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更新日:2025.07.25
登録日:2025.07.25
不動産のリースバックとは?メリットと押さえておくべき注意点を徹底解説

不動産リースバックを利用すれば、不動産を売却したあとも自宅に住み続けられます。まとまったお金を用意できることから注目を集めていますが、デメリットも存在するため注意が必要です。
本記事では、不動産リースバックについて基礎知識やメリット・デメリットを紹介します。向いている人の活用理由や、リースバック会社選びのポイントとあわせてまとめました。
【この記事でわかること】
・リースバックとは売却と同時に賃貸借契約を締結するサービス
・リースバックならまとまった資金を用意しつつそのまま家に住み続けられる
・売却価格が相場より低く家賃も高くなる傾向があるなどデメリットがある
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不動産のリースバックとは

不動産のリースバックとは
不動産リースバックとは、不動産を売却しながら賃貸として自宅に住み続けられるサービスです。
・リースバックの仕組み
・リースバックとリバースモーゲージの違い
・リースバックと担保ローンとの違い
基本的な仕組みと、その他のサービスとの違いを解説します。
リースバックの仕組み
不動産リースバックでは、不動産を売却すると同時に賃貸借契約を締結します。売却代金を一括で受け取ったうえで、そのまま自宅に住み続けられる仕組みです。
まとまったお金を確保でき、引っ越しの必要もありません。通常の賃貸物件と同じように、毎月の家賃を支払いながら住み慣れた自宅で暮らせます。
リースバックとリバースモーゲージの違い
リバースモーゲージとは、自宅を担保に生活資金を借り入れて自らの持ち家に継続して住み続けられるサービスです。借入人が亡くなったとき、担保としていた不動産を処分して借入金を返済します。
不動産リースバックは「賃貸として自宅を借りる」ことで、若年層から高齢者まで利用できます。一方のリバースモーゲージは高齢者向けで、「自宅を担保にお金を借りる」ローン商品です。
※参考:SBI新生銀行
リースバックと担保ローンとの違い
担保ローンとは、自宅を担保として提供して一括で融資を受けるサービスです。毎月「元本+金利分」を返済します。担保を必要としない無担保ローンと比較すると、借入限度額が大きく金利が低いのが特徴です。
不動産リースバックを利用する5つのメリット

不動産リースバックを利用する5つのメリット
不動産リースバックを利用するメリットは以下の5つです。
・まとまった資金を早期に一括で受け取れる
・売却後も今の家に住み続けられる
・周囲に知られずに自宅を現金化できる
・固定資産税や都市計画税の負担がなくなる
・相続の手続きを簡素化できる
利用を検討している方は、まずチェックしておきましょう。
まとまった資金を早期に一括で受け取れる
不動産リースバックなら、早期にまとまった資金を一括で受け取れます。通常の売却方法と違いすぐに買い取ってもらえるため、買い手がつくまで待つ必要がありません。
資金の使い道にも制限がないので、事業資金や老後資金、住宅ローンの返済などさまざまな用途に活用できます。サービスの内容によっては、一度売却した自宅を買い戻すことも可能です。
売却後も今の家に住み続けられる
不動産リースバックでは、売却後もそのまま同じ家に住むことができます。住環境やライフスタイルを変える必要がなく、通勤や通学への影響もありません。
住宅の売却と違い、新居を探したり引越し業者を探したりが不要です。引っ越しに費用や時間などがかからないのも、不動産リースバックのメリットといえます。
周囲に知られずに自宅を現金化できる
自宅を売却する場合、近隣住民に知られることは避けられません。不動産会社のホームページやチラシで買い手を広く募集するため、想定外の相手に知られることもあります。
リースバックはそのまま自宅に住み続けられるため、近隣住民からはわかりません。売却情報が公開されることはないので、知られることなく自宅を現金化できます。
固定資産税や都市計画税の負担がなくなる
リースバックでは不動産の所有権が移るため、維持費の負担がなくなります。固定資産税や都市計画税、火災保険料などを支払う必要はありません。
家賃の支払いはあるものの、トータルの支払いは軽くなることもあります。ただし、契約内容によっては修繕費などが借り主負担になる可能性があるので、契約の内容を事前に確認しておきましょう。
相続の手続きを簡素化できる
相続人が複数いる場合、現物資産である不動産は簡単には分けられません。財産を公平に分割するのが難しいため、相続争いに発展しやすい傾向があります。
リースバックなら不動産を現金化して公平に分割できるため、相続の手続きを簡素化できます。110万円の非課税枠内(※)を活用するなど、生前贈与がしやすくなるのもメリットです。
※参考:オリックス銀行
鑑定士コメント
リースバックをした場合、リースバック会社など購入した相手に名義は移ります。もとの所有者は借りているだけになるので、所有権はありません。ただし、契約内容によっては、一度売却した自宅を買い戻せます。買い戻しを視野にいれている場合は、買い戻しが可能な内容で契約を締結してください。
契約前に知るべき不動産リースバックのデメリット

