甘い生活2020/6/30

占いやらスピリチュアルやらを全く信じないという人も、ちょっと耳を貸してほしい。

去年の今頃から、「オリンピックが見えない」 「オリンピックはないかもしれない」そんな噂が流れていたのを知っていただろうか。当時は、やっぱり直下型の地震か、はたまた北朝鮮が何やらしでかすのか、まぁ半信半疑ながら原因を予想していたものだが、あるスピリチュアルリストはこう主張していたという。

「世界的に大変なことが起き、オリンピックどころではなくなる」と。

 

つまりは今思えば“大当たり”だったわけで、東京直下型地震などという狭い範囲の話ではなかったのだ。まさかの世界的パンデミック、それでオリンピックはあっけなく吹き飛ばされた。

それにしても、あまりの的中の仕方はまさに鳥肌もの。予知と言うよりは、星の巡りが教えてくれる、ある種“必然”の出来事であったらしい。

 

その星の巡りからすると、今年はそういう深刻なアクシデントが2つ3つと重なるような負のエネルギーが生まれがちでもあるらしい。だからもう一つ、 7月の新月(7月21日)あたりで、本当に大地震もありそうで、それがまた1つのきっかけになって、2020年は1年かけて世の中がさらに大きく変わるという話がまことしやかに囁かれているのだ。

 

確かに最近、コロナのことに気持ちが集中していて、いつものように不安が積み重なってはいかないが、中規模な地震がいくつも続いていて、嫌な感じがあるのは確か。脅かすつもりは全くないけれど、実際に大規模地震が起きても何ら不思議ではない状況。身も心も、備えあれば憂いなし。覚悟しておくことに越した事はないのだ。

 

ただ一体何を備えるか。東日本大震災や阪神大震災の頃から、家における備えは充分していると言う人が少なくないのだろう。つっかい棒やら転倒防止の安定板、耐震ストッパーや耐震ジェルなどまで、この防災ジャンルには本当に様々なアイディアグッズが取り揃えられている。
既に長期にわたって「地震が来る」という噂は絶えず、そのたびに、そうした防災グッズの数が増えていって、今や家中がつっかい棒だらけになっていたり………。

 

そう、地震の備えのために、インテリアがめちゃくちゃになっているという人も少なくないはずだ。そしてまた、家具を買い換えたいけど、地震が通り過ぎるまで我慢しようと思っているうちに、なんだか家の中が、諦めの吹き溜まりのようになっていたり。また、何か良い食器を買おうと思っても、地震があってからにしようと後回しにしているうちに、食器の趣味自体が消滅していったり。

 

考えてみれば不健全。大地震が来てしまうまで、理想のインテリアを構築していけないなんて。この流れ、何とかならないものだろうか。もうこの際、早く来いという投げやりな気持ちもなってしまうが、ここはより良い建設的な方法で地震に明快に備えたいのだ。

 

ある地震学者が言った。津波があった場合は別だけれど、どんな大きな地震が起きても現代建築の家ならば、単純な話、何も家具が動かない、何も落ちてこない家に住んでいれば99%命は助かる。

 

結局そういうことなのだ。命を脅かすのはあくまでも家具。いかに壊れない家を作っても、いかに揺れない家を作っても、やっぱり家具は揺れるわけで、家具こそが凶器になると考えるべき。死なないためには、家具が倒れない、何も落ちてこない、自分めがけて飛んでこない、家具や雑貨が怖くない家に住めば良いのである。

 

そういう発想で、ちょっとインテリアを見直してみる時なのかもしれない。たとえ1つの大地震をやりすごせても、次の大地震をまた待つことになったら、インテリアは永遠に完成しない。かつては、何か大きな地震が1つあったら、ガス抜きになってしばらくはないのだと思い込んでいたが、実は誘発的に次々地震が起こりやすくなることを知った。だからこそどんどん備えを強化していくべきなのだ。

 

先日、建具屋さんに来てもらい、つっかい棒が5、6本醜く突っ立った食器棚に、見栄えの良い、天井一体型のつっかえ板を作ってもらった。食器棚を買い換えることも考えたが、要するに倒れなければ良いのだと。そして、人工大理石の天板が固定されていない大きなダイニングテーブルの天板をしっかりと接着してもらった。

 

それだけで最近は何か心穏やかな生活が送れている気がする。インテリアを諦めるのではなく、また1からインテリアを変えるのではなく、そうやってとりあえず家具の動かない家をちょこちょこと作り上げていく。まずはそれをお勧めしたい。

 

7月の新月までには間に合わないだろうから、そこまではつっかい棒がむき出しになっていても、そのやばい時期が過ぎたら始めてほしい、家具が怖くない家作りを。

 

 

齋藤薫 美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーと幅広く活躍。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)、『されど“男”は愛おしい』(講談社)など著書多数。

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