LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/4/20

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

アンティークの水玉模様の金彩デキャンタとグラスに仕覆を作って。 行きつけのバー「エリシオ」で撮影させてもらいました。

 

昔から古いものが好きで、骨董品などをちまちまと買い集めていましたが、ガラスにはあまり興味がありませんでした。

そもそも和骨董を中心に集めていたこともあるし、骨董のガラスというと何だか妙にファンシーで女性的なもののような気がしていたからです。

有名な骨董品でガラスいえば、エミール・ガレとか、ラリックとか。なんだか芦屋あたりのお金持ちがゴージャスなサロンのキャビネットにきれいにディスプレイしているイメージ。コレクションとしては素晴らしくても、生活の中に取り入れるのは難しそうだし、ちょっと自分とは違うな、と思っていました。

ガラス特有の繊細さ、割ったらどうしよう?という心配も敬遠していた理由かもしれません。

 

20世紀初頭のバカラのグラス。 仕覆は古いフランスのシルクで、裏地はエルメスのスカーフです。仕覆展出品作です。

 

そんな僕がどうしてアンティークのグラス、特に「バカラ」を集めるようになったかというと、はじめは仕覆展「ポケットにぐい呑を」を開催するとき。骨董のぐい呑をいろいろ探したのですが、骨董の酒器はかなり高価でなかなか集めることが難しかったのです。

会場の性格上、女性のお客さんが多いことが見込まれましたので、だったらガラスの器もいいんじゃないか?と思いました。

それで探し始めたのですが、結構いいと思えるものが比較的安く手に入るのに味を占めたのです。

特に、最近ではあまり見かけないような金彩が施されたリキュールセットなどは、お酒といえばウイスキーのオンザロックや水割り・ハイボールなどがはやりの昨今、そのグラスの小ささからあまり人気がないのかもしれません。

そんな小さなリキュールグラスこそ、「ぐい呑」に見立てるにはぴったりだと思い、何個か買いました。

 

そんな「見立てぐい呑」は展示会でも好評で、特に仕覆の裏地にエルメスのスカーフなどを使ったものはそのマッチングにみなさん喜んでくださいました。

「バカラ」「エルメス」、、、。ブランドはやはり強いですね。

 

アネモネ文様のリキュールセット。

 

グラスの直径は4センチほどです。

 

バラのガーランド模様が華やかなリキュールセット。

 

これも、仕覆を作り「ばら苑」という銘で展覧会に出しました。

 

もうひとつ、ぼくが切望しているものに「春海バカラ」というものがあります。

明治・大正時代に大阪の貿易商「春海商店」を通じてバカラに注文し、舶来された茶道具や懐石道具に使うようなバカラ製品です。

これは、さすが日本の美意識。バカラが本来持っている技術や形を使いながらも、日本の茶の世界にピッタリ合うように引き寄せている。驚くような美意識です。

京都の茶道具店などに行けば、いまでも春海商店の箱に入ったバカラを買うことができますが、こちらはびっくりするほど高い。

なかなか手が出せませんが、それでもときどき、ポロッポロッとセットではない「離れ」が出てくることがあり、そういったものを少しずつ買い集めています。

 

「千筋文」といわれる金彩のグラスたち。リキュールセットはフランスの業者からネットで買ったもので、ということは「春海バカラ」とは呼べません。

 

奥のはビールタンブラー。手前は手つきのショットグラス2種類。

 

大きいほうのショットグラスには桐箱が作られていました。 達筆で「バカラ 千須じ 久以呑」と。

 

これらは、仕覆展で売るつもりはなく、自分用に自分の楽しみのために集めています。

いつか、バーでも始めることがあればそこで使えたらな、などと見果てぬ夢も抱いています。

 

向付にも使えそうな100年ほど前のバカラ。春海バカラに似たデザインがありますが、これはその頃バカラでも作っていたプレスガラスです。

 

上と同じバカラに水茄子を持ってみました。これからの季節重宝します。

 

明治や大正のころ、春海商店のバカラの鉢ひとつで家一軒買えた、とも言われています。

これらのアンティークバカラは、多くは19世紀末から20世紀初めのものです。ヨーロッパにおいてもその時代にこれらを手にすることができたのは、かなりのお金持ちというか、特権階級の人々に限られたのでしょう。

金彩のアンティークバカラの大時代な豪華さ、華やかさは、確かに今の時代の暮らしにはそぐわないのかもしれません。でも、その「こっちを向いていないかんじ」というか、「大衆を相手にしていないかんじ」、現代のマーケティングには決してはまらない、「孤高のかがやき」のようなものが僕を魅了するのです。

 

 

仕覆展で一番上の写真のバカラを買ってくださった方が、歌舞伎座に「ポケットにぐい呑を。」をしてくださいました。正しい使い方。

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

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