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更新日:2024.01.19
登録日:2023.08.21
抵当権設定とは?手続きの流れや必要になる場面をくわしく解説
「抵当権設定ってどういう意味?」
「抵当権設定登記の手続きはどのようにすればいいの?」
不動産を購入したり新しく事業を始めたりして、金融機関から融資を受ける場合にはこのように悩む人もいるのではないでしょうか。
この記事では、抵当権設定登記が必要な場面・手続きの流れ・必要な費用などを詳しく解説しています。最後まで読めば、スムーズに抵当権設定登記の手続きができるようになります。ぜひ参考にして、抵当権設定登記のための準備を進めてください。
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抵当権設定とは
抵当権設定とは
「抵当権設定」とは、金融機関から不動産融資を受ける際に、対象の不動産に対して金融機関側が抵当権を設定することを意味します。
抵当権とは、お金を借りた人が債務不履行を起こした場合に、お金を貸した側(金融機関など)が対象の不動産を競売にかけて貸したお金を回収できる権利です。つまり抵当権設定は、ローンを借り入れた人が途中で返済できなくなったときに、金融機関が損をしないために対象の不動産を担保とすることを指します(※)。
対象の不動産に抵当権を設定したことを登記情報に記載して、おおやけにする手続きが「抵当権設定登記」です。抵当権設定登記は、司法書士などに依頼して手続きするのが一般的です。
※参照:民法第369条
なお、抵当権については以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる人は参考にしてください。
抵当権とは?根抵当権との違いや押さえておきたい基本知識をわかりやすく解説
鑑定士コメント
抵当権設定登記と不動産登記の違いは何でしょうか?本文で説明のあるとおり、抵当権設定登記とは金融機関が対象となる不動産に抵当権を設定したことを明らかにするための登記で、住宅ローンなどを組むときに行われるものです。一方不動産登記は、登記簿に土地や建物の情報を記録する登記全般のことを指します。つまり、抵当権設定登記は不動産登記の一つです。
抵当権設定登記が必要な場面
抵当権設定登記が必要な場面
抵当権設定登記が必要な場面は、以下の4つが代表的です。
・住宅ローンを組む場合
・物件を購入し不動産投資をする場合
・事業資金を借りるために不動産を担保に融資を受ける場合
・住宅ローンの借り換えをする場合
それぞれの場面について詳しく解説するので、以下の内容をチェックしてください。
住宅ローンを組む場合
住宅ローンを組むときが、抵当権設定登記をしなければならない場面の1つ目です。マイホームを購入して住宅ローンを組むときは、金融機関が対象の不動産に対して抵当権を持つのと引き換えに、お金を借りることになります。
当事者間で抵当権を設定しただけでは、その不動産が特定の金融機関の担保となっていることがほかの人にはわかりません。すでに担保となっている不動産と知らずに、第三者が購入したり融資したりする可能性があります。トラブルを防ぐためにも、抵当権設定登記をして情報を開示しなければなりません。
物件を購入し不動産投資をする場合
抵当権設定登記が必要な場面の2つ目は、不動産投資のために物件を購入する場合です。家賃収入を得るために物件を購入するときは、不動産担保ローンが利用できます。不動産担保ローンを組む場合も、住宅ローンと同様に抵当権設定登記が必要です。
金融機関が不動産ローンの貸し付けをする際、確実に債権を回収するために、購入する物件を担保として設定します。不動産を担保にすることで物件を購入する大きな資金の借り入れが可能となります。
事業資金を借りるために不動産を担保に融資を受ける場合
事業資金を借りるために不動産を担保に融資を受ける場合
抵当権設定登記をする3つ目の場面は、不動産を担保として銀行などから事業資金の融資を受ける場合です。新しく会社を設立したり個人事業を始めたりするときは、会社や代表者個人が所有している不動産に抵当権を設定することで、不動産担保ローンが利用できます。
ほかにも事業計画をもとに組む事業ローンを利用する方法がありますが、不動産担保ローンと比べて返済期間が短かったり、借りられる金額が少なかったりする点がデメリットです。抵当権を設定できる不動産がある場合は、不動産担保ローンのほうがメリットが大きいでしょう。
住宅ローンの借り換えをする場合
抵当権設定登記が必要な場面の4つ目は、住宅ローンの借り換えをする場合です。住宅ローンの借り換えとは、現在ローンを組んでいる金融機関とは別の場所で、住宅ローンを組み直すこと。利用中の住宅ローンより条件がよいものが見つかった場合、借り換えを検討する人もいるでしょう。
