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更新日:2025.08.25
登録日:2025.08.25
マンション1階の資産価値は低い?メリット・デメリットと狙い目な物件の見極め方を紹介

「マンション1階の資産価値は低いって本当?」
「マンション1階に住むメリット・デメリットを知りたい。」
マンションの購入を検討する際、上記のような疑問を持つ方も多いかもしれません。たしかに「日当たりが悪い」「防犯面が心配」といったイメージもありますが、実は1階には価格が割安なことや専用庭付きの物件があるなど、メリットも多く存在します。
また、「1階=資産価値が低い」とは一概には言えません。1階だからこその希少性によって将来の価値も大きく変わってくるのです。
本記事では、マンション1階の資産価値の実態をはじめ、1階ならではのメリット・デメリット、そして価値ある物件の見極め方まで解説します。
【この記事でわかること】
・マンション1階の資産価値は「暮らしやすさという付加価値」で決まること
・階下への音を気にせず過ごせる、テラスや専用庭付きで戸建て感覚が味わえるなど、1階ならではのメリットがある
・資産価値が落ちにくいマンション1階を見極めるポイント
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マンション1階の資産価値は「付加価値」で決まる

マンション1階の資産価値は「付加価値」で決まる
マンションの1階は、同じ建物内でも中層階や高層階に比べて、価格が低めに設定されていることがよくあります。そのため、「資産価値が低いのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、価格が安いからといって、資産価値まで低いとは限りません。大切なのは、その住戸にどんな「付加価値」があるかどうかです。
ここではまず、マンション1階の価格傾向と資産価値の考え方について解説します。
価格は中層階より5%~10%安いのが一般的
「高層階ほど価格が高い」というイメージを持っている方は多いでしょう。実際、マンションは階数が上がるにつれて、販売価格も高くなる傾向があります。
その主な理由は、以下のとおりです。
・眺望が良くなる
・日当たりが良い
・外部からの侵入リスクが減り、セキュリティ性が高くなる
・通行人の視線や生活音が届きにくく、プライバシーを保ちやすい
高層階にはこうした利点があるため、階が1つ上がるごとに0.5%〜2.5%程度、価格が上昇すると言われています。
たとえば、10階の住戸が4,000万円だった場合、1階ずつ下がるごとに2.5%ずつ価格が下がるとすると、1階は約3,100万円になる計算です。
このように、1階は中層階よりも5%〜10%程度安く設定されていることが多く、価格面でのメリットが非常に大きくなります。
「安い=価値が低い」は間違い
1階は価格が抑えられているため、「資産価値も低いのでは」と思われがちです。 しかし、価格が低いからといって「価値まで低い」とは限りません。
むしろ、1階ならではの利便性を評価して購入する人も一定数おり、安定した需要があります。
たとえば、次のような方々にとっては1階は魅力的でしょう。
・階段の上り下りが負担となる高齢者世帯
・階下への音を気にせず暮らしたい子育て世帯
・出入りのしやすさを重視する車椅子利用者
・専用庭を活用したいガーデニング愛好者
こうした「暮らしやすさ」は価格に反映されにくいものの、特定の層には大きな価値となります。つまり、暮らしやすさという「付加価値」が、1階の資産価値を支えているのです。
マンションの資産価値を左右する要素は、階数だけではありません。資産価値を保つためのポイントは、以下の記事でも詳しく紹介しているのでご確認ください。
マンションの資産価値とは?価値を落とさないために見極めるポイントを解説
鑑定士コメント
1階と高層階、どちらが「お得」かは一概には言えません。1階は価格が比較的安かったり、専用庭が付いていたりするなど、実用的なメリットがあります。一方で、高層階は眺望や日当たりに優れ、プライバシーも確保しやすいなど快適性が高いのが特徴です。資産価値の観点だけでなく、ご自身やご家族のライフスタイルに合うかどうかが、住戸選びでは何よりも大切です。
暮らしが豊かになる!マンション1階の5つのメリット

