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更新日:2024.09.24
登録日:2024.09.24
24時間換気システムの重要性は?選び方・使い方を完全ガイド
「24時間換気システムはなんのためについているの?」
「より効果的に使うにはどうしたらいい?」
24時間換気システムについて、このような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
24時間換気システムは、室内と外の空気を入れ替えることで部屋の空気をきれいに保つシステムです。
この記事では、24時間換気システムのメリットやデメリット、稼働にかかる電気代などを徹底解説します。さらに、より有効活用するための方法なども具体的に説明しますので、24時間換気システムについて知りたい人はぜひ最後までご覧ください。
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24時間換気システムとは
24時間換気システムとは
24時間換気システムとは、機械によって室内の空気を屋外の空気と入れ替えることで、部屋の空気をきれいな状態にするための設備を指します。
換気の仕組みは、外の空気を給気口から取り込んで排気口から出すというものです。また、居住空間の空気を1時間で半分以上入れ替えなくてはならないという基準があります。戸建てにおいては、このシステムの導入がすでに義務化されているというのが現状です。
・24時間換気システムの目的
・24時間換気システムが義務化した理由
・24時間換気システムの電気代
義務化した理由や、換気にかかる電気代はどのくらいなのでしょうか。上記の3つについて、以下で詳しく解説します。
24時間換気システムの目的
24時間換気システムは、シックハウス症候群の予防のために取り入れられています。
シックハウス症候群とは、木質建材、壁紙、断熱材などの建築資材に含まれる化学物質が原因で起きる健康被害です。換気システムが生まれた背景には、このシックハウス症候群が社会問題となったことが挙げられます。
シックハウス症候群で起きる症状の例は、頭痛・めまい・皮膚や目の刺激感などです。
換気によって空気を入れ替え、シックハウス症候群の発症を抑えるために、この換気システムが導入されています。
24時間換気システムが義務化した理由
義務化の理由は、住宅の造りが高気密・高断熱化したためです。
省エネ設計などの気密性が高い住宅が増えたことから、先ほど少し触れたシックハウス症候群が社会で問題となりました。
かつての日本家屋は、外の空気を取り込みやすい構造でした。しかし、外気温の影響を受けやすかったため、快適性を向上させるために高気密・高断熱の家づくりへとシフトするようになりました。
そこで、2003年の建築基準法の改正に伴い、室内の空気を入れ替えられるように24時間換気システムの導入が義務づけられたという流れです。
24時間換気システムの電気代
24時間換気システムの電気代
電気代は、ひと月あたり約100〜700円、年間ではおよそ1,200円〜8,400円ほどが見込まれます。金額に大きな差があるのは、機械の種類や電力会社などによって前後しやすいためです。
ほかの換気扇と比較しても、24時間換気システムにかかる電気代はそこまで高くありません。たとえば、キッチンの換気扇を24時間回した場合の電気代は、ひと月で600〜800円ほどです。
電気代は、導入する換気システムの種類や電力会社などによって差が出やすくなります。電気代が気になる場合は、使用する機械や電力会社をしっかりと比較したうえで導入するとよいでしょう。
24時間換気システムの種類
24時間換気システムの種類
24時間換気システムは、換気のしかたによって大きく3つのタイプに分類されます。
・第1種換気システム
・第2種換気システム
・第3種換気システム
それぞれがどのようなシステムなのか、以下で詳しく説明します。
第1種換気システム
第1種換気システムは、機械によって給気と排気を行うシステムです。
冬の寒さが厳しい北海道を中心に、主に寒冷地で多く採用されています。なぜかというと、第1種換気システムでは外気を室内の温度にできるだけ近づけながら取り込めるからです。
具体的には、熱交換器という専用機器を用いることによって、部屋の温度を下げにくくすることができます。冬場の冷たい外気を室内に取り込んでしまうことを防げるため、部屋の暖かさを保ちながら換気することができるのです。
室温をキープしやすい一方、装置本体が通常より高価で設置の手間がかかりやすく、初期費用が高くなりやすいという面もあります。
第2種換気システム
第2種換気システムは、給気口だけに換気扇を設置しているシステムです。つまり、排気口には換気扇がついていません。
第2種換気システムには、窓やドアなどを開けたときに外から菌や汚染物質などが入りにくいという利点があります。理由は、給気口にのみ換気扇があるため空気の入ってくる力が出て行く力よりも強くなり、室内の気圧を高い状態にできるためです。
衛生面で大きな利点があることから、一般の住宅以外でも使用されることがあります。たとえば、病院の手術室や研究所のクリーンルーム、不衛生な物質の侵入防止を重視する工場などです。