住宅ローンを借り換えるには、まず新しい金融機関で住宅ローンを組み、そこで借りたお金で現在利用中のローンを繰り上げ返済します。その後、前の金融機関で設定されていた抵当権を抹消し、新たな金融機関で抵当権設定登記を行うのが一般的な方法です。
抵当権はどのように設定されるのか
抵当権はどのように設定されるのか
ここでは、抵当権はどのように設定されるのかについて解説します。抵当権の設定に関する主な項目は次の3つです。
・設定されるタイミング
・抵当権設定に必要な書類
・抵当権設定にかかる費用
設定されるタイミング
抵当権は、お金を借りた人が債務不履行を起こした場合に、金融機関が対象の不動産を競売にかけて貸したお金を回収するために設定する権利です。そのため、抵当権が設定されるのは主に下記2つのタイミングです。
・住宅ローンの契約を行うとき
・住宅ローンの借り換えを行うとき
抵当権は金融期間の権利であるため、住宅ローンなどの契約時に抵当権が設定されます。また、抵当権を設定する際は金融機関が指定する司法書士に依頼して手続きを行ってもらうことが多いです。
個人でも抵当権の手続きを行うことは可能ですが、登記を行ったことがない人には難しく時間もかかるでしょう。間違えてしまうとさらに時間や手間がかかってしまうため、基本的には司法書士に手続きを行ってもらうのがおすすめです。
抵当権設定に必要な書類
抵当権設定の手続きで必要な書類としては、下記のような物があります。
基本的に、必要書類は債権者である金融機関側が用意するため、債務者側で準備する書類は少ないでしょう。
自分で用意しなければならないのは、実印や印鑑証明書、免許証のような一般的にそろえやすい書類です。ただし、印鑑証明書は役所の窓口で発行してもらう必要があるため、早めに準備しておきましょう。
また、金融機関によっては別途準備しなければならない書類があるかもしれません。とはいえ、債務者側が用意しなければならない場合でも金融機関や司法書士から指示があるため、指示に従って書類を準備しましょう。
抵当権設定にかかる費用
抵当権を設定する際は費用が発生します。主な費用項目とその金額は、下記の通りです。
登録印紙税と収入印紙は借入額によって変動します。なお、登録免許税は一定の要件を満たした住宅については軽減税率が適用される場合もあるため、借入額を元に財務省や国税庁で事前に調べておきましょう。
抵当権設定手続きを司法書士に依頼する場合は報酬が必要です。依頼報酬は司法書士事務所ごとに設定されており、依頼する司法書士や地域によって異なります。日本司法書士連合会によると、借入額1,000万円の土地や建物に対する報酬は35,000〜46,000円(※4)です。
マンションを購入する場合は、借入額が1,000万円を超えることが多いため、事前にどれくらいの金額になるか確認しておきましょう。場合によっては事前調査や交通費などの実費が発生することもあるため、合わせて確認しておく必要があります。
印鑑証明書と登記事項証明書の発行にも手数料がかかります。市町村や請求方法によって金額が変わりますが、一般的にオンライン請求のほうが手数料が安いため、少しでも費用を抑えたい人は活用しましょう。
※1参照:財務省
※2参照:国税庁
※3参照:法務省
※4参照:日本司法書士連合会
なお、抵当権設定登録免許税については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
抵当権設定の登録免許税とは? 計算方法や軽減措置などをわかりやすく解説
抵当権設定登記手続きの流れ
抵当権設定登記手続きの流れ
抵当権設定登記手続きの流れは以下のとおりです。
1.金銭消費貸借契約を締結する
2.抵当権設定契約を締結する
3.必要書類を確認する
4.登記申請をする
5.登記事項証明書を取得し、抵当権者へ提出する
通常、抵当権設定登記の手続きは、司法書士に依頼します。念のための知識として流れを把握しておきましょう。
金銭消費貸借契約を締結する
抵当権設定登記をする前に、まずはお金を借りる人と金融機関との間で、金銭消費貸借契約を結びます。金銭消費貸借契約とは民法で定められたもので、同等のもの(金利を含む)を返すことを約束したうえでお金を借りられる契約です(※)。
金銭消費貸借契約で定められる内容には、貸借金額・返済期日・返済方法・利息の割合や計算方法・遅延損害金の額・期限の喪失事由・相殺についてなどがあります。金銭消費貸借契約は、住宅ローンや不動産担保ローンを組むときには必ず締結するものだと覚えておきましょう。
※参照:民法第587条
金銭消費貸借契約で定められる内容には、貸借金額・返済期日・返済方法・利息の割合や計算方法・遅延損害金の額・期限の喪失事由・相殺についてなどがあります。金銭消費貸借契約は、住宅ローンや不動産担保ローンを組むときには必ず締結するものだと覚えておきましょう。
抵当権設定契約を締結する
金融機関とお金を借りるための契約を結んだら、抵当権設定契約を締結します。実際の手続きでは、金銭消費貸借契約を結ぶときと同じタイミングで抵当権設定の契約も交わすのが一般的です。