暮らしが豊かになる!マンション1階の5つのメリット
マンションの1階には「日当たりが悪い」「防犯が不安」などのイメージがありますが、実は1階ならではのメリットも数多くあります。ここでは、マンション1階の代表的なメリットを5つ紹介します。
・階下への足音を気にせず暮らせる
・専用庭やテラスで戸建て感覚を味わえる
・価格が割安で購入しやすい
・エレベーター不要で出入りが楽
・災害時に避難しやすい
階下への足音を気にせず暮らせる
マンション1階のメリットの一つは、階下への足音を気にせず暮らせることです。
1階には下の階がないため、上階に比べて生活音を気にするストレスが少なく、気兼ねなく日常を過ごせます。
とくに子育て世帯にとっては、子どもが走り回ったり、椅子を引いたりしても「足音がうるさい」と注意される心配が少ないため、のびのびと暮らせる環境となるはずです。
また、「静かにして!」と何度も声をかける必要がなくなることで、親子ともに穏やかで快適な暮らしが実現しやすいでしょう。これは、マンション1階だからこそ得られる大きな魅力といえます。
専用庭やテラスで戸建て感覚を味わえる
専用庭やテラスで「戸建て感覚」を味わえる点も、マンション1階に住む大きなメリットです。
1階には、敷地とつながった庭やテラスがついていることが多くなります。こうした外のスペースがあることで、以下のような楽しみ方が実現できるでしょう。
・家庭菜園やガーデニング
・子どものプール遊びや外遊び
・ペットの運動スペース
・テーブルを置いてカフェタイム
また、リビングから庭の緑を眺められるのも、1階ならではの魅力です。
「戸建てのようなゆったりした暮らしが理想だけど、マンションの便利さも捨てがたい。」そんな方にとって、マンションの1階は最適な選択肢となるでしょう。
価格が割安で購入しやすい
マンション1階のメリットの一つは、価格が割安で購入しやすい点です。
前述したように、階数が下がるごとに「0.5〜2.5%」程度価格が下がるのが一般的で、1階は上層階よりも「数百万円単位」で安くなることもあります。
とくに最近は都市部を中心にマンション価格の高騰が続いており、「価格が高くて手が届かない」と悩む方も少なくありません。そうした中で、1階の住戸は比較的購入しやすく、現実的な選択肢といえるでしょう。
「予算をおさえてマイホームを手に入れたい」という方にとって、1階は十分に検討する価値があります。
エレベーター不要で出入りが楽
マンション1階のメリットの一つは、エレベーターを使わずに出入りできることです。
1階は階段やエレベーターを介さず、玄関からすぐに外に出られるため、日常の移動がスムーズになります。ゴミ出しや荷物の搬入、ベビーカー・車椅子の利用時もラクに行えるため、子育て世帯や高齢者のいる家庭にとっては大きな魅力です。
一方、2階以上の住戸では、外出や帰宅のたびにエレベーターを使わなければなりません。通勤・通学の混雑時や買い物帰りには、ストレスを感じる場面もあるでしょう。
出入りのしやすさは、毎日の小さな負担を減らすうえで大切なポイントです。長く快適に暮らしたいと考える方にとって、1階は魅力的な選択肢といえるでしょう。
災害時に避難しやすい
マンション1階は、災害時に避難しやすいという安心感も大きなメリットです。
大きな地震や停電が発生すると、エレベーターは自動的に停止します。実際に2018年の大阪北部地震では、関西を中心に約63,000台のエレベーターが停止し、多くの人が移動に苦労しました。(※)
高層階では、エレベーターが使えなくなると階段の上り下りが必要になり、避難や移動に大きな負担がかかります。とくに断水時には、重たい水を階段で運ぶ必要があり大変です。
その点、1階であれば直接外に出られるため、避難も荷物の出し入れもスムーズです。防災の観点から見ても、1階は安心感のある選択肢になるでしょう。
※ 参照:国土交通省
購入前に必ず確認!マンション1階の5つのデメリット

購入前に必ず確認!マンション1階の5つのデメリット
マンション1階には多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。ここではマンション1階に住むデメリットを5つ紹介します。
・セキュリティ面の不安がある
・外部からの視線が気になりやすい
・日当たり・眺望が悪い傾向にある
・湿気や虫の問題が起こりやすい
・浸水リスクがある