室内の空気が屋外に出ていきにくく、結露が発生しやすいため住宅では使われるケースがあまり多くはありません。
第3種換気システム
第3種換気システム
第3種換気システムは、給気口には換気扇をつけず排気口だけに換気扇を設置するシステムです。第2種換気システムとは逆のつくりで、室内の空気を外へ排出する力が強くなります。
室内で給気口の近くにいると、夏は暑く冬は寒いと感じやすいことがネックです。理由としては、熱交換器がついていないため、外気が外の温度のまま室内に入りやすいということが挙げられます。
とはいえ、外から室内に入ってくる空気の流れは強くないため、換気による暑さ寒さはそこまで気にならないという人が大半です。
また、第1種換気システムと比べて設置するための費用や毎月の電気代が安いのが利点といえます。全部屋に給気口を取りつける必要はあるものの、マンションや戸建て住宅などに多く採用されているシステムです。
鑑定士コメント
24時間換気システムは24時間ずっと稼働し続けなければいけないのでしょうか?必ずしも24時間稼働させなければならないということはありません。日中は換気しているなどであれば不要です。24時間換気システムは除湿効果が高いので、1日のなかでオンとオフを使い分けるとよいでしょう。
24時間換気システムのメリット
24時間換気システムのメリット
ここでは、1日を通して換気し続けることで得られるメリットを紹介します。自分自身や住宅などにおいて挙げられるメリットは、以下の3つです。
・シックハウスの対策になる
・家が劣化する予防になる
・カビや結露を予防する
それぞれのメリットについて、具体的に解説します。
シックハウスの対策になる
換気により、シックハウス症候群の発症を抑えられます。なぜなら、換気によりシックハウス症候群の原因となる木質建材や家具などに含まれるホルムアルデヒドの室内濃度を下げられるためです。
空気が常に入れ替わることにより、ホルムアルデヒドのほか室内のダニやほこりなどを減らすこともできます。結果、シックハウス症候群やアレルギーの対策になるのです。
外気を取り込むことから、花粉や汚染物質の侵入が気になるという人もいるかもしれません。24時間換気システムには花粉や粉塵予防のフィルターがついているものや、後付けできる市販品などがあります。気になる場合は、フィルターを設置するとよいでしょう。
家が劣化する予防になる
家の劣化を予防することもできます。というのも、換気システムを24時間回しておくことによって室内に溜まった湿気を外に逃がせるためです。
日本の住宅の場合、木造の住宅はもちろん構造を問わず多くのケースで木材が使われています。イメージとしては、新築の家に入ると木の香りがするというのが1つの例です。
湿気が壁・天井・柱などに溜まってしまうと木材が傷みやすくなります。木材がダメージを受けることで家の劣化につながることがあります。したがって、木材が傷まないように適度な乾燥状態を保っておくことが重要です。
24時間にわたって常に室内の空気を入れ替えることで、湿気を外へ逃がし、家を劣化から守ることができます。
カビや結露を予防する
カビや結露を予防する
カビや結露を防ぐこともできます。理由は、1日を通して換気を行うことで部屋のなかの湿度が下がりやすくなるためです。
カビは、湿度が高いところや湿気が多い環境などで繁殖しやすい特徴があります。同様に、空気が循環せず滞留すると、湿度が高まり結露が発生しやすくなるのです。
具体的には、1日中窓を閉め切った家よりも、窓を開けて空気を入れ替えている家のほうが湿気が溜まりにくくなるというイメージです。
まとめると、気密性・断熱性の高い住宅では、空気が滞留しやすいことからカビや結露が発生しやすくなります。そこで、室内の空気を常に入れ替えられる換気システムが、カビや結露の予防において重要になるのです。
鑑定士コメント
24時間換気システムは、花粉症対策にも効果があるのでしょうか?花粉症対策にも役立ちます。第1種・第3種の換気システムともに、給気口にフィルターをつけることにより花粉の侵入を抑えることが可能です。フィルターが高性能になると花粉だけでなくPM2.5のような微小粒子にも対応できます。ただし、高性能になるほど金額が高くなるので家族のニーズに合わせて選択するのがおすすめです。
24時間換気システムのデメリット
24時間換気システムのデメリット
24時間換気システム導入後の管理方法や、起こりうる弊害などについてのデメリットは以下の3つです。
・メンテナンスの手間がかかる
・虫が入ってくることがある
・音や寒さが気になる
それぞれのデメリットの詳細を解説します。
メンテナンスの手間がかかる
デメリットとして、メンテナンスの手間がかかることが挙げられます。というのも、給気口やフィルターの掃除を怠ってしまうと、給気部分に汚れが溜まりきれいな空気を入れ替えることができなくなるためです。
たとえば、外の空気には花粉や粉塵、部屋のなかの空気にはダニやほこりなどが含まれています。給気口やフィルター部分は空気が常に行き来している分、汚れやすいため定期的な掃除が必要です。
24時間換気システムによる効果を十分に得るためには、給気部分を清潔に保つようメンテナンスが欠かせません。なお、フィルターは一定の期間使った後に交換できるタイプもあるため、掃除の時間を短縮したい人は検討してみるとよいでしょう。