契約前に知るべき不動産リースバックのデメリット
不動産リースバックのデメリットには、以下のようなものがあります。
・売却価格が通常の相場より安くなる
・家賃が周辺の相場より割高になりやすい
・自宅の所有権を失ってしまう
・永続的に住めるとは限らない
・買い戻しができないリスクがある
契約してから後悔しないように、あらかじめ確認しておくことが大事です。
売却価格が通常の相場より安くなる
リースバックを利用する場合、通常の売買契約と比較して売却価格が安くなる可能性があります。主な理由は以下の通りです。
・リースバックの期間中に価格の変動があることを考慮している
・賃借人が退去したあと不動産を売却して利益を確保しなければいけない
通常の売却価格と比較したうえで、リースバックの利用を検討するのがおすすめです。なお、住宅ローン返済が目的の場合、売却価格で住宅ローンの返済が不可能ならリースバックが利用できない可能性があります。
家賃が周辺の相場より割高になりやすい
リースバックでは、主に周辺地域の賃料相場や売却価格から家賃を決定します。通常の賃貸物件と家賃の決め方が異なり、割高になりやすいので注意が必要です。
まとまった資金が得られていても、毎月の家賃が高ければ大きな負担になります。無理なく支払えるかどうか考えたうえで、リースバックの利用を検討してください。
自宅の所有権を失ってしまう
リースバックを利用すると、不動産の所有権は買取業者に移ります。そのまま住むことはできますが、自己所有ではなく賃貸になるので注意が必要です。
所有権が移るため、賃貸借契約で定めた目的以外では使用できません。リフォームやリノベーションを検討している場合は、所有者の許可を得る必要があります。
永続的に住めるとは限らない
リースバックは、契約期間を設定する「定期借家契約」で締結するのが一般的です。貸主と借り主で合意があれば契約期間終了後に再契約できますが、合意が得られなければ退去しなければいけません。
長期間住みたい場合は、あらかじめ契約内容や契約期間をチェックしておきましょう。契約期間を長く設定するか、契約更新が可能な「普通借家契約」を締結するのがおすすめです。
買い戻しができないリスクがある
リースバックには不動産を再購入できる仕組みがありますが、一方で買い戻しができないリスクもあります。売却した自宅を買い戻したいなら、買い戻し特約が必要です。
また、本人の信用力によっては、買い戻しするときに住宅ローンが組めない可能性があります。買い戻しの価格は売却時の取引価格より高くなりやすいので、あらかじめ具体的な計画を立てておくことが重要です。
不動産のリースバックが向いている人の活用理由

