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2024.02.22

鉄部塗装の基礎知識を紹介!適切なタイミングと価格相場を確認しよう

鉄部塗装の基礎知識を紹介!適切なタイミングと価格相場を確認しよう

鉄部塗装は、外壁塗装と同様に建物を維持するために欠かせない塗装です。適切なタイミングで塗装することで建物を維持できる一方で、鉄部塗装がおろそかになっていると重大な事故が発生する可能性もあります。

本記事では、鉄部塗装とは何か、基本知識や鉄部塗装が必要な理由について解説します。塗装を行う適切なタイミングや塗装を施す場所ごとの価格相場についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

鉄部塗装とは

鉄部塗装とは

鉄部塗装とは

鉄部塗装とは、建物の鉄製の部分(コンクリート以外の部分)に対して行う塗装です。建物の代表的な鉄製部分としては、下記のようなものがあります。

 

・扉やシャッター

・階段やベランダなどの手すり

・消火栓ボックスやメーター

・配管や支持金具

 

鉄部塗装には4つ工程があり、それぞれ下記のような作業があります。

 

工程

作業内容

ケレン

塗装する前にサビや古い塗膜などの異物を除去して下地をきれいにする作業

塗料が密着するようにわざと塗装面に細かな傷をつける目粗しも行う

サビ止め(下塗り)

サビ止めの効果がある下塗り材を塗布する作業

鉄部塗装の大きな目的の1つである防サビに関わる重要な工程

中塗り・上塗り

サビ止め(下塗り)の塗料が乾燥した後に仕上げ塗料を塗布する作業

中塗り、上塗りと2回塗布し、耐候性や耐久性を高める効果がある

鉄部塗装が必要な理由

鉄部塗装が必要な理由

鉄部塗装が必要な理由

鉄部塗装が必要な理由としては、主に下記のようなものがあります。

 

・サビの発生をおさえる

・美しい外観や資産価値の維持

・雨漏りのリスクを回避する

 

なお鉄部塗装は、外壁塗装の際に一緒に行われることが多いです。

サビの発生をおさえる

鉄部塗装を行う主な目的の1つはサビの発生をおさえることです。外気にさらされている建物の鉄部は、雨水や湿気によってとくにサビが発生しやすく経年劣化が進みやすいです。サビが発生して経年劣化が進むと、鉄部の機能が低下してしまいます。

 

また、手すりなど一部の鉄部は安全面にも影響が出てしまうでしょう。そのため、鉄部塗装を行って防サビ性を高める必要があります。鉄部塗装を行うことで、金属の表面をコーティングしてサビの発生をおさえられます。

美しい外観や資産価値の維持

建物の外壁だけではなく鉄部にも塗装を施すことで、建物全体の色が統一されて外観が美しくなります。外観の美しさを維持できれば、資産価値も維持できるでしょう。しかし、鉄部塗装を施さないと、サビが発生して外観が損なわれてしまいます。

 

鉄部がひどく腐食してしまうと塗装できなくなってしまうため、鉄部全体を取り換える必要が出てくるでしょう。外観が損なわれて大規模な修繕が必要になってしまうと、資産価値が下がってしまいます。鉄部塗装を行うことで、美しい外観や資産価値を維持することが可能です。

雨漏りのリスクを回避する

鉄部塗装には、雨漏りのリスクを回避する効果もあります。鉄部にサビが発生してしまうと、サビの体積によって鉄部にゆがみが生じる可能性があります。また、サビによって腐食してしまうと、脆くなって穴が開く可能性があるでしょう。

 

鉄部がゆがんでいたり穴が開いていたりすると、そこから雨水が侵入して雨漏りが発生することがあります。鉄部塗装を行うことで、サビの発生をおさえてゆがみや穴が開くなどの被害を防ぐことができます

鉄部塗装の適切なタイミング

鉄部塗装の適切なタイミング

鉄部塗装の適切なタイミング

多くの場合、最初は建物が建てられたタイミングで鉄部塗装も施されています。しかし、鉄部塗装も外壁と同様に塗装の剥がれなどが発生する可能性があるため、定期的に塗装することが大切です。

 

