全国市況レポート
注目記事
学ぶ
更新日:2024.11.22
登録日:2024.11.22
C値は気密性能を表す数値!算出方法や改善する方法をくわしく紹介
快適で住みやすい家を目指すなら気密性能を示すC値の確認が欠かせません。
「C値はどうやって算出するの?」
「C値を低くするメリットって?」
「C値の水準はどのくらい?」
このような疑問を持つ人もいるでしょう。
そこでこの記事では、C値についての基本的な解説や類似する数値との違い、算出方法や測定方法などを詳しく解説します。C値を改善する方法も交えて総合的にご紹介するので、気密性能にこだわりたい人はぜひ参考にしてみてください。
マンション図書館の物件検索のここがすごい!
- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
C値とは
C値とは
C値とは、気密性の高い家かどうかを表す数値です。これから家を建てる予定の人は、過ごしやすさの指針でもある気密性能や断熱性能を重視する人も少なくないでしょう。
C値は、住宅にどのくらい隙間があるかを示す「相当隙間面積」で、C値が低いほど住宅全体の隙間が少ない(気密性能が高い)といえます。逆に、C値が高いと外気の流入量が大きくなり、暖房効率や断熱性能に影響が出るといわれています。
C値の算出方法
C値(相当隙間面積)の算出方法は、住宅全体の隙間面積÷延べ床面積で数値化できます。1平方メートルにどのくらい隙間があるのかを算出でき、その住宅の気密性能の指標として利用されます。
例えば、隙間面積100平方cm÷床面積100平方mの場合、1平方メートルあたりのC値は1.0平方cmと算出可能です。
住宅の気密性能に関する基準は、2009年の省エネ法改正によって気密住宅の数値基準が削除され明確な指針が無くなりました。そのため、C値に対する取り組み方は、地域やハウスメーカーによって異なります。
住宅の過ごしやすさを考慮するなら、断熱性能の指針となるUA値も一緒に確認するとよいでしょう。
C値とUA値の違い
UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅内の熱がどのくらい外に逃げやすいかを表す数値です。UA値が低いほど、断熱性能が高い家といえます。
UA値の算出方法は、住宅の熱損失量の合計÷延べ外皮面積で算出でき、1平方メートルあたり何wの熱が平均して逃げるのかを確認できます。
断熱性の高い家は、住宅内から外部へ、あるいは外部から住宅内への熱の侵入を遮断する性能があります。1年を通して温度を一定に保ち、ヒートショックの予防や冷暖房効率の向上など、快適な家のために欠かせない指針です。
日本は地域によって外気の温度差が大きいため、国土交通省では全国を8つの区分にわけてUA値の基準値を設定しています。断熱性能を確認するなら、お住まいの地域の基準値をクリアしているかどうかチェックしてみてください。
※参照:国土交通省
C値とQ値の違い
Q値(熱損失係数)とは、UA値より以前に使用されていた数値で、どのくらい熱が逃げにくい家なのかを表します。Q値が低ければ低いほど、断熱性能が高い住宅といえます。
Q値とUA値の違いは、算出する際に換気による熱損失量を含める点と、住宅の延べ床面積のみで算出する点です。延べ床面積のみで断熱性能を算出するため、住宅の形状によっては正確な算術結果を出しにくい特性もあります。
現状の住宅省エネ基準ではUA値を基準値として採用していますが、ハウスメーカーによってはQ値を活用する場合もあります。
C値の測定方法
C値の測定方法
C値を正確に測定するためには、専用の測定機器を使用して住宅の総隙間面積を算出する「気密測定」が必要です。気密測定は実際に住宅が建設されなければ測定できないため、一般的には断熱処理が完了した後に測定を行います。
気密測定は、住宅の内部気圧と外部気圧を一定に保ち、外からの空気の流出量を測定することで、総隙間面積を測定することが可能です。
ハウスメーカーが示すC値が優れた数値でも、実際の施工の際に必ず同じ基準をクリアできるとは限りません。提示された数値は参考程度に、実際に施工中のご自身の家で気密測定を行うことが大切です。
鑑定士コメント
気密測定は何回実施すべきなのでしょうか?「断熱施工後」と「完成後」の計2回が理想ですが、手直し可能なのは「断熱施工後」までです。完成後に再度測定を行ったとしても、コストがかかる上に、悪かったとしても手直しができません。気密測定は「断熱施工後に1回」行い、手直しが必要なら対応してもらいましょう。
C値を低くするメリット
C値を低くするメリット
C値を低くすると以下のような様々なメリットがあります。
・電気代の節約になる
・室内が快適になる
・健康のリスク軽減できる
・エアコンの効率がアップする
一つずつ解説していきます。
電気代の節約になる
C値が高い場合、隙間から外の空気が入りやすくなり、冷暖房が効きにくくなります。逆にC値を低く抑えた気密性能の高い家の場合、外からの冷たい空気や熱い空気が入り込みにくくなり、少ないエネルギーで冷暖房を稼働できるでしょう。
冷暖房効率がよいと使用時間が短くなるため、結果的にガス代や電気代の節約につながります。光熱費を削減したいなら、C値の数値を低く抑えて、気密性能を担保している住宅を選びましょう。
室内が快適になる
C値が低い高気密の住宅は、外気の侵入を抑えることで気候の変動や温度による影響を抑えられます。また気密性能が高ければ、快適な室内の空気が外に流出する量も減少でき、1年を通して一定の室温を保った快適な空間を保てるでしょう。
さらに、気密性能が高いと冷たい空気で床が冷えにくくなり、床の断熱効果にもつながります。
夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を目指すなら、可能な限り隙間を減らして気密性能の高い家作りが必要です。
健康のリスク軽減できる
