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2024.04.23

住宅ローンの頭金で必要な金額は?目安やメリット・デメリットを徹底解説

住宅ローンの頭金で必要な金額は?目安やメリット・デメリットを徹底解説

住宅ローンを組む際、住宅の購入費用の一部を頭金として支払うことが多いです。

しかし、頭金をいくら支払うべきか、頭金なしでのローンを組めるのかと頭を悩ませている方も多いでしょう。

できるかぎり多額の頭金を支払いたいところですが、貯蓄を失うリスクもあり、適正な頭金の金額を決めることは難しいです。

そこで、本記事では、住宅ローンの頭金や目安となる金額をわかりやすく解説します。

頭金を支払うデメリットや頭金の額を決める際の注意点を紹介しているので、頭金の支払いで後悔しないように、最後までご覧になってください。

住宅ローンの頭金とは?

住宅ローンの頭金とは?

住宅ローンの頭金とは?

頭金とは、住宅の購入費用の一部として最初に支払う現金のことです。頭金は、住宅の契約時から引き渡しまでの間に支払います。

 

他にも、住宅購入の際に支払う登記費用や仲介手数料など、現金で支払う費用は「自己資金」と呼ばれます。

 

住宅価格から頭金を差し引いた金額でローンを組むので、頭金の支払いによってローンの総返済額を抑えられることがメリットです。

 

3,000万円の住宅を購入する場合、頭金なしでは3,000万円のローンを組むことがありますが、600万円の頭金があれば、残り2,400万円でローンを組めます。

 

ローンが残り2,400万円であれば、3,000万円の場合のときより返済期間の短縮も可能です。

住宅ローンの頭金の目安

住宅ローンの頭金の目安

住宅ローンの頭金の目安

頭金の目安は、最大で住宅の購入金額の20%まで(※)といわれています。

 

住宅購入価格の20%を頭金として支払うと仮定すると、頭金の額は表の通りです。

 

住宅の購入価格

頭金

2,000万円

400万円

3,000万円

600万円

4,000万円

800万円

5,000万円

1,000万円

 

とはいえ、家庭の経済状況によって支払い可能な金額は異なります。

 

貯蓄に余裕がない状態で、無理に頭金を支払う必要はありません。突然の出費への備えや将来への貯蓄のために、手元に資金を残すことも大切です。

 

住宅購入価格の20%はあくまで目安であり、実際には、住宅価格や世帯年収によっても支払っている頭金の割合は異なります

 

住宅購入者が平均いくらの頭金を支払っているかを知るために、国土交通省が公表する「令和4年度 住宅市場動向調査報告」を参考にしましょう。

 

新築と中古住宅では、住宅購入者が支払う頭金の平均割合は異なります。そこで、新築と中古住宅に分けて頭金の平均割合を紹介します。

 

※参照:三菱UFJ銀行

※参照:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省

新築住宅の場合

国土交通省の住宅市場動向調査報告書によると、新築住宅の場合、支払う自己資金の比率は表の通り(※)です。

 

住宅の種類

購入資金

借り入れ金

自己資金

自己資金の比率

注文住宅新築

4,713万円

3,772万円

941万円

20.0%

分譲戸建住宅

4,074万円

3,205万円

869万円

21.3%

分譲集合住宅

5,048万円

3,610万円

1,438万円

28.5%

※住宅の一次取得者(はじめて購入する人)で、土地の購入資金も含む

 

新築住宅の場合、自己資金の比率がおよそ20%〜30%であることがわかります。

 

なお、自己資金には、次の資金が含まれています。

 

・預貯金や有価証券売却代金、退職金

・不動産売却

・贈与

・遺産相続

・その他

 

新築住宅を購入する場合には、住宅価格の20%〜30%の頭金を支払えば十分といえるでしょう。

 

※参照:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省

 

中古住宅の場合

中古住宅を購入した方の自己資金の割合を見てみましょう。

 

住宅の種類

購入資金

借り入れ金

自己資金

自己資金の比率

中古戸建住宅

3,025万円

2,070万円

955万円

31.8%

中古集合住宅

2,943万円

1641万円

1,302万円

44.2%

※住宅の一次取得者(はじめて購入する人)で、土地の購入資金も含む

 

中古住宅の場合は、自己資金の割合がおよそ30%〜45%であることがわかります。

 

新築住宅の場合と比較して、自己資金の割合が高い理由は、中古住宅の方が住宅価格が安いためです。

 

中古の方が住宅価格が低いため、自然と自己資金の割合が高くなります。

 

令和4年度の国土交通省の住宅市場動向調査報告書の結果をまとめると、住宅取得者が支払った頭金の割合は、次の通りです。

 

・新築住宅:住宅価格の20%〜30%

・中古住宅:住宅価格の30%〜45%

 

実際には、世帯収入・家族構成・ライフプランによって支払う頭金の額が変わります

 

平均値であるため、あくまで参考程度にして、支払う頭金の額を決定しましょう。

 

※参照:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省

 