セキュリティ面の不安がある
マンション1階は、防犯面での不安がつきものです。 1階は外から入りやすいため、空き巣などの侵入リスクが高くなりやすい傾向があります。
とくに、窓やベランダ、玄関といった出入口は侵入経路になりやすく、狙われやすい場所です。さらに、室内の様子が外から見えやすいため、留守かどうかを判断されやすい点にも注意しなければなりません。
実際に、防犯設備が不十分な物件では、1階を敬遠する人もいます。こうした防犯上の不安は、物件の資産価値に影響を及ぼす可能性もあるため、事前の確認が必要です。
外部からの視線が気になりやすい
マンション1階は、外からの視線が気になりやすい点がデメリットです。
通行人と目線の高さが近いため、道路や共用部分に面した住戸では、ふと目が合ったり、室内の様子が見えたりすることがあります。
こうした状況が気になる方は、日中でもカーテンを閉めたまま過ごすことが多くなり、開放感に欠けると感じるかもしれません。
さらに、室内が見えやすいということは、在宅状況を知られやすいということでもあり、防犯面でも注意が必要です。
日当たり・眺望が悪い傾向にある
日当たりや眺望が悪い傾向がある点も、マンション1階における代表的なデメリットの一つです。
たとえば、近くに建物や塀があると、日差しが入りにくく、室内が暗く感じられることもあります。眺望に関しても、高層階のように遠くの景色や広い空を楽しむのは難しいでしょう。
そのため、明るさや景色を重視する方にとっては、1階住戸はやや物足りなく感じるかもしれません。
湿気や虫の問題が起こりやすい
マンション1階は、湿気や虫の問題が起こりやすい点もデメリットです。
1階は地面に近いため外気の影響を受けやすく、室内に湿気がこもりがちになります。とくに梅雨や冬場は結露が発生しやすく、放置するとカビの原因となり、健康に悪影響を及ぼすおそれもあります。
また、蚊やコバエなどの虫が侵入しやすいのも1階ならではの悩みです。とくに周囲に植栽や水場がある環境では、虫の発生リスクが高まる傾向にあります。
一般的には4階以上になると虫の侵入は減ると言われています。「虫が苦手」という方は、1階を避けた方が安心かもしれません。
マンションでは、どの階で虫が出やすいのか気になる方も多いのではないでしょうか。詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
浸水リスクがある
マンションの1階を選ぶときに、気をつけておきたいのが「浸水リスク」です。
1階は道路と床の高さが近いため、大雨や台風のときに排水が追いつかないと、雨水が室内に入り込んでしまう可能性があります。もし床上まで浸水した場合、家具や家電がダメージを受け、生活にも大きな影響が出ます。
近年は集中豪雨や大型台風が増えており、水害は決して珍しいことではなくなってきました。一度でも浸水被害があると、その物件の資産価値が下がってしまうこともあるので注意が必要です。
1階の部屋を検討する際は、水害リスクも事前に確認しておくと安心です。
鑑定士コメント
「1階は売れにくい」と悲観的な売主さんがいますが、必ずしもそうとは限りません。たしかに高層階と比べて人気はやや劣るものの、価格の手ごろさや生活のしやすさを理由に購入する人も一定数います。需要はありますので、売却時には1階だからこその魅力をしっかりアピールすればいいのではないでしょうか。
資産価値が落ちにくいマンション1階を見極めるチェックポイント

資産価値が落ちにくいマンション1階を見極めるチェックポイント
マンションの1階は、高層階に比べて売却しづらいと言われることがあります。 しかし、立地や設備、住環境などの条件次第では資産価値が落ちにくいばかりか、むしろ高く評価されるケースも少なくありません。
ここでは、1階でも資産価値を維持しやすい住戸を見極めるためのポイントを5つ紹介します。
・専用庭・テラスに「特別な価値」があるか
・防犯対策は万全か
・プライバシーは守られているか
・湿気・浸水対策はされているか
・1階ならではの「希少性」があるか
専用庭・テラスに「特別な価値」があるか
専用庭やテラスが付いた1階の住戸は、資産価値が高く評価される可能性があります。マンションでありながら戸建てのような開放感や暮らしやすさが得られることから、一定のニーズがあるためです。
