LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/7/24

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

さまざまな木綿で作った風呂敷に包まれた、我が家の骨董。

 

針仕事が好きで、最近はそれほどでもありませんが、昔は一日一度は針を持たないと落ち着かない、といった感じでした。

これは、祖母や母など我が家の女たちの血を引いているのだとつくづく感じます。

母方の祖母は、それこそいつでもちくちく何かを縫ったりかがったりしていました。物を大切にする時代の人ですから、必要に駆られてということもあったとは思いますが、なにより縫物が好きだからだったに違いありません。

布に触ってちくちく縫物をしていると無心になれるというか、目の前の単純作業に没頭することができ、いい気分転換になります。そういうときはエネルギーが必要な大作に取り組むよりは、ちょっとしたもの、頭もあまり使わなくていいものがいいのです。

 

 

黄色い虫の柄はソレイアードもの。裏は日本のコットンです。 箱の中身、蝶の形の小皿に気分を合わせて。

 

僕は、木綿の風呂敷を縫います。

風呂敷といっても小さめで、骨董品を入れた桐箱を包んだりするためのもの。展覧会などに行っても、仕覆同様ほとんど表に出てくることはありませんが、お道具は桐箱に収められ、その桐箱はまたきれいな風呂敷に包まれて、中身がわかるような札をつけられてお蔵に納められていたんだそうです。

そして、風呂敷には昔から更紗が好まれ、有名なお道具にはびっくりするようないい更紗の風呂敷に包まれていたりします。

 

現代のブロックプリントのインド木綿で作った風呂敷。好きな木綿です。

 

裏に数か所結ぶひもを取り付けています。

 

先にもちらりと書きましたが、骨董の世界では中身が唐物の道具だとすると仕覆などはそれにふさわしい緞子や錦や間道などで仕立てられ、箱に収められているわけですが、その箱を包む風呂敷はインド更紗などが多いのです。理由は僕にはよくわかりませんが、たぶん時代的なもの。インド更紗などは中国の緞子などに比べるとひと時代あとのもので、中身から外に行くにつれだんだんカジュアルになっていく、という暗黙のヒエラルキーを体現しているのだと思います。それでも、「古渡り」といわれる更紗などは17~8世紀のもので、それはそれは垂涎もの、風呂敷を見ただけで中身の素晴らしさがわかる、とも言われています。

 

もちろん我が家のお道具はまったく大したものではなく、大げさに包むのもおこがましいようなものなのですが、それでも「愛した証」としてちくちく風呂敷を縫い続けています。

 

現代のインド更紗で縫った風呂敷2種。

 

そんなわけで、僕もインド更紗で風呂敷を縫いたいのですが、もちろん骨董的な価値のあるインド更紗を風呂敷に使えるほどの甲斐性も持ち合わせておらず、もっぱら現代のインド更紗を使っています。

夏になるとコットンショップに並ぶ、「色落ちします」「縮みます」と注意書きされているような安価なインド更紗を買ってきて、適当な大きさに切り、時には足らない部分は別の布を足したりしてちくちく縫っていきます。

あるいは、昔南フランスで買ってきたソレイアードやレゾリヴァードなどのコットンプリントの端切れ。それらも風呂敷にはぴったりです。

木綿はいいですね。触っているだけでも心が落ち着きます。袋に縫って表に返し、口をかがって最後にアイロンをかけるのですが、プレスされてピシッと仕上がったコットンの感触は爽やかで、きりっとした健康的な魅力があります。

 

昔、母が夏になると着ていたような木版更紗。裏は赤い木綿。

 

あまり布を縫い合わせた風呂敷。パッチワークっぽくなりすぎちゃいました。

 

とはいうももの、最近はいろいろ雑事が多すぎて、風呂敷さえ縫う暇がなくなってしまいました。

小さな布切れをいつも身近に置いて、ふと手に取ってちょっとだけ縫う。気が向いたら気が向いただけ。誰のためでもなく、いつまでに、とか何の制約もない、そんな手仕事ができるような生活にあこがれます。

小さな縫物をしていると心が落ち着く、と書きましたが、逆にある程度心が落ち着いていないと縫物もできない、、、。

ここのところの自分の毎日に反省、です。

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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