不動産のリースバックが向いている人の活用理由
不動産のリースバックは、どのような人に向いているのでしょうか。
・老後資金やローン完済で生活費を平準化したい
・急に多くの資金が必要になった
・相続のトラブルを避けたい
・個人事業主で資金繰りをしたい
具体例をあげて活用理由をくわしく解説します。
老後資金やローン完済で生活費を平準化したい
リースバックなら、老後資金のためにまとまったお金を用意できます。ローンの完済にあてることも可能です。
必要なお金を確保したりローンを完済したりすれば、生活費を平準化できます。出費の管理がしやすくなるため、お金の計画が立てやすくなるはずです。
急に多くの資金が必要になった
リースバックは、まとまった資金を確保したい方におすすめです。たとえば新居の頭金にして購入にあて、十分な計画が立ったあと引っ越すといったやり方もできます。
直接不動産を買取るタイプのリースバック会社なら、入金までがスピーディーです。なるべく早くまとまった資金を用意したい場合は、リースバックが向いています。
相続のトラブルを避けたい
相続人が複数いる場合、不動産があると相続トラブルに発展しやすくなります。公平に分割するのが難しく、相続人同士で衝突しやすくなることが主な理由です。
リースバックで現金化すれば、均等に分けられるようになります。相続人のトラブルを防止でき、さらに納税がしやすくなるので、相続を検討している方はぜひチェックしてください。
個人事業主で資金繰りをしたい
リースバックの場合、不動産を売却して得た資金は自由に使用できます。個人事業主の事業資金としても、活用することが可能です。
収入が不安定な傾向がある個人事業主は、会社員と比較すると借り入れが難しくなります。一定以上の価値をもつ不動産があるなら誰でも資金が確保できるリースバックは、資金繰りにおすすめです。
鑑定士コメント
リースバック会社にもよりますが、一般的に売却価格から計算されます。だいたい購入金額の6%前後が家賃の目安とされているようです。その金額を12で割れば月々の家賃を算出できます。ただし、家賃が支払えなくなった場合は、他の物件に引っ越さなければいけません。無理なく家賃の支払いを続けていけるかどうか、あらかじめ確認しておく必要があります。
失敗しないリースバック会社の選び方

失敗しないリースバック会社の選び方
リースバック会社を選ぶ際のポイントを、以下にまとめました。
・賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)を確認する
・買い戻しに関する条件(期間・価格)を書面で確認する
・不明確な費用がないか契約書をチェックする
会社選びでの失敗を避けるために、ぜひチェックしてください。
賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)を確認する
賃貸契約書の契約種別を確認します。
普通賃貸借契約の場合、借主が希望する限り貸主は更新を拒めません。定期借家は契約期間満了後に退去しなければいけない可能性があるので、長く住みたい方は注意しましょう。
買い戻しに関する条件(期間・価格)を書面で確認する
買い戻しを視野にいれている場合は、買い戻し特約をつける必要があります。契約期間や価格など、詳細な条件とあわせてチェックすることが重要です。
信頼できる業者であれば、算出の根拠を提示してくれます。書面で詳細をチェックしたうえで、不明な点を質問して明瞭な答えが返ってくるか確認してください。
不明確な費用がないか契約書をチェックする
売却価格や家賃、買い戻し価格など、不明瞭な費用がないかチェックします。複数のリースバック会社から見積もりをとって比較してみると、わかりやすいでしょう。
途中解約の方法や退去時の原状回復についてなど、気になるポイントをあわせて確認しておくのがおすすめです。契約書の内容や説明に納得できるリースバック会社を、選択してください。
また、以下の資料では不動産用語を解説しています。リースバック会社を選ぶ際にも役立つので、チェックしておきましょう。
まとめ:不動産のリースバックはメリットも多いが、デメリットを十分に理解することが大切

まとめ:不動産のリースバックはメリットも多いが、デメリットを十分に理解することが大切
不動産のリースバックなら、売却後にも家賃を支払いながら今の家に住み続けられます。固定資産税・都市計画税の負担が軽くなる、相続手続きが簡素化できるなど、メリットはさまざまです。
一方で通常の不動産売買と比較すると、売却価格は安くなる傾向があります。家賃が割高になりやすい、所有権を失うなどのデメリットもあるので、よく考えたうえで検討することが大切です。
不動産のリースバックに向いている人の活用理由や、リースバック会社の選び方も紹介したので、あわせてチェックしておきましょう。リバースモーゲージや担保ローンとの違いを確認して、自分にあったものを選択してください。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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