鉄部塗装の適切なタイミングは、一般的に5~6年ほどと言われています。しかし、建物が建っている立地や塗料によって適切なタイミングは異なるため注意しましょう。塗装ごとの主なタイミングは下記の通りです。

 

種類

タイミング

アクリル系塗料

5~6年

ウレタン系塗料

7~8年

シリコン系塗料

9~10年

フッ素系塗料

15~16年

鑑定士コメント

鉄部塗装部分で注意する点はあるでしょうか?鉄部塗装は、他の部分よりも、こまめな劣化状況の確認が必要です。一度塗装の剥がれなどが発生して鉄部が水や空気に触れてしまうと、サビが発生して鉄部が劣化し、大きなコストをかけて取り換えが必要にまでなってしまいます。そのため、劣化を未然に防ぐために定期的なメンテナンスが欠かせません。

鉄部塗装の価格相場

鉄部塗装の価格相場

鉄部塗装の価格相場

鉄部塗装は、場所によって価格が異なります。それぞれの価格相場は下記の通りです。

 

場所

価格相場

雨戸

1枚:2,000~5,000円

戸袋

1箇所:2,000~5,000円

門扉

両開き2枚:15,000~20,000円

階段

80,000~200,000円

給湯器

10,000~30,000円

ポスト

8,000~10,000円

 

それぞれの塗装場所について、詳しく解説します。

雨戸・戸袋

雨戸の鉄部塗装の価格相場は、1枚あたりおよそ2,000~5,000円です。また、戸袋についても1箇所あたりおよそ2,000~5,000円が相場となっています。そのため、 雨戸と戸袋がそれぞれ1つある窓につき4,000~10,000円ほど費用が発生します。

 

ただし、窓のサイズによっては価格が変動することがあるでしょう。また、住宅の2階の窓など足場が必要な場所の雨戸や戸袋を塗装する場合、足場設置の費用などが追加で発生する可能性があります。

門扉

門扉の鉄部塗装の価格相場は、両開きの2枚と仮定すると一式でおよそ15,000~20,000円です。

 

門扉は長期間紫外線や雨風にさらされているため、ケレン作業を行って表面の汚れやサビなどを落とす必要があります。汚れやサビの程度、門扉のサイズにもよりますが、早ければ1日ほどで塗装可能です。

階段

階段の鉄部塗装の価格相場は、およそ80,000~200,000円です。階段は建物によってサイズや段数が異なるため、詳しく価格を知りたい場合は業者に直接確認するのがおすすめです。

 

階段は表面積が広く、ケレンや塗り作業が多いため、門扉などと比べると価格が高い傾向にあります。階段は、サビが発生すると腐食して落下するなどの危険もあるため、適切なタイミングでの鉄部塗装が求められます。

給湯器

給湯器の鉄部塗装の価格相場は、およそ10,000~30,000円です。給湯器では、主に前面や枠、配管カバーなど塗装する場所が複数あります。どこまで塗装するかによって価格が異なるため、業者に確認しておきましょう。

 

また、給湯器の型式によって塗装してはいけない部分などがあります。事前に塗装できる部分を確認しておき、業者に依頼する際にきちんと打ち合わせをしておきましょう。

ポスト

ポストの鉄部塗装の価格相場は、およそ8,000~10,000円です。塗装面が少ないため、あまり費用は掛かりません。

 

下塗りの塗膜があり上塗りだけを行う場合は、市販の塗料で自分での塗装もできるでしょう。ただし、サビがひどい場合などは業者に依頼して鉄部塗装を行ってもらうのがおすすめです。

【状態別】鉄部塗装の劣化の対応方法

【状態別】鉄部塗装の劣化の対応方法

【状態別】鉄部塗装の劣化の対応方法

鉄部塗装が施されている場所では、劣化によって下記のような状態になる可能性があります。

 

・チョーキングが発生している

・サビが発生している

・腐食が進行している

 

それぞれの状態別の対応方法について解説します。

チョーキングが発生している

鉄部塗装でもっとも重要なことは、鉄部を保護する塗膜が正常な状態かを確認することです。紫外線や雨風などによって塗膜が劣化すると、塗に含まれる顔料が浮き出てしまいます。この現象は「チョーキング」と呼ばれ、塗装部を触ると粉が手に付着します。

