LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/5/28

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

ちょっと昔、今より景気が良かったころは、暮れになるとあちこちでカレンダーをもらえたものです。

広告を作る会社に勤めていたこともあり、会社にはそれこそ山のようにカレンダーが届き、みんなに呆れられるくらいいっぱいもらって帰りました。友人からももらい、街中でも銀行やお店でもらえるものがあればもらって帰りました。

どうしてそんなにカレンダーがいるのかといえば、実家の母がカレンダーを家じゅうにかけたがるのです。

身体が悪く車椅子生活している母は、体をひねるのもおっくうで、日にちを知りたいときにすぐ目の前にカレンダーがないと嫌なのだそうです。一人暮らしですので、ヘルパーさんや看護師さん、リハビリやマッサージなど、毎日の予定がいっぱいで、カレンダーは必需品以上のものらしい。

そんなわけで、実家にはどの部屋にも、特に母の居室には大小4つくらいのカレンダーがかかっています。

 

母はきれいな写真や絵が好きで、暮れに僕が山ほどのカレンダーを抱えて帰省すると、それを一つずつめくってみては「これはきれい」「これは嫌い」「これは台所に」「これはベッドの横に」と品定めし、すべてのカレンダーをかけ替えるのが年末の僕の仕事になっています。

それを知っていて、毎年母や僕にカレンダーを送ってくださる方もいらして、ありがたいことです。

 

ひとつは外国製。もう一つは日本製。たしか丸善で買いました。

 

元気なころは手仕事が大好きで、それこそフランス刺繍を教えたりしていた母ですが、体を悪くしてからは根気が続かないからやりたくない、といいほとんど刺繍をやめてしまいました。

そんな母を見ているのはつらかった。

そんな時に見つけたのが、この手作り封筒のためのテンプレートです。

好きな紙の上にこれを乗せ、形を写し取り、切り抜いて折り曲げ糊付けすればオリジナルの封筒ができる、そういうものです。半透明なので、柄の出方も確認できるし、なかなかの優れものだと思います。

 

めでたく母はこれにはまってくれました。無心に作れるし、一つ作るのにそんなに時間がかからないので疲れなくていい、ということらしい。もともと手を動かすのは大好きなのですから。

 

最初はきれいな包み紙などを使っていましたが、ロゴが入ったりしているので、意外に広告っぽくなってしまいます。

そこで出番となったのが件のカレンダーたち。

役目が終わったカレンダーも、(さすがわが家)母が好きなものは捨てずに取ってありました。きれいなビジュアルでいい紙で、裏は白。まさに封筒づくりにはぴったりです。

そこそこ図柄が大きいので、どこにもないような大胆な封筒ができるところも面白い。

 

今回使ったのは、JALの古美術カレンダー。2014ですって!!

 

図柄の上にテンプレートを置いて柄の出方を見ます。

 

テンプレートに沿ってかたちを移していきます。

 

切り抜いたらあとは折り曲げて、糊付けすれば出来上がり。

 

宛名を書く部分は、100均で白いシールを買ってきました。

もちろんお金を包んだり、手渡しするときはそのまま。

 

母がエライのは、どのようなビジュアルを使ったのか相手にもわかるように、そういったメモも同封しているところ。展覧会でも説明書きを読むタイプの人なのでしょう。

「これは○○子さんが好きそうだから」「これはお坊さんに」「これは惜しいから大事にとってある」・・・などなど、いろいろ思い浮かべながら作っている母を見るのは微笑ましいものでした。

 

浮世絵や懐紙も面白い封筒になります。

 

これは全日空のカレンダーから。外国旅行をする看護師さんにあげるらしい。

 

そんな母でしたが、去年あたりから身体の痛みが前よりも増したため寝ている時間が長くなり、何もしなくなってしまったのですが、先日帰省した時に、「久しぶりに封筒でも作ってみよう」といい始めました。

看護師さんにも、「何かやらなきゃダメ」といわれていたらしい。

 

そんなわけで久しぶりに作ったのがここに載せた封筒です。

JALの古美術カレンダーと全日空の「日本の風景のカレンダーを使いました。

「こんなの誰が使う?」とか、「これはなかなかいい」とか話しながら頭を寄せて手を動かす。

「母と息子」は女同士と違ってなかなか会話は弾まないものですが、この時は楽しく和気あいあいと過ごすことができました。

「この仏様の封筒もらったら伯父さんびっくりしなさるよ。」といたずらっぽく笑う母を見て、少しだけ安心したのでした。

 

右上が「ご利益がありそうな」あるいは「バチが当たりそうな」仏様の封筒。

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

 

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