住めば都も、遷都する2019/1/25

ホームシアターを作った友人宅を訪問したときのことだ。「映画館と違って、つまらなければ、別の作品に変えられるし、おしゃべりをしても誰にも迷惑をかけないし、寝っ転がってもいいし…」と「わが家の劇場」を絶賛する。

 

ちょっとイジワル心から「いまのテレビは十分大きいから、何も大きなスクリーンでなくてもいいのでは」と聞くと「テレビの前に座っているのはあくまで日常。暗いこの部屋で映像が映り出すと、完全に別世界なんだ」と反論が返ってきた。

 

「ローマ帝国を歩いている。戦国の武将になっている。パリで愛の言葉をささやいている。何を見ても、どっぷりとはまってしまう」のだという。意外だったのは、ドラマではなく、ドキュメンタリーを大画面で見るのも楽しいそうだ。

 

「例えば、人体のことを描いた科学番組を見ていると、自分の体に入った気分がする。暗幕を締めた大学の教室で講義を受けているようで、勉強になるんだ」。確かに、五感全部で、そのテーマを考えるひとときを持つことは、頭脳の活性化になるだろう。

 

 

音楽好きは、自宅にコンサートホールを作ってしまう人もいる。グランドピアノというものは、脚を外し、縦にして運ぶと、アップライトピアノよりも狭い通路を通れる。広い居間ならば、ホール風にあつらえることもできる。

 

下手くそでもいいから、「自宅発表会」を開いてみるのも悪くない。どうせ、みんなほろ酔い気分、弾き間違えても気づく人はいない。そのうち、ピアノの伴奏に合わせて、みんなで合唱。生演奏付きの「自宅カラオケ」になってしまう。

 

もちろん、ギターやバイオリンの演奏でもいいし、能や踊りの舞台にしてもいい。自宅に音が満ちているのは、気分が良いものだ。

 

映画でも音楽でも、家族、友人と一緒にエンジョイすることは、おおげさに言えば、人生の体験を深めてくれる。生きていく仲間との関係が強くなる。自宅に「カルチャー空間」を持てたら幸せだろう。住めば都も、遷都する。そうしたスペースを作るために新しい住まいを探すのも、長い目で見れば、元は取れると思う。人生は長いのだ。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

http://ameblo.jp/ideationconsultant/entry-12291077468.html

 

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