鑑定士コメント

住宅ローンの頭金を親から支援してもらうと贈与税の対象になるのでしょうか?返済の負担を軽減するために、親や親族から資金援助を受けることを考えている方もいるでしょう。贈与税には、110万円の基礎控除額(※)が定められています。さらに、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与の場合は、住宅取得等資金の非課税の特例の対象となり、最大で1,500万円までの贈与税は非課税の対象(※)です。

※参照:国税庁

住宅ローンの頭金を用意するメリット

住宅ローンの頭金を用意するメリット

住宅ローンの頭金を用意するメリット

住宅ローンにおける頭金を支払うメリットは、主に2つです。

 

・毎月の返済額を軽減できる

・住宅ローンの審査に通りやすくなる

 

それぞれくわしく解説します。

毎月の返済額を軽減できる

頭金を用意するメリットの一つは、毎月のローンの返済負担が減ることです。

 

住宅ローンの借り入れ額は、住宅価格から頭金を差し引いた金額です。

 

頭金の支払いが多いほど、借り入れ金額が減り、返済額を安く抑えられます。

 

頭金の支払いによって毎月の返済額にどれくらいの差が出るか、三井住友銀行の新規借り入れシミュレーションを利用して比較してみましょう。

 

4,000万円の住宅を購入すると仮定し、返済期間が35年間、金利は固定金利特約型10年の年1,790%で設定します。

 

頭金の額は、住宅価格の20%である800万円で計算します。

 

頭金なしと頭金あり、それぞれの場合でシミュレーションしたときの返済額は、次の表の通り(※)です。

 

 

毎月返済額

年間返済額

頭金なし

128,235円

1,538,820円

頭金あり

(800万円)

102,588円

1,231,056円

差額

25,647円

307,764円

 

頭金を支払った場合、頭金なしの場合と比べて、月々の返済額が25,647円も安くなります。

 

頭金の支払いによって返済の負担を大きく減らせることがわかりました。

 

頭金の支払いで借り入れ金額が減っても、毎月の返済額を変更せず、借り入れ期間を短縮する選択肢もあります。

 

借り入れ金額の減少や借り入れ期間の短縮によって、利息の支払いが減り、総返済額も少なくなるでしょう。

 

※参照:三井住友銀行

住宅ローンの審査に通りやすくなる

頭金の支払いの有無は、住宅ローンの審査にも影響します。

 

住宅ローンの審査では、年収や年齢、職種などさまざまな項目で申し込み者の支払い能力を判断します。

 

借り入れ希望額が多いほど、高い支払い能力が必要になるでしょう。

 

一方で頭金を用意すると、借り入れ希望額が少なくなるため、頭金なしの場合と比べて審査に通りやすくなると考えられます。

 

たとえ現在の年収があまり高くなくても、頭金を支払うことで、資金があることを証明できます。

 

頭金をいくら払えば、審査に通りやすくなるという基準はありませんが、頭金の支払いがある方が審査を有利に進められるでしょう。

住宅ローンの頭金を用意するデメリット

住宅ローンの頭金を用意するデメリット

住宅ローンの頭金を用意するデメリット

頭金を用意することで、次の2つの事態が想定されます。

 

・頭金を用意するまでに時間がかかる

・急な出費に対応しにくい

 

月々の返済額を減らせることや、審査に通りやすくなることなど、頭金を支払うメリットに目が向きがちです。

 

デメリットも理解したうえで、頭金の支払いについて検討しましょう。

頭金を用意するまでの時間が必要

頭金の額は決して安くないため、資金の調達に時間がかかるところがデメリットです。

 

必要な資金が揃うまでに時間がかかると、住宅ローンの利用開始時期も遅れます。

 

するとローンの完済までの時期がズレ込み、最悪の場合、定年退職した後もローンの返済が続く可能性があります

 

老後も返済に追われて、生活が苦しくなることは避けたいでしょう。

 

また頭金を用意する間に、購入予定の住宅の価格が上がることやローンの金利が上昇することも考えられます

 

タイミングが遅いと、目当ての物件を先に購入されてしまう恐れもあります。

 

以上のリスクを理解したうえで、適切な頭金の金額を設定してください。

急な出費に対応しにくい

貯蓄から頭金を捻出することで、一時的に貯蓄を大きく失い、急な出費に対応できなくなる恐れがあります。

 

例えば、ケガや病気による入院費用・冠婚葬祭・車の修理など、予定外の出費があるかもしれません

 

貯金の大半を頭金で支払った場合は、資金の目処が立たず、やむなくカードローンやキャッシングを利用することになります。

 

毎月の支払いを減らすために、頭金を支払ったにもかかわらず、高い金利でお金を借りていては意味がありません。

 

住宅を取得したタイミングでは、頭金の他にも仲介手数料・登記費用・固定資産税・住宅ローンの事務手数料など、さまざまな費用が発生します。

 

入居後にも、家電や家具の購入や住宅のメンテナンスによる、追加の支払いが必要です。

 

