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更新日:2025.08.25
登録日:2025.08.25
マンションの名義変更を親子でするには?方法と手続きの流れを解説

「親子間でマンションの名義変更をするにはどうしたら良い?」
「どの方法が一番自分たちに合っているか良くわからない」
マンションの名義変更は、個々の状況や名義人の関係によって異なるため複雑です。親子間の名義変更に限っても例外ではありません。本記事では、親子間のマンションの名義変更に関する下記の内容について解説します。
マンションの名義変更に関する知識を深めて親子間の名義変更をより適切に行うために、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
・親子間でマンションの名義変更を行う場合は「生前贈与・相続・売買」3つの選択肢がある
・マンションの名義変更に税金や司法書士への依頼料などの費用が発生する
・マンションの名義変更では節税制度を利用できる
・住宅ローンが残っているマンションの名義変更は注意が必要
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親子間のマンション名義変更、3つ選択肢

親子間のマンション名義変更、3つ選択肢
親子間のマンション名義変更には、下記3つの選択肢があります。
それぞれの選択肢について、詳しく解説します。
選択肢1.生前贈与
生前贈与とは、マンション名義人である親が、自身の生存中に子に対して贈与を行って名義を変更することです。生前贈与を行う場合、一般的に必要な登記済証や固定資産評価証明書などの書類に加えて「贈与契約書」を作成しなければなりません。
贈与契約書を公正証書にしておくことで、高い証明力のある書類となります。親が亡くなった際に相続で何かしらの問題が発生した場合でも、紛争を防止できるでしょう。
一方で、贈与税が発生するというデメリットがあります。ただ一緒に住んでいるだけであれば税金はかかりませんが、名義変更を行うと贈与税がかかってしまうためマンションの価値によっては相続よりも支払う税金が高くなってしまう恐れがあります。
選択肢2.相続
相続とは、マンションの所有者である親が亡くなってからマンションの名義変更を行うことです。相続の場合、相続登記によってマンションの名義を変更します。
相続時に発生する相続税は、贈与税と比べて低く設定されています。そのため、相続する不動産の価値によって贈与よりも節税できる可能性があるでしょう。
一方で、遺言などで相続する人物が指定されていなかった場合、相続時にトラブルが発生するというデメリットもあります。
鑑定士コメント
相続の対象となる財産は、現金、預貯金、有価証券、死亡保険金、不動産、動産など経済的価値のあるもの全てです。ですから、その中の1つであるマンションの名義を誰にするかは、遺言書がある場合は遺言書の内容に従い、遺言書がない場合は相続人全員による遺産分割協議で決定されます。それぞれの家庭事情によって誰の名義にするかを決めるのが大切です。全員が納得できる形になるように、しっかりと話し合いを行いましょう。
選択肢3.親子間でマンションを売買
親子間でマンションの名義変更を行う方法として、マンションの売買を行うという方法もあります。
親子間でマンションの売買を行うことで、住宅ローンが残っている状態でも名義変更を行うことができます。これは、住宅ローンの名義変更を行う際に、不動産も名義変更しなければならないためです。
ただし、親子間のマンション売買を認めている金融機関はあまり多くありません。まずは親子間での売買が可能か、住宅ローンを契約している金融機関に確認する必要があるでしょう。
鑑定士コメント
親子間でマンションの売買を行う場合、価格は自由に決めることができます。ただし、相場よりも明らかに低い価格で売買を行うと、みなし贈与と判断される可能性が高いです。相場から売買価格を差し引いた金額に対して贈与税がかかる場合があります。どれくらいの金額に設定するとみなし贈与とみなされるかはケースによって異なるため、不安な人は不動産会社などに相談しましょう。
マンションの名義変更にかかる費用と税金

マンションの名義変更にかかる費用と税金
マンションの名義変更にかかる費用と税金には、下記のようなものがあります。
・贈与税(生前贈与の場合)
・相続税(相続の場合)
・不動産取得税
・登録免許税(登記にかかる税金)
・専門家に依頼する場合の費用相場
それぞれの費用や税金について、詳しく見ていきましょう。
贈与税(生前贈与の場合)
生前贈与の場合、贈与を受けた子は贈与税を払う必要があります。贈与税とは、贈与によって財産が移転するとき、マンションの場合は名義が変更されるときに「財産」に対して課せられる税金です。
贈与税には「一般税率」と「特例税率」の2種類があります。親子間のマンション名義変更でも、条件によってどちらの税率が適用されるかが異なります。それぞれの条件と税率は下記の通りです(※)。
一般税率
特例税率
※参照:国税庁
相続税(相続の場合)
マンションを相続する場合、相続税が発生します。相続税とは、被相続人が亡くなった際にその財産を相続した相続人がそれぞれ支払わなければならない税金です。
相続税の税率は、下記の通りです(※)。
※参照:国税庁
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を売買・贈与などのさまざまな方法で取得した人に対して課される税金です。親子間のマンション名義変更の場合、その方法が贈与・相続・売買のどの方法でも不動産取得税を支払わなければなりません。
不動産取得税の計算方法及び税率は下記の通りです(※)。
不動産取得税額 = 不動産の価格(課税標準額)× 税率
※参照:大阪府
登録免許税(登記にかかる税金)
専門家に依頼する場合の費用相場
マンションの名義変更を行う際、その方法によってさまざまな税金が課せられます。また、そのほかにも費用が発生することがあるため把握しておきましょう。
マンションの名義変更においては、専門家に依頼する場合の費用についても考えておかなければなりません。名義変更は個人で行うこともできますが、時間や知識が必要です。そのため、専門家に名義変更等の作業を依頼する人も少なくないでしょう。
専門家に依頼する場合、費用は司法書士事務所によって異なりますが5〜15万円程度かかります(※)。作業量によっても異なるため、事前に見積もりを取っておきましょう。
※参考:不動産名義変更手続きセンター
親子間でのマンションの名義変更で知っておくべき2つの節税制度

