した杭を現場まで運ぶため、大きな杭であるほど運搬に労力がかかります。マンション以外に、一戸建てやアパートなどさまざまな建造物で多く用いられています。
マンションの基礎工事の工程を7ステップで解説
マンションの基礎工事の工程を7ステップで解説
マンションの基礎工事は、以下の7ステップで行われます。
1.地縄張り・遣り方工事をする
2.掘削工事をする
3.砕石を敷く
4.捨てコンクリートを流す
5.配筋・検査をする
6.型枠を設置してコンクリートを打設する
7.型枠を外して仕上げの確認をする
基礎工事にかかる期間は、一般的に「階数+2~3か月」と言われています。(※)ただし、地盤の状況によって工事期間が異なるので、目安と考えましょうそれぞれ詳しく解説します。
※参照:大成ユーレック
①地縄張り・遣り方工事をする
マンションの建築工事を始める前に、地縄張りや遣り方工事を行います。地縄張りや遣り方工事とは、建設予定の地面に紐や木材などで間取りや設備の配置を行う作業です。設計図をもとに、実地で実際の配置を確認します。
地縄張りで、主に確認する箇所は以下のとおりです。
・隣地との距離
・駐車場あるいは駐輪場の位置
・マンション配置物の位置
地縄張り・遣り方は、高さを計測するレザーレベルや配置の目印となる木杭を使って行われます。図面と相違なく建築できることを確認して、基礎工事を開始します。
②掘削工事をする
地縄張り・遣り方が終わると、実際に工事が始まります。まず行われるのは、掘削工事です。
掘削には、バックホウやパワーショベルなどの専用重機を用います。掘削工事は数回に分けて行われ、基礎工事の中でも一番時間がかかると言われています。
途中で配管が見つかった場合は、手で掘るといった対応が必要です。その場合、さらに日数がかかります。
③砕石を敷く
③砕石を敷く
掘削工事を終えたら、砕石を敷く作業を行います。地盤を削った箇所に砕石を撒いていきます。掘削作業を行なった地盤は崩れやすいので、安定させる作業が必要です。
砕石を敷くことで地盤が安定し、よりマンションを建てやすくなります。
ただし、地盤をすでに改良している土地では砕石を敷く必要がないため、スキップする場合もあります。
④捨てコンクリートを流す
地盤を固めたら、作業用のコンクリートを流します。捨てコンクリートとも呼ばれており、職人が作業しやすいように環境を整える工程です。建築物そのものに関係はありませんが、基礎工事を正確に進めるために役立ちます。
捨てコンクリートの役割は、以下のとおりです。
・鉄筋といった構造体を正確に設置できる
・基礎固めをより正確に行える
コンクリートが乾くまでには、数日かかります。
⑤配筋・検査をする
捨てコンクリートを流し終えたら、いよいよ図面通りに沿った組み立て作業を行います。鉄筋を格子状に配置し、組み立てていきます。
基礎は鉄筋コンクリートで出来ているので、鉄筋の配置は重要です。ここで、配筋検査と呼ばれる、図面通りに配置ができているかの確認をします。使用する本数や配置、間隔などを調整します。
配筋検査に問題がなければ、次はコンクリートを流す作業です。
⑥型枠を設置してコンクリートを打設する
⑥型枠を設置してコンクリートを打設する
いよいよコンクリートを流しますが、その直前に型枠の設置をします。コンクリートを流す際に、型で固まるようにせき止めるための枠を設置します。
使用される枠は木材や鉄です。型枠が設置できると、実際にコンクリートを流します。コンクリートを流す作業は打設と呼ばれ、専用重機で行われることが特徴です。
打設作業の際には、多くの職人や作業員が関わります。マンションの基礎部分において、重要な工程です。鉄筋工や電気工といったさまざまな職人が立ち会います。
⑦型枠を外して仕上げの確認をする
コンクリートが完全に固まるまで待ち、型枠を外す工程に入ります。しっかりとコンクリートが固まったら、型枠を外します。
コンクリートのひび割れやずれ、曲がりがないかをしっかり確認し、問題がなければこれでマンションの基礎工事が完了です。
鑑定士コメント
マンションの基礎とマンションの耐震性は密接な関係があります。
東日本大震災以来、地震の多い日本では、マンションの耐震性はそのマンションの「売り」と認識されることになりました。
基本的にはどのマンションも耐震基準を満たしていますが、複数の対策や、新しい技術の採用はマンションによって異なります。安心して長く住むことのできる「売り」として、分譲時パンフレットにアピールしていることが多いので、分譲時パンフレットも参考に出来ます。
マンションの構造体は3種類
マンションの構造体は3種類
マンションの基礎的な作りとして、構造体に注目する人も多いことでしょう。不動産ホームページにも記載されている構造体ですが、以下の3種類があります。
・S造(鉄骨造)
・RC造(鉄筋コンクリート造)
・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
それぞれ使われる材料も異なるので、物件選びの際にはチェックしたい項目です。それぞれ詳しく解説します。
①S造(鉄骨造)
S造(鉄骨造)は、賃貸アパートやマンションで多く用いられている構造体の一つです。骨組みに鉄が使われており、粘り強さに加えて軽さがあることが特徴です。
S造には、主に以下のメリットがあります。
・工期が短く、建築コストを抑えられる
・設計の自由度が高い
木造住宅よりも頑丈なうえに、工期が短くコストをさらに抑えられるのが特徴です。
また、S造(鉄骨造)は、重量鉄骨と軽量鉄骨造に分けられます。特に重量鉄骨造は柱や梁を溶接して枠を一体化できるため、設計の自由度が高く、いろいろな建物に応用しやすいです。
②RC造(鉄筋コンクリート造)
RC造(鉄筋コンクリート造)とは、コンクリートと鉄筋で構成されている構造体です。強度が高く耐震性に優れています。
RC造のメリットは次のとおりです。
・耐震性や耐火性に優れている
・耐用年数が長く、資産価値を維持しやすい
鉄筋とコンクリートが使われているので、耐震性に優れた頑丈な建物を作れます。地震や火災といった災害にも強いマンションに住みたいと考える人におすすめです。
RC造は高層ビルやマンションでよく採用される構造体です。
マンションの耐用年数は、以下記事でも紹介しています。
③SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
③SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄筋・鉄骨・コンクリートすべてを用いる構造体です。3つの構造体の中でも、特に強度は高いといえます。
SRC造のメリットは次のとおりです。
・耐震性や耐火性といった強度は特に強い
・部屋の防音性に優れている
他の構造体と異なり、SRC造は防音性が高いので、音が漏れる心配が少ないでしょう。耐震性もあり、地震にも強いです。
マンションの構造について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてください。
家賃や販売価格は高くなる傾向にありますが、その分快適に暮らせるでしょう。
まとめ:マンションの基礎は建物を支える重要な部分
まとめ:マンションの基礎は建物を支える重要な部分
マンションの基礎を詳しく解説しました。マンションを安全に建築するためにも、基礎は欠かせない部分です。基礎には直基礎と杭基礎がありますが、どちらが適しているかは地盤の状態によって変わります。
マンションを選ぶ際は、構造体に注目することもコツです。耐震性や耐火性など、安全性も考えながら最適なマンションを検討しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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