C値が低い高気密の住宅は、大気汚染対策が効率的に行えるため、健康リスクも軽減できます。黄砂や花粉、PM2.5などの大気汚染物質が気になる人は少なくないでしょう。隙間の多い家の場合、家のいたるところから外気が入り、汚染物質も侵入しやすくなります。
一方、高気密の住宅であれば、換気システムで計画的な換気ができます。汚染物質対策のためのフィルターを設置すれば、室内はいつでも綺麗な空気を保つことができるでしょう。
換気システムに関しては以下の記事で詳しくご紹介しています。24時間換気システムの種類や換気口の掃除方法など、気になる人はぜひ参考にしてみてください。
エアコンの効率がアップする
気密性能が高い住宅の場合、外からの暖かい空気や冷たい空気の侵入量が少なくなり、室温を一定に保ちやすくなります。そのため、エアコンをフルパワーで使用する必要がなくなり、使用時間が短縮され、エネルギーコストの削減が期待できます。
C値はどれくらいを目指すべきか
C値はどれくらいを目指すべきか
C値の基準は明確に定められていませんが、一般的なメーカーや工務店では1.0平方cm以下を高気密住宅と定めています。C値が低いほど気密性能が高くなりますが、その分コストも上がるため、予算を考慮することも大切です。
お住まいの地域の気候条件や、住宅の形状によってもことなりますが、十分な気密性を担保した住宅を目指すならC値0.5〜0.7平方cm以下を目安にしましょう。
気密性能に関わる窓やドアは使用する中で経年劣化するため、高気密住宅といわれる1.0平方cmをやや上回る数値を基準にすると、長期間快適な家を保てるでしょう。
C値を改善する方法
C値を改善する具体的な方法は以下の3つです。
・気密処理を実施する
・気密性を高めやすい窓やドアを選ぶ
・C値を保証している業者を選ぶ
それぞれ解説していきます。
気密処理を実施する
C値を改善するためには、施工時に隙間が発生しないように気密処理を実施する必要があります。例えば、床や天井の接合部を、気密シートや防湿気密シートなどを使用して、隙間を無くすことが大切です。
気密性能を高められる断熱材の利用もおすすめです。吹き付けた部分で膨らむ発泡系の断熱材であれば、隙間を埋めて気密性を向上できるでしょう。施工時に気密処理を高い精度で実施するには、ノウハウや確認体制が整っている必要があります。
気密性を高めやすい窓やドアを選ぶ
気密性の優れた窓やドアを選ぶことは、C値の改善に役立つでしょう。例えば、窓は開閉の形式によって気密性能に大きな差が生まれます。左右に大きく開閉する昔ながらの開き窓は、接合部分が多く気密性が低いとされていますが、すべり出し窓は、接合部分が少ないため気密性を担保しやすい形状です。
また、C値の改善を考慮するなら、玄関のドアは両開きではなく片開きの方が気密性を高く保てるでしょう。
C値を保証している業者を選ぶ
ハウスメーカー選びの際は、C値を保証している業者を選ぶといいでしょう。C値に特化した施工を提案している業者は、気密性能を担保した施工方法やノウハウを熟知しているからです。
ドアや窓、断熱材の種類など、気密性を重視した選択ができるため、C値の低い高気密住宅を目指す人は、C値に特化した施工を行う業者を選びましょう。
鑑定士コメント
エアコン設置工事をするとC値は下がるのでしょうか?
エアコンを設置する際、壁に外気を取り込むための穴を設けるため、その分若干ではあるものの、気密性能も下がります。ただし、この点はきっちり施工すれば大きく影響が出ることはありません。反対に取付工事がずさんだと、気密性能が大きく下がってしまうことにもつながるため、設置依頼では以下を注意しておきましょう。
・貫通部のウレタン断熱処理とパテ埋めができているか
・化粧カバー周りは防水処理が行われているか
まとめ:気密性を高める工夫をしてC値を改善しよう
まとめ:気密性を高める工夫をしてC値を改善しよう
快適な住宅環境には気密性能を高める工夫が必要です。C値は、隙間の少ない高気密住宅の指標になるため、住まいづくりの際にしっかり確認しましょう。
さらに、住宅性能を示すUA値やQ値などの断熱性能と一緒にチェックすれば、1年中快適な室温で健康的に生活できる住環境につながります。
C値を下げるためには、適切な窓やドアの選定や、適切なタイミングでの気密測定などひとつひとつのプロセスが大切です。C値を改善して気密性の高い快適な家・マンションづくりを目指しましょう。
#c値 #気密 #住宅
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
公式SNSをフォローすると最新情報が届きます
あなたのマンションの知識を確かめよう!
マンションドリル中級
あなたにとって一生で一番高い買い物なのかもしれないのに、今の知識のままマンションを買いますか??後悔しないマンション選びをするためにも正しい知識を身につけましょう。
おすすめ資料 (資料ダウンロード)
マンション図書館の
物件検索のここがすごい!
- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家による
コメント表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正
評価」が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
会員登録してマンションの
知識を身につけよう!
-
全国の
マンションデータが
検索できる -
すべての
学習コンテンツが
利用ができる -
お気に入り機能で
記事や物件を
管理できる -
情報満載の
お役立ち資料を
ダウンロードできる
関連記事
関連キーワード
カテゴリ
当サイトの運営会社である東京カンテイは
「不動産データバンク」であり、「不動産専門家集団」です。
1979年の創業から不動産情報サービスを提供しています。
不動産会社、金融機関、公的機関、鑑定事務所など
3,500社以上の会員企業様にご利用いただいています。