親子間でのマンションの名義変更で知っておくべき2つの節税制度
マンションの名義変更時にかかる税金では、相続・贈与などの方法や条件によって下記のような節税制度を利用できます。
・相続時精算課税制度
・暦年贈与
それぞれの節税制度について、詳しく解説します。
相続時精算課税制度|2,500万円まで非課税
親子間での贈与によるマンション名義変更では、相続時精算課税制度が利用できます。
相続時精算課税制度とは、財産贈与時に最大2,500万円まで一時的に贈与税を納めずに贈与を受けられる制度です。納めなかった贈与税は、贈与者である親が亡くなった際に贈与時の贈与財産価額と相続財産価額を合計し、相続税として受贈者である子が納税します。
なお、相続時精算課税制度は下記の条件を満たす場合に適用できます(※)。
※参照:国税庁
暦年贈与|年間110万円非課税
暦年贈与とは、1年間の贈与額が基礎控除額である110万円以下の場合に贈与税が課されない「暦年課税」の仕組みを利用した節税方法です。です。マンションの持分を評価額110万円以下になるように分割し、数年~数十年かけて贈与することで、贈与税を課されることなく名義変更ができます。
暦年贈与は大きな節税効果が望める方法に思えますが、デメリットもあります。それは、分割贈与では毎回登記が必要であり、登記に関する税金や依頼費用などが発生するということです。分割数が多いほど手間と費用がかかるため、マンションの評価額に合わせて適切な節税方法を選択しましょう。
住宅ローンが残っているマンションの名義変更で知っておくべきこと

住宅ローンが残っているマンションの名義変更で知っておくべきこと
住宅ローンが残っている状態で親子間のマンション名義変更を行う場合、下記のようなポイントを把握しておく必要があります。
・金融機関への相談と承諾が原則必須
・ローン付きで贈与する場合の注意点
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
金融機関への相談と承諾が原則必須
住宅ローンが残っているマンションの名義変更は、原則できないのが一般的です。というのも、住宅ローンとマンションの名義はそれぞれ別であり、マンションの名義を変更する際は住宅ローンの名義も変更しなければならないからです。
しかし、住宅ローンは契約者の返済能力などをきちんと審査して契約しているため、住宅ローンの名義を変更するのは難しいでしょう。住宅ローンが残っているマンションの名義変更を行う場合は、金融機関に相談して名義変更の方法や手続きについて確認する必要があります。
ローン付きで贈与する場合の注意点
金融機関の承諾が得られれば、住宅ローンの名義変更を行ってマンションを贈与することも可能です。ただし、ローン付きで贈与する場合は条件があります。
金融機関によって条件は異なりますが、一般的には下記のような条件を設けられるでしょう。
・子にローンの返済能力があること
・受贈したマンションに居住すること
マンション名義変更の手続きの流れ

マンション名義変更の手続きの流れ
親子のマンション名義変更の手続きでは、事前に下記のようなことを確認しておくことが大切です。
・基本的な手続きの流れ
・手続きに必要な書類
・手続きは専門家に依頼するのがおすすめ
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
基本的な手続きの流れ
マンション名義変更の基本的な流れは下記の通りです。
所有権移転登記に必要な書類を準備する
2. 書類を法務局に提出して所有権移転登記の申請を行う
3. 書類の審査を受け、必要に応じて訂正・再申請を行う
4. 審査に通って登記完了証を受領する
5. 登記事項証明書を取得する
マンションの名義変更を行うには、所有権移転登記が必要です。書類に必要事項を記入して法務局に提出することで、所有権移転登記を行えます。
なお、審査は1〜2週間程度かかります。訂正があると審査も遅れてしまうため、ある程度余裕を持って申請を行いましょう。
手続きに必要な書類
マンションの名義変更は、方法によって下記のような書類が必要です。
手続きは専門家に依頼するのがおすすめ
マンションの名義変更は、個人でも手続き可能です。ただし、登記には専門の知識が必要であり、個人で一から行おうとすると時間と労力がかかります。
そのため、基本的には専門家である司法書士に依頼するのがおすすめです。司法書士に依頼することで、素早く正確にマンションの名義変更を行えます。
なお、マンションの資産性の挙げ方についてより詳しく知りたい場合は以下の資料をご覧ください。無料でダウンロード可能です。
まとめ:名義変更方法を正しく理解し、親子間で最適な資産承継を実現しよう

まとめ:名義変更方法を正しく理解し、親子間で最適な資産承継を実現しよう
マンションの名義変更は、例え親子間であっても注意すべきポイントが複数あります。それぞれの家庭や名義変更を行うマンションの評価額によってどのような方法で資産を継承すべきかが異なるため注意が必要です。
税金や登記は複雑なため、個人で行う場合はしっかりと勉強しなければなりません。そのため、司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。まずは、名義変更を正しく理解したうえで、どのような方法で名義変更を進めるかをしっかりと決めましょう。
#マンション #不動産 #名義変更 #親子 #相続

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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