抵当権設定契約では、対象となる不動産を担保として、金融機関が抵当権を設定することを承諾します。多くの場合、金融機関が用意する契約書の様式に沿って記入・捺印すれば、手続きは完了です。契約を結ぶときは多くの契約書に記入・捺印することになるので、事前に内容を把握して抜けや漏れのないようにしましょう。
必要書類を確認する
必要書類を確認する
金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を結んだら、登記するために必要な書類を確認しましょう。先述したとおり、抵当権設定登記は司法書士に依頼することが多い手続きですが、必要書類のなかには自分で用意しなければならないものもあります。
登記申請に必要な書類は後述しますが、すべてそろえるのに時間がかかる場合もあるので、早めに準備するよう心がけましょう。書類の取得先や取得方法がわからなければ、司法書士や金融機関に相談してください。
登記申請をする
抵当権設定登記のための必要書類をそろえたら、対象の不動産がある地域を管轄する法務局で登記申請を行います。申請には窓口・郵送・ネットの3つの方法がありますが、実際には司法書士が代理で行うことがほとんどです。
司法書士に代理で登記申請をしてもらうときは、登記手続きの必要書類とは別に委任状が必要になります。委任状は、司法書士に作成してもらいましょう。また金融機関によっては、司法書士に登記手続きを依頼しなければ、ローンを組んだり融資を受けたりできない場合があります。契約内容をよく確認してください。
登記事項証明書を取得し、抵当権者へ提出
登記手続きが完了したら、登記事項証明書を取得して金融機関などの抵当権者に提出しましょう。登記事項証明書は、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで発行してもらえます。場所がわからなければ、法務局のホームページ「管轄のご案内」で確認してください。
登記事項証明書は、オンライン申請もできます。登記所などへ出向く時間がない場合などは、自宅から申請できるため便利です。ただし、登記手続きを司法書士に依頼した場合は登記事項証明書の提出も代理で行ってもらえる場合が多いため、担当者に聞いてみるとよいでしょう。
鑑定士コメント
抵当権設定登記の手続きを自分ですることができるのでしょうか?抵当権設定登記の手続きを自分ですることは可能ですが、おすすめはできません。なぜなら、住所変更登記など比較的簡単なものとは異なり、抵当権設定登記は、手続きの内容が複雑で、慣れていない人が行うと抜けや漏れが起きやすいためです。万が一抵当権設定登記がうまくいっていなければ、金融機関側からすると無担保融資をしたことになります。そのことで金融機関側に不利益があった場合は、巨額の損害賠償請求をされることにもなりかねません。大きなトラブルになる可能性があるため、抵当権設定登記の手続きはプロである司法書士に任せましょう。
抵当権抹消手続きの流れ
抵当権抹消手続きの流れ
抵当権抹消が必要なシーンは、不動産を売却するとき・住宅ローンを借り換えるとき・住宅ローンを完済したときなどです。
抵当権抹消手続きは抵当権設定登記手続きに比べると簡単で、特に住宅ローンを完済したときなどは自分でも行えます。手続きの流れは以下のとおりです。
1.金融機関から抵当権抹消手続きに必要な書類を受け取る(弁済証書など)
2.法務局で登記事項証明書を取得する
3.住所・氏名が変わっていれば住民票・戸籍謄本を取得する
4.抵当権抹消登記申請書を作成する(法務局ホームページなどでひな型を取得)
5.郵送または窓口で申請書を提出する
なお、抵当権抹消については以下の記事でより詳しく解説しています。自分で手続きする方法や必要な費用、注意点なども紹介しているので、住宅ローンを完済したときなどにはチェックしてみてください。
まとめ:抵当権設定はすみやかに手続きを行おう
まとめ:抵当権設定登記はすみやかに手続きを行おう
抵当権設定登記は、住宅ローンや不動産担保ローンを組む場合に必要となる手続きです。必要書類をそろえたり費用を用意したりする必要があるため、マイホームや不動産投資のための物件を購入するときは、早めに準備に取り掛かりましょう。
抵当権設定登記の手続きを自分で行うのは難しいため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼するときは、複数社から見積もりを取って検討することをおすすめします。司法書士に依頼する場合でも、自分で用意しなければならないものもあるので、事前に流れを把握して手続きをスムーズに進めてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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