住めば都も、遷都する2021/7/13

入道雲の季節。どんどん形が変わっていく雲を見ながら、おしゃべりをするのは楽しい。「あっ、クマだ」「いや、今度は、ゾウさん」と空を見上げている。

 

自宅の窓から、ベランダから、空というキャンバスに描かれる造形を眺められるのは、この季節の特権だ。白い雲がまたたく間に黒くなり、夕立ということもあるけれど。

 

雲の話をのんびりできる。それは、おしゃべりをする相手との関係が落ち着いているからである。互いに不機嫌であったりすれば、雲の話は出てこない。

 

住まいの質は、その空間のありかたで決まる。周囲の環境、建物の方角、間取り、インテリアの仕上げなどが関わってくる。長い時間を乗りこえていくためには、建物のメンテナンスが容易であることも大切だ。

 

 

住まいは生活のための劇場。それを引き立てるのは、舞台の上の役者たちである。そう、私たちが、どう住みこなすか、どう暮らしていくかで、住まいの良さは変わってくる。

 

住めば都も遷都する。初めて自分たちの家を持つときも、何回目かの引っ越しをするときも、もし、誰かと共に住むのなら、雲の話で盛り上がれるような想像力と、心のゆとりを忘れないようにしよう。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書に『女と夜と死の広告学』(晃洋書房)『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社)『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)他。論文に「記号としての心臓 なぜ、血液のポンプが、愛の象徴になったのか」「映画に描かれた『料理』と『食事』の4類型」「月の絵本 無生物とのコミュニケーションを描いたナラティブ」(いずれも『コミュニケーション科学』)他。

 

 

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