虫が入ってくることがある
外の空気を取り込む際に、虫が入ってくる場合があります。
窓を開けなければ、虫が入ってくることはないと考える人もいるかもしれません。たしかに、フィルターにより大きなごみや害虫などの侵入は防げます。しかし、フィルターの網目をすり抜けられるほどの小さい虫の侵入は防げないことがあるためです。
給気口により外と繋がっているため、たとえばコバエのような非常に小さい虫が入ってくる可能性があります。気になる場合は、防虫網を給気口に設置するとよいでしょう。
音や寒さが気になる
音や寒さが気になる
換気扇の回る音や外気による寒さが気になる可能性もゼロではありません。
換気システムの稼働音が大きくなる原因で多いのが、メンテナンス不足です。換気扇を回し続けていると、ダクトやフィルターにほこりが溜まります。放置すると風が通りにくくなり、モーターに負担がかかることで異音がするのです。
また、一般的な住宅に採用されやすい第3種換気方式は、外から入る外気の調整ができないことが寒いと感じる理由として挙げられます。先に述べたように、換気による暑さ寒さはさほど気にならない場合がほとんどです。しかし、なかには寒さが感じられる可能性もあります。
対策の1つが、給気が機械換気なら一時的に止めることです。これにより寒さを感じにくくなります。長時間の停止は推奨できませんが、短時間なら大きな影響はありません。風量を調節できる場合は、弱風にすることで快適に過ごしやすくなるでしょう。
換気による冬の寒さについては以下の記事で紹介していますので、詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
24時間換気システムで寒いのはなぜ?その理由と対策方法を徹底解説
24時間換気システムを最大限に活用するためのコツ
24時間換気システムを最大限に活用するためのコツ
24時間換気システムを最大限に活用するためのコツ
24時間換気システムを導入する場合、工夫次第では室内の湿気をより低く抑えたり、部屋の空気を効率的に入れ替えたりすることができます。
・目的に合ったフィルターを使う
・空気清浄機や除湿器を併用する
・掃除をこまめに行う
24時間換気システムをうまく活用するコツについて、上記の3つにわけて詳しく説明します。
目的に合ったフィルターを使う
より効率よく活用するには、目的に合ったフィルターを使うことが大切です。虫や花粉など、用途別にさまざまなフィルターが販売されています。
たとえば、虫の侵入を防ぎたいときは専用の防虫網を取りつけるのがよいでしょう。PM2.5や花粉などの浮遊物の予防には、本体に設置するフィルター自体を見直すのも1つの手です。
そのほか、排気ガスによる臭気や騒音を軽減するフィルターなどもあります。それぞれの目的に合うものを選び使用しましょう。
空気清浄機や除湿器を併用する
湿気が多い季節には、除湿器を使うことで室内の湿度をより下げることができます。梅雨やじめじめとした天候の続く日などには、換気とあわせて除湿器やエアコンのドライモードの活用が効果的です。
また、室内に溜まった花粉やにおいを軽減させるには、換気システムと空気清浄機を併用するのがよいでしょう。
空気清浄機は、部屋のなかの浮遊物を取り除くものであり、空気を入れ替えることはできません。したがって、換気とあわせて使うことで効率よく空気をきれいにすることができます。
空気清浄機や除湿器などと一緒に使い、換気システムをより効果的に活用しましょう。
掃除をこまめに行う
掃除をこまめに行う
定期的な掃除も大切です。フィルターの目にごみが詰まっていると換気の効率が下がるため、換気システムを効率よく使うためにこまめな掃除は欠かせません。
フィルターの基本的な掃除方法は、換気システムのスイッチを切り、掃除機でほこりを吸い取るか中性洗剤で水洗いします。水洗いした場合は、カビ防止のためフィルターをよく乾燥させてから取り付けましょう。
なお、フィルターは長く使い続けると徐々に劣化します。効果が薄れたと感じたり、異音がしたりする場合は交換が必要です。
フィルターが汚れていないか、異常がないかなど定期的にチェックし、適切な掃除をすることが換気システムの有効活用につながります。
まとめ:24時間換気システムで健康的で住みやすい環境を整えよう
まとめ:24時間換気システムで健康的で住みやすい環境を整えよう
24時間換気システムは、機械を用いて室内と外の空気と入れ替え、部屋の空気をきれいに保つためのシステムです。そして、高気密・高断熱化がすすむ現代の住宅において欠かせない設備でもあります。
主なメリットは、シックハウス症候群や家の劣化を予防できるなどです。24時間換気システムを有効活用するためには、フィルターのこまめな掃除やメンテナンス、目的に合ったフィルターを使う必要があります。
メリットとあわせて注意点もしっかりと理解し、健康的で住みやすい室内環境を整えるためにぜひ参考にしてください。
#24時間換気システム #換気 #空気 #フィルター
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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