 

チョーキングが発生している場合、塗装面は劣化していますが鉄部まで劣化しているというわけではありません。とはいえ、そのまま放置しておくと鉄部がむき出しになってしまいサビが発生する可能性があるため、塗り替える必要があります

サビが発生している

塗装が剥がれて鉄部がむき出しのままになっていると、鉄部にサビが発生してしまいます。一部にサビが発生してしまうと、鉄部の酸化が進んでしまい周囲の塗装が剥がれてしまうでしょう。

 

そのため、少しでもサビが発生している場合は、ケレン作業でサビを除去して再度塗装する必要があります。サビの上から塗装をすると、表面上はきれいになるかもしれませんが内部でサビは進行します。塗装の早期剥離にもつながるため、かならずサビを除去してから塗装しましょう

腐食の進行している

サビなどによって鉄部の腐食が進行すると、鉄部に穴が開いたり一部が欠けてしまうなどの被害が発生します。鉄部の強度が失われてしまうため、本来の機能を果たせなくなるでしょう。

 

そのため、鉄部そのものの取り換えや溶接による補強などを行う必要があります。取り替えや溶接作業を行うと修繕費用も高くなってしまうため、できるだけチョーキングやサビの段階で対処するようにしましょう。

鉄部塗装を行うときに確認するポイント

鉄部塗装を行うときに確認するポイント

鉄部塗装を行うときに確認するポイント

鉄部塗装を行うときは、下記のポイントを確認する必要があります。

 

・ケレンが含まれているか

・下地処理にサビ止め塗料が使われているか

・塗料のメーカー名が明らかにされているか

 

それぞれの確認ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

ケレンが含まれているか

ケレン作業は、鉄部塗装の作業の中でもとくに重要な工程です。ケレンを行いサビを除去しておかなければ、塗装を施しても内側から劣化してしまいます

 

また、表面が汚れていると塗料の接着が弱くなり剥がれやすくなるでしょう。鉄部の状態によっては不要になる可能性もありますが、事前にケレン作業が含まれているか、含まれていない場合はその理由を確認しておきましょう。

下地処理にサビ止め塗料が使われているか

鉄部塗装の主な目的は、鉄部のサビの発生をおさえることです。そのため、下地処理にサビ止め塗料が使われているかをかならず確認してください

 

サビ止め塗料が使われていないと、鉄部表面を皮膜でコーティングできずサビが発生してしまう可能性があります。塗料を確認する際は、色だけではなく効果についても確認しておきましょう。

塗料のメーカー名が明らかにされているか

塗料の価格は、メーカーや種類によって異なります。また、内容物や効果についてもメーカーごとに違いがあるため注意が必要です。例えば、同じアクリル系塗料でも、メーカーによって質や価格が違います。

 

塗料のメーカー名が明らかにされていないと、見積もりが適正か判断できません。そのため、見積書を確認する際は塗料のメーカー名が明らかにされているかを確認しましょう。

鑑定士コメント

マンションの鉄部塗装で気を付けることはあるでしょうか?マンションの鉄部塗装では、①きちんとケレン作業が行われているか、②下塗りにサビ止め塗料を使用しているかを特に気をつけましょう。マンションは作業面積が広いため、適切に処理されていないと見えないところからサビが発生して、思わぬ劣化が進んでしまう可能性があります。

まとめ:鉄部塗装は劣化する前のメンテナンスが重要

まとめ:鉄部塗装は劣化する前のメンテナンスが重要

まとめ:鉄部塗装は劣化する前のメンテナンスが重要

鉄部塗装は、予防的な側面が大きい塗装です。一度サビが発生してしまうと、鉄部全体に広がってしまいます。また、サビを放置していると鉄部の浸食が進んでしまい、鉄部の取り換えや溶接による処置が必要になる可能性があります。

 

そのため、劣化する前に鉄部塗装を行ってサビなどの予防が大切です。定期的に鉄部のメンテナンスを行い、必要に応じて鉄部塗装を施しましょう

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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