生活や将来設計に支障が出ないように、頭金の支払いすぎには注意しましょう。

頭金がなくても住宅ローンは組める

頭金がなくても住宅ローンは組める

頭金がなくても住宅ローンは組める

貯蓄に余裕がない方は、頭金なしで住宅価格の全額をローンで借り入れる「フルローン」を検討しましょう。

 

最近は、住宅ローンの完済時の年齢も引き上げられているため、頭金なしでも長期のローンを組めます。

 

頭金を調達するまで待っていると、住宅の購入時期が遅れたり、希望の住宅を逃したりするリスクがあります。そのため、頭金なしでの住宅ローンの利用も視野に入れましょう。

 

また、住宅の取得したタイミングでは、さまざまな支払いが発生します。

 

住宅取得時は頭金の支払いは避けて、貯蓄に余裕ができてから繰り上げ返済をする選択肢もあります

 

さらに、住宅ローン控除の利用で年末時点のローン残高の0.7%(※)を所得税から控除することが可能です。

 

ローンの借入額が多いと住宅ローンの控除額も増えるため、頭金なしで得られるメリットもあります。

 

ただし、頭金なしでは、どうしても月々の返済額が高額になります。

 

ローンの審査で、申し込み者の返済能力が不十分と判断されると、住宅ローンを組めない可能性もあるので注意しましょう。

 

※参照:国土交通省

鑑定士コメント

頭金なしで住宅を購入するリスクはあるでしょうか?頭金なしでは、借り入れ金額が大きくなるため毎月の返済額が大きく、返済の負担が家計を圧迫する可能性があります。たとえ返済期間を長くしても、定年後までローンの返済が長期化するリスクも考えられます。また、住宅を売却せざるを得なくなり、売却価格より住宅ローンの残債が多いと、超過分は自己資金で支払わなければいけません。

頭金の金額を決定する際の注意点

頭金の金額を決定する際の注意点

頭金の金額を決定する際の注意点

頭金の金額を決める際の注意点を、3つ紹介します。

 

・ライフイベントを考慮する

・住宅購入の追加費用分も対応できるようにする

・急な出費に対応できるように備えておく

 

前述の通り、頭金を用意することはメリットだけでなく、用意するまでに時間がかかることや急な出費に対応できないというデメリットが存在します。

 

できるかぎり多く支払おうとするのではなく、適正な金額を支払うことが大切です。

 

それぞれについて、くわしく解説します。

ライフイベントを考慮する

問題なく住宅ローンを支払えるように各ライフイベントに必要な資金を考慮し、頭金の金額を決めましょう。

 

なぜなら、住宅購入後にもまとまった支出を伴うライフイベントが、以下のようにいくつもあるからです。

 

・出産

・冠婚葬祭

・車の買い替え、リフォーム

・子どもの教育費

・子どもの結婚や引越し

・老後の資金

 

どのタイミングで、いくら必要かを考え、長期的な貯蓄計画を立ててください。

 

ライフイベントに合わせて、必要な金額を支払えるように貯金し、余裕をもって支払える頭金を計算しましょう。

住宅購入の追加費用分も対応できるようにする

頭金を決める際には、住宅の購入後に発生する追加費用も考慮しなければいけません。

 

注文住宅であれば、建築が進むうえでオプションの追加や仕様の変更を希望する可能性もあります。住宅の入居後も部屋の数に合わせて、家電や家具を追加で購入するかもしれません。

 

一度住宅ローンを組んでから、再度ローンを組むことは面倒なので、手元の資金でやりくりする必要があります。

 

住宅に関する追加費用が必要になることを考え、住宅用の資金を手元に残しておきましょう

 

専用の資金として置いておけば、予算内で住宅のリフォームや家具、家電の購入がしやすくなります。

 

以上の通り、住宅に関する追加費用をのぞいたうえで、頭金を捻出しましょう。

急な出費に対応できるように備えておく

急な出費に対応できるように備えておく

急な出費に対応できるように備えておく

頭金が支払い終わったあとでも、急な出費に対応できるように手元に現金を残しておきましょう。

 

ケガや病気による入院や冠婚葬祭、車の修理や自然災害などで、突然出費が発生する恐れがあります。万が一の事態にも対応できるように、貯蓄に余裕を残しておくことも大切です。

 

また、緊急事態に備えて、保険の見直しをすることも効果的です。失業や転職にも備えて、最低でも半年分の生活費を残しておくと余裕ができるでしょう。

まとめ:住宅ローンの頭金は事前に念入りにシミュレーションを行おう

まとめ:住宅ローンの頭金は事前に念入りにシミュレーションを行おう

まとめ:住宅ローンの頭金は事前に念入りにシミュレーションを行おう

頭金が少なすぎると借り入れ額が増え、利息の支払いが多くなりますが、多すぎると貯蓄に余裕がなくなります。

 

急な出費にも対応できるように手元に資金を残し、収支のバランスやライフプランを考慮した適切な頭金の額を設定しましょう

 

適正な金額を決めるために、住宅ローンの申し込み前にシミュレーションを行ってください。

 

金融機関によっては、住宅ローンの諸費用の金額がわかる場合もあるので、複数の金融機関でシミュレーションすることをおすすめします。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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