たとえば、小さなお子さんがいるご家庭なら、専用庭でプール遊びをしたり、のびのびと外遊びができたりと、子育てのしやすさが大きな魅力となるでしょう。
また、コロナ禍をきっかけに在宅時間が長くなったことで、「自宅にちょっとした外空間がある」ことに価値を感じる人も増えました。こうした背景からも、専用庭やテラス付きの住戸の需要はより高まりつつあります。
このように、専用庭やテラスがもたらす「1階ならではの付加価値」は、将来的な売却時にも有利に働くでしょう。
防犯対策は万全か
資産価値が下がりにくいマンションの1階を選ぶには、防犯対策がしっかりしているかどうかも重要なポイントになります。
1階は出入りがしやすく、災害時の避難にも有利といったメリットがある一方で、不審者にとっても侵入しやすい場所と見なされがちです。そのため、防犯面での備えが物件の価値を大きく左右します。
・オートロックは導入されているか
・防犯カメラの設置数や位置は適切か
・死角になりやすい場所がないか
・人感センサー付き照明はあるか
・管理人が常駐しているか
たとえば、上記のような対策が施されていれば、防犯面に配慮された物件として高評価を得られるでしょう。その結果、1階であっても資産価値の下落リスクを抑えやすくなります。
プライバシーは守られているか
マンション1階は通行人と目線が近く、視線が気になりやすい点が懸念されがちです。とくに女性の一人暮らしや、小さな子どもがいる家庭では、「見られているかも」という不安が資産価値に影響することもあります。
そのため、以下のようなプライバシー対策がある物件は評価が高く、売却時にも有利になりやすいでしょう。
・フェンスや植栽による目隠し
・ルーバーなどの視線遮断設備
・共用部分から見えにくい設計
このような工夫がされていれば、1階であっても安心して暮らせる環境となります。その結果、将来的に売却する際にも好印象です。
湿気・浸水対策はされているか
マンション1階は地面に近いため、湿気がこもりやすく、結露やカビが発生しやすい傾向があります。そのため、風通しや換気設備、窓の配置など、湿気対策の有無は重要なポイントとなるでしょう。
また、近年は集中豪雨による浸水被害も増えています。排水ポンプの設置や建物構造など、水害への備えもチェックしておくと安心です。
湿気や浸水にしっかり対応している物件は、1階でも快適に暮らせるだけでなく、将来の売却時にも資産価値を保ちやすいでしょう。
1階ならではの「希少性」があるか
マンションの1階にしかない特別な特徴があれば、それだけで住戸としての希少性が高まり、資産価値も安定しやすくなります。
たとえば、「専用庭」や「テラス」があれば、まるで戸建てのような開放的な暮らしが実現できます。ペットを飼っている方にとっては、散歩や外出がスムーズにできる動線も大きな魅力です。
さらに、玄関から庭に直接アクセスできる「専用通路」や「スキップフロア」のような個性的な間取りがあると、ほかの住戸との差別化につながり、住まいとしての価値もぐっと高まります。
このように「1階であること」がほかにはない強みになるような物件なら、付加価値も高く、売却もスムーズに進むでしょう。
内見時には、実際の住戸をしっかり確認することが大切です。以下のチェックシートを活用すれば、見落としやすい部分もチェックできます。ぜひご活用ください。
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まとめ:「付加価値」を見極め、自分にとっての価値ある1階を見つけよう

まとめ:「付加価値」を見極め、自分にとっての価値ある1階を見つけよう
マンション1階は、「日当たりが悪い」「防犯が不安」といった理由から敬遠されがちですが、そうした印象だけで判断するのはもったいないかもしれません。
専用庭やテラスが付いていたり、階下への音を気にせず暮らせたりと、1階ならではの「付加価値」がある部屋も多くあります。上層階に比べて価格が抑えられている点も、見逃せないメリットです。
大切なのは、高層階と比較するのではなく、「自分たちの暮らしに合っているかどうか」をしっかり見極めることです。ライフスタイルにフィットすれば、1階でも快適で満足度の高い暮らしが実現できます。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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