LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/9/8

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

秀衡塗の菓子椀。晴れがましい気分で使いたい器です。

 

食器が好きで、それこそ一人暮らしには多すぎるほどの器を持っていることは以前にも書きましたが、いろいろ集め、使っていると、だんだん和食器の素晴らしさ、奥深さに感じ入ることが多くなります。

 

特に漆器。

子供の頃日常に使う漆器は毎日の味噌汁などのためのお椀でしたが、

シンプルな塗りの、なんの変哲もないものでした。家族のお椀がみんなそろっているわけではなく、大きさも形もバラバラで、これはおじいちゃんの、これはおばあちゃんの、というようにそれぞれ自分のものを使っていました。正月には塗りの重箱なども出すのですが、それも溜塗りのシンプルなもの。屠蘇器だけが梅の蒔絵のものでした。

 

高校時代くらいから、ぽつぽつと古いものを買い集めるようになり、30歳を過ぎてマンションを買った時くらいから、自宅で使う食器に目が行くようになりました。

そんな時に買ったのが、蒔絵の吸い物椀です。どこかの骨董市で安く買いました。多分それが初めて買った漆器かも。実家で使っていた漆器が味気なく、はなやかな蒔絵にあこがれていたのかもしれません。

そのお椀はその後人にさしあげてしまいましたが、新しく買ったマンションに、その頃はまだ元気だった祖母が一人で名古屋から遊びに来た時に、そのお椀を使って手料理を出しました。

祖母が、「いいお椀だ」とほめてくれたのが、いまとなってはいい思い出です。

 

秋草の蒔絵の煮物椀。これは最近買ったものです。

 

蓋の表には桔梗や薄が。

 

蓋の裏には女郎花が蒔絵されています。

 

京都に僕が大好きな骨董屋さん「うるわし屋」があります。以前にも書いたことがあるのですが、アンティークの漆の器をたくさん扱ってらっしゃるすてきなお店です。(今回のタイトル「うるし、うるわし」も実は「うるわし屋」さんのキャッチフレーズ。)

京都に行くたびに、かならずここには寄るのですが、そこでいろいろな漆の器の話を聞くのが楽しみです。

 

アンティークの中でも、漆のものはまだまだ安いと思います。蒔絵や螺鈿など、その手間を考えたらその値段は申し訳ないくらい。現代作の蒔絵の器などはとても手が出ませんが、デザインも技術的にもすばらしく、手間も数倍かかっていると思われる蒔絵の漆器などを、アンティークならかなり手頃に買うことができます。

どうも、「漆器は難しい」「扱いづらい」といったイメージがあるのでしょう。

 

 

八重桜の蒔絵の煮物椀。簡単に豆腐ととろろ昆布の煮たのを盛りました。

 

扱いに関しては、実はそんなに大変ではなく、ゴシゴシ洗わない、洗い桶につけっぱなしにしないとか、あまりに煮え立ったものはよそわないようにする、くらいで、あまり神経質にならずに使っています。

 

ただ、最近もうひとつ実は難しいかも、と思うのは、漆、特に蒔絵のものなどには「季節」がある、ってことだと気づきました。

上に上げた八重桜の蒔絵のお椀なんかは、さすがに桜の季節に使いたい。ここでは、桜の小枝などを箸置きにしていますが、本当は本物の桜と蒔絵の桜は重ねないほうがいいと思うのです。

桜の季節のちょっと前、花を待ちわびる気持ちで使うとか、花の季節でも室内に花はなく、このお椀だけが花、そんな使い方のほうがしゃれていると思います。

 

そうやって考えると、なんと奥が深い・・・・。

人によってはそれをめんどくさいと感じてしまうのでしょう。あるいは、僕ほど器フェチじゃない人は、もっと汎用性の高い、シンプルなものを使いたいのかもしれません。

 

 

シンプルな黒い吸い物椀。蓋を開けると蓋裏には月とホトトギスの蒔絵が。 これも使うなら初夏でしょう。豆腐の赤だしと小鯛のてまり寿司です。

 

 

吉野椀といわれる漆絵のお椀。吉野の桜のデザインでしょうが、 抽象化されているので季節にかかわらず使えます。善哉を盛って。

 

昔から「白い食器はつまらない」と思っていました。

シンプルで究極で何にでも合う、といわれる白い食器。でも、僕は「合う」「合わない」と苦労するのが楽しいのです。

難しいからこそピタッと決まった時はうれしいし、誰が褒めてくれるわけでもないので自分一人で喜んでいます。

 

季節と切っても切れない関係の日本の器。とくに漆器。とくに蒔絵や漆絵。

日本の四季の素晴らしさ、そんな四季をめでる繊細な感覚、そんなものを大切にしたい、と思います。

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

 

LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり についての記事

もっと見る