LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/6/20

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

 

有田の窯元に行ったときにした絵付け。平成元年というから、もう29年も前なんですね。

 

昔は、観光地や、遊園地、デパートの屋上などに「楽焼」や「絵付け」のブースというか小屋がありました。

子供だましのような雑なつくりの素焼きの器にその場で絵付けをすると、それを焼いて後日自宅に送ってくれるのです。旅の記念やちょっとした「思い出」として作る人もいたのでしょう。今から思えば「昭和」なアトラクションでした。

そのころは観光地や出店などのチープさや「儲けんかな」な感じが大嫌いで、そういったものには見向きもしなかったのですが、あるとき雑誌でイラストレーターの大橋歩さんが、そんな楽焼の小皿にすごくシンプルにオシャレに絵付けしてらっしゃるのを見て、これならやってみたい!とおもったのです。

大橋さんは、四角く切ったスポンジに絵具をつけて、味のある市松模様を描いたり、単純なストライプや水玉など、本人のイラストさながらのさすがのセンスでした。

 

さて、絵付けや楽焼をしてみたい、と思っても、そのころにはそうそうそういったことができる場所はありませんでした。

ですから、「いつか、かならず」と思うにとどまったのです。

 

 

チャンスが巡ってきたのはそれからしばらくしてから。

会社の慰安旅行で福岡に行くことになりました。今では会社の慰安旅行などもめっきり少なくなりましたが(うちの会社などでは皆無。もしかしたら禁止されているのかもしれません。)、その頃はまだあったのですね。

着いた日には博多でみんなで宴会。あくる日はゴルフ組と観光組に分かれました。観光組は有田に出かけることに。そこで念願の絵付けができたのです。

 

有田の窯元のいくつかでは絵付け体験ができ、さすが本場の窯元、素地もよく形もきれいな素焼きの器がいろいろ用意されていました。そこで僕は、写真の丸い裸婦の皿と、八角皿に適当な模様を絵付けしました。

何しろ初めての体験、呉須(コバルト)絵具の塗り方も難しいし、仕上がりのイメージもなかなかわきませんでした。特に「ダミ」と呼ばれるベタ塗は難しかったです。それでも、薄い絵具を使ったり、「引っ掻き」をしたりしてなんとか描きました。

八角のほうは4枚ほど同じものを描きましたが、現在手もとに残っているのは一枚だけ。残りは銀座の行きつけの料理屋さんにあげてしまいました。そこで使っていてくれたのがうれしかったです。

 

八角皿に、自分のスペシャリテ「キンカンのクリームチーズのせ」を。

 

ちょっと前に、100均などの廉価な白い器に、専用のマーカーで絵付けすることがはやりました。フェイスブックにそんな作品を上げている友達が何人もいました。

それを見てさっそくやってみたのがこのハワイアンの皿。

 

ヴィンテージっぽいイラストは、持っていたTシャツの図案をパクリました。

 

マーカーも専用のものでもなく普通の油性ペンを使い、それをオーブンで焼きつけるだけ、という簡単さ。あえて黒一色にして、ちょっと大人っぽい感じを狙いました。

 

この皿は、当時入院していた親友「Kタン」のために、ハワイが好きで何度も一緒に行った思い出を思い出してもらおうと描いたもの。

食事にも実用できると思いましたが、やはり料理が乗る面にした絵付けは意外にもろく剥げてきそうだし、そうなると成分的にも不安があったので、結局飾るにとどめました。

そのころにはすでにKタンの病状はかなり進んでおり、この皿を見せてもあまり喜んでくれる感じもなく、逆にさびしい思いをさせてしまったんじゃないかと今でも心が痛みます。

それから半年ほどで彼は亡くなり、この皿は今は彼の実家にあるのか無いのか・・・・・。そんなせつない思い出の皿です。

 

 

 

裏などに名前や年号を入れられるのもいいところだと。

 

あふれるほど器を持っていますが、自分で絵付けしたオリジナルの食器にはやはり既製品や骨董品にはない意味があるように思います。

絵付けをした「その時の思い」がその器には込められていて、時間とともにより一層いとおしいものになっていく。そんな器を日々使ったならなおさらでしょう。

また機会があれば、絵付けをしてオリジナルの器を作ってみたいと思います。

目も肥えてきたし、いまならもう少し上手に絵付けできる気もするのです。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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